としては3つあるといわれる。
一つは行列のランク(階数)を求めること、私などは大学の数学といえば「線形代数と微分積分学」の2つになる以前に学生時代を送ったので、行列のランクの概念がわからなかった。
最近では1次連立方程式の係数行列とその拡大行列を、行列の基本変形という手段で階段行列に変形していくが、その変形によって、行の要素がすべては0ではない階段行列の数がその行列のランクである。
もし、係数行列とその拡大行列のランクとが等しく、さらに1次連立方程式の未知数の数とが等しいときには1次連立方程式は解が一意的に決まる。
しかし、係数行列と拡大行列のランクが等しくてもそのランクが未知数の数よりも小であるときには1次連立方程式の解は無数にある。
また、係数行列のランクが拡大行列のランクよりも小さいときには1次連立方程式の解はない。
これが線形代数を学ぶ一つの山の第1のものである。
つぎの線形代数の山は固有値を求めることである。これが線形代数の第2の山である。
そして第3の山はいうまでもなく、行列のジョルダンの標準形への変形であるという。
第3の山には到達しないとしても線形代数を学ぶならば、すくなくとも固有値を求めるところくらいまではやっておきたいというのが、線形代数の学習の目標になっている。
私などが大学では学ばなかった行列の基本変形が普通にどの大学でも少なくとも線形代数を学び人には教えられるようになっている。このことを知ったのは大学のときに有限要素法のセミナーを学生としていたときに、学生から教わったものである。
私が自分の大学時代での数学の学習では、行列のランクをまったく理解できなかったのが、目で見えるような形で行列のランクが定義されているのを知った。大学の数学教育も進んでいることをはじめて知った機会であった。