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【土曜詳報】キャンプ富士日米友好祭二〇一六(7)海兵隊AAV-7両用強襲車(2016-05-07)

2020-11-07 20:08:17 | 在日米軍
■AAV-7は大きかった
 AAV-7両用強襲車はアメリカ海兵隊が誇る水陸両用作戦用の装甲車両です。自衛隊も採用しましたが、まさにフネという印象の大きさ。

 AAV-7の全景、原型のLTVP-7が1972年の開発です、何度も後継の開発が模索され、そして実は1980年代にも計画されていました。驚くべき点はその構想が車体足まわりにホバークラフトのようなエアクッションを収納式で搭載し22ノット程度で滑走するというもの。

 LAV-AT自走対戦車ミサイル。大きさを対比するかのようにLAV-25の対戦車ミサイル搭載型が置かれています、一応砲塔を持たない原型のピラニアⅠは11名乗せられるのですが、AAV-7は25名乗り、同じ水に浮く車両ですが渡河用と沖合用でここまで大きさはちがう。

 LAV-ATとAAV-7、LVTP-5という前型がありましてこれは全長9m以上という水陸両用車というよりも上陸用舟艇が陸に上がるような巨大、最大45名までの海兵を運べたのですが、水上速度が10km/hしかなく、甲は更に薄い、燃料タンクは床下にあり地雷に致命的に弱い。

 AAV-7を少し離れた場所から。2000年代に30mm機関砲塔を搭載したEFV海兵遠征車両が開発されました、2700hpという常識はずれのエンジンを搭載し海上を46km/hで120kmも滑走し沿岸に敵をみたらば4km先から正確に30mm機関砲で制圧する、それがEFVだ。

 LAV-ATのBGM-71ミサイル発射装置、BGM-71は1968年に開発された有線誘導式の対戦車ミサイルです。そんなに古いのか、とおもわれるかもしれませんが、発射装置の筒と三脚の設計以外は絶え間ない改良が続いていまして、改良を重ねる点がAAV-7とにている。

 TOWミサイルは連装式。要するにTOWもAAV-7も1970年代のものなのですが、TOWは赤外線半指令誘導の第二世代対戦車ミサイルではあるものの、射程は開発当時3750mで現代も通じ、命中まで誘導は必要ですが改良弾頭は戦車上部を狙い、要するに充分という。

 AAV-7の車内、前述のEFVですが無理に2700hpという10式戦車の倍もあるエンジンを搭載したことで兵員室が無くなり、全長10.5mの巨体ながら海兵は車体中央のエンジンと外郭装甲の左右隙間の通路に17名、押し込んで座らせていました、1両4200万ドルです。

 AAV-7の操縦席。今更AAV-7を買うのか、平成26年度防衛予算に盛り込まれた当時は一部識者に批判されまして、試験用6両と部隊用52両、当方もAAV-7を調達するくらいならばLAV-25を200両ほどライセンス生産したほうが、とも思ったものではあるのですが。

 AAV-7のUGWS砲塔内部。AAV-7は小型砲塔を有していまして、12.7mm重機関銃と40mm擲弾銃、それに暗視装置を備えた火器管制装置を有していまして2000mまでの制圧射撃や対装甲戦闘は可能。自衛隊が選んだのは、日米訓練互換性考えればこれしかなかった、と。

 AAV-7ハッチからみた砲塔。しかし米軍でもAAV-7の火力不足は課題の一つといいまして、このため開発されていたのがEFVでした、速力も火力も防御力も大きいのですが、それ以上に1両4200万ドルという、自衛隊のCH-47輸送ヘリコプター並の高さは異常といえた。

 AAV-7を後方より。EFVはゲーツ国防長官時代に流石にここまでの高費用はナンセンスであるとして開発中止となります。ただ、そうこうしているうちに中国が1100hpエンジンを搭載し30km/hで海上を走る05式水陸両用戦闘車を開発し、配備することとなってゆく。

 AAV-7の車体側面と増加装甲用突起。AAV-7を延命と改良するとともに装輪式のイタリア製イヴェコスーパーAVなどを開発していますが、装輪式では珊瑚礁などを乗り越えられない懸念があり、このために今度は日本との後継車両共同開発計画などが模索されています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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