■艦砲響き弾ける海面沸く太平洋
自衛艦隊砲雷撃戦用意、いよいよ自衛隊観艦式は訓練展示という日々の訓練の成果が世界へ展示されます。
はたかぜ、空包射撃の展示です。Mk.42-5インチ単装砲は海上自衛隊の一時代を築いた艦砲です。1950年にアメリカで開発され、マウント重量は67tと巨大ですが毎分40発という当時としては極めて早い射撃速度を有しており、射程は23.67kmと今日的にも優秀です。
くらま艦上から訓練展示を観閲官へ展示される為、実はこの日の潜水艦救難艦ちはや艦上というのは、くらま、と少し近い関係もありまして中々良好な撮影位置と思いました。もっとも観閲部隊と観閲付属部隊は速力が違う為、こちらを追い抜いて行くのですけれども。
こんごう、観閲艦くらま、とともに訓練展示を観閲します。こんごう型はヘリコプター格納庫を有さない為に竣工当時には少し上部構造物の均衡が不思議な印象を受けたものですが、観艦式ともなりますと広い後部甲板では多くの乗艦者が並べる良い風情という印象だ。
さわかぜ護衛艦隊直轄艦。Mk.42-5インチ単装砲の空包射撃です。護衛艦隊旗艦は、護衛艦あきづき、護衛艦むらくも、護衛艦たちかぜ、そして四代目が本艦ですが、護衛艦隊司令官が指揮を執るには余りに手狭で、観艦式の指揮くらいにしか使えないと揶揄されたり。
観艦式は国威発揚の場なのですから、もう少し重視されても良いのかな、と思いつつ、また広大な施設はそのまま実任務と共に練習艦用途としても広かったのではないのか、と考えるのですけれども、機関部などで時代の流れがあるといわれれば、説得力もありますね。
こんごう、はたかぜ。海上自衛隊の艦隊防空艦世代交代を象徴する二隻です。はたかぜ搭載防空システムはターターDシステム、しかし飽和攻撃へのシステム拡張性に限界があり、開発されたイージスシステムを搭載した最初の護衛艦がこの護衛艦こんごう、この艦です。
Mk.42-5インチ単装砲とMk.13ミサイル発射装置の並びが。今日では驚かされるのですが海上自衛隊が最初に艦対空ミサイルを採用したのは護衛艦あまつかぜ、当時のRIM-24ターター隊区ミサイルは射程が18kmでしかなく、実は艦砲よりもミサイルが短射程でした。
ターターシステム、海上自衛隊に導入されたターターシステムはアナログ電子計算機により目標を標定し誘導する草創期のシステムでしたが、アメリカ海軍のデジタル化趨勢を見越し、海上自衛隊は護衛艦あまつかぜ搭載システムを熱心に近代化し、デジタル型とする。
ターターDシステムのDはデジタルを意味し、これにより汎用ICの物理的再接続からプログラミング書き換えによる拡張へ、今日的にはある種当然の利点ですが、1950年代にこの有用性に着眼したのが海上自衛隊です。しかし、艦砲かミサイルかの議論はあったという。
艦砲。海上自衛隊では伝統的にこの艦砲を重視してきました、驚く事に初期のターターシステムによるターターミサイルは射程が18kmであったため、艦砲の方が射程が長かったという事情もあります。そしてこの艦砲は有人で、そして空包も射撃でき、観艦式むき。
さわかぜ艦砲空包射撃。海上自衛隊は5インチ砲としてイタリアOTOメララ社製54口径コンパット砲とアメリカ製Mk 45-Mod4-5インチ砲を使用しています。しかし、空包はMk.42-5インチ単装砲でしか射撃できず、実はMk.42-5インチ単装砲だけの貴重な情景だ。
あぶくま、その向こうに護衛艦さわかぜ。Mk.42-5インチ単装砲の空包射撃、実は撮影次第では美しい発砲焔が映るのですが、Mk.42-5インチ単装砲の空包射撃の機会自体が、観艦式かDDH等が参加する展示訓練のみ、若干Mk.42-5インチ単装砲とは縁が薄いもよう。
Mk.42-5インチ単装砲が巻き起こす硝煙、しかし実弾の迫力は物凄く、70mちかい水柱が巻き上がるという。70mといえば東寺の五重塔よりも高く、そんな水柱が一門当たり毎分40本林立するのですから、Mk.42-5インチ単装砲の威力というのは凄いものなのですね。
艦砲、Mk.42-5インチ単装砲は興味深い事に内部に二基のドラム式自動装填装置があり、これは昔の連装砲設計の名残りとも。しかし二系統を内蔵する事で信頼性を高めており、高さを抑えられるのか昔見た75式自走榴弾砲の自動装填装置とよく似た印象を受けました。
