北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

原子力空母ジョージワシントン、本格的戦闘訓練に向け本日横須賀を出航

2009-06-10 23:41:12 | 在日米軍

◆数ヶ月間の訓練航海へ出発

 報道などによれば、本日1000時過ぎ、原子力空母ジョージワシントンが長期間の訓練に向けて横須賀基地を出航したとのことだ。

Img_7156  2008年9月に横須賀に前方展開した空母ジョージワシントンは、横須賀海軍施設への前方展開後、初めてとなる本格的な長期間にわたる戦闘訓練のために横須賀を出航。ラウスマン艦長によれば、空母は横須賀でのメンテナンスを完了し、100%の能力を発揮できる状態にある、とのことだ。

Img_8158  なお、今回、ジョージワシントンは、厚木航空基地に展開させている第5空母航空団を空母に収容したまま横須賀に寄港していたようで、ジョージワシントンの飛行甲板には、艦内格納庫に収まらりきらない艦載機多数が係留されていた。こうした光景はなかなか見ることが出来ないため、報道を見て、少し驚いた次第。

Img_8775  通常、空母艦載機は、広大な洋上に浮かぶ200㍍少々の着艦甲板に戦闘機を下ろし、海に落ちる前に強制的に停止する必要があり、この着艦技術の維持を目的とした陸上空母発着訓練の実施のため、空母が母港(正確には事実上の母港)に入港する場合、洋上で発進させ、陸上基地に展開させる、従って、今回、横須賀では稀有な光景を見ることが出来た模様。

Img_7071  なお、ジョージワシントンは、これまでのメンテナンスの際に原子炉周辺にて低レベル放射性廃棄物が確認され、横須賀から米本国に搬出されたと発表されている。今回の戦闘訓練は、ジョージワシントンの航海は、数ヶ月間にわたるものとされ、この期間、各種訓練に加え海上自衛隊との協同訓練も行う。

Img_2030  今後数ヶ月間は、横須賀に、米海軍の原子力空母の姿が見れなくなるのだが、同時に恒常的に実施される長期間の戦闘訓練と実任務、これに対し、空母乗り組みは米海軍でも屈指の激務とされるが、米空母では人的次元での継戦能力、つまり乗員のモチベーションやモラールの確保がどのように行われているかについて、興味が湧く。

HARUNA

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いままで通りF-22の導入を望む 浜田防衛大臣記者会見[6月9日]

2009-06-09 22:17:39 | 防衛・安全保障

◆次期戦闘機(F-X)選定

 F-22の取得を望む日本に対し、アメリカ側から提示されたのはF-35,F-35の計画はまだ完了には遠い道筋があるものの、それまでF-4を運用しなくてはならないのかが気にかかるところであるが、本日、浜田防衛大臣は記者会見にて、やはりF-22の取得を望む声明を出した。

Img_9347  防衛省HPの2009年6月9日防衛大臣記者会見の内容は、北朝鮮に関する臨検について、そしてF-22の次期戦闘機として導入に関する内容、敵基地攻撃能力について議論には慎重を要する内容、などである。ここに一部を引用する。↓

 記者:ペンタゴンのモレル報道官が、日本に対してF-35をゲイツ国防長官が有力候補として推奨しているということをしゃべっていますけれども、・・・。

Img_6653  浜田大臣:それは今まで通り、F-Xの調査対象機種の中でのF-22の可能性であり、それがだめならば、F-35に限らず、他のものも選択肢に入れながら考えていかなければならないと思っています。現実にF-35に対する情報については、まだ出来上がった航空機がないので、そういった意味では検討の材料がない。F-22がだめだったら、そういった多機種色々なことを選択肢の中に入れながらやっていくことになると思いますけれども、基本は我々としては、まだF-22を引き続き選択肢として追求していきたいというふうに思っております。[引用ここまで][全文http://www.mod.go.jp/]

Img_9902_1  この記者会見について考察をすると、少数の航空機で防空を担うにはF-22が必要、という日本の切実な国情が透けて見える。航空自衛隊としては、決められた数少ない戦闘機定数の中で、島嶼部を含めれば北米大陸東海岸や中国沿岸よりもはるかに広大な日本列島の防空を担わなければならないという厳しい現状があり、他方で、これまで、周辺諸国と比較し、比較的世代の新しい戦闘機を運用することで、数的劣勢を補ってきた、という背景があり、次期戦闘機選定に際しては、他の候補機よりも世代が新しく、かつ多機能性よりも要撃機としての性能の高さが選定の背景にあることを示している。

Img_2098  ここで気づかされるのは、日米間の意思疎通における欠缺だ。なぜ、少数機での防空にこだわるのか。日本側としては、周辺国への脅威を与えないという配慮(もちろんこれだけではないが)から戦闘機定数は防衛大綱に上限が示されている。この防衛大綱に定められた機数上限に触れない範囲内で、最大限の抑止力を確保したい、という思惑がありF-4の後継機にF-22を必要としているのだが、米国側としては、F-22は機密保護の観点から輸出出来ないのであり、周辺国への配慮が機数に起因するという認識は無いのだろう。周辺国の新世代機の増加が問題ならば、日本も周辺国の新世代機と同世代の機体を増加させれば抑止力は維持できるのではないか、ということだ。

Img_5721  策源地攻撃能力、記者会見においては敵基地攻撃能力について触れられており、その手段について具体的に踏み込んだものではないのだが、慎重にあるべき、と間接的に触れられていた。さて、政府に助言した識者は、だいたい想像がつくのだが、トマホークミサイルの護衛艦への搭載により、策源地攻撃能力を付与させるという案が提示されている。トマホークは射程3000km、高性能なミサイルであり、弾道ミサイルなどの関連施設を外科手術的に取り除くには理想的な装備といえる。

