「レントゲンとX線の発見」というタイトルでエッセイを書こうとしているのだが、どうもまったく筆が進まない。
放射能の研究で有名なマリー・キュリーの伝記「キュリー夫人の素顔」(共立出版)にX線の発見の社会への衝撃を記述したところがあったので、「はじめに」のところにそれを引用した後、何を書いていいかさっぱりわからなくなった。
現在ならば、放射線の影響は大問題だが、マリーが博士論文のテーマを探していたころは原子核の放射能の問題はまだほとんどの人に注目をされていなかった。
それはX線の発見が社会に衝撃を与えたのとは対照的であった。そして、マリーはそのあまり人目のつかない分野の開拓者の一人となった。
その後原子核の研究の指導的研究者となったのはラザフォードである。それから、その後はハーンであろう。
もちろん、放射性元素の研究でのマリーの地位とか、その子どものイレーヌ・キュリーやジョリオ・キュリーの地位は揺るがないが、やはり指導的立場はラザフォードとハーンであろう。
X線もアルファ線、ベータ線、ガンマ線も放射線であるが、どこがどのようにちがうのか一般の人はご存じだろうか(注)。
X線は原子から放出され、アルファ線、ベータ線、ガンマ線は原子核から放出される。
これはこのブログでも授業のタネとして書いたことがあるが、はっきりと知っておかなくてはいけない。
(注)X線とガンマ線は電磁波であり、アルファ線、ベータ線はそれぞれ原子核から放出される、アルファ粒子(ヘリウム原子核)と電子である。だから後の2つは粒子線である。