(このエントリーの初投稿日時は2011年5月8日午前1時半)
【追記 2011年5月12日(木) 午後5時半】
このエントリーは、予想以上にけっこう反響を呼んでしまいました。ブログというのは、まったく読まれないとさみしいし、逆に反響がありすぎると手に負えない気持ちにもなります。まあ、あくまでも自分が書きたいなと思ったことを書いていくという基本方針で、受け止めていただきたく思います。いずれにしろ、第46回衆院選まで、特段の事情がないかぎりは、ブログは続けていこうと思います。
5月10日午後5時50分からの首相記者会見は「原子力災害収束まで、首相としての歳費を返上する」というものでした。
さて、5月10日の首相動静では、菅首相は、皇居で、両陛下に「内奏」(国政に関する報告)をしています。内奏はたいてい、30分ぐらいのことが多いのですが、今回の内奏は1時間半~2時間と長いものでした。あくまでも推測ですが、両陛下に、災害の現状報告と、政府・国会としての動き、とくに第1次補正予算について説明し、ご質問に答えたのだと考えます。もちろん、内奏を見たことはありませんが、国会審議と違って、他の閣僚や官僚の手助けをもらうわけにはいかないのでしょう。さらに、被害現況にしろ、予算にしろ「数字の多い内奏」になりますし、ご質問をいただいたさいに、どこに資料があるかも、さっと自分で見つけないといけないでしょう。とにもかくにも、菅さんとは言え、かなりプレッシャーを感じる公務となります。なので、休日の夜、公邸でリラックスしながら、内閣総務官を入れて、資料の確認などをしていたのだと思います。
あくまでも推測ですが、ほぼそういうことになると考えます。すわ総辞職か、解散か、とお騒がせしましたが、あくまでも私の考えは「危機管理として、まずは最悪の事態を想定する」。ということで、「まあ、何もなくて良かった」ということでご容赦いただきたく存じます<(_ _)>
【追記おわり】
ゴールデンウィークももうすぐ終わりですが、2011年5月7日(土)の菅直人総理の首相動静に興味深い人物が登場しています。
午後6時26分から内閣官房の枝野、福山、瀧野正副官房長官に加えて、細野首相補佐官、そして原勝則内閣総務官が総理と会っています。この後、午後7時28分に「細野氏が出た」となっています。そして、午後7時42分に「滝野、原両氏が出た」となっています。その後、午後7時46分に「枝野、福山両氏が出た」となっています。
こうなると、午後7時28分から午後7時42分までの14分間、首相公邸では、菅直人首相、枝野、福山正副官房長官と、瀧野欣弥官房副長官(事務、前総務事務次官、昭和46年自治省入省)に加えて、原勝則・内閣総務官(昭和54年厚生省入省)だけだったことになります。
ちなみに、新聞の過去記事によると、菅首相が内閣総務官と会ったのは、民主党新代表に選ばれた直後、宿泊先のホテルで、2011年6月7日の午前9時55分から午前10時50分、それと翌8日の午前8時50分から昼頃まで宿泊先で会っています。このときは前任者の千代幹也・内閣総務官(当時、昭和51年運輸省入省)でした。そして、この日の午後6時から皇居で認証式を受けて、内閣総理大臣に就任しています。
そして、その後の首相動静では、千代幹也→原勝則・内閣総務官が総理に会ったという報道はありません。もちろん会っているのに、分からなかったり、あるいは、首相動静は官僚は基本的に局長級以上の場合があるので、名前が出ていないのかもしれません。
菅さんが総理に正式就任後に、内閣総務官と会ったという首相動静はこれが初めてのようです。
内閣総務官は、天皇の国事行為の際に、首相官邸と皇居を行き来する仕事です。とくに最大の見せ場は、衆議院解散の詔書を天皇陛下からいただき、国会議事堂に行き、衆議院議長サロンで、内閣官房長官に手渡す、という一般職国家公務員としてとてもすごい晴れ舞台があります。内閣総務官(橋本行革前は、首席内閣参事官)の経験者には、羽毛田信吾・宮内庁長官、江利川毅・人事院総裁ら、厚労省など旧内務省系官僚のトップになるコースに乗った中堅幹部が起用される傾向があります。原さんは一つ経歴が異例で、彼は東大卒ではなく、私立大学である早稲田大学政治経済学部の卒業生です。
下の画像は、前任者の千代内閣総務官が、2009年7月21日、解散の詔書をふくさに入れて、お盆に載せ、河村建夫・内閣官房長官を待っているところの、NHKニュースの映像からキャプチャさせていただいたものです。
[画像]千代幹也・内閣総務官(当時)。「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」と書かれた詔書を携えている=2009年7月21日、衆議院内の議長サロン=NHK映像から。
政局が動きやすい、ゴールデンウィーク明けを前に、菅直人首相が内閣総務官と会った理由は次のいくつかになります。
