岩波書店の雑誌『図書』に俳人の夏石番矢さんが「世界的な詩としての俳句」という
タイトルでエッセイを書いている。
その中からいくつか無断引用で紹介しておこう。
ながながと川一筋や雪の原 野沢凡兆
この英語訳は
A single river, stretching far
Across the moorland in snow.
この句の日本語反訳は
一本の川、はるかへ続いている
雪(でおおわれた)の荒れ地を横切り
である。
つぎはフランス語での俳句である。
Nu comme un dieu.
Au galop dans la prairie,
Il fait la r'eaction.
日本語訳は
神のように裸、
草原でギャロップ、
彼のからだはほてる
である。
Pleine lune,
Sur les nattes,
L'ombre nette du pin
日本語訳は
満月。
茣蓙の上、
松の影
である。
もう一つだけ紹介しよう。
A moiti'e petite,
La petite
Mont'ee sur un banc.
日本語訳は
半分小さい
童女
ベンチにあがって
である。
もう少し俳句が出ているが、別の機会に紹介しょう。