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【G3X撮影速報】明野航空祭2019.伊勢に舞う令和元年航空学校創設記念行事(2019-11-03)

2019-11-17 20:02:28 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■XUH-2初公開とOH-6D退役
 令和元年明野航空祭、前回の前篇に続きまして本日はその後篇を紹介しましょう。今回の航空祭では陸上自衛隊ヘリコプター世代交代という歴史的瞬間も立ち会えました。

 第5対戦車ヘリコプター隊のAH-1S対戦車ヘリコプター、AH-1S対戦車ヘリコプターは1mに満たない胴体から射程3750mのTOW対戦車ミサイルと70mmロケット弾に20mm機関砲を駆使し、木々の狭間や稜線の薄空より敵戦車を一両二両毒牙に掛けるのが任務だ。

 UH-1J多用途ヘリコプター、UH-60JA多用途ヘリコプター、自衛隊は1999年よりUH-1J多用途ヘリコプターの調達をUH-60JA多用途ヘリコプターに切り替える構想でしたが、戦車は10億、後者は35億、高性能ながら取得費用が高過ぎ、結局並行調達に妥協しました。

 UH-60JA多用途ヘリコプター、取得費用が高くなった背景にはFLIRや気象レーダー等の救難ヘリコプターや特殊戦ヘリコプター並の器材を搭載した為です。しかし平成一杯に渡り東日本大震災含め災害活躍では日夜豪雨濃霧問わず大活躍、もっと数が必要だとおもう。

 OH-6D観測ヘリコプター、特別塗装機が飛行展示を行う。いやいや、流石はOH-6D観測ヘリコプター卒業式、卒業は年度末ですので卒業披露式か、軽快な運動性能を持つOH-6D観測ヘリコプターの威力全般を誇示した様子、OH-1観測ヘリコプターへと道を譲る事に。

 OH-1観測ヘリコプター、何と上空でOH-6D観測ヘリコプターとの引継式典を行う為に颯爽と飛来して参りました。このOH-1観測ヘリコプターはエンジン欠陥が判明し永らく飛行停止となっていましたが漸く四月から飛行再開に漕ぎ着けまして、航空祭参加久しぶり。

 三機編隊のOH-6D観測ヘリコプター、現代戦では防空火力の長射程化と広範普及により双眼鏡による特科火砲着弾観測は生存性に厳しい現実が突き付けられていまして、観測ヘリコプターとしての任務には、確かにOH-6D観測ヘリコプターでは厳しいのかもしれません。

 OH-6D観測ヘリコプターの軽快な運動性能、しかし、例えば特殊戦ヘリコプターとしては用途がありますし、観測任務以外に連絡任務や救急搬送任務であれば、OH-6,その原型であるMD-500小型ヘリコプターについても、まだまだ活躍できる幅は広い様にも思うのだが。

 UH-2新多用途ヘリコプター初公開式典、UH-1J多用途ヘリコプターの後継機としてベル412EPIを原型に開発されました。ベル412は富士重工でもライセンス生産されていますが、UH-1Jと比しエンジンを双発化し安定性を強化するとともにローターを四枚翅化している。

 ベル412EPIはベル412を更にグラスコックピットやエンジン系統を近代化したもので原型は2013年にカナダで初飛行しました比較的新しい機体です。開発は富士重工SUBARUにて実施されまして、今後の量産も富士重工SUBARUにて実施、約100機を導入予定だ。

 XUH-2という名称ですがこれは評価試験中の新型機である為で、来年度にはUH-2として飛行展示に参加する事ともなるのでしょう、OH-6D観測ヘリコプターという一機種が自衛隊を卒業しますが、UH-2多用途ヘリコプターが、自衛隊に新入隊するという構図ですね。

 XUH-2初公開式典、他の機体は滑走路上の飛行は駐屯地外柵沿いの道路から撮影しますと真正面から単縦陣で見える故に外から撮影する事も一瞬考えたのですが、こうした“式典”の特に“初公開式典”という厳粛な情景は、会場から撮り聞き眺めた方がよいでしょう。

