■6000t型ミサイル護衛艦
海上自衛隊の最重要任務であるシーレーン防衛、そのシーレーンを航空脅威から防護するシステムにミサイルか航空機が挙げられます、この中で1970年代には6000t型護衛艦が検討されたという。
海上自衛隊のミサイル巡洋艦構想は、6000t程度、という構想が示されたのみ、具体的設計に着手したものではないため、その特性は不明です。ただ、推測ですがミサイル護衛艦あまつかせ、たちかぜ型ミサイル護衛艦を倍以上上回る事から、高出力のレーダーを搭載する、また航空自衛隊戦闘機への要撃管制という様な運用を考えていたのかもしれません。
ミサイル巡洋艦構想の無期限延期はヘリコプター巡洋艦とともに海上自衛隊独自の巡洋艦隊を編成するという根幹を延期させることとなりました。しかし、たちかぜ型ミサイル護衛艦として、初のミサイル護衛艦あまつかぜ以降久々に艦隊防空艦の取得が開始されます。あまつかぜ、たちかぜ型最大の相違点はターターとターターDシステムというものでした。
海上自衛隊は高価過ぎるターターを補うべく、1960年代には護衛艦あきづき型に艦砲による艦隊防空を担わせており、ヘリコプター搭載護衛艦はるな型も艦砲に5インチ砲を搭載した背景には、艦砲による防空能力への当時の高い信頼性が見て取れます。しかし、艦砲では目標情報の艦隊全体での共有が非常に難しく、アナログ的な手法であったわけですね。
6000t型ミサイル巡洋艦は、建造された場合、恐らく前甲板と後部甲板にスタンダードミサイル単装発射装置ないし連装発射装置を搭載することとなったか、高出力の防空レーダーを搭載し艦隊データリンクシステムでの戦闘を包括化する中枢艦となったのでしょう。場合によっては、テリアシステム等二種類の防空システム搭載の可能性もあったでしょう。
上部構造物は蒸気タービン推進方式を採用し、電装品についてはマック構造へ収める手堅い設計が採用されたのではないでしょうか。論拠として、アメリカ海軍ミサイル巡洋艦のターターシステム運用画挙げられます。複数のターターシステムを搭載する場合、前甲板には前方からの航空脅威へ、後部甲板のターターシステムは後方脅威へ備える配置を行う。
現在のガスタービン艦と異なり蒸気タービン艦は吸排気系統が大きすぎず、上部構造物そのものが火器管制装置旋回を阻害する事もない為、前方や後方から飽和攻撃を受けた場合は、船体を目標方向へ蛇行させることで後部イルミネータを斜め前へ指向させビームライディングを展開する事が可能となります。ただ、ここに問題が無かった訳でもありません。
ベルナップ級巡洋艦のような方式は、超長距離の目標索敵が可能となるのですが、海上自衛隊にはターターシステム搭載艦、アメリカ海軍のチャールズFアダムス級ミサイル駆逐艦のような量産された艦隊防空艦が普及しておらず、防空中枢艦を整備しただけでは連携する僚艦が存在しません。この一隻だけ有力であっても艦隊防空は成り立たないのですね。
3000t級ミサイル護衛艦2隻を建造した場合と比較しての優位性ですが、大型艦へ搭載可能である多目的レーダーは、交戦距離の延伸を意味します。交戦距離の延伸は、同じターターシステムであっても会敵距離を延伸する事で飽和攻撃が自艦隊へ到達するまでの猶予時間を延伸することに直結し、要するに3000t級ミサイル護衛艦以上の回数で迎撃できます。
同時迎撃を二回から三回に分け展開でき、その防空能力は3000t級ミサイル護衛艦2隻や3隻よりも遙かに高いものとなる事が期待できました。6000t型ミサイル護衛艦の建造中止は、しかし妥当性の方が高かったように思います。ターターDへの過渡期で評価が定まらない時期だったためです。また、相応に高価、各護衛隊群へ配備する事も難しかったでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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海上自衛隊の最重要任務であるシーレーン防衛、そのシーレーンを航空脅威から防護するシステムにミサイルか航空機が挙げられます、この中で1970年代には6000t型護衛艦が検討されたという。
