「加法定理の導出いろいろ」といタイトルではないが、それに相当した論文が書かれていることを知った。
これは池内仁史(ひとし)さんという埼玉の高校の先生が書かれたものである。たぶん数研出版の雑誌「数研通信」に導出法が紹介されている(注1)。
ただ、まだくわしくよんでいないが、それにまだ私の知った導出法を2つか、3つ付け加えることができるだろう。
私が小著『数学散歩』(国土社)に「加法定理の証明いろいろ」書いたときには4つくらいしか紹介できなかったが、いろいろ導出法はたくさんあるものだ(注2)。
たとえば、Eulerの公式による加法定理の導出はそれを導くときに加法定理を使っているから、循環論法であるという議論もある。もっともこれは加法定理を使わないでもEulerの公式を導出できるという議論もある。
私はEulerの公式による導出も、ある種の記憶法ということでこれも意味があるという立場である。
(注1) この池内さんの論文は決定版的であるので、まだ何かすることは残っていないという見方はあるだろう。
(注2) 「加法定理の証明いろいろ」は『数学散歩』(国土社、2005)に掲載されたが、これを愛数協の機関誌「研究と実践」に掲載したのは『数学散歩』の出版をさかのぼること10年の1995年9月であった。愛数協は数学教育協議会の下部団体である。