渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎「控除から手当へ」納税者主権の税制改正大綱決定

2009年12月22日 20時15分01秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導
[写真]左上から時計回りに、原口総務大臣、鳩山総理、藤井財務大臣、古川元久・内閣府副大臣、峰崎直樹・財務副大臣、小川淳也・総務大臣政務官

 代表無くして課税無し。
 税とはすなわち政治なり。

 鳩山内閣は22日、平成22年度税制改革大綱を決定しました。

 112ページの「大綱」をプリントアウトしていますので、感想はのちほど。

 50年続く暫定税率の廃止、代わったかたちで暫定的に1年間、ご負担をいただくことになります。

 とはいえ、「控除から手当へ」という民主党税制の基本理念がちりばめられた内容に仕上がったようです。「控除から手当へ」とは「税制の透明化(ディスクロージャー)」と同じ意味です。税理士を雇ったり、経理部を持つことができない私たち庶民、「家計」も、簡素な税制で公正な納税を安心してすることができる。その一歩です。

 1949年、GHQ(進駐軍)の要請で米国からやってきたカール・S・シャウプ先生、ウィリアム・S・ヴィックリー先生=後にノーベル経済学賞=らによる調査団の報告書、いわゆる「シャウプ勧告」から60年経って、私たちは国民による税制に一歩踏み出したことになるでしょう。

 偶然にも、尾張名古屋では、河村たかし市長が「市民税(=個人住民税と法人住民税)の減税条例」の可決・成立にこぎ着けました。

 突然ですが、クイズです。

 Q,社長とお母さん、賢いのはどっちでしょう?

 A.答えはお母さんです。なぜならメンバーすべての事情を見抜いているからです。控除から手当へ。企業から家計へ。政治が私たちの手元に戻りつつあります。

 経団連による法人優位の税制は、きょう、崩れ去りました。もちろん、粗特への切り込みにはまだまだ宿題が残りました。

 税制ですから、革命的な変化はあってはなりません。積み残しもたくさんあります。しかし、党内外からの理不尽な要求をはねのけ、野党時代からの信念を貫いた民主党税調は、もとい、政府税調は素晴らしかったと思います。

 増子輝彦・経産副大臣の一部ふるまいには、残念な面がありました。

 峰崎直樹・財務副大臣におかれましては、ぜひ来夏の参院選後も引き続き税制審議のリード役を務めてほしい、と思いますね。

 内閣府のホームページ(http://www.cao.go.jp/zei-cho/chukei/chukei.html)。

 民主党政権の税制調査会はすべてインターネット中継、資料のPDFダウンロードというオープンな透明な環境で審議されています。ただし、ここのネット中継が遅いんだけどね(笑)。

 2009年12月22日。
 民主党と日本国民は大きな1歩を、名古屋市民はさらにもう1歩、前進しました。
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前原国交相、小沢チンピラ恫喝を拒否 幹事長室経由の「陳情」にゼロ回答

2009年12月22日 19時24分13秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導

[写真]北方領土を視察する前原誠司国交相、右は泉健太・内閣府大臣政務官

 前原誠司国土交通大臣は22日の閣議後会見で、民主党の小沢一郎幹事長が突き付けた「重要要点」(通称:チンピラ恫喝ペーパー)の(8)の(1)について、「今まで申し上げてきた道路整備と全く違う考え方だ」と語り、平成22年度予算案(25日決定へ)に盛り込まないと表明しました。すでに鳩山総理に連絡済みのようです。

 あまり詳しくないので調べたのですが、「新直轄方式」と呼ばれる道路の整備方式があって、国3:自治体1の割合でおカネを出します。この国というのは、国交省の出先機関である地方整備局のことで、民主党は出先機関を全廃(職員の雇用は維持)することをマニフェストに掲げています。

 このため、これに代わり高速道路会社(旧日本道路公団など)が新規高速道路をつくるべきだ、という「陳情仕分けによる全国民からの要望」(小沢)とする「重要要点」では、

(引用はじめ)

  (8)高速道路の整備

(1)平成22年度において、高速道路会社による高速道路整備を推進するため、利便増進事業を抜本的に見直すとともに、いわゆる新直轄事業を取りやめ、これに見合う額を国が高速道路会社に対し支援する。また所要の法律を手当てする。

(引用おわり)

 と書いてあります。ところが、これは党内でまったく議論されていない、党内デモクラシーに反する物です。

 前原国交相は「コンクリートから人へ、公共事業を抑制する姿勢に変わりはなく、高速道路整備も同様の方針で臨ませていただきたい」と、民主党支持者の間では有名なキャッチフレーズを交えながら、小沢幹事長の恫喝を突っぱねました。

 これにより、

民主党幹事長室に陳情をしても、予算に反映されないことが明確になりました。

 陳情政治の終わりとともに小沢一郎の政治的な死が近づいてきました。それは同時に政治を国民の手に取り戻す、一歩です。

 前原ガンバレ!!

 負けるな前原!!


asahi.com(朝日新聞社):前原国交相、高速整備の民主党要望「拒否」の意向表明 - 政治

 前原誠司国土交通相は22日の閣議後の記者会見で、高速道路会社による高速道整備を求めた民主党の予算要望について、「今まで申し上げてきた道路整備と全く違う考え方だ」と述べ、党の要望を拒否する意向を表明した。

 高速料金割引の見直しなどで出た財源を高速道路会社に回し、整備を推進するよう求めた党の要望に対し、前原氏は「高速道路会社にお金を渡して整備するということは全く議論していない」と反論した。前原氏は、来年度予算案への反映を拒否する意向と、2011年度予算の概算要求段階までに高速道整備のあり方を抜本的に見直す考えを、鳩山首相に伝えており、首相の判断を仰ぐという。

「まったく議論されていない」高速道路会社による高速道路整備 | レスポンス自動車ニュース(Response.jp)

民主党の来年度予算の重点要望で、突如、浮上した高速道路会社による高速道路整備について、前原国交相は22日「平成22年度の予算に含めることは余りにも短期間で、方針変更は国民に理解を得られない」という見解を示した。

16日、民主党が政府にあてた「平成22年度予算重要要点」には、従来の国主導の高速道路整備を否定し、「平成22年度において、高速道路会社による高速道路整備を推進するため……、いわゆる新直轄事業を取り止め、これに見合う額を国が高速道路会社に対し支援する。また所要の法律を手当てする」とある。

新直轄事業は道路公団民営化に伴い2003年、不採算でも必要な道路を国が税金を投入して整備する目的で採用された。民営化後の高速道路会社は採算の取れる道路だけを建設して赤字の拡大を防止し、高速道路の無料化開放に弾みをつけたはずだった。

そのため前原氏も「今まで我々が申し上げてきた道路整備とまったく違う考え方で、党としてのまとまった議論としても認識していない」と、要望の真意を測りかねた様子。

無駄な道路整備が拡大する懸念を否定するように、「コンクリートから人へ、公共事業を抑制する姿勢に変わりはなく、高速道路整備も同様の方針で臨ませていただきたい」と話した。

《中島みなみ》
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