海上自衛隊のミサイル巡洋艦構想は、6000t程度、という構想が示されたのみ、具体的設計に着手したものではないため、その特性は不明です。ただ、推測ですがミサイル護衛艦あまつかせ、たちかぜ型ミサイル護衛艦を倍以上上回る事から、高出力のレーダーを搭載する、また航空自衛隊戦闘機への要撃管制という様な運用を考えていたのかもしれません。
ミサイル巡洋艦構想の無期限延期はヘリコプター巡洋艦とともに海上自衛隊独自の巡洋艦隊を編成するという根幹を延期させることとなりました。しかし、たちかぜ型ミサイル護衛艦として、初のミサイル護衛艦あまつかぜ以降久々に艦隊防空艦の取得が開始されます。あまつかぜ、たちかぜ型最大の相違点はターターとターターDシステムというものでした。
海上自衛隊は高価過ぎるターターを補うべく、1960年代には護衛艦あきづき型に艦砲による艦隊防空を担わせており、ヘリコプター搭載護衛艦はるな型も艦砲に5インチ砲を搭載した背景には、艦砲による防空能力への当時の高い信頼性が見て取れます。しかし、艦砲では目標情報の艦隊全体での共有が非常に難しく、アナログ的な手法であったわけですね。
6000t型ミサイル巡洋艦は、建造された場合、恐らく前甲板と後部甲板にスタンダードミサイル単装発射装置ないし連装発射装置を搭載することとなったか、高出力の防空レーダーを搭載し艦隊データリンクシステムでの戦闘を包括化する中枢艦となったのでしょう。場合によっては、テリアシステム等二種類の防空システム搭載の可能性もあったでしょう。
上部構造物は蒸気タービン推進方式を採用し、電装品についてはマック構造へ収める手堅い設計が採用されたのではないでしょうか。論拠として、アメリカ海軍ミサイル巡洋艦のターターシステム運用画挙げられます。複数のターターシステムを搭載する場合、前甲板には前方からの航空脅威へ、後部甲板のターターシステムは後方脅威へ備える配置を行う。
現在のガスタービン艦と異なり蒸気タービン艦は吸排気系統が大きすぎず、上部構造物そのものが火器管制装置旋回を阻害する事もない為、前方や後方から飽和攻撃を受けた場合は、船体を目標方向へ蛇行させることで後部イルミネータを斜め前へ指向させビームライディングを展開する事が可能となります。ただ、ここに問題が無かった訳でもありません。
ベルナップ級巡洋艦のような方式は、超長距離の目標索敵が可能となるのですが、海上自衛隊にはターターシステム搭載艦、アメリカ海軍のチャールズFアダムス級ミサイル駆逐艦のような量産された艦隊防空艦が普及しておらず、防空中枢艦を整備しただけでは連携する僚艦が存在しません。この一隻だけ有力であっても艦隊防空は成り立たないのですね。
3000t級ミサイル護衛艦2隻を建造した場合と比較しての優位性ですが、大型艦へ搭載可能である多目的レーダーは、交戦距離の延伸を意味します。交戦距離の延伸は、同じターターシステムであっても会敵距離を延伸する事で飽和攻撃が自艦隊へ到達するまでの猶予時間を延伸することに直結し、要するに3000t級ミサイル護衛艦以上の回数で迎撃できます。
同時迎撃を二回から三回に分け展開でき、その防空能力は3000t級ミサイル護衛艦2隻や3隻よりも遙かに高いものとなる事が期待できました。6000t型ミサイル護衛艦の建造中止は、しかし妥当性の方が高かったように思います。ターターDへの過渡期で評価が定まらない時期だったためです。また、相応に高価、各護衛隊群へ配備する事も難しかったでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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