北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:北大路,ビブレ前からイオン前となった街のグリルのハンバーグ

2022-06-26 18:21:20 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 勘違いというものは誰にでもあるものですが今回の勘違いはちょっとさびしい。

 北大路ビブレ、ビブレにイオンが入るとは聞いていたのですが、勘違いしていまして北大路ビブレが無くなりイオンタウン北大路に鞍替えする、という事だったのですね。もう少し新聞を読まなくては。ビブレの文字が無くなっていまして、全替えだったのかと驚いた。

 北大路機関といえば北大路駅、こういう訳ではありませんがもともと北大路機関は北大路機関沿いで研究会を繰り返していた自主ゼミでした、そして北大路ビブレは、まあ思い出の多い場所なのですが、ここが単なる雑多なイオンモールの一つになったのは寂しいもの。

 イオンタウン北大路、しかし、新しくなったと云えばとりあえず行ってみるのは性というものでして、まあ、ちょっと言いたいことはあるけれども来客も多く賑わっていました、これはこれで北大路駅とその界隈の活気につながってゆくのだろうと、期待しつつ。

 ハンバーグだ。いきなりハンバーグかよ、と思われるかもしれませんが、ここは北大路通りを鴨川の手前にあります、グリルはせがわ、ハンバーグの名店です。コロナ禍下にあってもビニールカーテンで感染対策をこれでもかと頑張り、活況が続いていますお店の一つ。

 ハンバーグを中心に様々な洋食を愉しめるところで、川の対岸に黒船来航のようにフレンチなお店がありますが、洋食とは和食と共に日本食の一部を構成しているといわれる通り、ご飯と共によく合う洋食を提供してくれるお店で、ケチャップ好きにはたまらないところ。

 トマトケチャップと付け合せのスパゲティとともに、ワンプレートにおさまりまして、味噌汁とご飯を掻き込む、ワインなんかもあるのですが、まあ、早い時間に来ました割には混雑していまして、柔らかいハンバーグにケチャップの酸味と肉汁とでご飯を頂きます。

 目玉焼きハンバーグというように添えてあるのですが、ケチャップに目玉焼きがまみれない様に、ご飯をハンバーグと目玉焼きとで、前半は洋食風に、後半は有名なハちクマライス風に頂いてゆく、店内には家族連れの元気な声も響きまして、洋食店らしさという感じ。

 ビブレという単語は過去のものになるのか、イオンモールが入ると聞いていたのにビブレの中に入る訳ではないのかあ、よび慣れた単語と地名というものが変ってしまうのは、残念という訳ではないが、なにか空虚感がなあ、そんな事を想いつつ、帰路につきました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
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中国-弾道ミサイル迎撃実験実施,地上配備型ミサイル迎撃システムによるミッドコース迎撃技術実験

2022-06-26 07:00:29 | 先端軍事テクノロジー
■臨時情報-中国軍事実験
 ミサイル防衛は我が国自衛隊も巨額の防衛費をつぎ込み目処を立てるまでに大きな負担が在りましたが、キャッチアップを進めている国が有ります。

 中国国防省は6月19日、新型の地上配備型ミサイル迎撃システムの評価実験を実施したと発表、中国国防省の定義するところの“所要の目的を達成した”とのことです。今回の実験は地上配備型ミサイル防衛システムにおけるミッドコース迎撃技術実験、つまり放物線を描く弾道ミサイルを放物線の中間部分飛翔段階で迎撃する実験を行ったという構図だ。

 地上配備型ミサイル迎撃システムについて中国国防省は遅くとも2010年頃から技術開発を開始していました。またミサイル迎撃実験は過去にも行われ、2018年と2021年2月に実施されています。なお、対象としたミサイルが短距離弾道弾か准中距離弾道弾か中距離弾道弾なのか、それ以上の射程の弾道ミサイルを想定したものなのかは発表されていません。

 中国にとりミサイル防衛システムは喫緊の課題であると共に頭痛の種でもあります。ミサイル防衛の必要性は年々高まっています、その一つの理由はインドのアグニミサイルシリーズが年々改良型の射程を延伸させており、新疆ウイグル自治区の中国軍大陸間弾道ミサイル基地群はもとより、北京首都圏をその射程に収めているという喫緊の課題がある。

 ミサイル防衛は更に、アメリカが従来米ロ間のINF中距離核戦力全廃条約により地上発射型中距離弾道弾などを開発出来なかった為に条約に参加しない中国が独壇場を構成出来ていた一方、INF全廃条約離脱に伴い制約が無くなり、今までの様に北東アジア地域における中国弾道ミサイルによる威圧効果が薄まり、逆に中国も相応に狙われるようなったため。

 しかし、頭痛の種となるのは、弾道ミサイルは巨額の費用を要する点です。今回試験されたのは地上発射型であり、その中間段階の迎撃を目的とするという事は相手が海洋を挟まず弾道ミサイルを投射してくるであろう、インドを念頭としている点が推測できますが、今後太平洋からの脅威に備える為には055型駆逐艦など相応の戦力を充てねばなりません。

 中国のミサイル防衛、比較的大きな国防費により中国は今後、猛烈なキャッチアップを進める事が予想できます、しかし、ここで大きな問題が生じます、それは米ロ間のABM制限条約に影響を及ぼさないか、という懸念です。例えば崩壊したINF中距離核戦力全廃条約の枠組みも、元々中国が条約外でこの種の兵器を増強したことが遠因となっていました。

 INF全廃条約では、中国は条約に加盟していない為にこの種の兵器を一方的に開発しアメリカに優位に立てたという国際法上のミサイルギャップが在った為なのですが、ミサイル迎撃能力も、例えば中国が大陸間弾道弾迎撃能力整備等を進めれば、MAD相互確証破壊の前提を壊しかねず、米ロ間のABMミサイル迎撃能力制限条約を破綻させるかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ戦争開戦四カ月-第一次大戦型の砲兵戦展開と戦争早期終結左右するウクライナへの火力緊急供与

