抑圧より数段軽い感情抑制が抑制とされている。損得や周りの配慮して我慢するのが防衛機制でいう抑制。これは、大人になると一日の中でも頻繁に出てくる機制であり、それを欠くと厳しいめにあうことも。
自分のことを振り返ると、幼いころからの両親や兄弟をはじめ身近な人との関係で抑制を経験したが、意外と鮮烈なのは職業に関わる(生き甲斐といっても良い)ものではないだろうか?
私も9年前に某会社を辞めたが、28年以上の会社生活からくる抑制の影響から抜け自然体に近くなるまでには2-3年くらい時間が必要だった(感情の表出で判るが)。逆に、そんな仕事をする前の子供から青年(高校から仕事に就く方も当時は多かった)になっていく過程で、いつ職業を五感を伴い意識しだしたかは大切なポイントだと思う。皆さんはいかがですか?
私は、中学校1年のころ技術家庭の授業を受けていたあるときの記憶が鮮烈だ。今まで関心もなかったエンジンの勉強とか、興味の湧かない分野を勉強するのは嫌だった。楽しい分野もあったが。いろいろ我慢したり驚いたりしつつ、自分の職業感がちょっと開かれてきた瞬間かもしれない。13歳はエリクソンの人格形成論(13歳から22歳)からいうと忠誠心の時期でアイデンティティや自己混乱感が育つ時期である。
さて、心理学の理論を知っているのだろうか、当時は見たこともなかった本が登場している。13歳とか中学生くらいを対象にした職業に関する本である。そしてごく最近、不思議な縁で一冊は知人から頂戴し、一冊は古本屋で偶然見つけた。読んでみるとなかなか素晴らしい。著者のほとばしる熱意を感じてしまう。職業選択をうまくすると、心理学的には自分の個性からくる欲求や志向性を上手く昇華したり補償したりできるか、失敗すると常に我慢の抑制・抑圧系になってしまう(それでも、職を得て生き抜くのは、それを補うメリットもたくさんあるものだが)。
昔のような終身雇用の時代は終わり、欧米並みに仕事を変えたりすることがふつうの時代である。今後の職業を考える上でとっても参考になるので2冊を紹介してみたい。
一冊目は、「13歳のハローワーク」(村上龍著 絵:はまのゆか 幻冬舎)である。殆どすべての分野の職業を紹介されているが、視点が新鮮で素晴らしい愛情溢れる本だ。ただ、ほかの職業紹介本も同じだが、すべての業界を深く知りつつ解説するのはいくら有能な人であっても厳しいところがあるので、盲信はどうかと思うが、最初の一歩として良いと思う。さすがと思ったのは、文章が好きな人への職業紹介。さすが小説家を職業にされているので深い。だが、外の分野でも読んで楽しく、還暦の私でもうきうきし世界が広がるようだ。
二冊目は、「地球を救う仕事」(くさば よしみ編著 汐文社)。激動の時代では、従来の職業とは別に新しい分野も出ている(NPOやNGOなど)。瀬谷るみ子さんの、武装解除のお仕事なども紹介されていて迫力がある。
心の柔軟体操 4/10