というのは遠山啓が将来の学校はどちらかになるだろうと言った。自動車学校型の学校の最たるものはもちろん自動車学校ではあるが、大学入学のための予備校もそうだろう。大学に入ってしまえば、そのどこの予備校に通ったかは何の経歴にもならない。
もっとも昔、高校時代の友人が早稲田大学に入ったときに入学匆々クラス会が開かれたときに、どこの予備校に通っていたとか経歴が披露されたという。それを言わなかった人にはお前はどこの予備校に通ったかという質問が寄せられたと聞く。
彼は東京大学を目指していたので、駿台予備校に通っていたと思う。その後では、この予備校に通って東京大学を目指してそこには入れなかった人も存じているけれども、そこで物理はあの山本義隆氏から教わったと言っていた。もっともそのことを話してくれたN 君は若くして亡くなってしまった。若い物理学者として希望にあふれていたのに残念なことだった。
と一瞬思ってしまった。というのは新緑がまだ出そろってなくて、城山の木の大部分が黄土色になっているからだ。それで城山ががけ崩れで土が露出しているように思えたのだ。
だがそうではなかった。城山に生えている気が黄土色になっていたのだ。こういうことは以前には一回も見たことがないと思う。
一部はそういうふうになることはあったが、城山の木の大部分がその黄土色になることは見たことがないように思う。びっくりした。いずれ数日経つか、1週間ほどすればまた緑の濃い木の葉になるだろう。
城山は勝山という山にある城だという。そして松山というふうに城山の木は松が昔は多かったらしいが、いまでは椎の木が大部分で松山ではなく、椎山になっているという話を以前に聞いたことがある。
ピノモンテというレストランが一番町のホテルにあるが、これはピノが松を意味し、モンテは山を意味するイタリア語であるという。なるほど、なるほど。単にイタリア語にしただけだが、もっともらしく聞こえるから不思議である。
城山の方から吹いてくる風も独特の新緑の匂いがしている。これも毎年のことだが。
