物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

On n'a jamais qu'une seule grande id'ee dans sa vie.

2018-11-27 12:32:33 | 日記

これはどう読んだらいいのか。オンナ ジャメー キュンヌ スル グランディデェ ダン サ ヴィーとでも読めようか(カタカナの発音はフランス語に不案内な人へのヒントであるから、フランス語のお得意な方は読み過ごしてほしい)。意味は「人はその生涯にせいぜい一つの大きなアイディアをつかむのみである」である。

これはLouis de Broglieのobituaryとして故高林武彦が物理学会誌に書いたエッセイのはじめの引用である。

de Broglieは電子の波動性を提唱して、量子力学の一つの形式の波動力学の端緒をつくった学者であるが、波動力学の完成にはSchr"ondingerによる寄与が大きい。

量子力学史書によれば、電子の波動性をde Broglieは提唱したが、そこには波動方程式もでてこず、その論文を紹介することをSchr"odingerに頼んだ、Debyeはその論文を原始的な論文だと評した言われている。

しかし、誰もde Broglie以前にはそういう電子の波動性を考えた人はいなかったのだから、やはりその発想は独特で天才的である。

タイトルの文章はde Broglieが自分の80歳の記念の会で述べたと高林さんは書かれている。de Broglieによれば、これはBergsonの言だという。

物理学を学んだ人ならば、量子力学の形式は行列力学とか波動力学とかはたまた経路積分による定式化だとかあるのを知っているが、そのうちの波動力学はその数学的な近づきやすさのために大いにその普及に力があった。

ファイルキャビネットの一番下の引き出しを開いてそこにあるを書類を引きだしてみたら、このような高林さんの書いたL. de Broglieのobituaryのコピーが出てきた。これもなにかの縁かもしれない。