相模湾に盛り上がる水柱、遂にMk.42-5インチ単装砲が実弾射撃を開始か、と思われるかもしれませんが、そうではありません。しかし自衛隊観艦式では実弾を用いた展示も行われまして71式ボフォースロケットランチャーの実弾射撃が、いよいよはじまりました。
ゆうばり、ゆうべつボフォース対潜ロケット射撃。海上自衛隊では対潜戦闘を重視し数多くの各種対潜装備を護衛艦や航空機へ配備してまいりました。海上自衛隊では、護衛艦たかつき型、みねぐも型、やまぐも型にも搭載しましたが除籍がすすみ観艦式では最後に。
71式ボフォースロケットランチャーとして海上自衛隊へ配備されています本装備はM-50/375mm対潜ロケットとしてスウェーデンにて1956年に開発されました、ロケットは230kgありソナーが発見した敵潜水艦の直上まで3.6kmの射程をもって爆雷を投射する。
たかつき型から配備された装備、実は個人的に初めて体験航海の機会がありましたのが、たかつき型二番艦きくづき、ということでなじみある装備の一つなのですが、意外と優秀で四連装発射装置には直下に48発の弾薬庫がありまして、自動装填により再装填が可能だ。
ボフォースは、魚雷をロケットにより投射するアスロックSUNよりは構造重量も抑えられており、小型艦向けとなっていまして、コルベットなどの小型艦用に連装式のさらに小型のものもあるという。もちろん射程や威力では爆雷故に、魚雷の命中程ではありませんが。
ボフォースロケット。観艦式において眺めるには良い装備でした、EOS-7D発表前の当時、発砲炎などを撮影するのはなかなか難易度が高かったのですが、ボフォースはゆっくりと投射されるため、安価なカメラでも迫力の情景を撮影できたのですね。そして用途も広い。
小型艦は日本が必要とする外洋作戦に限界がある、という視点は良く聞きまして説得力もあるのですけれども、近年は中国海軍によるコルベットによる外国漁船等への嫌がらせ的な砲艦外交が行われている所を見ますと、グレーゾーン事態にはこの限りでないとおもう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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自衛艦隊砲雷撃戦用意、いよいよ自衛隊観艦式は訓練展示という日々の訓練の成果が世界へ展示されます。
はたかぜ、空包射撃の展示です。Mk.42-5インチ単装砲は海上自衛隊の一時代を築いた艦砲です。1950年にアメリカで開発され、マウント重量は67tと巨大ですが毎分40発という当時としては極めて早い射撃速度を有しており、射程は23.67kmと今日的にも優秀です。
くらま艦上から訓練展示を観閲官へ展示される為、実はこの日の潜水艦救難艦ちはや艦上というのは、くらま、と少し近い関係もありまして中々良好な撮影位置と思いました。もっとも観閲部隊と観閲付属部隊は速力が違う為、こちらを追い抜いて行くのですけれども。
こんごう、観閲艦くらま、とともに訓練展示を観閲します。こんごう型はヘリコプター格納庫を有さない為に竣工当時には少し上部構造物の均衡が不思議な印象を受けたものですが、観艦式ともなりますと広い後部甲板では多くの乗艦者が並べる良い風情という印象だ。
さわかぜ護衛艦隊直轄艦。Mk.42-5インチ単装砲の空包射撃です。護衛艦隊旗艦は、護衛艦あきづき、護衛艦むらくも、護衛艦たちかぜ、そして四代目が本艦ですが、護衛艦隊司令官が指揮を執るには余りに手狭で、観艦式の指揮くらいにしか使えないと揶揄されたり。
観艦式は国威発揚の場なのですから、もう少し重視されても良いのかな、と思いつつ、また広大な施設はそのまま実任務と共に練習艦用途としても広かったのではないのか、と考えるのですけれども、機関部などで時代の流れがあるといわれれば、説得力もありますね。
こんごう、はたかぜ。海上自衛隊の艦隊防空艦世代交代を象徴する二隻です。はたかぜ搭載防空システムはターターDシステム、しかし飽和攻撃へのシステム拡張性に限界があり、開発されたイージスシステムを搭載した最初の護衛艦がこの護衛艦こんごう、この艦です。
Mk.42-5インチ単装砲とMk.13ミサイル発射装置の並びが。今日では驚かされるのですが海上自衛隊が最初に艦対空ミサイルを採用したのは護衛艦あまつかぜ、当時のRIM-24ターター隊区ミサイルは射程が18kmでしかなく、実は艦砲よりもミサイルが短射程でした。
