に気がかかりはじめた。これについてはいままでにまったく気にしたことがなかったのに。
ある四元数の絶対値とその共役四元数の絶対値が等しいということを私の書いた『四元数の発見』(海鳴社)の第1章で使った。これがちょっと気になったという始末の悪い話である。
もちろん、|x|=|\bar{x}| という事実は間違いがないと思う(ここで、x: 四元数、\bar{x}: 四元数x の共役四元数)。それでいくつかの方法でそれを示しておきたいという気がし始めた。いつもの私の厄介なとりこし苦労というか自分の頭の合理性を疑う心が生じている。こういうことをだれが気にするのだろうと思うのだが、やはりいろいろな方法で確かめておかねば気が済まなくなった。
このことは今書いているエッセイに書くことはあまりにも馬鹿なことのようだが、それを書いておきたいという下らない気持ちが抑えられなくなった。もちろん、話の筋からは外れるので、付録とか補遺に載せるつもりである。
(2018.7.28付記) 複素数 a の共役複素数 a* があれば、それらの絶対値をとれば、|a|=|a*| であることは当然である。そのことは四元数においても成り立つ。これが私も当然としてきた事実である。それが気になりだしたということを上で述べた。
複素数ならばaとbとの積 (ab)*=a*b* である。ところが四元数では (XY)*=Y*X* であり、(XY)*=X*Y* とはならない。これは元の積 ij, jk, ki の反交換性からも予想されるところである。