Img_07502  海面すれすれを飛翔し、地形を縫うように飛行、命中するトマホークは、米海軍により水上戦闘艦から発射、戦闘開始を象徴する映像として垂直発射器より飛翔するトマホークはメディアに流され、様々な任務に投入、高い成果を上げているが、射程が長い一方で、亜音速で飛行することから、命中までは一時間程度を要し、開発施設や工場に対しては高い効果が期待できる一方で、日本に脅威を及ぼしている弾道ミサイル“ノドン”や“スカッド”の移動発射機に対しては、最新の情報をリアルタイムに入手し射撃したとしても、ミサイルが正確に命中した時には既に移動後となる可能性も高い。

Img_0095  策源地攻撃の手段として必要となるのは、ミサイルだけではなく、やはり肉眼で目標を発見し、即座に打撃を加え無力化することが出来る航空機とその支援能力ではないかといえるのだが、ここで思うのは、年末の防衛大綱改訂に戦闘機定数の上限を思い切って95年防衛大綱のラインまで引き上げ、その上で、対地攻撃能力を有する多用途戦闘機をライセンス生産した方が、日本の防衛力全体に資する点は大きいのではないか、と考える。

Img_8201  F-22を40機導入するコストで、他の機体であればどの程度導入できるか、F-22の場合、ライセンス生産が認められないという前提は当然国内での整備能力、同時に稼働率に大きく響く。数を質で補うことは従来、航空戦では不可能と考えられてきたが、データリンクによる共同交戦能力という概念が情報RMAにより確立した今日、個々の機体性能が全般の作戦能力に及ぼす影響は低下しつつある。

Img_9332  現状の飛行隊定数では、確かにSu-27などの比較的世代の新しい航空機を周辺国が多数配備している今日にあっては、数の上から有事の際には航空優勢の確保に課題が生じることは確かである。他方で、飛行隊定数を上方修正し、加えてデータリンク能力の強化、航空機の近代化改修の頻度を高めることにより、航空自衛隊の能力全般として、必要とされる任務を完遂することは可能なのではないだろうか。

Img_0185_1  同時に忘れてはならないのは、現在開発が難航しているC-1輸送機後継機、次期輸送機C-X,そして遠くない将来にはT-4練習機の用途廃止と代替機導入という課題が生じ、F-X選定を遅らせることは、それだけ、その他の航空機の調達時期と重なる可能性を示している。年間の防衛予算は上限がある為、様々な航空自衛隊向け航空機が予算の争奪戦を繰り広げ、結果、生産数縮小やそれに伴う単価高騰につながりかねない。

 年末の防衛大綱改訂、そこに冷戦終結後一貫して削減されてきた戦闘機定数を冷戦終結直後のラインへ上方修正し、飛行隊定数を増加させることで抑止力を維持する、その機体は多機能性能を重視する、というような視点もあってしかるべきなのではなかろうか。

HARUNA

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海上自衛隊呉基地(JMSDF KURE NAVAL BASE) 水上艦艇探訪記

2009-06-08 19:30:21 | 海上自衛隊 催事

◆ひえい等多数の艦艇が停泊

 本日から数回に分けて、5月に散策した際撮影した海上自衛隊呉基地について掲載したい。今回は、主に水上戦闘艦を特集、続いて潜水艦などを特集し、そうりゅう型潜水艦についても掲載の予定。

Img_289  呉基地といえば、ひえい。満載排水量6800㌧、はるな型二番艦で、第4護衛隊群旗艦のヘリコプター搭載護衛艦ひえい、が有名だが、同時に潜水艦部隊や輸送艦部隊などの母港であり、海上自衛隊幹部候補生学校が置かれた江田島や練習艦隊が置かれるなど、海上自衛隊教育の中枢でもある基地だ。

Img_8520 呉基地は広大である。今回の呉基地特集は、呉遊覧船から撮影した情景と、幸地区桟橋を地方総監部前バス停から貿易倉庫前バス停まで、散策した際に撮影した情景の写真を併せてお伝えしたい。古くからの海軍基地であるので、写真の角度は限られているが、派手な水上戦闘艦ばかりで評価されがちな海上防衛力、しかし、各種支援艦艇を充実させていることで、有する能力の底上げに資しており、わが国の防衛力の一端を垣間見ることが出来る。

Img_2646  呉の沖合に二隻の輸送艦。呉基地の第1輸送隊に所属する、おおすみ型輸送艦が二隻、停泊している。第1輸送隊は、護衛艦隊直轄の輸送艦部隊で、おおすみ型輸送艦3隻から編成されている。地方隊の小型輸送艦を除けば、海上自衛隊唯一の輸送艦部隊であり、日本の貴重なパワープロジェクション能力という位置づけにある。

Img_2664  おおすみ型は、満載排水量14000㌧、全長178㍍。全通飛行甲板を有し、ヘリコプターによる空中機動により揚陸輸送任務を展開出来るほか、ホバークラフト方式の揚陸艇LCACを船内に二隻搭載することができ、海空一体の任務遂行が可能。90式戦車10両と装甲車や支援車両など、そして330名の隊員を展開させられ、短期的にはさらに多くの人員を輸送可能である。

Img_2530  掃海管制艇おぎしま。にいじま型掃海管制艇の一隻で、自航式掃海具SAMの母船として、はつしま型掃海艇を改造したもの。満載排水量510㌧、全長55㍍。乗員は28名と従来の掃海艇よりもやや少ない。SAM2隻をデファンシャルGPSにより位置を確認、リモコン及びプロッターにより管制する。

Img_2705  SAMは、重量26㌧、1997年から導入されたスウェーデン製掃海機具。構造は双胴型形状を採用している。母船と横づけで展開、掃海時は、無線誘導を受け、8ノットの速力にて磁気・音響複合掃海を行う。掃海管制艇ともども掃海隊群第101掃海隊に所属している。ちなみに、SAMとはSelf Propelled Acoustic and Magneticの略。

