(ー1)*(ー1)=1をどう理解するが。
これは中学校で代数を学び始めるときに問題となることであろう。私などはぼんやりした生徒であったから、それがどうしたということであまりこれにはひっかからなかった気がする。
しかし、考えて見ると不思議であり、そのことを納得しないと前に進めない生徒がいても不思議ではない。
いまでは複素数の乗法からのヒントを得てからの後知恵であろうが、ある数にー1をかけることは、その数を数直線上に表し、その数直線を原点Oのまわりに反時計方向に180度回転させたら、正の数は全部負の数になるし、負の数は全部正の数になるという直観的なイメージで説明をするだろう。
今回このことを言いたいためにブログを書いているわけでなく、そのことを書いた説明をランツォス著『数とはなにか』(講談社ブルーバックス、1970)にも見つけたということを書きたかったからである。
いまや四元数に関心がある人も、ない人もこのことを知っている時代になった。
私自身はある数にー1をかける、このイメージを高校生(1957年)だったときに藤森良夫『解析の基礎』上(考え方研究社)から学び、さらに大学時代にも遠山啓『数学入門』上(岩波新書)でこれから虚数単位 i の意味までも学んだ。いや、これもすでに『解析の基礎』で学んでいたことであったか。
だが、このイメージは意外と普及が遅れたが、いまや四元数の説明にこの事実は広く使われるようになった。
というのは虚数単位 i だけでなく、同じような働きをする新たな虚数単位 j をハミルトンがあることに気がついたというのが、四元数のそもそもの発見につながった。詳しくは小著『四元数の発見』(海鳴社)で述べた。