 状況開始へ。明野航空祭2019は訓練展示へ展開しました。訓練展示は巨大水害により一部地域が孤立したという、今起きるかもしれない、そして今年も各所で発生した状況へ災害派遣展示として自衛隊の能力一端を示す展示となっています。孤立者が救助を求めている。

 第33普通科連隊の災害派遣部隊がUH-1J多用途ヘリコプターにより進出します。明野駐屯地は三重県伊勢市に所在しますが、第33普通科連隊は久居駐屯地、旧久居市で現在の津市に駐屯しています。近鉄電車ですぐ隣、という立地で航空祭に駆け付けた構図ですね。

 災害派遣展示では救助を求めていた被災者が骨折していたとの想定で、災害派遣に展開した第33普通科連隊により救出され、UH-60JA多用途ヘリコプターにホイスト救助されてゆきました。UH-60JA多用途ヘリコプターはエンジン出力に余裕があり、安定している。

 CH-47JA輸送ヘリコプターより災害派遣地上部隊が増派され、更なる孤立地域を探し情報収集へ前進する、というところで災害派遣展示は状況終了となりました。伊勢市の航空学校ですが今年は伊勢湾台風から60年、災害の脅威は全国民が油断なく備えねばなりません。

 明野レインボー飛行展示へ。AH-1S対戦車ヘリコプターとUH-60JA多用途ヘリコプターとTH-480練習ヘリコプターとが編隊を組んで飛来しました。明野レインボーは航空学校教官により毎年臨時編成される陸上自衛隊唯一のアクロバット飛行を行う飛行部隊です。

 TH-480練習ヘリコプター、意外な程に機動力を発揮します。練習ヘリコプターという事で必要最小限、自動操縦も精密航法も簡易機能のみという機体ですが、練習にはこれで充分とも。しかし良く聞けばその前に使っていたOH-6D観測ヘリコプターの方が良い、とも。

 航空学校祭ということもあり、流石はと視線を移せば会場は満員です。その向こうにはCH-47JA輸送ヘリコプターとCH-47J輸送ヘリコプターとが、地上滑走体験に備えて準備を進めています。満員の会場とヘリコプター、この構図こそ航空祭の象徴的情景でしょう。

 AH-1S対戦車ヘリコプターが機動飛行を始める。96機が取得されたAH-1S対戦車ヘリコプターは62機のAH-64D戦闘ヘリコプターに置換えられる計画でしたが、予算難により取得は13機で中断、更に事故で1機が墜落し、航空打撃力は現在危機的状況にあるのです。

 TH-480練習ヘリコプターの編隊飛行、AH-64D戦闘ヘリコプターの機数不足と老朽化で着々と減勢するAH-1S対戦車ヘリコプター、陸上自衛隊は対戦車ヘリコプターを中央に一括運用する事で定数割れではなく部隊を削減し、即応体制を維持する苦肉の策を取る、と。

 UH-60JA多用途ヘリコプターの機動飛行。このUH-60JA多用途ヘリコプターの災害派遣における目覚しい活躍をみますと、当面はAH-1S対戦車ヘリコプター後継にUH-60JAに対戦車ミサイルや機関砲を搭載するHH-60方式の派生型を配備しては、とも思いますね。

 明野レインボー飛行展示はこうして完了しました。拍手と共にTH-480練習ヘリコプターの編隊飛行の退場を見送ります。当方はPowershotG3Xと共にEOS-7Dを連結して撮影しているのですが、そろそろ体力の限界というところでした。私も撮影と共に拍手で送る。

 CH-47J輸送ヘリコプターの地上滑走展示、式典が終了しまして、友人共々駐屯地の中の展示を色々と見て回ってゆきました。CH-47J輸送ヘリコプター地上滑走展示は先着500名ということで整理券は入手できませんでしたが、前乗った際には良い経験ができたしたよ。

 XUH-2初公開とともにCH-47J輸送ヘリコプターの地上滑走展示を望見する。さて、2012年以来久々の、本当に久々の明野航空祭でした。混雑が凄い事にやはりという印象を持ちつつ、飛行展示の内容が一新されていた事が、航空祭を新鮮に楽しむ事が出来ましたね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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