2022-06-25 20:00:11 | 国際・政治
■戦争は長期化の様相
 ロシア海軍艦艇や戦略爆撃機を含む爆撃機の我が国周辺での行動が活性化しているのはこれまでお伝えしている通りです。

 開戦四カ月、ロシア軍ウクライナ侵攻という現代以前の近代のような侵略から始まりました戦争は、ウクライナ軍の善戦とロシア軍の稚拙な指揮により最初の数週間での首都キエフ、現地名キーウ攻防戦でロシア軍の撃退に成功、しかし長期化の様相を見せ、その影響はロシア経済制裁の一翼を担う日本へもロシア軍機の飛来増大として顕在化しています。

 日本も巻き込まれるのか、こういう認識ですが、今回ロシアがウクライナを侵攻した、核開発疑惑とナチズムの台頭、あり得ないと主張してもロシアはIAEA国際原子力機関やNPT査察プログラムを通さず、大量破壊兵器疑惑を一方的に主張し手続きを取らず侵攻、ナチズム台頭にしても大統領がユダヤ系でありあり得ない事さえも無視しました、これは。

 ロシアの主張をそのまま理解してしまえば、日本を侵略する際にも、国境を接しているフィンランドを侵略する際にも、ドイツ侵攻の方便にさえ使えてしまい、許容できるものではありません、力が有れば如何としても無理が通るならば、それはロシア自身が対ファシスト戦争におけるナチスドイツの立場を擁護する事にも繋がるのです、この為に制裁が。

 日本も巻き込まれるというよりは、ここでロシアの主張に恭順を示せば、いずれ日本も北海道や新潟が戦場となり、東京や大阪に巡航ミサイルが着弾する事となる、ウクライナで消耗したロシア軍が直ぐにと云う事は無いでしょうが時間の問題となる、だからこそ経済制裁により対応していますが、結果的にロシア軍の軍事圧力が日本へ向いている状況です。

 ウクライナ軍は、首都防衛はほぼ達成できていますが、南部ではマリウポリ失陥後、ロシア軍が兵力全てをドンバス地域へ投入へ投入しており、一時攻撃が後退していた第二都市ハリコフへもミサイル攻撃が再開されています、要するに体勢を立て直したロシア軍に対し次第に圧されている状況があり、ロシアは機動戦を断念し第一次大戦型の砲兵戦重視へ移行しました。

 火力で圧されている状況がある、ウクライナ軍は砲兵で劣勢という指摘がありますが、世界で最も砲兵を重視し規模では世界最大を自負するロシア軍を相手としているのですから、火砲だけで対応するには限度があります、ただ、こうした状況では本来、低空侵攻可能な攻撃機や戦闘ヘリコプターが威力を発揮するのですが、こうした装備も充分ありません。

 火砲を求めている、ウクライナ軍は厳し状況を挽回するには、当初要請していたソ連時代からの装備としてウクライナ軍も採用する152mm火砲や122mm火砲ではなくNATO標準の155mm火砲を求めている状況です。NATOや欧州各国が支援を表明しているのですが、様々な事情から遅れている状況があり、これは戦争を狂気化させる可能性があります。

 PzH-2000自走榴弾砲が遂にウクライナへ到着したとのことです。これはウクライナのレズニコフ国防大臣がSNS上で到着を発表したもので、6月22日にAFP通信なども報じました。PzH-2000は52口径の155mm自走榴弾砲で、フランスが提供したカエサル装輪自走榴弾砲と比較し、装甲化されている点、装軌式で不整地踏破能力の高さが特色というもの。

 しかし、時間がかかった、という印象は否めません。実際のところ、ノルウェーは39口径のM-109自走榴弾砲を22両提供すると決定し、イタリアもFH-70榴弾砲の提供を決定しています、が、アメリカの提供した90門のM-777榴弾砲、そしてフランスのカエサル自走榴弾砲12両が引き渡され、第一線で使用されているのみ、他は供与に向け準備中という。

 HIMARSとMLRS,アメリカがHIMARSを4両、イギリスがMLRSを3両ウクライナへ供与すると発表しました、自衛隊でいえば一個特科中隊の規模ですが、提供決定は大きなニュースとなりました一方、訓練に時間がかかるとアメリカ当局者が付け加えた通り、配備は遅れ今月23日に到着しました、この二つの装備は射程が大きく重要な装備なのですが。

 東部ハリコフ州においてロシア軍が再度攻勢にでている段階であり、砲兵火力は喫緊の課題となっていますが引き渡しは遅れています。ただ、これはNATOが出し渋っている、という訳でもありません。ポーランドやチェコが提供したT-72戦車などは既に運び込まれているとされ、政治的な配慮から配備を遅らせているわけではないとわかります。では何か。

 問題は二つ、NATOの装備はロシア系装備を中心としたウクライナ軍からは運用に教育が必要である事、そしてNATO全体で提供できる火砲は、そもそもNATOがいま保有している火砲の少なさから限界がある、この二つの問題があります。教育訓練は、無視できない問題で、一時的とはいえ厳しい前線から貴重な兵員を教育へ一旦下げなければなりません。

 ドイツ側の限界もある、PzH-2000をそのまま譲渡されても、動かす事は出来るでしょうが2S1自走砲とは車内が根本から違います、自衛隊の75式自走榴弾砲と99式自走榴弾砲の違いという安易なものではなく設計思想は勿論、人間工学や操砲に関する哲学から違う装備です、つまり教育が必要だ、しかしドイツ軍にPzH-2000は40門しか稼働していない。

