【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

きょう結婚の宮崎岳志さんがつないだ「命のバトン」

2010年02月28日 21時24分59秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導



 民主党衆院議員の宮崎岳志さん(群馬1区)がきょう2月28日、結婚しました。

 上州では自民党から4人の総理大臣が出ていますが、民主党も負けていられないということで、媒酌人は羽田孜元総理大臣でした。

 さて、さる2月19日、衆院厚生労働委員会で初質問に立った宮崎さんが、「命のバトンタッチ」をしました。

【衆院厚生労働委員会 2010年2月19日】

 民主党群馬1区の宮崎岳志さんが初質問に立ち、冒頭、「日本での薬の承認遅れ(ドラッグラグ)」について質問しました。

 承認を心待ちにしながら、昨年1月に卵巣癌のため、38歳で亡くなった友人の意思を国会に取り次ぎました。

 宮崎岳志さんは、初当選前の昨年年初のブログに次のように記しています。

 (宮崎岳志さんのブログから全文引用はじめ)

2009年1月4日(日曜日) 友の死

 初詣やら年始回りやらについて書こうと思ったのだが、それどころではなくなった。

 元旦、古い友達が亡くなった。

 私の学生時代に、ある大学の弁論部で、代表をつとめていた女性だ。私にとっては「天下国家を語り合った仲」ということになる。

 死因は、卵巣ガンの転移だった。

 彼女は、保険未適用の抗ガン剤に、望みをかけていた。世界的に効果が証明されている薬でも、日本では手続きがきわめて遅く、煩雑であるため、使うことができない。

 これを「タイムラグ」ならぬ「ドラッグラグ問題」という。

 保険適用がなくても、自費診療ならまったく違法ではないが、実際のところ、たとえ本人の希望であっても、こころよく使ってくれる医療機関は少ない。カネ次第で「なんでもOK」な民間クリニックもあるようだが、公的な病院となると、簡単にはいかない。

 私は彼女から頼まれて、保険未適用の薬を試してくれる、それも信頼性の高い医療機関を手配し、予約を入れた。彼女が倒れたのは、なんと、その病院で診察を受ける前日だった。

 あと半年、長生きしていれば、新しい薬が使えたかも知れないのに。はっきり言おう。官僚の「事なかれ主義」や、医学会の重鎮の「メンツ」のために、今日も本当は助かったはずの人が死んでいる。助かるはずの命が、一日一日と、失われている。

 ドラッグラグ問題。いつか、ブログにちゃんと書く。そして、政治家を目指す者として、改善に本気で取り組む。

(全文引用おわり)

 そして、昨年2月4日付のブログには、次のように書いています。

(引用はじめ)

2009年2月4日(水曜日)
天国の友と、ドキシル承認
カテゴリー: 気になる話- miyazaki @ 19時46分08秒

 今年1月4日のブログで、元旦に亡くなった友人(女性)のことを書きました。

(中略)

 私自身、彼女が新薬による治療を受けられるよう手を尽くし、実現寸前までこぎつけましたが、体力の消耗は深刻で間に合いませんでした。己の無力さに、内心、忸怩たるものがあります。

 さて、1月30日の毎日新聞に、こんな記事が載りました。

<卵巣がん>抗がん剤「ドキシル」承認へ 80カ国先行販売

(中略)

 ドキシルは、彼女が最も使いたがっていた薬です。もちろん、使ったら助かったとは限りません。しかし、希望は抱けたでしょう。

 彼女はドキシルが早く承認されるよう、病躯をおして、患者の立場から国への働きかけすら行っていました。

 あと、1カ月長生きしていたら(もし助からなかったにせよ)、「ドキシル、承認へ」というニュースは聞けたのになあ……

(後略)

(引用おわり)

 岳志さんの2月19日の質問の中には出てきませんが、この方のお名前は、渡邉彩子さん、旧姓・黒須彩子さんとおっしゃいます。  

 実は、黒須さんは、私の友人(先輩)でもあります。私は大学1年生のときに、台湾国民党と日本自民党が定期的に開催していた台湾学生訪問団に参加したことがあります。この事業は今はもうありません。

 私が参加した1年前の団に参加した4人がグループで、「もっと台湾のことを知りたい」と自主的に部分的に同行しました。その一人が黒須さんでした。旦那さんの渡邉さんもその4人の1人だったと記憶しています。黒須さんはその後も継続して台湾を何度も訪問していました。

 私も1993年初訪台以来、台湾に関心を持ち、合計3回・合計28日間台湾に滞在経験があります。最近は台湾の方には、ご無沙汰していますが、台湾に関する勉強会に参加していた時期もありました。

 黒須さんと顔を会わすと、いつも気さくに声をかけてもらいました。彼女はけっして机上の議論に満足する人ではなく、草の根での人的交流を、自然体にできるばらしい女性でした。台湾の人と織り物を服に合わせて楽しむ写真を見せてくれながら、「織り物一枚から始まる文化交流もあるんだよ」と教えてくださいました。私がたまに元気なさそうにしていると、本気で心配してくれました。いい人ほど早く亡くなる、とはこのことだなと感じました。彼女の死で、わが国は貴重な「民間日台(日華)大使」を失ったと思います。

 このブログを書くにあたって、一つ、知らなかったことを知りました。台湾では既に新薬が承認されていて、彼女は、台湾での治療の可能性も探っていたそうです。

 政治家と厚労省の医官って人の命を何だと思っているんでしょうね。

 岳志さんも、当選後、若干、顔が上を向いている感じがあり、敵(自民党)の大票田の沼田市を本気で切り崩している気配も感じられず、少し心配しておりましたが、こうやって初質問で共通の友人の「命」をつないでくれて、初心を忘れていないんだと、安心しました。

 国会とは、人間交差点。

 「命をつなぐ政治」という原点を、民主党は一日たりとも忘れてはいけません。

 宮崎岳志さん、ご結婚おめでとうございます。