物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

円周率の決定2

2012-08-22 12:39:44 | 数学

バビロニアの数学での円周率の決定のことだが、昨日のブログに付記をしたのでそれでいいのだが、今日は書くこともないのでちょっと述べておこう。

円周率そのものは室井さんの求めた3.15でいい。彼にはもうわかっていることなので、新しいことではないのだが、私のわからなかったのはつぎのことであった。

ある近似ではあるが、円弧とその弦で囲まれた面積はその円弧の中心角が120度であると、その面積Sは

S=(b/7)(2a-b)

と表される。ところが室井さんの発見したバビロニアの数学でのこの同じ部分の面積の式は

S=b(a-b)

であった。

あまりに見かけが違いすぎるので、私はどうしてこの二つの式が等しいのか不思議に思った。それで数日考えたのだがわからない。

そのうちにこの二つの式が等しいとすると円周率が決められるということがわかったので、それを求めてみると室井さんのいう通り3.15が与えられることがわかった。

それでも上の二つの式が等しいことはどうしてかわからなかった。それで円の半径がある値のときには上の二つの等式が成り立つが、他の円の半径のときにはその近似が違っているのではないかと思うようになった。

それで半径を変えて、同じ近似で計算をしてみると私の予想に反して、数値的にぴったりとこの二つの式の与える式が等しいことを計算で見つけた。

それではこれらの式は中心角が120度という、ある特別の場合ではあるが、等しいことを代数的に示せるに違いないと思った。

それで、二つの式の違う部分を等しいとおいて、その式を簡単にしていくと、

5a=6b

が成り立つことがわかった。

もともとのa/bの比の正しい式で円周率として3.14を代入してその値を求めてみると1.19・・・できわめて1.2に近いことがわかった。

いま中心角が120度の場合のa/b=6/5=1.2が近似的に成り立つ。ではこの条件を用いれば、二つの式の等しいことは証明できるはずだし、また、実際に証明できる。

以上が、私のお粗末な経験であった。世の秀才の先生方にはこんなことは自明なことであろうが、自分で納得することの難しいことを知った昨今であった。