 PzH-2000を供与するには、ウクライナ兵へPzH-2000の運用砲を教育する必要があるのですが、なにしろPzH-2000が40門しか無いということは、PzH-2000の要員もまた40門分しか想定していない、ムンスター戦車学校から教育要員が受け入れるにしても限界があります、実際、火砲については定点で延々弾幕を張る火砲は、欧州にはもうありません。

 火砲は、カエサル自走榴弾砲やM-777榴弾砲について、標定装置などがデジタル化されており、従来火砲よりも短時間で正確な射撃が可能となっていますが、標桿射撃など伝統的な火砲とは操作方法が異なります。勿論可能ですが精度が大幅に落ちる為の緊急用という。NATOは火力投射手段として火砲の他に航空機供与まで踏み込んでもよいのではないか、現状のままでは、この戦争は長引くのでしょう。

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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-三重久居,自衛隊駐屯地の駅前酒場で頂く焼き立ての焼き鳥

2022-06-25 14:44:30 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 総監部というには航空学校明野本校と第33普通科連隊び第1警戒隊や第14高射隊が置かれているくらいですが、難しい事は考えず晩酌の話題です。

 夕暮れ酒場、こんな単語がありましたが、なんでもCOVID-19の時代となりますと晩酌は、一杯やると自動車を運転できない程に判断力が鈍り、感染対策の抜け穴になることから慎重を呼び掛けられ、呼び掛けられると呑む気は霧散します、ただ、事情は変わってきた。

 近鉄特急が行き交う近鉄本線、夕暮れが近づいてまいりました。COVID-19,このところの落ち着きということで、まあ夕暮れ前ならばまだ客の入っていない店もあるだろうし、一番乗りで晩酌を嗜んでみよう、二年前ならばこれ、油断だぞ、と戒めたのかもしれません。

 久居駅前の駅前通り、いや自衛隊側の通りですので自衛隊通りと呼ぶべきでしょうか、反対側の方が繁華街となっているのですが、こんな時代ですので静かな自衛隊通り側で、ちょっとビールと焼き鳥を頂こう、という気分で暖簾の向こうを覗けばほら、空いているね。

 三川、ビールを最初に注文しまして、メニューを見ますのはその後です。焼酎にも色々と興味はあるのですが、銘柄を考えずに済むのはビールの方、黄金色の芳醇な液体が冷たさを秘めてジョッキに注がれ泡と共に運ばれてきます、その僅かな頃合いに最初の品を選ぶ。

 じゃこおろし、素早く出てきます注文は何かを聞きますとポテトサラダなどが挙げられましたが、キュウリが好きではありませんので、それにここは伊勢湾に近い、何処産かは聞きませんでしたが醤油をちょいちょいと垂らし、同時に注文の焼き鳥を待ちつつ摘まむ。

 鳥皮串の、ここは一本一本注文するのではなく二本一皿で400円からという仕組みでして、できればお任せ五本という注文が出来ればなあ、こう思ったものなのですが、まあ久々の店で焼きたての焼き鳥、難しい事は考えずにふうふう吹いて焼き立てを、口に運んでゆく。

 ぽんじり。考えてみると、おまかせ五本という注文ですと一皿に五本載っているのですから、直ぐ冷めてしまうのですよね、焼き立てを頂くならば、なるほど、一本二本を都度に齧る方が、お店といいますか、焼き台の目の前で食べているのだからなあ、とも納得する。

 大隅をロックでと考えたのですが最初は水割りで、続いて。やはり焼き鳥には少し度の強い個性で胃の腑を満たしたいのですが、順番を考えて水割りです。家呑みではロックの溶けた氷で自然水割りを待つのですが、しかし、改めて、創ってもらう水割りは美味しい。

 ハツ、焼きあがりました。久しぶりなので勘が鈍っているのですが、部位によって焼き時間が違いますので、お酒を口に運ぶ頃合いと注文する部位というものはもう少し考えねばならないのですが、まあ、美味しいので細かい事は良しとしましょう、美味しければ良し。

 赤霧島を、今度はロックで。しかし目の前に霧島さんが並んでふと気づいたのですが、ここ三重県なのだからご当地のキンミヤを頂くべきでしたよね。ちびりちびりと焼き鳥を嗜んでいますと、放映されている地元ローカルニュース番組では今日のCOVID-19感染者数が、また増え始めている、そんな論調と店も混雑が始まりましたので、晩酌を終えました。

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アフガニスタン南東部地震-タリバン政権は救助作戦終了,発災後72時間経ず救助終了-各国へは資金等要請

2022-06-25 07:01:56 | 防災・災害派遣
■臨時情報-アフガン地震
 日本であれば初動72時間こそが生存者救命が左右されると大車輪で救助部隊を掻き集めるのですが。

 アフガニスタンでの地震は、タリバン政権が救助作戦の終了を発表しました。現地時間22日未明にアフガニスタン南東部にて発生した地震は、タリバン現地当局者の発表として死者数1000名以上、負傷者は1500名に昇るとしていて、被害は甚大です。タリバン政権は国際社会に支援を求めつつ、しかし救助作戦は24日までに終了したとも発表しています。

 日本政府を含め国際緊急援助隊を派遣している国はいまのところありません、これはアフガニスタンのタリバン政権は民主政権を武力打倒した後に女性参政権は勿論、教育や就業制限など女性人権を無視した施策を採り、各国との歩み寄りを拒否した政策を採っている為です。今回も、国際社会に支援を求めつつ、しかし具体的な支援などが不明確のままだ。

 地震は現地時間0130時頃に発生、震源は南東部ホスト州の州都ホストから44kmの地点で、地震の規模を示すマグニチュードは6.1、イギリスのBBCによれば被害はパクティカ州のガヤン地区とバルマル地区に集中していると現地医療関係者の声を伝えています。ただ、ホストから被災地までは舗装道路が無く、携帯電話中継施設倒壊により通信不能ともいう。

