数学を理解するにはどうしたらいいか。
これは私が数学者Nさんから聞いた方法である。
Nさんは「実例を考えながら数学を理解したらいい」と言われていた。これはNさんの先生である数学者・倉田令二朗さんの教えでもあったのだろうか。
Nさんは東北のご出身だが、工業系の大学を出て九州大学工学部の大学院に進み、そこで倉田令二朗さんの教えを受けた特異な経歴の持ち主である。
だから、数学オンチの私などとも波長が合うというところがあり、友人となった。
彼と知り合ったのは実は大学生協関係の会であった。当時彼は高知大学生協の理事長であり、私は愛媛大学生協の理事長であった。これだって私が強く望んで理事長になったわけではなかったが、たぶんNさんだってそうだったろうとと思われる。
そこで出会ったときにはNさんが数学者であることも知らなかった。彼だって私が物理屋のはしくれとは知らなかったろう。もっともNさんは夫人が松山の出身であり、定年退職後の将来は松山に住むことだけは確かであったろう。
いずれにせよ、そういうことが私とNさんを結びつけるきっかけとなった。その後、2009年末から二人でメール配布のサーキュラー「数学・物理通信」を発行することになり、現在に至っている。
数年前に俊秀の物理学者Sさんを「数学・物理通信」の編集者にお迎えした。彼は中西先生(京都大学名誉教授)の共同研究者であったかたである。現在は編集者が3人となっている。