Img_8325  補給艦とわだ。護衛艦隊第1海上補給隊の補給艦で、とわだ型のネームシップ。満載排水量12100㌧、燃料などの液体貨物、食糧や弾薬、機械部品などのドライカーゴを護衛艦や潜水艦などの補給するもので、1隻が護衛隊群8隻への支援能力を有するとされる。奥に見えるのは、掃海艇いずしま。

Img_8344  護衛艦せとゆき。護衛艦隊第12護衛隊に所属する護衛艦で呉が母港。満載排水量4200㌧、対空対潜対水上にバランスがとれた武装を有し、哨戒ヘリコプターの運用能力、そしてガスタービン推進を採用した量産型汎用護衛艦で、12隻が建造され、海上自衛隊の能力全般を大きく飛躍させた。

Img_8347  護衛艦やまゆき。同じく、はつゆき型護衛艦で、その向こうには、おおすみ型輸送艦がみえる。ズームした写真ばかりだが、これは、呉の遊覧船が開放型ではなく、キャビン型であることに起因しており、キャビンの窓が海水により汚れており、広角ではどうしても海水が乾いた斑点がついてしまうためだ。

Img_8393  輸送艦ゆら。満載排水量710㌧、自衛艦では最小の大きさである。呉地方隊直轄艦で、50㌧の貨物を搭載可能、73式中型トラック4台を搭載することが出来る。70名の要員を輸送することができ、居住区は設けられていないが仮眠などがとれる待機室がある。小型のためCICなどは無く、指揮は艦橋で行う。

Img_8441  音響測定艦ひびき、護衛艦まつゆき、敷設艦むろと。敷設艦むろと、は満載排水量6000㌧、海底固定ソナーやケーブルなどを敷設する任務を有する。なお、竣工は1980年、老朽化が指摘されている。ケーブル敷設のために海洋観測艦としての能力も有しており、海洋業務群直轄艦。敷設された海底ソナー網は、かなり広範に及び、日本に接近する潜水艦は、かなり離れた距離で探知されるという。空にレーダーサイトが睨みを利かせるように、海にはソナー網が睨みを利かせている。

Img_8541  第4護衛隊群旗艦ひえい。第4護衛隊群は呉基地に司令部を置き、ヘリコプター護衛艦ひえい、ミサイル護衛艦はたかぜ、護衛艦うみぎり、護衛艦はまぎり、からなる第4護衛隊、ミサイル護衛艦きりしま、護衛艦いなづま、護衛艦さみだれ、護衛艦さざなみ、からなる第8護衛隊から成る。各艦母港は、呉基地、横須賀基地、大湊基地と別れている。ひえい、は、必ずしも旗艦に充てられる訳ではないが、DDH,ということで旗艦という表現をとった。

Img_8548  輸送艦しもきた。おおすみ型は、一番艦おおすみ、二番艦しもきた、三番艦くにさき、より成る。輸送艦というが、世界的にはドック型揚陸艦というべき艦型で、内部に60×15㍍のドックを有している。また、飛行甲板は前半分は通常車両の格納に用いるが、全域にわたってヘリコプターの発着に耐える構造となっている。

Img_8599  輸送艦ゆら。海上自衛隊のは、その任務範囲について年々国際情勢への対応と人道上の要請から、特に海上自衛隊の任務範囲をかなり広範に政治の要望は拡大する傾向にあり、補給艦、また、パワープロジェクション能力を高める輸送艦の必要性も高まっている。他方、大規模災害や島嶼部防衛に際して、地方隊にも初動対処能力や災害対処能力に高い期待が寄せられており、編成と予算体系の再検討が必要になっているようにも思う。

Img_8618  音響測定艦ひびき。満載排水量3800㌧で2隻が採用された。潜水艦の音紋を収集する任務につき、採用の背景には政治的なものがあるが、曳航式パッシヴソナーSURTASSを搭載しており、3ノットで海洋条件が良ければ数百キロ先の音紋を探知する。長期間の航行を可能としている。他方、この種の艦はとにかく数が必要であり、米国の収集したデータを合わせ、データ収集を行っているとされる。しかし、防衛力の行使に法的制約のある日本としては、音響測定艦や電子偵察機などの情報力を強化し、後方支援や紛争予防に資する運用体系もあってしかるべきなのか、とも思う次第。

HARUNA

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航空自衛隊F-X F-4戦闘機の耐用年数はどこまで有り得るか

2009-06-07 22:42:42 | 防衛・安全保障

◆F-4戦闘機後継機

 航空自衛隊の次期戦闘機選定に際して、来年度予算に次期戦闘機盛り込みの予算計上が見送られたことが、本日の読売新聞にて報じられた。以下に引用。

Img_9467

防衛省、次期戦闘機の来年度予算計上見送りへ 防衛省は2010年度予算の概算要求で、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の調達経費の計上を見送る方針を固めた。 調査対象の6機種のうち「第5世代機」と呼ばれる最新鋭ステルス戦闘機2機種の情報が十分に得られておらず、選定作業を継続する必要があると判断したためだが、FX導入がさらにずれ込む可能性も出ている。 FXは老朽化した戦闘機「F4」の後継機となる。防衛省は約50機導入で、2個飛行隊(予備機含む)編成を目指している。政府は現行の中期防衛力整備計画(05~09年度)で7機を契約する予定だったが、機種が決まらず、10年度からの次期中期防に先送りした。