 タリバン政権の救助はヘリコプターにより行われているようですが、BBC報道を見る限りはMi-8中型ヘリコプターが1機飛行している以外はそれらしい救助活動はなく、また南東部は親タリバン地域ではあるのですが、ヘリコプター発着地域には小銃で武装したタリバン勢力が警戒している様子も映り、治安の問題か援助過小からの騒乱などが考えられます。

 国際社会の支援を求めているタリバン政権ですが、同時に昨年8月の民主政権転覆により同国は厳しい経済制裁下にあり、また、昨年の政権奪取後における各国との外交関係構築にも熱心ではなく、内陸国である同国ですが人道支援を行った場合でも被災地へ救援物資を搬入できる国は、多くはありません。タリバン政権が救助作戦を終了している事も響く。

 OCHA国連人道問題調整事務所によれば、国連とパキスタン政府が医療チーム派遣を準備中とのことです。ただ、被災地は土煉瓦造の建物が多く、日本では影響が出ない程度の揺れでも圧潰する事例が被害を大きくしているようです、特に死者1000名以上といいますが、まだ瓦礫の下に被災者が居る状況で、災害発生後72時間を経ずして救助が終了している。

 人道支援を要請するタリバン政権ですが、そもそも現地政府が何もしていない中で海外からの支援を受ける姿勢は被災地へ国際緊急援助を派遣する諸国が好意的に見るには無理があり、また、資金援助を行った場合でもアフガニスタンはタリバン政権前まで海外援助に依存しており、タリバン政権自身が経済破綻している中、被災者に渡るかの透明性が無い。

 タリバン政権は災害発生後まだ瓦礫の下に生存者がいるとされる72時間以内に救助を撃ち切り、一方で外国援助の再開を求めるなど、統治能力の限界を示していますが、問題は日本はじめ先進国から見れば破綻しているといえる統治機構を、当事者のタリバン政権側が改善させようという姿勢が見えない点で、なんとかならないのかという率直な印象です。

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令和四年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.06.25-2022.06.26)

2022-06-24 20:11:42 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 行事に際し事前申請が必要だが申請期間が終了しているので今準備しても見学できない行事を紹介するべきかどうかは今の時代迷うところなのですが。

 今週末の自衛隊関連行事は、一般公開される行事はないようですが、事前登録制の北千歳駐屯地記念行事が行われます、北千歳駐屯地Twitterから事前の申し込みという方式を採用していまして、当面は自衛隊関連行事参加に際してはTwitterというSNS加入が必須となるのかもしれません。ただ、完全非公開という先月の第7師団祭よりは日常が戻りました。

 第1特科団創隊70周年-北千歳駐屯地開庁70周年記念行事、北千歳駐屯地には自衛隊最大の特科部隊が駐屯しています、第1特科団とそして駐屯地には第7師団隷下部隊として10式戦車と90式戦車を装備する第71戦車連隊、またホークミサイルを装備する第1高射特科群第302高射中隊が駐屯、なおホークミサイルについては改善Ⅲ型を装備しています。

 北千歳駐屯地にはもう一つ、陸上自衛隊教育訓練研究本部訓練評価部隷下の訓練評価支援隊が駐屯、この部隊は2020年3月26日に創設されたばかりの部隊であり、自衛隊のたけし城として恐れられるFTC富士訓練センターの隷下部隊、ただ、評価支援隊のように仮設敵部隊を有するのではなく、対抗演習に際し訓練総合評価を行うという文字通りの部隊だ。

 特科団、自衛隊にこの名を冠する部隊は第1特科団のみです、そして装備は強力で、部隊は第1特科群と第4特科群及び第301観測中隊、更にミサイル部隊として第1地対艦ミサイル連隊と第2地対艦ミサイル連隊及び第3地対艦ミサイル連隊を装備している部隊です。観閲行進では自走重火砲に多連装ロケット砲に地対艦ミサイルが延々と続くということ。

 特科団の任務は冷戦時代、強大な砲兵火力を有する極東ソ連軍の北海道侵攻を警戒し、当時は203mm榴弾砲や155mmカノン砲を装備した部隊として創設、その後は68式ロケット発射装置など装備を強化しました。現在のウクライナの戦場を見ますと、砲兵の時代は終わった、といえるのはあと100年先なのでしょう、今後も絶対必要なものは砲兵という。

 北千歳駐屯地祭、駐屯地は広大ですが式典会場は森に囲まれた、という中々北海道らしい大自然を撮影できる駐屯地行事です、ただ、長方形の式典会場の一辺のみが招待席と共に一般開放されているという構図ですので、観閲行進が、物凄い特科部隊と戦車部隊が駐屯しているのだ、という数が揃う迫力を写真として残すのが難しいというのが撮影者泣かせ。

 203mm自走榴弾砲の空包射撃は、一際大きな迫力を叩きつけますので、これは是非とも見ておきたいところ、東北方面特科連隊廃止と富士学校からも203mm自走榴弾砲は廃止され、いよいよ過去の装備となりつつあります、ただ、専守防衛の日本の場合、海岸橋頭堡を一発で吹飛ばす威力が貴重です。他方、203mm誘導砲弾等がもう開発されていないのが痛い。

 観閲行進と共に訓練展示は、MLRSなどはまさか実際に射撃しますと苫小牧や札幌が大変な事になりますので工夫し空包などはありませんが、不思議なもので会場では中学生に失笑されてしまう情景でも、写真として仕上げますと、これがなかなか迫力があるのですね。かなり高価な装備でしたが、北海道防衛の為に自衛隊は90両も数を揃えた歴史があります。

 第1特科群は第1特科群本部中隊と第101特科大隊と第102特科大隊及び第129特科大隊という編成で特科大隊には203mm自走榴弾砲を、特科大隊はMLRS多連装ロケットシステムを装備します。第4特科群は群本部と第4特科群本部中隊と第104特科大隊に第131特科大隊、やはり203mm自走榴弾砲とMLRS多連装ロケットシステムを装備している。

