■雪化粧の社殿と水の神
雪景色に雪化粧とこの冬にもう一度くらい愛でる事が出来るかと思っていましたものがこの暖冬で叶わぬかと思う今日この頃です。
貴船神社は水の神様高龗神、たかおかみのかみ、と読むのですが祀っています。この神様は古事記では淤加美神、おかみのかみ、と記されていましてしかし日本書紀には龗神、おかみのかみ、と記されています。京都では雨乞いの際に高龗神に祈った。
絵馬発祥の地、というのですがもともとは雨ごいの際に朝廷は高龗神にご神馬を献上していました、もちろん白馬や黒馬、なにしろ鞍馬という地名なのだから馬とは所縁深い。ただ、馬は長生きし雨乞いは毎年のように、すると野生の王国になってしまう。
高龗神に献じる馬は絵馬、として願う事に改められ、これが案外と評判となり願い事の際には絵馬を献上する文化が江戸時代に定着します。すると雨が降るご利益の高龗神さんなのか、といいますと、実はこの神様の出自がなんともかんがえさせられるもの。
南海トラフ地震と社殿再建の時期が重なる程度に歴史と関わる貴船神社ですが、その祭神高龗神は水の神様です。水の神様、といいましても単純な謂れではなく、どうしようもないほどの日本神話の非常事態に際し生まれ出でたという世界観がありまして。
軻遇突智、カグツチという読み方なのですけれどこの神様は国生みの神事で知られる伊邪那岐と伊邪那美命の子で火の神様でした、国生みの神事というのが大海に神々が天之瓊矛で突いた事により大八島という今の日本列島を生み出していったという神話で。
大八島が海から噴き出すように生まれるのは、これは西ノ島の火山噴火、いや最近では能登半島の隆起か、日本が火山性地形であることを示す、当時そんな科学的見識はなかったのでしょうが、日本の火山性弧状列島の形成過程と不思議に神話が重なるのです。
伊邪那美命は、国生みの神事の後に子を為しましてその一人が軻遇突智なのですが、こちらは火の神様といい、出産の際に高熱を発して結果は実母伊邪那美命に致命的なやけどを負わせてしまい、激怒した実父伊邪那岐に突き殺されてしまう悲劇の神話がある。
高龗神はこの突き殺された軻遇突智の血だまりから生まれた水の神様、というのですね。実際問題、国生みの神殺しとなった軻遇突智が示す通り、日本には最大規模の噴火を起こせば北半球を壊滅させかねない寒冷化を引き起こした巨大火山が幾つもあります。
イエローストーン火山噴火、世界最大の火山噴火を起こすアメリカの火山の50万年に一度の大噴火と同程度の火山噴火は日本には、洞爺湖、支笏湖、屈斜路湖、阿蘇山、阿多カルデラ、姶良カルデラ、鬼界カルデラ、火山が引き起こし、まさに軻遇突智の国だ。
トバ湖や、イエローストーンにも過去数百万年前まで遡りますと阿蘇山の最大規模の噴火、ASO-4を上回る噴火災害が発生し、この際には北米大陸が西海岸からカルパチア山脈のあたりまで火砕流と致命的な灰神楽を受けている故、日本だけが酷い訳ではないが。
国生みの神で実母を死に追いやってしまう神殺しの神ではあるのですが、そう、日本の火山性地形は時折とんでもない噴火を引き起こす、人類が知る巨大噴火は限られるも、それは不思議な謂れのように神話に内包されている、故に日本の神話は説話的という。
高龗神は、こうしたいわば日本の火山性地形を物語るような神話の神である軻遇突智より出でた水の神様、ということでして、これは災厄の先にも救いがあるという災害の中を生き抜いてきた人々の願望の様な神様を祀っている貴船神社、なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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雪景色に雪化粧とこの冬にもう一度くらい愛でる事が出来るかと思っていましたものがこの暖冬で叶わぬかと思う今日この頃です。
貴船神社は水の神様高龗神、たかおかみのかみ、と読むのですが祀っています。この神様は古事記では淤加美神、おかみのかみ、と記されていましてしかし日本書紀には龗神、おかみのかみ、と記されています。京都では雨乞いの際に高龗神に祈った。
絵馬発祥の地、というのですがもともとは雨ごいの際に朝廷は高龗神にご神馬を献上していました、もちろん白馬や黒馬、なにしろ鞍馬という地名なのだから馬とは所縁深い。ただ、馬は長生きし雨乞いは毎年のように、すると野生の王国になってしまう。
高龗神に献じる馬は絵馬、として願う事に改められ、これが案外と評判となり願い事の際には絵馬を献上する文化が江戸時代に定着します。すると雨が降るご利益の高龗神さんなのか、といいますと、実はこの神様の出自がなんともかんがえさせられるもの。
南海トラフ地震と社殿再建の時期が重なる程度に歴史と関わる貴船神社ですが、その祭神高龗神は水の神様です。水の神様、といいましても単純な謂れではなく、どうしようもないほどの日本神話の非常事態に際し生まれ出でたという世界観がありまして。
軻遇突智、カグツチという読み方なのですけれどこの神様は国生みの神事で知られる伊邪那岐と伊邪那美命の子で火の神様でした、国生みの神事というのが大海に神々が天之瓊矛で突いた事により大八島という今の日本列島を生み出していったという神話で。
大八島が海から噴き出すように生まれるのは、これは西ノ島の火山噴火、いや最近では能登半島の隆起か、日本が火山性地形であることを示す、当時そんな科学的見識はなかったのでしょうが、日本の火山性弧状列島の形成過程と不思議に神話が重なるのです。
伊邪那美命は、国生みの神事の後に子を為しましてその一人が軻遇突智なのですが、こちらは火の神様といい、出産の際に高熱を発して結果は実母伊邪那美命に致命的なやけどを負わせてしまい、激怒した実父伊邪那岐に突き殺されてしまう悲劇の神話がある。
高龗神はこの突き殺された軻遇突智の血だまりから生まれた水の神様、というのですね。実際問題、国生みの神殺しとなった軻遇突智が示す通り、日本には最大規模の噴火を起こせば北半球を壊滅させかねない寒冷化を引き起こした巨大火山が幾つもあります。
イエローストーン火山噴火、世界最大の火山噴火を起こすアメリカの火山の50万年に一度の大噴火と同程度の火山噴火は日本には、洞爺湖、支笏湖、屈斜路湖、阿蘇山、阿多カルデラ、姶良カルデラ、鬼界カルデラ、火山が引き起こし、まさに軻遇突智の国だ。
トバ湖や、イエローストーンにも過去数百万年前まで遡りますと阿蘇山の最大規模の噴火、ASO-4を上回る噴火災害が発生し、この際には北米大陸が西海岸からカルパチア山脈のあたりまで火砕流と致命的な灰神楽を受けている故、日本だけが酷い訳ではないが。
国生みの神で実母を死に追いやってしまう神殺しの神ではあるのですが、そう、日本の火山性地形は時折とんでもない噴火を引き起こす、人類が知る巨大噴火は限られるも、それは不思議な謂れのように神話に内包されている、故に日本の神話は説話的という。
高龗神は、こうしたいわば日本の火山性地形を物語るような神話の神である軻遇突智より出でた水の神様、ということでして、これは災厄の先にも救いがあるという災害の中を生き抜いてきた人々の願望の様な神様を祀っている貴船神社、なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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