鳩山由紀夫内閣は8日の閣議で、追加経済対策「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を決定しました。
平成21年度(2009年度)第2次補正予算案を15日までに編成し、来年1月召集の第174臨時国会に提出します。
財政支出いわゆる真水は7・2兆円、融資枠などを積み上げた事業規模は24・4兆円。
景気対策としてみると、新規住宅投資の冷え込みが景気の足を引っ張っていますが、住宅投資、金融対策に予算をぶち込むのが特徴的です。私は住宅投資の回復は、将来への安心感が必要だと思いますが、対症療法的とはいえ、ここへのマネーの注入は必須でした。
昨秋の麻生太郎首相とは異なり、鳩山由紀夫総理の首相官邸からのNHK生中継入りの記者会見がありませんでした。追加経済対策は国民への安心、景気の「気」は気持ちの「気」ですが、気持ちを安心させ、高ぶらせる効果がありますが。鳩山隠しはなんとも残念です。
さて、ここからは財政面で論を進めます。今年度予算の補正は4月の麻生内閣の第1次補正以来です。この1次補正は、政権交代後に2・7兆円ほど執行停止しました。ただし閣議決定の段階ですので、第2次補正に盛り込んで、国会のしばりを待ちます。これが歳出の減額補正になると思います。また、歳入のうち、税収は36・9兆円以下という驚くべき低水準が予想されており、9兆円超の減額補正をすることになりそうです。この予算の地合に経済対策分を増額補正することになるでしょう。税制面に関して言えば、国税である法人税にも外形標準課税を導入すべきだし、利益剰余金(いわゆる内部留保)への課税を検討すべきです。
9日付日経新聞3面は「予算案の規模は1兆円に満たない公算が大きい」との見通しを報じています。これは税収減が9・2兆円になるので、これを歳入から減額補正するものの、代わりの財源として、国債を9・3兆円発行することになりそうだ、との報道です。国債を発行すると、代わりに国庫にマネーが入ります。国債発行収入は歳入に計上されます。税外収入として、外為特会の積立金(すでに円に交換してある部分)なども取り崩し、歳入に増額補正する見通しです。
[画像]第171回国会(常会)提出の平成21年度一般会計補正予算(第1号)の予算総則補正1ページ。
上の画像のように、今年度予算は1次補正後、102兆4735億5955万4000円となっています。これは一般会計だけの話です。日経の報道を参考にすると、2次補正後の帳尻は103兆~104兆円ということになるのではないかと予想しています。
金額は一概には言えませんが、麻生内閣は14兆円アクセルをふかして、9兆円のブレーキ、という表現ができなくもありません。
ただし、不況を自民党のせいにするのはもう終わりです。民主党が責任ある経済・財政運営をしていかなければなりません。
追加経済対策の全文(首相官邸ホームページ、30ページ、pdf)↓
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2009/1208kinkyuukeizaitaisaku.pdf
以下、その最終ページから引用します。
(引用はじめ)
「明日の安心と成長のための緊急経済対策」の規模
(単位:兆円)
国費 事業費
1.雇用 0.6 程度 0.6 程度
<緊急対応> 0.3 程度 0.3 程度
<成長戦略への布石> 0.4 程度 0.4 程度
2.環境 0.8 程度 4.1 程度
<「エコ消費3本柱」の推進> 0.6 程度 3.9 程度
<成長戦略への布石> 0.2 程度 0.2 程度
3.景気 1.7 程度 18.6 程度
<金融対策> 1.2 程度 10.4 程度
<住宅投資> 0.5 程度 8.2 程度
4.生活の安心確保 0.8 程度 1.0 程度
5.地方支援 3.5 程度 3.5 程度
<きめ細かなインフラ整備支援の交付金> 0.5 程度 0.5 程度
<交付税減少額の補てん等> 3.0 程度 3.0 程度
6.「国民潜在力」の発揮 ― ―
合 計 7.2 程度 24.4 程度
(注)「住宅版エコポイント制度の創設」については、2.「エコ消費3 本柱」の推進、
及び3.住宅投資に該当するため合計から重複額を控除している。
(引用おわり)