 203mm自走榴弾砲は一発90kgもある巨大な砲弾を30km先に飛ばす火砲で、CVT信管を用いた場合は一発で75m長径の人員や非装甲車両に致命的な威力を発揮、しかし最大の任務は対コンクリート信管を用いた陣地攻撃で地中の指揮所等に対しても威力を発揮します。91両が自衛隊に配備されましたが、MLRSに置換えが始り火砲削減方針を受け減少中です。

 駐屯地には第1特科団隷下部隊は第1特科団本部と本部中隊及び第101特科大隊を除く第1特科群と第1地対艦ミサイル連隊が駐屯しているのみです、北海道全体の火力支援が任務ですので、幾つかの駐屯地に分かれて駐屯していまして、上富良野駐屯地には第3地対艦ミサイル連隊と第4特科群、と別れて駐屯しています、この他に美幌と美唄にもいます。

 美幌駐屯地には第1特科群第101特科大隊が駐屯し、札幌近郊の美唄駐屯地には第2地対艦ミサイル連隊が駐屯しています。そして北千歳駐屯地のみならず、第1特科団の記念行事ですので、隷下部隊も式典へ参加します。滑走路を転用した東千歳駐屯地ほどではありませんが、ここも広い駐屯地です。申請され見学される方は、ぜひ火砲の伝道師を目指してほしい。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・行事予定:特になし


■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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サル痘:韓国で感染確認-アジア初,WHO世界保健機関はPHEIC公衆衛生緊急事態宣言発令検討へ緊急会合

2022-06-24 07:00:52 | 防災・災害派遣
■情報不足こそ喫緊課題
 世界はCOVID-19初動の遅れという今に至る疾病拡大の反省を次の世界的流行禍に活かせるのでしょうか、その試金石は間もなく。

COVID-19、日本は大きな人口と高齢化により感染当初に憂慮がありました、しかし限られた情報の中で、2020年2月3日、横浜の大黒ふ頭へクラスター感染を引き起こした超大型クルーズ船ダイヤモンドプリンセスを検疫隔離として接岸を許可し、中国から報告されている以上の、極めて高い感染力を有しているという生の情報を得て、対策に活かしました。

ダイヤモンドプリンセスの乗員乗客は3700名、感染者は706名で死者4名、非常に厳しい状況でしたが、感染力が非常に高く先進国の高度医療でも致命的となり得るとの情報を得た、多くの国はWHOの韓国に併せ1月31日に緊急事態を宣言しつつ、例えば欧州初期の感染拡大となったイタリアで部分的措置が取られたのは2月23日、市中感染拡大後です。

 WHO世界保健機関は世界で感染者が2100名を超えているサル痘について、PHEIC公衆衛生緊急事態宣言を発令するかについて本格的な議論に入りました。PHEICは発令されれば、各国に国境封鎖や検疫隔離等公衆衛生上の緊急措置を執る論拠となりますが、それだけに発令は慎重、2020年のCOVID-19では発令が十日遅れ600万名以上が死亡しました。

 韓国でもサル痘感染が確認された。韓国保健当局が22日に発表したところによれば、21日にドイツからインチョン国際空港へ帰国した韓国人が、倦怠感と皮膚の異常を感じた為に保健当局に自己申告したところ、感染が判明、アジア初の感染事例となっています。初動の遅れは深刻な結果を示ることをCOVID-19で学びましたが、果たして今回はどうか。

 サル痘とは。国立感染症研究所等の情報を参考としますと、潜伏期間は一週間から二週間、発症すると発熱と頭痛に続いてリンパ節腫脹に筋肉痛が一日から一週間弱続き、その後にサル痘の特色である発疹と痘痕が出るとのこと、合併症を引き起こさなければ二週間から四週間で完治するとのことです。すると隔離期間は二週間、発症すれば一ヶ月、となる。

 感染経路は。元々は1958年にワクチン研究を行った際、アフリカのカニクイザルから発見されたウィルスで、このカニクイザルも宿主ではなく宿主は齧歯類とされています。これまでは、野生の齧歯類や霊長類と観光客などが接触した場合に感染する、こう考えられていましたが、PHEIC公衆衛生緊急事態宣言を検討しているところを見ますと、より深刻だ。

 ヒト-ヒト感染を引き起こしている。留意すべき点は現在このサル痘が感染拡大している中心地は欧州です、6月15日までに感染確認は2103名、このなかで1773名が欧州で感染しており、欧州には野生のカニクイザルは居ません。そして天然痘と似ているというサル痘、しかしこの天然痘は、一度日本を滅ぼしかけたほど、感染力が強い事でも知られるのです。

 飛沫核に含まれるウィルスが乾燥状態で空気に乗り拡散する、これを空気感染といいます。空気感染する疾病はそれ程多くありません、COVID-19は幾度も専門家が飛沫核感染やマイクロ飛沫感染と、報道される空気感染という言葉を訂正し続けているのは、マイクロ飛沫核感染では10mも拡散しませんが、空気感染は数十m先まで届くためという事情がある。

 空気感染の方がCOVID-19のマイクロ飛沫感染よりも脅威度が高い為に専門家が、空気感染は甘くないという事で注意喚起も含め訂正しているのですが、この空気感染、数少ない感染事例が、天然痘なのですね。都市封鎖という単語が天然痘で示されたのは、城壁都市では封鎖して都市ごと封じ込める必要が在った、治療法確立前における唯一選択肢でした。

 サル痘。専門家は、“発疹が出る”“発疹から膿が出る”とした上で“膿を通じて感染する”としています。これらは天然痘と共通なのですが、天然痘が空気感染するというのは、膿が瘡蓋となり、その瘡蓋が乾燥して粉末となりますと、極端な話、“川の向こうにも空気感染する”という状況となります。COVID-19は幸い、こうした意味で空気感染はしません。