Img_9855  次期中期防の初年度に調達経費が計上されず、導入がさらにずれ込めば、日本の防空能力の低下を招きかねないと指摘されている。 第5世代機は米国製「F22」と米英などが共同開発中の「F35」。航空自衛隊にはF22の導入を求める声が強いが、技術情報の漏えい防止のため米議会が禁輸措置を設け、詳細情報が入手できない。また、F35の情報収集も難航しており、6機種の比較が完了していないため、概算要求までの機種決定は困難な情勢だ。 概算要求では機種を特定せずに機数と調達経費を計上することは可能だ。しかし、防衛省幹部は「年末の予算編成までに機種を決めなければならず、F22の禁輸が未解除だと、他機種から選ばざるを得なくなる」として、F22導入を優先する立場からも、概算要求への計上見送りはやむを得ないとしている。 FXは契約から取得まで5年程度かかるとされ、防衛省は戦闘機部隊維持のため、F4の飛行時間を抑制するなど、退役時期の先延ばしを図る方針だ。(2009670304  読売新聞)ttp://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090607-OYT1T00126.htm引用ここまで。

Img_8723  現段階で二個飛行隊分のF-4戦闘機が航空自衛隊で運用されている。このF-4の後継機選定を巡りF-X選定が議論されている訳だ。さて、F-4戦闘機は、航空自衛隊での運用は1971年より始まっており、近代改修をおこなっているとはいえ、既に機体そのものの耐用年数は限界が迫っているとも伝えられる。すなわち、航空機には構造そのものの限界があり、これをこえて飛行させるということには非常なリスクが伴う。現段階では、ドイツ空軍など、幾つかの空軍でも近代改修の末、F-4が運用されているが、機体性能以上に、限界というものが存在するわけだ。
Img_8657  さて、来年度予算にF-Xの予算が見送られたことについては、決定されていなことにより、予想されたことではあった。伝統的に米空軍の主力戦闘機を戦闘機として採用してきた航空自衛隊にあっては、F-22の導入が望ましいとされたものの、機密保護の観点などから、これは難しいとされた。そこでF/A-18E,F-15E,ユーロファイター2000に加え、新しくF-15SEが選定に加わり、F-22という当初最有力とされながら導入までの障壁が大きすぎ、一時は希望のみのF-Xとされた機体が再び導入の可能性として生まれたことにより、現段階で、F-Xを選定するということは、防衛省内部で時期尚早とも見解をうみ、今回の政策決定につながった、といえる。
Img_9934  他方で、前述のように航空自衛隊のF-4には、残された時間はあまりない。F-Xが予算計上に至らない以上、その予算は、恐らくF-15戦闘機の近代化改修に充当されるものとおもわれる。他方で、F-15J近代化改修の機体性能は、かなり高い能力を有するものの、F-15の機数には上限がある。次期戦闘機について、F-22の導入を繰り返し検討している防衛省にとり、結果、選定はかなり遅れることとなってしまった。そこで、F-Xがライセンス生産の場合は別として、有償軍事供与により導入されることを見越して、なんとか、導入予算を積立式として蓄積し、選定決定の際には、極力短期間に多数の機体を導入することが出来ないか、検討する必要もあるのではなかろうか。
HARUNA
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F-22航空自衛隊F-Xの可能性? 1機247億円、日本政府へ書簡

2009-06-06 23:44:56 | 防衛・安全保障

◆しかし情報開示・生産中止撤回という障壁

 Dデイの衝撃というべきか、本日六月六日は連合国軍がノルマンディに上陸したオーバーロード(大君主)作戦より65周年を迎えるこの日、日経新聞が興味深い記事を掲載した。

Img_1741  本文を以下に引用する。F22売却なら1機247億円 米議員、対日輸出の解禁支持
 ロイター通信は5日、米最新鋭戦闘機F22を日本に売却する場合、金額は1機当たり2億5000万ドル(約247億円)になるとの見積もりを米空軍がまとめたと伝えた。F22は日本の航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の有力候補ながら生産が中止される見通し。日本向けに売却する可能性があるのかが焦点となる。

Img_1195  日本はFX選定にあたってF22を主力候補のひとつとして検討してきた。しかし高度な軍事技術のため、対外的な情報開示や輸出を禁じる米国内法(オビー修正条項)があり、現状では日本が調達することはできない。さらに、ゲーツ米国防長官は4月にF22の新規発注の停止を決めており、生産中止の可能性が濃厚になっている。
 ロイター通信によると、米上院歳出委員長のダニエル・イノウエ議員がF22を売却する場合の見積もりを日本政府に書簡で送付した。同議員は輸出解禁を支持しているという。日本への売却には法改正が必要で、米議会の動きが焦点となる。(ワシントン=弟子丸幸子) (11:03)
 引用ここまで。ttp://www.nikkei.co.jp/news/main/20090606AT2M0601506062009.html

Img_7401  豪州空軍が次期戦闘機としてF-22の導入を米国政府に要望した際に、アメリカははっきりと、輸出は不可能である、との回答を示したが、日本政府に対しては、導入に伴う資料は防衛省や航空自衛隊次期戦闘機調査団からの要望に際して対応する程度で、明確に日本政府から導入の打診というかたちはとられてこなかったため、正式な解答での、輸出不可、という反応は無かったものの、防衛相会談などで、輸出は難しいとの回答は寄せられていた。しかし、先日の日米防衛相会談の後、様々な障壁はあるものの、米上院歳出委員長の発言として、輸出型開発の可能性を空軍へ検討するよう提言する可能性について触れたことは唯一の前進であった。

Img_1267  1機2億5000万ドル。当初では、この二倍程度になるのだろうとされた。しかも、数字では無視されやすい初度調達品や整備機材、教育訓練費用を含めれば導入への一機当たりのコストは、むらさめ型護衛艦の建造費以上、700億円程度となる覚悟も必要であったのだが、もちろん、こうした見積もりは往々にして超過してしまうという前提もあるにしても、F-2支援戦闘機の初期調達費用の二倍程度に収まっており、やや驚いた次第。

