虚数単位の i の意義が認識されたのは、カルダノの3次方程式の解の公式が得られてからであるということはいつか数学エッセイに書いたことがある。
ところが、カルダノ自身はそれでも虚数単位の i の意義はわからなかったということを、昨日借りて来た『ヴィジュアル複素解析』(培風館)で知った(注)。
この本は複素解析のテーマの本であり、ちょっと大学の複素解析の普通のテクストとしても使える。多くの図があってなかなか面白いが、それでも複素解析が簡単にわかるという気はしない。
私の現在の関心事は「解析接続と分岐点」にある。解析接続については「鏡映による解析接続」の詳しい説明があるが、まだよくはわからない。
「関数関係の保存法則」とかの説明もあった。もっとも解析接続の方法に十分に焦点があたってはいないので、まだまだ不十分の感じがする。しかし、別の見方を提供しているのは確かである。
(注)「数学・物理通信」5巻3号「虚数とカルダノの公式」を参照せよ。「数学・物理通信」はインターネットで検索すれば、すぐにこの情報に到達する。