■航空集団と数個の即応部隊
陸上自衛隊航空機調達のサイクルは破綻状態にある、前回はこう厳しく表現しました。今回はその処方箋の提案を示しましょう。
有事即応、とは全ての部隊がそうありたいものですが、無理に徹底しますと装備品を整備する時間がありません、重整備の最中に有事となった場合に、エンジンを取り外した車両や航空機では押して持って行くことしかできない。そこで応急出動という、部隊中で稼働体制にある装備と人員が休暇などで欠けていない要員を中心に出動する方式が基本です。
航空集団が必要だ、この視点について深刻な陸上自衛隊のヘリコプター不足、OH-1観測ヘリコプター調達中止とOH-6D観測ヘリコプターの全廃、AH-64D戦闘ヘリコプターの調達中止とAH-1S対戦車ヘリコプターの老朽化による激減、UH-1J多用途ヘリコプターの減勢と進まないUH-2多用途ヘリコプター調達、現状から中央包括管理の試案を示しました。
そして現在、北部方面隊、東北方面隊、東部方面隊、中部方面隊、西部方面隊と中央一括管理の運用が為されていますが、思い切った再編としてして、方面総監部は地域司令部としての重要な役割を担いつつ、方面航空部隊については中央ともう一つ程度、西日本と東日本に包括して航空即応部隊を置くという施策は有り得ないか、論点を進めてみましょう。
中央即応連隊や即応機動連隊、即応を冠した部隊は多々ありますが、具体的に考えれば、中央即応連隊や即応機動連隊は完全に即応できる部隊と訓練中の部隊に装備整備中や後期教育受け入れの部隊と、少なくとも四個程度の部隊を編成し、その中で毎年数ヶ月間の即応待機態勢をとることが望ましい。そこで提示している航空集団を中央に配置したならば。
SP-MAGTF-CR方式、結局困った際にはアメリカの方式を持ってくる舶来主義のようで少々恐縮ですが、アメリカ海兵隊には豊富な航空部隊を保有しつつ危機に対応する航空即応部隊という運用を実施しています。航空機総数は多くは無いのですけれども、危機管理が大規模紛争へ発展する前に素早くポテンシャルを行使する、この視点で有用と考えます。
総隊に航空集団があれば少なくとも部隊には即応可能な航空機だけを集められるでしょう。SP-MAGTF-CR海兵危機対応陸空特別任務隊、アメリカ海兵隊が北アフリカ地域や中東地域での自国民救出や在外公館緊急保護を目的に欧州NATOの同盟国へローテーション配置する即応部隊です。SP-MAGTF-CRという呼称はMEU海兵遠征群よりも長々としている。
SP-MAGTF-CRはMEUの様に多くなくSP-MAGTF-CR-AFの欧州とSP-MAGTF-CR-CCが中東にあるのみ。MV-22可動翼航空機の特性を最大限活かした編成、一個海兵中隊と通信部隊を6機のMV-22と2機のKC-130空中給油輸送機により機動展開させる、もしくは6機のMV-22とAV-8攻撃機を4機にEA-18電子戦機とKC-130空中給油輸送機より成る。
AV-8とEA-18,脅威度の高い地域へは護衛に攻撃機と電子戦機が随伴し、自国民保護などの低烈度紛争対処を主眼とする場合にはMV-22が中心という編成です。MV-22は普天間飛行場へも前方展開する可動翼機で、フェリー航続距離は3590kmに達します、160m程度短距離滑走が可能なヘリポートや道路があれば4.5tを搭載した場合でも1758km飛べます。
MV-22は巡航速度も大きく、空中給油により更に延伸する。武装などは外装式遠隔操作機銃システムなどが実験されていましたが、実用性に限界があったようで制式化には至っていません、純粋な輸送用航空機というもの。陸上自衛隊は17機のMV-22を取得中です。そこで、SP-MAGTF-CR方式は実は空挺団等の緊急展開任務を考えますと、模範解答に。
こういいますのも、MV-22の行動半径は、千葉の木更津に配置した場合でも佐賀の目達原へ配置した場合でも日本全土へ緊急展開が可能です。緊急即応に適した部隊として、習志野の第1空挺団、相浦の水陸機動団があります。空挺団には3個空挺大隊の計12個中隊、水陸機動団は編成過渡期ですが最終的に3個水陸機動連隊の計12個中隊が揃うのですね。
MV-22について、個人的見解として我が国専守防衛へ絶対に必要な航空機であるとは考えません、同じ予算があればCH-47JAを34機取得でき、これは九州に第二ヘリコプター団を新編できる規模です。しかし、MV-22は配備直前、周辺地域まで飛行できる性能上の強みを最大限活かす方法は、やらなければ納税者への責務を放棄したことになるでしょう。
KC-130であればC-130からの改造機が既に航空自衛隊へ配備が開始されています。もちろんこれが唯一の選択肢であるとは考えないのですが、例えば周辺有事、例えば邦人保護、原子力重要施設防護任務や中隊規模の部隊を集中投入することで対処できる災害対処などであれば、SP-MAGTF-CRの方式は日本にも応用できる部分があるのではないでしょうか。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
陸上自衛隊航空機調達のサイクルは破綻状態にある、前回はこう厳しく表現しました。今回はその処方箋の提案を示しましょう。