Img_7300  F-4の後継機としてみた場合、恐らくF-22、F-35,F-15SEは間に合わない。また、航空自衛隊が運用する要撃機としてF-22が妥当であるかと問われれば、F-15Jのように、20XX年の小松基地航空祭でF-22がズラリと地上展示で並んでいるという様子は想像が難しい。他方で、戦略予備として少数機を運用するのであれば、F-22は有力な抑止力となり得る。また、F-35と比べF-22は期待そのものが大きいということもあり、単純な話将来発展性も内包している。他方、防衛機密保持のための法整備や、則った運用体制など、解決すべき問題も多く、導入はこれまでの戦闘機のようにできるものではない。ともあれ、F-22、具体的数字が出たといういみでは、何か前進なのかもしれない。

HARUNA

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平成21年度米国派遣訓練の概要・ソマリアアデン湾海賊対処

2009-06-05 22:16:09 | 防衛・安全保障

◆6月9日~7月30日イージス艦、固定翼哨戒機派遣

 海上自衛隊は、ハワイ及びその周辺海域、米本土及びその周辺空域に展開、米海軍の協力を得て洋上訓練、施設利用訓練を実施し、戦術技量の向上を図ることを目的とし、平成21年度米国派遣訓練を実施する。

Img_7880  今回の派米訓練には、護衛艦1隻、固定翼哨戒機4機が参加することとなっており、参加部隊の概要は、ミサイル護衛艦あたご、が、艦長清水博文1佐以下240名とともに舞鶴基地より参加、固定翼哨戒機P-3C四機が第1航空隊副長木村康張2佐以下90名とともに鹿屋航空基地から参加する。

Img_8229  護衛艦部隊は、6月9日、舞鶴基地を出港、6月22日にパールハーバーへ到着、7月15日まで訓練を行った後、7月30日に舞鶴基地へ帰港する。固定翼哨戒機部隊は6月15日に鹿屋航空基地を出発、6月15日から16日までアンダーセン基地、同16日から18日までカネオヘ基地、同18日から26日までウィッビーアイランド基地へ展開、この間一部航空機がカナダのモコックス基地へ22日から24日まで展開。26日から7月17日までカネオヘ基地に展開、7月18日から同19日までアンダーセン基地へ展開し、7月19日、鹿屋航空基地に帰国する。

Img_8018  哨戒機のカナダ親善訪問は、先日カナダ国防省次官が防衛省を表敬訪問し、カナダ海軍の補給艦プロテクターが東京港を親善訪問するなど両国関係の強化という背景で行われる。どうせならば、海上自衛隊も、あたご、をバンクーバー港へ親善訪問として派遣できれば、とおもうのだが、インド洋やアデン湾への派遣との兼ね合いもあり、難しいのだろうか。

◆アデン湾にて小型船舶対処事案発生

 ソマリア沖海賊対策事案であるが、6月3日日本時間2253時、現地時間1653時頃、小型船舶への対処事案が発生した。

Img_2232_1  海賊対処事案海上警備構造に基づき派遣されている二隻の護衛艦のうち、護衛艦さざなみ、が北西17浬の海上を航行中のマルタ船籍タンカーDAYLAN号から、2253時国際VHFにより小型船舶に追われているとの連絡をうけ、2300時哨戒ヘリコプターを発進。2305時、商船より現在は安全であるとの連絡を受けた。その後、2309時、哨戒の結果、近傍に三隻の小型船を発見、漁網ブイなども確認。2320時、武器や梯子などは確認できず以て帰投、2333時、さだなみ飛行甲板へヘリが到着、という流れ。

Img_7452  むらさめ型、たかなみ型各1隻で構成された今回の海上警備行動部隊は、今月三日までにすでに23回の護衛任務を実施、この間、護衛対象ではない船舶からも救援要請を受けた場合適宜、遭難対処の要領にて任務を実施しており、ソマリアアデン湾を航行する船舶の旗国から、一定の評価を受け、任務は継続中である。

HARUNA

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平成二十一年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報

2009-06-04 22:17:28 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 いよいよ六月、梅雨の季節だ。本州の駐屯地祭はひと段落ということで、北海道の駐屯地祭が本格的となってきた。また、海上自衛隊の一般公開、航空自衛隊の分屯基地祭なども行われるこの一ヶ月の行事予定を紹介したい。

Img_1340  日本海の波高し、というところだろうか、本日北朝鮮の警備艇が韓国の領海を侵犯したとの事で、韓国海軍の哨戒艇との間で一時睨みあいとなったようだ。朝鮮半島情勢がさらに緊迫化、という状況になれば、周辺事態となるため、自衛隊にも相応の警戒態勢をとるなどの対応がとられることとなる。

Img_5385  新型インフルエンザの日本での大規模な感染拡大には至らず、局地的な感染にとどまり、それも沈静化に向かっている一方で、北朝鮮が核実験を実施、短距離ミサイルを次々と発射し、中距離弾道弾試験や長距離弾道弾を準備中と伝えられ、なかなか気を抜くことが出来ない国際情勢ではある。

Img_87271  他方、こういう時だからこそ、主権者たる国民が、自衛隊の姿勢や装備、隊員の姿をみて、防衛について考える機会なのかな、とも思う次第。防衛力整備の指針である防衛大綱は、政治の問題であり、総選挙も遠からず行われる時期。はたして、防衛力は充分なのか課題はどこにあるのか、テレビを通してではなく、足を運び、空気で感じることも必要なのでは、と考える次第。

Img_0297  さて、自衛隊関連行事であるが、師団行事が三個師団にて行われる。師団とは、改めて記すと、陸上自衛隊の戦略単位であり、様々な職種の部隊をまとめ、独立した作戦運用が可能な部隊のことを意味する。師団は英語でDivision、これはビジネス英語では事業所、という意味も兼ね持つので、こう書いた方が判りやすいかもしれない。