 致死率は。いまのところサル痘は二系統が確認されているとのことで、西アフリカ地域のサル痘と中央アフリカ地域のサル痘がある、今回欧州で確認されているサル痘は致死率が低い西アフリカ地域のものという。他方、同系統の中央アフリカ地域の致死率の高いサル痘は数%から10%と、COVID-19デルタ株の二倍から五倍程度という、危険な感染症です。

 PHEIC公衆衛生緊急事態宣言、今回は間に合うのでしょうか。やはり関心がるのは情報が少なすぎる点です、明らかに欧州で市中感染を引き起こしているのですが、サル痘そのものはアフリカで局地的な感染例を、今回よりは小規模ですが1970年の最初の感染事例以降、何度か発生しています、2003年には輸入ペットを通じアメリカにも流入しました、しかし。

 今回の感染、特にCOVID-19の2020年からの感染拡大を受け、公衆衛生態勢は相応に強化されているにもかかわらず、欧州でこれほど大規模なヒト-ヒト感染を引き起こした事例はありません、市中感染が始っているといえる。発見されてから64年で初めての事例です、変異か変異が無いのならば感染拡大が進んだ背景に考えられるものはなにか、まだ不明だ。

 ワクチンが有効である。サル痘に対しては天然痘用ワクチンが有効といい、WHO世界保健機関によれば85%の効果を示すという。こういうのも、ワクチンの始まりはジェンナーの種痘に始まるもので、ワクチンの元祖というものです。種痘の後に開発されたものは不活性化ワクチンなど、今のmRNAワクチンから見ればかなり危険なものが初期のものです。

 しかし、天然痘ワクチンは改良が続けられ、結果的にサル痘は別ですが天然痘については根絶に成功しました。もっとも、根絶に成功した為に各国の天然痘ワクチン備蓄はバイオテロを想定した少量にとどまり、ワクチンの緊急量産が必要となるのですが。すると原動力となる論拠が必要です。PHEIC公衆衛生緊急事態宣言、今回は間に合うのでしょうかね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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七七年目の沖縄慰霊の日-沖縄本土復帰五〇年目の慰霊と停戦後終戦後の現代に至る在沖米軍基地問題の原点

2022-06-23 20:00:59 | 国際・政治
■きょう沖縄慰霊の日
 ウクライナでは連日激しい戦闘と無差別攻撃が報じられていますが、沖縄戦ではウクライナよりも遥かに狭い沖縄本島で非戦闘員9万4000名が死亡し、激戦は日本軍だけでも航空機3007機が喪失しています。

 沖縄戦慰霊の日、本日6月23日は沖縄において1945年6月23日、組織的戦闘が終了した沖縄慰霊の日です。この日、第32軍牛島司令官が南部の摩文仁で自決、ただ、停戦は8月29日であり、降伏調印式は9月7日でした。沖縄では三年ぶりに県外招待者臨席での慰霊祭が行われ、糸満市の摩文仁会場には岸田総理大臣と衆参両院議長が出席しています。

 沖縄戦は悲惨を極めましたが、沖縄で米軍を足止めしたことで本土上陸前に貴重な講話か継続かの政治決定を行う時間が生まれ、昭和史は現在の戦後を歩むこととなりました。しかし、このための犠牲は特に本島に集中、第32軍は重砲を充分装備し機銃配備も多く激戦を戦い続け、戦跡は草生す中にありましてもその歴史だけは確かに今にも伝わっています。

 沖縄戦、機動部隊による航空攻撃と艦砲射撃を経て4月1日にアイスバーグ作戦として嘉手納海岸へ上陸したアメリカ軍は首里にむけ南下、いまの普天間基地を見下ろす嘉数高地を筆頭に沖縄の第32軍は強力な歩兵火力と砲兵火力により抵抗しますが、全般的には火力も兵力も米軍優位、嘉数が陥落しますと首里にむけ進みます。しかしその先の戦場には。

 那覇市を中心に沖縄本島は当時も本島南部に人口が集中、第32軍は開戦前に北部山岳地帯への疎開を内務省沖縄県庁に命じますが、山岳地帯には食料がないばかりか、熱帯性マラリアなどの問題もあり現実的には不可能、この結果、本島中央部にちかい嘉手納から始まった地上戦は本島南北寸断、大量の非戦闘員が巻き込まれることとなる。沖縄戦の悲劇だ。

 日本本土を地上戦から、結果的に救ったこととなるのです、こういうのも米軍はもう少し短期間で沖縄を占領できるよう、45万もの兵力を投入しました。今のアメリカ陸軍が48万ですので45万という数字には驚かされます、この背景には台風シーズンより先に沖縄を占領し、日本本土への上陸作戦、ダウンフォール作戦を考えていた為です。しかし台風は。

 コブラ台風では、アメリカは駆逐艦3隻が沈没し空母3隻が中破、戦線を離れています、したがって短期間で沖縄を占領していれば、そのまま初夏には九州と関東地区へ連合軍上陸、という蓋然性はあった、ここで沖縄での抵抗、それも官民一致の粘り強い抵抗が、日本に外交交渉という時間を稼ぐ時間を確保した構図です。この視点も重要だ、借りが在る。

 本土復帰50年、この2022年沖縄慰霊の日というのは、1945年を基点とするならば数多節目の一つに過ぎません、が、1972年の沖縄本土復帰を基点とするならば50年目の沖縄県沖縄慰霊の日となります。そして厳しい論点ですが、沖縄の本土復帰とともに進まない産業開発と米軍基地負担という問題を抱えて50年を経たという現実もまた、直視すべきです。

