また3月11日が巡ってきた。これは日本の全国民の感慨でもあるだろうが、私にはちょっとやりきれない経験でもある。
もちろん、私自身が東北地方の地震津波の被害者であるわけではないのだが。理由はこういうことである。
私はNHKのラジオの聴取者の一人である。そして、ドイツ語とかフランス語とかの講座の聴取者でもある。
そのために一日のうち何時間かをラジオをつけぱなっしで聞いている。10年前の午後も同じであった。途中で地震速報が入り、すべての定期番組はなくなった。
それでたまたまそのときに手元にあったタブレットをつけてみたら、ヘリか飛行機が飛んでいて、同時中継をされていた。これが名取市の上空であった。期せずして津波が押し寄せてくる様子をオンラインで見るという経験をした。
地上では津波が押し寄せて来ているのを知らない車もたくさん写された。
「早く避難しなさいよ」と心で願う以外にすることはできなかった。つらいオンライン体験であった。