Img_0123  師団行事では、近接戦闘を担当する普通科、対戦車戦闘及び直接火力支援を行う機甲科、全般火力支援及び対砲兵戦を行う特科、戦闘全般の遂行を支援する施設科を始めとした、陸上自衛隊の装備体系を一通り見ることができ、師団長訓示では、自衛隊の方向性や地域とのつながりを知ることが出来るのが特徴。なお、今月は、第2師団、第7師団、第9師団が創設記念日を迎える。

Img_6906  四月には首都防衛にあたる第1師団の記念行事が行われたが、今月十四日には、北海道道北の防衛警備及び災害派遣にあたる第2師団の創設記念行事が旭川駐屯地にて行われる。90式戦車や96式装輪装甲車、99式自走榴弾砲、87式自走高射機関砲など装備は充実しており、情報RMAに対応するべくデジタル化師団として能力の向上に努めている。

Img_2778  七日には、陸上自衛隊唯一の機甲師団として北部方面隊の戦略予備という地位を担う第7師団の創設記念行事が、東千歳駐屯地にて行われる。三個戦車連隊、装甲化された普通科連隊、高射特科連隊など陸上自衛隊でも最も重装備を集めた師団である。新防衛大綱の制定に際して、戦車や特科火砲の定数の下方縮減は避けられぬともみられ、今後、機甲師団の展開に興味がもたれる。

Img_9220  青函地区の防衛警備及び災害派遣にあたる第9師団、その創立記念行事が青森駐屯地にて行われる。津軽海峡を挟む青函地区は、北海道と並び冷戦期においては、防衛警備における重点地域であり、ソ連太平洋艦隊の太平洋への重要な航路である津軽海峡を睨み、万一の限定侵略に備え、充実した火力とともに備えていた師団であるが、冷戦後は近代化が後回しとされ、比較的旧式の装備も残る師団である。なお、9師団HPによれば、“来たれ戦場へ! 青森駐屯地が戦場と化す”。今年の模擬戦は、凄いらしい。

Img_9927  上富良野駐屯地祭、こちらは師団行事ではなく戦車連隊の創設記念行事なのだが、七日に行われる。第2戦車連隊は、第2師団の改編と共に、本土師団から戦車北転事業として抽出した戦車中隊を以て拡大改編され、戦車大隊から戦車連隊へ転じた部隊である。90式戦車と74式戦車を運用している。北部方面隊以外では、90式戦車を運用する部隊は富士教導団など限られているので、北方の戦車部隊は充実しているなあ、と思ったりする。

Img_2970  戦車部隊の駐屯地としてもうひとつ、第5戦車隊が駐屯する鹿追駐屯地祭が7日に行われる。第5戦車大隊から、帯広駐屯地の第5師団が第5旅団へ縮小改編された際、同じく縮小された第5戦車隊に90式戦車が配備されている。東千歳駐屯地祭と同日である鹿追駐屯地祭であるが、帯広駅からバスで一時間以上という距離が難点。

Img_5763  普通科部隊の駐屯地祭としては、道北、最北の普通科連隊として、厳しい冬季での戦闘に備え訓練を積んだ第3普通科連隊が駐屯している。この第3普通科連隊は、装甲化普通科連隊として知られ、冷戦時代ではソ連から最も近い普通科連隊ということですぐに連隊戦闘団を組めるよう第2特科連隊の大隊が駐屯、旭川駐屯地の師団司令部に情報を送れるよう第2偵察隊が駐屯し、方面高射部隊である第4高射特科群がホークミサイルを配備している。

Img_0663  普通科連隊の駐屯する駐屯地記念行事としては、六月二十一日に、第26普通科連隊が駐屯する留萌駐屯地祭が、二十六日には、遠軽駐屯地祭が行われる。第25普通科連隊が駐屯している駐屯地で、ともに北海道の駐屯地である。25連隊、26連隊と連続して足を運ぶ、というのも一興かもしれない。

Img_1626  北部方面隊は、装甲車をはじめ各種装備が、東北、東部、中部、西部各方面隊の部隊と比べて特色があり、火砲一つとっても北方は基本的に自走榴弾砲、他の方面隊は、牽引式榴弾砲が基本である。他方で、近接戦闘などを主眼においた装備では、北部方面隊以外の方面隊が近代化が進められており、日本の防衛を理解する上で、この相違は注目すべき点といえる。

Img_6465  北海道の行事として、第2地対艦ミサイル連隊が駐屯する美唄駐屯地祭が二十一日に行われる。配備されている88式地対艦誘導弾は、陸上自衛隊の独自の装備で、運用されるミサイルSSM-1にはデジタルマップが搭載され、地上レーダーが目標を発見すると16両が配備される六連装発射機から射撃、発射後はデジタルマップに即し、谷間などの地形を超低空で飛行、洋上に展開し、我が国へ上陸を図る水上部隊に打撃を与える装備だ。

Img_22401  施設科部隊の駐屯地祭としては、7日に古河駐屯地祭が行われれる。古河駐屯地には、東部方面隊直轄の第1施設団本部が置かれ、関東補給処古河支処、第102施設直接支援大隊などが駐屯している。施設団の駐屯地ということで、各種装備を見ることが出来るが、同じ茨城県の勝田駐屯地施設学校から最新の07式機動支援橋が展示されるかに注目が集まる。

Img_2841  後方支援部隊の駐屯地祭として、二十八日に北海道にて島松駐屯地祭が行われる。島松駐屯地には北海道補給処本処、第1高射特科群の一部部隊と北部方面後方支援隊が駐屯している。また、中部方面後方支援隊と中部方面輸送隊の駐屯する桂駐屯地創設記念行事が7日に実施される予定であったが、新型インフルエンザ拡大の影響で中止となっている。

