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ウクライナ情勢-航空戦力阻むウクライナの天候とヘルソン州でのドニエプル川渡河作戦,クラスノポールM2

2023-11-22 07:00:41 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 天候はいつの時代も軍事行動を左右してきたものですが。逆にこの状況は日本としては天候の厳しい状況では有事は生じないという油断がある様で。

 ウクライナの天候が戦況に影響を及ぼしている、ISWアメリカ戦争研究所は11月13日付戦況報告において秋季の泥濘期による概況を報告しました。ただ、天候による影響は存在するものの共に軍事行動全般を停止させる水準ではない、ともしています。第二次大戦の戦訓で当地での悪天候は未舗装道路を車両通行不能な水準まで泥濘化させる。

 ドンバス地域の悪天候は、第一に地上作戦における前進速度を妨げている、第二に雨天と合わせて発生する霧により航空偵察や無人機運用を阻害し攻撃回数を下げている、第三に補給路を通行不能とさせている、としています。ウクライナ軍報道官フィティヨ中佐は現在ウクライナ軍はGLOC地上連絡線への攪乱を戦闘の重点としているとのこと。
■ドニエプル川渡河作戦
 クリミア半島奪還を示唆する事でロシア軍に分散を強要しているところですが渡河作戦に両用戦部隊をウクライナが活用していまして日本の場合は海峡を超える程度は陸上自衛隊だけで対応すべきなのか。

 ヘルソン州でのドニエプル川渡河作戦は限定的ながらウクライナ軍が前進を継続している、ISWアメリカ戦争研究所11月12日付報告がその概況をまとめています。既にウクライナ軍はヘルソン市南西10㎞の地域にあるビルフルドニー島に橋頭保を確保し、その北東地域まで渡河部隊を前進していますが、ほかの地域でも渡河し橋頭保をかためる。

 ドニエプル川渡河部隊のもう一つの渡河点はヘルソン市の北東30㎞地域にあるクリンキーで、ここはドニエプル川東岸からも2㎞ほど前進しており、前進速度は速くはないものの着実に進んでいるとしています。前進がさらに進むならば、ロシア軍のクリミアと南部占領地域を結ぶ補給路が、ウクライナ野砲部隊により遮断できる可能性が出てきます。
■クラスノポールM2
 ウクライナ軍は供与のエクスカリバーGPS誘導砲弾を活用しているところですが。

 ロシア国防省はクラスノポールM2レーザー誘導砲弾の増産を進めています。クラスノポール誘導砲弾はアメリカ軍のカパーヘッドレーザー誘導砲弾と同じ野砲用の精密誘導砲弾で口径は152mm、ウクライナでの運用実績も重ねられています。ロシア軍はレーザー照射の手段として地上に加え、無人機からの誘導を強化していますが問題も。

 クラスノポールM2は従来型砲弾と比較しレーザー照射時間を短縮化しているとされ、これはウクライナでの悪天候に際して低層雲などがレーザー照射を妨害し命中しない事例を多発させているとのこと。クラスノポール誘導砲弾は弾薬製造が限界を超えているロシア軍にとり命中精度で数を補う手段となっており、量産は戦況を左右する要素です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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