 基地問題と経済開発の問題は、少なくとも太平洋戦争における日本本土での災厄は空襲が主たるものであったが、本州九州四国では地上戦は避けられています、こうした意味でも基地問題や経済開発への道義的な責任はあったように思うのですが。沖縄には大型貨物ターミナルなど産業基盤は未着手、経済は観光業に過度に依存した状況で、そしてもう一つ。

 基地問題、沖縄はヴェトナム戦争た台湾海峡と朝鮮半島を想定した場合に基地を運用する側から考えれば後方拠点となり得る、そして在日米軍にとり、東京首都圏の基地群、横須賀-横浜-相模原-横田と並び沖縄は後方拠点として、単一の基地の集まりではなく、基地群として機能しており、安易に一部だけを切り離しては、移転できない状況があるのです。

 ただ、例えば新田原基地を五倍程度に拡張し鹿児島の錦江湾と鹿屋基地に隣接し拡張、都城付近に兵站倉庫群を建設し、在沖米軍基地機能の代替を構想するとか、岩国基地と呉基地を中心に江田島基地と瀬戸内一帯を基地群として代替とする案、基地負担と米軍抑止力を両立する検討は、もうすこし真剣に検討出来なかったものか、と考えてしまうのです。

 橋下府知事時代の関西空港転用が提案されていましたが、基地群として考えれば関西空港を中心に阪神基地をせめて大湊基地なみに拡張し淡路島に兵站拠点を確保、紀伊半島か四国の臨海部にあいば野演習場規模の用地さえ確保できれば、基地負担という問題は解決出来得た。しかし用地確保などの煩雑さから調整さえ逃げた現実があるといわざるを得ない。

 基地移転、本格的に行うならば用地取得交渉だけで兆単位の費用が必要になり、時間もかかります、巨大ダムや新規原発を建設するのとは訳が違う、兵站倉庫一つとっても備蓄は陸上自衛隊一個分の単位で積みますし、飛行場も有事の際の来援は航空団一個とかではなく航空自衛隊一個分を想定するのですから、平時に実行するには限界があるのも確かです。

 日本の国土位は自国で、こういう反論も来るかもしれませんが、シーレーンを含めた地域安定が必要であり、太平洋戦争ではシーレーンが絶たれた事が東京が陥落する前に敗戦となった背景です、すると米軍のポテンシャル、東南アジアや北東アジアにおいて代替する程の軍事力となりますと、それはもう自衛隊ではなく日本軍の規模でなければ不可能だ。

 昭和後期の自民党はシーレーン防衛学会等を通じて七個護衛隊群構想や護衛隊群に四万t級空母という研究に接してはいたのですが、第五世代機を意気込んだ国産FSX次期支援戦闘機構想、TK-Xとして開発当時は世界最強といえた90式戦車など、変な話ですが昭和末期の日本政治の方が独自防衛力を覚悟し、また国費を投じ説明していたと逆に言えます。

 米軍のポテンシャルに話を戻すと、結局はロールズ的な公正と民主主義という概念を元に国際公序の牽引者としての地位を担ったアメリカのポテンシャルであり、日本のポテンシャルは平和憲法、しかし平和憲法のまま防衛力を上記の通りの水準に強化した場合、果たして平和憲法のポテンシャルと共にアジア諸国が快く迎え入れてくれるかは、未知数です。

 しかし、難しいのは米軍基地問題は、第二の新冷戦というべき現在の我が国周辺情勢に翻弄されている点です。現在の情勢では移設できない、という。これも単なる論点の逃げの口実と、半世紀後には揶揄されるのかもしれませんが、米軍基地には反対だが戦争の戦場となる事も戦争反対だが特別軍事作戦は致し方ないという方も、また少数派なのでしょう。

 基地問題と沖縄戦は別問題だ、こうした反論もあるのかもしれません、ただ、在沖米軍基地はその後の日本本土進攻作戦を念頭に接収した用地を戦後も維持し、これが朝鮮戦争を契機とした東西冷戦と共に定着したという歴史があり、沖縄に在って四国にない、北海道にない在沖米軍基地の問題というものは、やはり、沖縄戦がその基点となる事も確かです。

 本土復帰50年、考えてみれば米軍占領下での沖縄慰霊の日における式典と、沖縄県としての日本の慰霊の日とは、また違ったものであるはずなのですが、基地問題というものは、北部訓練場の大規模返還を筆頭にかなり減ったという事だけは断言できるのですけれども、日米共用の横田や岩国や厚木に佐世保と横須賀と違い、米軍基地が多いのもまた現実でしょう。

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参議院選挙二〇二二公示:安全保障環境緊迫化で論点となる"防衛費"の問題と論点とならない"防衛力"の在り方

2022-06-23 07:00:09 | 国際・政治
■臨時特集-参院選2022
 参議院選挙が公示日を迎えました。今回の参院選はロシアのウクライナ侵攻とロシア軍の日本周辺での活性化を受け防衛も大きな関心を集めているもよう。

 参院選では防衛費の問題が与野党論点の一つとなっています。防衛力については認識を高める必要はありますが、防衛費の問題が防衛力整備という論点から先行し、防衛費の増減だけが論点となっている様にも思うのです。そして防衛費を増額したとしても、防衛力整備の方向性が曖昧では結局無駄が生じます、すると防衛力整備の方向性が肝要でないか。

 自衛隊ではF-4ファントムこそ遂に昨年完全退役となりましたが、航空自衛隊には1981年から配備開始された、つまり41年前からだ、F-15戦闘機が数の上では主力です。対戦車ヘリコプターAH-1Sは後継機の調達が中断したまま耐用年数を迎え用途廃止、兎にも角にも防衛予算は増えない中で任務だけが増大し、結果、それまでの装備が更新できていません。

