物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

核禁止条約が発効されるようになった

2020-10-26 12:45:06 | 本と雑誌
国連の場で議論されて、条約が締結された核兵器禁止条約が国連加盟の50か国の批准を得て、90日後に発効することになった。

これは画期的なことである。ところが唯一の被爆国である日本ではこれを批准していない。

日本はアメリカの核の傘(nuclear umbrella)の下にあるという理由で批准をしていないらしいが、現在の国際情勢を全く読み誤っている。

確かに大国は核保有国をはじめとしてこの核兵器禁止条約の批准をしていないのだが、これらの国は現在の小国の意向に完全に反しており、それはとても旧式の世界意識なのだということを知らねばならない。

確かに現在も核兵器を多量に持つ大きな国があり、それを気にして核兵器を自分の持とうしている小さな国、北朝鮮のような国もある。

核兵器をもつことが時代遅れの力の考えであるということを私たちは知らねばならない。

人を殺すことにしか使えない核兵器は人類のためにはならないのだという思想が早く世界全体のスタンダードにならねばならない。軍事的な力で他国や他民族を脅かす国や民族が、人類史上で高邁な理想に燃えた国であるとはいえない。

いわゆる自分のもつマインドセットを、そういう風に転換しなければならないときがもう来ているのだ。

世界で少なくとも軍隊を憲法で持たないことを宣言している国は一つか二つしかないが、それは人類の未来を見通したすごく高邁な思想である。その思想がいかに大切なのかをもう一度かみしめるときであろう。


生き生きとしたイメージが抱ける数学

2020-10-26 11:55:54 | 本と雑誌
生き生きとしたイメージが抱ける数学を目指して日ごろそういうものができないかと思っているのだが、なかなかほど遠い。

昨週の土曜日の午後、そういう中学数学の一環として負数と虚数の導入について話した。

イメージができたと言ってくれる人は誰もいなかったが、すこしは私が密かに持ち続けている数学のイメージの一端を示すことができたと思う。

数学だってそれを考えだした人がおり、その人はどういう気持ちでその数学的概念をつくったかをできるだけ示すことができるようにならないものかという気持ちだけが常に私の心の中にある。

ある数に負の数(-1)を掛けることは実数を表す、実数直線を原点Oの周りに180度回転することであり、虚数iを掛けることは元の複素数を原点Oのまわりに90度回転することである(注)。

もちろんそういうことがキチンと言えることを知るためには複素数の極形式表示を知る必要がある。

しかし、複素数の極形式を導入しないでも上の説明は直観的にだれでも理解できるはずである。

このブログでは言葉で書くので、理解が難しいが、図で描いて言葉で説明すればだれにでもわかるはずである。昨日集まった人たちは若い人ではなかったのでもちろんそのイメージが描きにくいという苦情は私の妻からもでなかった。

関心をもたれた数学の専門家ではない人は「数学・物理通信」10巻4号の「複素数の導入」をインターネット検索して読んでほしい。少しは難しい数式を書いてあるが、上に書いた事実はスキップしても十分理解できるはずである。

土曜の説明でもそこは説明には入れていない。

(注)このことは、すでに遠山啓先生の岩波新書『数学入門』上に述べられているのだが。