Img_8258  なお、新型インフルエンザが沈静化すると、ご存じのとおり、北朝鮮の核実験と、ミサイル実験、それに伴う情勢の変化などがあり、以上に、また以下に挙げた自衛隊関連行事は、本日現時点で実施が予定されているものである。展開に際しては、本記事下の部隊HPへのリンクなどを参照し、最新の情報を元に行事見学を計画されることを勧める。広報は平時の実戦だが、有事には本物の実戦に備えなくてはならない。

Img_1239  海上自衛隊関連では、海上自衛隊大湊基地にて、6日、ちびっこヤング大会が行われる。大湊基地は、大湊地方隊のミサイル艇や、護衛艦隊の護衛艦の母港として、北方海域の警戒にあたっている艦艇基地として機能しており、加えて大湊航空基地には哨戒ヘリコプターが配備されている。

Img_6536  海上自衛隊の下関基地では、下関基地キッズフェスタが28日に予定されている。写真は昨年の舞鶴ちびっこヤング大会であるが、下関基地は護衛艦などの基地ではなく、下関基地隊と隷下に六連警備所が置かれている。下関は関門海峡に面した要所であるので、基地を置くと共に警備所を配置している。掃海艇いえしま、まえじま、なおしま、の第43掃海隊の母港で、掃海艇などの一般公開が行われる予定。

Img_5655   航空自衛隊の関連行事としては、6日に武山分屯基地開庁記念行事が予定されている。先日の武山駐屯地祭では弾道ミサイルに備える切り札、ペトリオットミサイルPAC-3が地上展示されていた。武山には海上自衛隊の教育隊も置かれており、陸海空自衛隊が一か所に配置された稀有な事例だ。

Img_1958 七日には、見島分屯基地祭が予定されている。見島分屯基地は、山口県萩市に所在するレーダーサイトで、第17警戒隊が防空監視にあたっている。離島なので、見学には海路にて足を運ぶ必要があるが、美保基地から海を通じて比較的近距離にあるため、C-1輸送機や、F-15戦闘機などが航過展示を予定しているとのこと。

Img_0015  航空自衛隊の行事として、ほかにも、同じく7日には、福島県の第27警戒群が運用するレーダーサイトが置かれた大滝根山分屯基地開庁記念行事が行われる予定となっており、十三日には、茨城県に所在する第3高射群のペトリオットミサイル部隊が展開する霞ケ浦分屯基地開庁記念行事が行われる予定だ。

Img_1497 14日に青森県の東北町分屯基地にて開庁記念行事が行われる。第4補給処東北支処が置かれている分屯基地で、装備品展示や外来機による飛行展示などが予定されているとのこと。三沢基地が近いということもあり、F-2支援戦闘機などがフライパスをするのだろうか。装備品展示は、何を展示するのか、気になったりする。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 六月六日:大湊基地ちびっこヤング大会[青森県むつ市]
  2. 六月六日:武山分屯基地開庁記念行事[神奈川県横須賀市]
  3. 六月七日:上富良野駐屯地創立記念行事[北海道空知郡上富良野町]
  4. 六月七日:鹿追駐屯地創設記念行事[北海道河東郡鹿追町]
  5. 六月七日:第7師団創設54周年東千歳駐屯地祭[北海道千歳市]
  6. 六月七日:第9師団創設47周年青森駐屯地祭[青森県青森市]
  7. 六月七日:大滝根分屯基地開庁記念行事[福島県双葉郡川内村]
  8. 六月七日:古河駐屯地創設記念行事[茨城県古川市]
  9. 六月七日:桂駐屯地創設記念行事→中止[京都府京都市]
  10. 六月七日:見島分屯基地開庁記念行事[山口県萩市]
  11. 六月十三日:霞ヶ浦分屯基地開庁記念行事[茨城県土浦市]
  12. 六月十四日:第2師団創設59周年旭川駐屯地祭[北海道旭川市]
  13. 六月十四日:東北町分屯基地開庁記念行事[青森県上北郡東北町]
  14. 六月二十一日:名寄駐屯地創設記念行事[北海道名寄市]
  15. 六月二十一日:遠軽駐屯地創設記念行事[北海道紋別郡遠軽町]
  16. 六月二十一日:留萌駐屯地創設記念行事[北海道留萌市]
  17. 六月二十一日:美唄駐屯地創設記念行事[北海道美唄市]
  18. 六月二十八日:島松駐屯地創設記念行事[北海道恵庭市]
  19. 六月二十八日:下関基地キッズフェスタ[山口県下関市]

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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空自F-XにF-22選定の可能性再浮上? 米上院歳出委員会が空軍に打診

2009-06-03 22:16:52 | 防衛・安全保障

◆F-22を40~60機、しかし間に合うのか

 アメリカ議会上院歳出委員会の防衛分科会は、現在、輸出が禁止されている最新鋭戦闘機F-22について、その輸出向けの機体を開発できないか、空軍に調査を打診するかを検討していると、ロイター通信が伝えた。

Img_0621  これは、現在、F-4戦闘機の後継機について、F-22が導入できるのであれば、どれだけでも支出する姿勢を日本の防衛省が見せているため、とされ、特にF-22から、高度に機密性を有する部分などを省略した場合に要する費用は10億ドル程度とされ、こうして機密部分を取り除いたF-22輸出仕様を開発できないかを空軍に打診するかが論点となっている。他方、こうした機体を開発し、輸出を議会が承認するには時間を要し、はたしてF-4の後継機として間に合うかは難しいところだ。

Img_4983  北朝鮮の核実験をうけ、日本では策源地攻撃に関する議論、特に新防衛大綱への盛り込みが、特に自民党内部で盛んだが、トマホークなどの装備品導入について、アメリカのオバマ政権は日本が独力で抑止力を高めるのであれば、出来る限り支援する、との姿勢もみられ、F-22についても可能性の再浮上には、こうした背景もあるのかもしれない。

