臨時情報-日本海弾道弾落下
北朝鮮は25日0653時頃、朝鮮半島北西部平安北道の泰川付近から弾道ミサイル一発を日本海に向け発射しました。飛翔距離は600kmとの事ですがミサイルによる船舶や航空機への被害などはありません。
平安北道泰川付近から発射された弾道ミサイルは到達高度60kmで水平飛行距離600kmを飛翔し日本海に落下したとのこと。韓国は本日26日よりアメリカの原子力空母が参加する合同演習を予定しており、バイデン大統領も訪韓予定、此処に照準を絞っての示威行動と見られます。弾道ミサイルは最高速度がマッハ5程度、変則的な軌道を採り落下しました。
変則機動、北朝鮮が現在開発を試みているのは日米のミサイル防衛システムを回避する為の次世代ミサイルです。これは弾道ミサイルは発射すると宇宙へ向け上昇し放物線を描く様に目標へ到達するという方式、第二次世界大戦中にドイツ軍がイギリス本土へ撃ちこんだV2ミサイルと基本的に同じという状況から脱却することがその目的といえましょう。
弾道ミサイルが放物線を描く限り、上昇段階の数カ所をレーダーにより標定する事で大まかな落下予想地域が判明する為、迎撃ミサイルを展開させやすくなるのですが、不規則軌道を描いた場合、何処に落下するのかが分りにくくなりますし、宇宙空間に向けて上昇するのではなくより低い高度を飛行するならば、レーダーに発見されるまで時間を稼げます。
しかし、技術的には非常に難しいのです。何故ならば弾道ミサイルは高い高度まで上昇する事が目的ではなく、高い高度から落下する際に音速の十倍前後、衛星軌道よりも上に到達するミサイルでは音速の二十倍以上の速度を発揮します、が、この速度で不規則軌道を行う事は、自動車が最高速度で小刻みな蛇行運転をするような、分解の危険が生じます。
変則的な軌道をミサイルが分解しないよう実現するには、弾道ミサイルの速度を落とせばよいのですが、弾道ミサイルが迎撃しにくい要因はその速度にあるのですから、速度を落とせばミサイル迎撃システムにも捕捉されやすくなり、不規則な軌道を高速と両立させる技術が、求められている、だからこそ北朝鮮はミサイル実験を繰り返しているのでしょう。
日本のミサイル防衛については、課題です。北朝鮮の様な核保有国の核ミサイルへの恫喝は、従来であればこちらも同等の核戦力を配備し相互確証破壊、相手が撃ちこむならばこちらも核を使うと示唆する方式が冷戦時代に用いられてきました。しかしミサイル防衛という、相手が撃ちこもうとするならば命中する前に迎撃するという選択肢を拓いている。
ミサイル防衛ですが、不規則な軌道を採る弾道ミサイルに対しては、探知技術や中高度での迎撃ミサイル等を併せて開発する必要があります。防衛費を節約だけしたいならば報復戦力という選択肢は無いわけではないのですが、日本は核兵器を保有しないという国民的合意のもとで安全保障政策を一貫しています、すると迎撃技術を高めなければなりません。
ミサイル防衛は巨額の費用を要しますが、逆に従来のミサイルならば迎可能な能力を日本が整備したからこそ、北朝鮮は新技術を開発しようとしている。北朝鮮に核兵器と運搬手段である弾道ミサイルを放棄させる強制手段を執らない事も日本国民の世論の一致するところでありますから、防衛費は高くなるのですが、今後も迎撃技術を強化してゆく必要があるのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
北朝鮮は25日0653時頃、朝鮮半島北西部平安北道の泰川付近から弾道ミサイル一発を日本海に向け発射しました。飛翔距離は600kmとの事ですがミサイルによる船舶や航空機への被害などはありません。
平安北道泰川付近から発射された弾道ミサイルは到達高度60kmで水平飛行距離600kmを飛翔し日本海に落下したとのこと。韓国は本日26日よりアメリカの原子力空母が参加する合同演習を予定しており、バイデン大統領も訪韓予定、此処に照準を絞っての示威行動と見られます。弾道ミサイルは最高速度がマッハ5程度、変則的な軌道を採り落下しました。
変則機動、北朝鮮が現在開発を試みているのは日米のミサイル防衛システムを回避する為の次世代ミサイルです。これは弾道ミサイルは発射すると宇宙へ向け上昇し放物線を描く様に目標へ到達するという方式、第二次世界大戦中にドイツ軍がイギリス本土へ撃ちこんだV2ミサイルと基本的に同じという状況から脱却することがその目的といえましょう。
弾道ミサイルが放物線を描く限り、上昇段階の数カ所をレーダーにより標定する事で大まかな落下予想地域が判明する為、迎撃ミサイルを展開させやすくなるのですが、不規則軌道を描いた場合、何処に落下するのかが分りにくくなりますし、宇宙空間に向けて上昇するのではなくより低い高度を飛行するならば、レーダーに発見されるまで時間を稼げます。
しかし、技術的には非常に難しいのです。何故ならば弾道ミサイルは高い高度まで上昇する事が目的ではなく、高い高度から落下する際に音速の十倍前後、衛星軌道よりも上に到達するミサイルでは音速の二十倍以上の速度を発揮します、が、この速度で不規則軌道を行う事は、自動車が最高速度で小刻みな蛇行運転をするような、分解の危険が生じます。
変則的な軌道をミサイルが分解しないよう実現するには、弾道ミサイルの速度を落とせばよいのですが、弾道ミサイルが迎撃しにくい要因はその速度にあるのですから、速度を落とせばミサイル迎撃システムにも捕捉されやすくなり、不規則な軌道を高速と両立させる技術が、求められている、だからこそ北朝鮮はミサイル実験を繰り返しているのでしょう。
日本のミサイル防衛については、課題です。北朝鮮の様な核保有国の核ミサイルへの恫喝は、従来であればこちらも同等の核戦力を配備し相互確証破壊、相手が撃ちこむならばこちらも核を使うと示唆する方式が冷戦時代に用いられてきました。しかしミサイル防衛という、相手が撃ちこもうとするならば命中する前に迎撃するという選択肢を拓いている。
ミサイル防衛ですが、不規則な軌道を採る弾道ミサイルに対しては、探知技術や中高度での迎撃ミサイル等を併せて開発する必要があります。防衛費を節約だけしたいならば報復戦力という選択肢は無いわけではないのですが、日本は核兵器を保有しないという国民的合意のもとで安全保障政策を一貫しています、すると迎撃技術を高めなければなりません。
ミサイル防衛は巨額の費用を要しますが、逆に従来のミサイルならば迎可能な能力を日本が整備したからこそ、北朝鮮は新技術を開発しようとしている。北朝鮮に核兵器と運搬手段である弾道ミサイルを放棄させる強制手段を執らない事も日本国民の世論の一致するところでありますから、防衛費は高くなるのですが、今後も迎撃技術を強化してゆく必要があるのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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