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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

成育史って何だろう?太宰治の年譜を見つつ・・・(受容の不思議 4/10)

2011-10-13 | 第四章「愛とゆるし」

 先日、内田樹さんの「最終講義」のなかに倍音の話(音響のある状態で、聴衆がおのおの自分自身で聴きたい音を見つけやすくなる現象。あたかも奏者が聞き手の為にピッタリとした音楽を提供するように聞こえる・・・)があり、文学者の太宰治と村上春樹も倍音的という記述があった。

 太宰治は学生時代に、斜陽や人間失格は読んでいたものの、新しい視点から読むとどうなのか・・・興味を持ってしまい、先日古本屋さんで日本文学全集(河出書房)(2冊)を買ってしまった(読む本が沢山あるのに・・・でも、止まらない!)

 最近は、本を最初から読むのではなく、後ろのほうに載っている著者の年譜を熟読する味を覚えた(ついでに自分史年表(出窓社)で時代背景もチェック)。生き甲斐の心理学でエリクソンの人格形成論を学んでいるので、作品理解にとても役立つ。今、並行して読んでいる吉川英治の新平家物語も、青梅の吉川英治記念館で略歴や、どんな生活をしていたかを知り、興味が倍増したことが。因みに、吉川英治さんの幼年から青年時代くらいまでは、想像すらできない厳しい環境のようだ(父の事業の倒産・・・)、大文豪の成育史がこんなに惨めだったのかと感動。

 太宰治の成育史は、津軽の名家に誕生し病弱の母のもと、乳母や子守に育てられる。そして、7才から13才まで成績は全甲。14才で貴族院議員であった父が亡くなる。その年には関東大震災も。18才で傾倒していた芥川龍之介の自殺、この年は昭和恐慌始まりでもある。20才のとき(この年世界恐慌始まる)に自殺未遂。。21才で東大入学、非合法活動、愛人と自殺を図り、愛人が死亡。・・・

 そして、成育史とは何か、ちょっと考えてしまった。確かに、みじかな人との関係も大きいが(父の死や、兄弟の死)、背景の時代の雰囲気も劣らず大きいようだ。また、年譜では読み取りにくいが、どっぷり浸かっている日本文化の歴史。さらに、人類の歴史。生命の歴史。地球の歴史。宇宙の歴史も、大きな影響を与えているのだろう。

 さて、太宰治というと自殺未遂の繰り返し、病的・・・とマイナス・イメージが大きかった(年譜を読む前の私には)。しかし、年譜から分かったことで、氏は結局39歳(昭和23年)まで生きるのである。調べてみると昭和23年の平均余命は50.06歳(男性)。平成22年で79.64歳なので、単純に今の感覚だとどうか比例計算してみると、62歳である。時代の感覚では夭折ではないのだろう。

 比例計算はさておいても、ちょっと視点を変えると、太宰治は、結構逞しく生き抜いてきたようだ。

 それは、いったい何だったのだろうか。刺激的なテーマでもある(また、途中結果を書きますね)。

受容の不思議 4/10

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