だと先週の日曜日の朝日新聞の読者欄に荒俣宏さんが書いていた(注)。けた外れの人物だったということらしい。そのことは別にいいことだと思うし、別に熊楠の研究が流行ったり、出版物が発行されたりすることは大いに結構である。
だが、私などは熊楠などとは違うが、武谷三男とか遠山啓とかの研究がもっと進むべきだと思っている。熊楠を掘り起こしたのは鶴見和子さんだったという。この研究で鶴見和子さんは朝日賞を受けたはずだ。
吉本隆明の全集が昌文社から発刊中である。彼の全集が出るためには彼の著作とかエッセイとか論文とかを丹念に集めて整理したある編集者の尽力が昌文社を動かしたとどこかで読んだ。
前にもこのブログで書いたことがあるが、吉本隆明全集の発行にかかる費用は2億数千万円だと見積もられていると新聞だったかで読んだ。それこそ晶文社は社運をかけて全集の発行をしている。
同じようなことが遠山啓とか武谷三男には起こらないとすれば、それは日本の大きな損失であろう。
(注)ときどき私に「あなたとよく似た人がテレビに出ていたよ」と言われる。「ああ荒俣宏さんですね」というのだが、彼は私よりも8歳も年下である。もっとも世間的に有名なのは荒俣さんであることはいうまでもない。