有事即応、とは全ての部隊がそうありたいものですが、無理に徹底しますと装備品を整備する時間がありません、重整備の最中に有事となった場合に、エンジンを取り外した車両や航空機では押して持って行くことしかできない。そこで応急出動という、部隊中で稼働体制にある装備と人員が休暇などで欠けていない要員を中心に出動する方式が基本です。
航空集団が必要だ、この視点について深刻な陸上自衛隊のヘリコプター不足、OH-1観測ヘリコプター調達中止とOH-6D観測ヘリコプターの全廃、AH-64D戦闘ヘリコプターの調達中止とAH-1S対戦車ヘリコプターの老朽化による激減、UH-1J多用途ヘリコプターの減勢と進まないUH-2多用途ヘリコプター調達、現状から中央包括管理の試案を示しました。
そして現在、北部方面隊、東北方面隊、東部方面隊、中部方面隊、西部方面隊と中央一括管理の運用が為されていますが、思い切った再編としてして、方面総監部は地域司令部としての重要な役割を担いつつ、方面航空部隊については中央ともう一つ程度、西日本と東日本に包括して航空即応部隊を置くという施策は有り得ないか、論点を進めてみましょう。
中央即応連隊や即応機動連隊、即応を冠した部隊は多々ありますが、具体的に考えれば、中央即応連隊や即応機動連隊は完全に即応できる部隊と訓練中の部隊に装備整備中や後期教育受け入れの部隊と、少なくとも四個程度の部隊を編成し、その中で毎年数ヶ月間の即応待機態勢をとることが望ましい。そこで提示している航空集団を中央に配置したならば。
SP-MAGTF-CR方式、結局困った際にはアメリカの方式を持ってくる舶来主義のようで少々恐縮ですが、アメリカ海兵隊には豊富な航空部隊を保有しつつ危機に対応する航空即応部隊という運用を実施しています。航空機総数は多くは無いのですけれども、危機管理が大規模紛争へ発展する前に素早くポテンシャルを行使する、この視点で有用と考えます。
総隊に航空集団があれば少なくとも部隊には即応可能な航空機だけを集められるでしょう。SP-MAGTF-CR海兵危機対応陸空特別任務隊、アメリカ海兵隊が北アフリカ地域や中東地域での自国民救出や在外公館緊急保護を目的に欧州NATOの同盟国へローテーション配置する即応部隊です。SP-MAGTF-CRという呼称はMEU海兵遠征群よりも長々としている。
SP-MAGTF-CRはMEUの様に多くなくSP-MAGTF-CR-AFの欧州とSP-MAGTF-CR-CCが中東にあるのみ。MV-22可動翼航空機の特性を最大限活かした編成、一個海兵中隊と通信部隊を6機のMV-22と2機のKC-130空中給油輸送機により機動展開させる、もしくは6機のMV-22とAV-8攻撃機を4機にEA-18電子戦機とKC-130空中給油輸送機より成る。
AV-8とEA-18,脅威度の高い地域へは護衛に攻撃機と電子戦機が随伴し、自国民保護などの低烈度紛争対処を主眼とする場合にはMV-22が中心という編成です。MV-22は普天間飛行場へも前方展開する可動翼機で、フェリー航続距離は3590kmに達します、160m程度短距離滑走が可能なヘリポートや道路があれば4.5tを搭載した場合でも1758km飛べます。
MV-22は巡航速度も大きく、空中給油により更に延伸する。武装などは外装式遠隔操作機銃システムなどが実験されていましたが、実用性に限界があったようで制式化には至っていません、純粋な輸送用航空機というもの。陸上自衛隊は17機のMV-22を取得中です。そこで、SP-MAGTF-CR方式は実は空挺団等の緊急展開任務を考えますと、模範解答に。
こういいますのも、MV-22の行動半径は、千葉の木更津に配置した場合でも佐賀の目達原へ配置した場合でも日本全土へ緊急展開が可能です。緊急即応に適した部隊として、習志野の第1空挺団、相浦の水陸機動団があります。空挺団には3個空挺大隊の計12個中隊、水陸機動団は編成過渡期ですが最終的に3個水陸機動連隊の計12個中隊が揃うのですね。
MV-22について、個人的見解として我が国専守防衛へ絶対に必要な航空機であるとは考えません、同じ予算があればCH-47JAを34機取得でき、これは九州に第二ヘリコプター団を新編できる規模です。しかし、MV-22は配備直前、周辺地域まで飛行できる性能上の強みを最大限活かす方法は、やらなければ納税者への責務を放棄したことになるでしょう。
KC-130であればC-130からの改造機が既に航空自衛隊へ配備が開始されています。もちろんこれが唯一の選択肢であるとは考えないのですが、例えば周辺有事、例えば邦人保護、原子力重要施設防護任務や中隊規模の部隊を集中投入することで対処できる災害対処などであれば、SP-MAGTF-CRの方式は日本にも応用できる部分があるのではないでしょうか。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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陸自だから陸地で戦うのであれば、島国の防衛は点での戦いしか出来ないです。
ここは警察の組織に水上警察がある用に、島国の陸軍として変わって欲しいです。
その為には、沿岸部を移動するために上陸舟艇や護衛のミサイル艇は持っていても良いような気がします。
話が脱線して、すみません。