近視の眼を矯正するメガネを最近新調した。このことと科学との関係をちょっと記録しておきたい。
前にメガネをつくったのは14年前のことだったが、そのときにメガネの取り扱い方について注意を受けたのを覚えている。それはメガネをもつときにはどちらかの「ツルの片一方の部分だけをもたないように」という忠告であった。それは片一方のメガネのツルだけをもっているとメガネの他の部分の重さで力のモーメントが働き、ねじの部分に負荷がかかってよくないというのであった。もっともこういう合理的な説明がついていたかどうかはあまり覚えていない。これは力学の初歩の知識かもしれないが、なるほどと思ったことであった。
今回はその注意に加えて「メガネを洗うときには水で洗ってください」という注意であった。もちろん熱湯で洗う人はいないが、温湯で洗うのがいいのかと思っていたのでちょっと意外だった。
メガネの素材は以前はガラスだったが、いまはプラスティクになっており、紫外線カットのためのコーティングがされている、湯でメガネを洗うとコーティングの部分とメガネの本体とが材質が異なるので、その膨張率が異なるからメガネのレンズに亀裂が入る恐れがあるという合理的な説明であった。
これは「どうして」と聞いたから教えてくれたのかもしれないが、メガネ屋さんで感心させられたことの一つである。もっとも昔使っていたメガネはネジが緩んで来て小さなドライバーでしばしば絞めたりしたことがあったが、ここ10年以上使ってきたメガネはネジが緩んだりしたことはなかった。
それでもそういう注意をメガネの取り扱いとして教えてくれる、店員さんたちのちょっとした科学教育の素養を感じさせられたことであった。
ちなみにメガネを取り扱う人たちに必要な国家資格というのはまだないそうだが、それでもそれなりの教育とか資格が必要であるらしい。私の知人・友人の一人にそういう学院で教えておられた方がいると私の方でも話してから、店を出た。
そういえば、先回のメガネをつくったときにはドイツ人の R 氏の弟さんがドイツでのメガネのマイスターであることとか、もし彼が松山に再度来たら、このお店に連れてきてもいいなどと話した覚えがある。メガネのマイスターはOptiker(オプティカー、光学家)と言われる。
ドイツでマイスターは尊敬される地位の一つであるのは言うまでもない。