Img_9873  一方で、策源地攻撃能力や、弾道ミサイル防衛、さらに比類無き高性能とともに稼働率に限界があり、価格も高く、維持費も高いF-22の導入は、他の従来型脅威や、国際貢献任務への自衛隊の本質的能力の維持と向上に必要な予算へも食い込んでしまうこととなり、如何にして均衡を採るか、重要となろう。

HARUNA

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首都防空の新しい要 弾道ミサイルに備えるペトリオットPAC-3

2009-06-02 22:17:27 | 先端軍事テクノロジー

◆JM-902ペトリオットミサイルPAC-3

 日曜日、横須賀市の武山駐屯地祭を見学したのだが、その際、航空自衛隊武山分屯基地より、ペトリオットミサイルPAC-3が地上展示として参加していた。

Img_4332  入間基地第1高射群、その隷下には、習志野分屯基地の第1高射隊、武山分屯基地の第2高射隊、霞ケ浦分屯基地の第3高射隊、そして入間基地の第4高射隊を有し、ペトリオットミサイルにより首都圏の防空にあたっている。ペトリオットミサイルPAC-2は、射程100km以上の対航空機用ミサイルで、低空侵入する巡航ミサイルに対しても対応し、限定的ながらも弾道ミサイルに対する迎撃能力を有していた。PAC-3は、より弾道ミサイルへの迎撃能力を重視した型式だ。

Img_5644  PAC-3は、従来のPAC-2一発あたりのキャニスタに各4発を搭載でき、宇宙空間を経由して目標へ落下する弾道ミサイルに直撃するかたちで無力化する。これは、従来の目標付近での近接信管を用いた破片効果では、落下してくる弾道ミサイルに打撃を与えることはできても、結局のところ落ちてくることには変わらないため、落ちても爆発しないよう、空中で粉々に粉砕するという目的で採用された方式だ。

Img_4343  また、直撃に失敗した場合、PAC-2と比べ、数倍の大きさの数百グラム破片を用いて、有効半径の弾道ミサイルに大きな打撃を与える構造を採用している。ミサイルが小型化しており、破片が大きくなるためその分、有効半径は短いものの、いまのところ実用化された通常弾頭の弾道ミサイル迎撃手段として、数少ない実用装備だ。なお、ミサイルそのものが小型化しているため、射程は迎撃高度にもよるが15~30kmとなっている。

Img_5636  PAC-3は、弾道ミサイルへの迎撃を念頭に置いていると同時に、限定的ではあるが航空機への対処能力も残しており、首都圏の弾道ミサイルからの防衛では重要な役割を果たす。他方で、射程が短縮したことで、先の北朝鮮弾道ミサイル試験では、首都圏中枢に展開し、万一の弾道ミサイル落下に備えたことは記憶に新しい。なお、従来の航空機などによる侵攻に備える観点から、高射隊はPAC-3を2基程度装備し、同時に航空機や巡航ミサイルに対して大きな迎撃能力を有するPAC-2とで、複合運用を実施している。

Img_5660  PAC-3について、イージス艦のスタンダードミサイルSM-3とともに、弾道ミサイルから日本を防御する上で重要な装備であることから、来年度末までに16個高射隊へ、装備が進められる計画である。一方で、PAC-3の射程には限界があることから、北朝鮮によるミサイル脅威の拡大を受けて、より射程の長いTHAADの導入が現在検討されている。なお、今回展示されていたのは、当然ながら訓練用の模擬弾だ。

Img_5519  ペトリオットミサイルPAC-3は、入間基地航空祭などで一昨年頃から展示されていたとのことだが、当方、ようやく撮影することが出来たので本日掲載した次第。なお、武山駐屯地祭では、武器学校より、現在配備中で、全国でも7両しか装備されていない重装輪回収車など、珍しい装備品が並べられていた。

HARUNA

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北朝鮮 黄海沿岸に新しい長距離ミサイル施設建設の可能性

2009-06-01 23:33:24 | 防衛・安全保障

◆全長45㍍円筒形 韓国政府情報筋

 NHKが韓国政府情報筋として伝えたところによると、北朝鮮の平壌道トンチャンリに新しいミサイル施設と思われるものの建設が行われており、ここに円筒形の物体が運び込まれたとのこと。

Img_9443  北朝鮮のミサイルといえば、4月にPAC-3やイージス艦が展開した際の飛翔体を思い出す。円筒形の物体は、列車により運び込まれたとのことで、全長45㍍。4月に発射実験が行われたテポドンミサイルは、全長30㍍ほどであるので、今回運び込まれた円筒形の物体はそれよりも15㍍長い、ということになる。

Img_3245  現在のところ発射台への据え付けなどは行われていないようだ。なお、トンチャンリは、平壌道でも中国との国境線に比較的近く、この位置に新しいミサイル施設を建設したことは米軍の攻撃を想定してのことなのだろう。他方、日本海側ではなく黄海側に建設しているという点を踏まえると、グアムや沖縄を狙うもののようにもみえる。

Img_7869  4月のミサイル試験では、日米イージス艦に対抗するべく、MiG-21飛行隊が爆装し待機態勢に入っていたという情報や、オラン空軍基地より戦闘訓練に離陸したMiG-23が墜落事故を起こすなど、大きな動きもあり、加えて短射程の地対艦ミサイル(一部報道では長射程地対空ミサイル)発射実験を行うなど、挑発行動が続いている。

Img_7177  現時点で円筒形の物体がミサイルであるのか、お鳥であるのかは未知数であるが、核実験に続き、再び長射程ミサイルの試験を行うなど、状況は流動的であるが、意図がどこにあるにしても、緊張状態が形成されている現在では、相応のこちらも態勢や準備を行う必要があり、状況の推移を冷静に見守りたい。

HARUNA

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