ターターシステム、海上自衛隊に導入されたターターシステムはアナログ電子計算機により目標を標定し誘導する草創期のシステムでしたが、アメリカ海軍のデジタル化趨勢を見越し、海上自衛隊は護衛艦あまつかぜ搭載システムを熱心に近代化し、デジタル型とする。
ターターDシステムのDはデジタルを意味し、これにより汎用ICの物理的再接続からプログラミング書き換えによる拡張へ、今日的にはある種当然の利点ですが、1950年代にこの有用性に着眼したのが海上自衛隊です。しかし、艦砲かミサイルかの議論はあったという。
艦砲。海上自衛隊では伝統的にこの艦砲を重視してきました、驚く事に初期のターターシステムによるターターミサイルは射程が18kmであったため、艦砲の方が射程が長かったという事情もあります。そしてこの艦砲は有人で、そして空包も射撃でき、観艦式むき。
さわかぜ艦砲空包射撃。海上自衛隊は5インチ砲としてイタリアOTOメララ社製54口径コンパット砲とアメリカ製Mk 45-Mod4-5インチ砲を使用しています。しかし、空包はMk.42-5インチ単装砲でしか射撃できず、実はMk.42-5インチ単装砲だけの貴重な情景だ。
あぶくま、その向こうに護衛艦さわかぜ。Mk.42-5インチ単装砲の空包射撃、実は撮影次第では美しい発砲焔が映るのですが、Mk.42-5インチ単装砲の空包射撃の機会自体が、観艦式かDDH等が参加する展示訓練のみ、若干Mk.42-5インチ単装砲とは縁が薄いもよう。
Mk.42-5インチ単装砲が巻き起こす硝煙、しかし実弾の迫力は物凄く、70mちかい水柱が巻き上がるという。70mといえば東寺の五重塔よりも高く、そんな水柱が一門当たり毎分40本林立するのですから、Mk.42-5インチ単装砲の威力というのは凄いものなのですね。
艦砲、Mk.42-5インチ単装砲は興味深い事に内部に二基のドラム式自動装填装置があり、これは昔の連装砲設計の名残りとも。しかし二系統を内蔵する事で信頼性を高めており、高さを抑えられるのか昔見た75式自走榴弾砲の自動装填装置とよく似た印象を受けました。
相模湾に盛り上がる水柱、遂にMk.42-5インチ単装砲が実弾射撃を開始か、と思われるかもしれませんが、そうではありません。しかし自衛隊観艦式では実弾を用いた展示も行われまして71式ボフォースロケットランチャーの実弾射撃が、いよいよはじまりました。
ゆうばり、ゆうべつボフォース対潜ロケット射撃。海上自衛隊では対潜戦闘を重視し数多くの各種対潜装備を護衛艦や航空機へ配備してまいりました。海上自衛隊では、護衛艦たかつき型、みねぐも型、やまぐも型にも搭載しましたが除籍がすすみ観艦式では最後に。
71式ボフォースロケットランチャーとして海上自衛隊へ配備されています本装備はM-50/375mm対潜ロケットとしてスウェーデンにて1956年に開発されました、ロケットは230kgありソナーが発見した敵潜水艦の直上まで3.6kmの射程をもって爆雷を投射する。
たかつき型から配備された装備、実は個人的に初めて体験航海の機会がありましたのが、たかつき型二番艦きくづき、ということでなじみある装備の一つなのですが、意外と優秀で四連装発射装置には直下に48発の弾薬庫がありまして、自動装填により再装填が可能だ。
ボフォースは、魚雷をロケットにより投射するアスロックSUNよりは構造重量も抑えられており、小型艦向けとなっていまして、コルベットなどの小型艦用に連装式のさらに小型のものもあるという。もちろん射程や威力では爆雷故に、魚雷の命中程ではありませんが。
ボフォースロケット。観艦式において眺めるには良い装備でした、EOS-7D発表前の当時、発砲炎などを撮影するのはなかなか難易度が高かったのですが、ボフォースはゆっくりと投射されるため、安価なカメラでも迫力の情景を撮影できたのですね。そして用途も広い。
小型艦は日本が必要とする外洋作戦に限界がある、という視点は良く聞きまして説得力もあるのですけれども、近年は中国海軍によるコルベットによる外国漁船等への嫌がらせ的な砲艦外交が行われている所を見ますと、グレーゾーン事態にはこの限りでないとおもう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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