 防衛費は、そもそも物価上昇が論点になっているのですから防衛費をそのままとした場合は防衛力は自然減となります、つまり減額する選択肢以外に現状維持というだけで防衛力は着実に瓦解してゆきますので、防衛費を増やさない選択肢を採る場合には、有事の事は考えない、その時に国民が命がけで頑張ればよい、という無責任な政治主張となります。

 しかし、増額するにしても方向性が重要です。AH-1Sの問題を提示しましたが、政治決定と呼ばれる調達として、防衛省はMV-22可動翼機17機を導入しました、これは優れた装備ではあるのですが、優先度としてはAH-64E戦闘ヘリコプターを先行調達すべきでしたし、また、AH-64D調達を中断した事で違約金351億円が発生した歴史を忘れています。

 防衛費増額、最大の課題は島嶼部防衛とミサイル防衛により増大した任務に対し予算を増やさなかった事です、もちろん、原爆なんて打ち込まれても怖くないのでミサイル防衛反対、沖縄なんてどうなっても良いので島嶼部防衛反対、こういう論点はまさか日本の政治家には居ないでしょうが、任務が増えた分、人員と予算を増やす手間を省いていました。

 防衛力を支える防衛産業は調達を大幅に削られ生産維持は崩壊し、撤退が相次ぐ事で現行装備品の維持にも苦労しています、唯一の処方箋はせめて1990年代並の数を調達するか、覚悟を決めて政府が輸出を後押しするかです。ただ、こうした論点ではなく、金額だけが論点となっている。予算は必要ですが、何をする予算なのかが本来先に在るべきでしょう。

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【京都幕間旅情】光明院,広がりゆく東福寺の金山明昶和尚開いた塔頭で見上げる青空と撮影後に巡らせる関心

2022-06-22 20:22:00 | 写真
■拝観後の関心は写真から
 光明院は美しい庭園と落ち着く時間が禅寺の風情に共感を与えてくれるのですが、撮影しました写真とともにその歴史を調べますと専門家ではない故に限界を感じるところ。

 東福寺は京都最大の寺院となる事を願い嘉禎2年こと西暦1236年から19年間を要して造営された寺院です。東福寺の伽藍面、こう呼ばれますのは巨大な三門や法堂、創建当時には五重塔も並んだ、壮大伽藍故でしたが、塔頭寺院となりますと、そこには静けさが。

 摂政九條道家が東大寺と興福寺から一文字づつを用いて造営した寺院、これは当時最新の仏教である禅宗、武家と結びつき鎌倉時代に急成長を果たした禅宗の寺院を貴族が造営するという大きな意義がありました、九條道家は鎌倉幕府四代将軍藤原頼経の実父でもある。

 光明院はその東福寺に在って明徳2年こと西暦1391年、金山明昶を招き創建された塔頭です。東福寺造営が嘉禎2年こと西暦1236年ですので、広がりゆく東福寺の塔頭という一つでした。東福寺はいまをもって京都最大の寺院、こう呼ばれるのですが当時は更に広い。

 塔頭寺院は現存するものは25塔頭、しかし、幕末の頃の塔頭寺院は70に迫ったといいまして、廃仏毀釈により規模を徐々に縮小し、今に至ります。しかし、この東福寺の界隈を散策し巡りますと広さに驚かされるものでして、夕刻に門扉が閉まるのは寂しいものです。

 退耕庵、同聚院、芬陀院、永明院、龍吟庵、即宗院、南明院、正覚庵、桂昌院、荘厳院、天得院、一華院、霊雲院、大機院、善慧院、霊源院、栗棘庵、海蔵院、龍眠庵、盛光院、勝林寺、願成寺、東光寺、万寿寺、塔頭寺院はこう並びまして、今なおというひろまりが。

 同聚院と芬陀院、そしてここ光明院のように一般公開されている塔頭もありますが、一般公開されていない塔頭も多く、しかし秋の時期などに特別公開を行っています塔頭もあります。勝林寺さんなどは特別公開でも写真を自由に撮影できたりしまして、思い返せる。

 勝林寺さんは、これは改めて紹介したいところですが、良いところ。特別公開の寺院というものはこの少林寺壇の様に撮影出来る場所は逆に少数派で、見せてやっているのだから的な視線であるも、拝観料を奉納して後に撮影禁止を知らせる寺院などがあり、欲しいのはカネか、というところも名は出さないが、ある。

 勝林寺さんを見習ってほしい、拝観に来ているのであって物見遊山に来ているのではない、しかし写真を撮影できるものがあります寺院とそうでない寺院とでは、正直思い返して歴史や由来を調べる機会があるか、変な思い出だけ残るのかという違いがありまして、寺院側ももう少し考えてほしい。

 金山明昶さん。ここ光明院を創建されました開山の高僧ですが、なかなか調べようとしましても一筋縄では参りません、いや近くに龍谷大学があるのだから聞けよ、と思われるかもしれませんが、今はコロナの敷居もありますので、そのように一筋縄ではいかないのですよね。

 萬年山極楽寺、十年ほど前にこの寺院から明祖禅師六百年遠諱記念にあわせ金山明昶和尚語録という研究論文が発表されています。このお寺は兵庫県豊岡市城崎町湯島にあります臨済宗大徳寺派の仏教寺院でして、金山明昶が開山となり造営された歴史があるという。

 城崎まで歩み進めれば、もう少し金山明昶和尚の人となりや歴史とも巡り合えるのだろうなあ、こう思いつつ、しかし改めてコロナ対策とはいえ光明院の受付が門扉を閉ざしている現状を寂しく思うものです。歴史との出会い、なるほどこれも今は距離の時代なのだ。

 波心の庭を眺めつつ、そして幾度もこの情景を季節とともに時間を過ごしつつ、そんな御寺も知っているようで何も歴史を知らないのだなあ、と改めて思う次第です。Webでいつでもわかりそうな時代、インターネットでも限界、そんな事をふと心地よくも感じますね。

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