一、近く内閣総辞職する。
一、近く衆議院を解散する。
一、仮に内閣不信任決議が衆議院で可決した場合の69条解散について説明を受けた。
そして、もう一つとして、内閣総辞職や衆議院解散をちらつかせることで、党内を引き締め、野党をけん制する。そのいずれかです。
とくに、仮に今、衆議院を解散した場合、同じく天皇の国事行為として第46回総選挙を公示した場合、比例東北ブロック全体が選挙事務(選挙人台帳の作製など)ができない可能性があります。この場合、当然、岩手県第4区でも選挙ができず、小沢一郎氏が立候補できない可能性があります。憲法判例では、憲法7条の「衆議院を解散すること」について、東京高裁は昭和29年9月22日に「憲法は、いかなる場合に解散をなし得るかについては何らの規定も設けておらず、政治的裁量にゆだねている」、最高裁は昭和35年6月8日に「国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は」「裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治的責任を負う政府、国会などの政治部門の判断に任され、最終的には国民の政治判断にゆだねられている」との判決・決定を出しています。興味のある人は、「統治行為論」、「苫米地訴訟」などのキーワードでグーグル検索してください。
すなわち、東北ブロックが選挙事務ができない状態での解散は、合憲だと考えられます。
私としては、菅直人一流の高等政治テクニックだと信じたいところです。それと、この後に、菅さんの親友である五十嵐敬喜・教授が3時間22分間、午後11時過ぎまで公邸で話しているのも気になるところです。それから、正副官房長官のうち、仙谷由人さんだけがいないのも、菅さんから仙谷さんへのけん制球なのかもしれません。まあ、これ以上、せんさくするのはやめておきましょう。
まあ、エントリーにしようかどうか迷いましたが、あす以降、なんかあったら、「あっ書いてあったな」と思ってもらえるための、私なりの「危機管理」として、エントリーをアップしました。危機管理は最悪の出来事を想定して逆算するものです。
私は菅内閣続投を支持します。前に進もう。
あすはゴールデンウィーク最後の日曜日ですから、リラックスしましょう。
首相動静(5月7日) (時事通信) - Yahoo!ニュース
第177常会(第177回通常国会)が延長せず、6月中に閉会する公算が高まってきました。
民主党7首脳のひとり、「頼れるアニキ」安住淳・国対委員長は6日、通常国会の会期延長について「現時点では考えていない」と述べ、「国会は6月で終わるが、政府の復興構想会議などの話を聞き、腰を落ち着けて(第2次補正予算の)編成作業に入りたい」「地元の意見を聞いて7月に踏み込んでしまうのは仕方ない。その方が本格的な2次補正を練られるのではないか」と強調しました。日経新聞などが報じました。また同じく7首脳のひとり、内閣官房副長官と民主党代表代行を兼ねる仙谷由人さん(仙ちゃん)は、5日、「できることを的確にしっかりやっていくこと(が重要)だ。会期を巡る駆け引きみたいな話が出てくるのは望ましくない」と述べました。
今国会の会期は2011年6月22日(水)まで。財金委の6月30日(木)につなぎ法が切れる「国税などの改正法案」、「平成23年度の赤字国債発行の臨時特例法案」、それと総務委で6月30日(木)につなぎ法が切れる「地方税などの改正法案」の3法案が会期中に絶対的に成立させなければいけない法案です。この法案が滞れば、小幅延長もあるかもしれませんが、基本的には6月22日(水)で閉会ということになりそうです。
延長無しで閉会すれば、通常国会としては政権交代以来2年連続ということになります。これには、衆議院インターネット審議中継、参議院インターネット審議中継、ニコニコ動画による国会中継の充実と視聴者の増加により、野党が欠席戦術をとれなくなったことが大きく貢献しています。デモクラシーの前進です。連休明けの5月9日(月)から小沢グループが倒閣をしかけてくる可能性があります。ぜひ国民総監視で小沢グループを干上がらせましょう。今は「訓政期」。権力とは何か?を私たち国民が習得するのが2011年の政治劇場だと、私はとらえています。
民主党政権(衆院で民主党・無所属クラブが第1会派)となった2009年8月以降では、会期の延長は、小沢一郎・山岡賢次執行部の人間としてのコミュニケーションの未熟さによる技術的なミスが連発したことにより、第173臨時国会が「4日間」小幅延長された1回だけとなります。
しかも、このたった1回切りの、「与党・民主党」としての延長国会初日には、当時、「鳩山官邸」と「小沢党」で対立していた鳩山グループ幹部の川内博史さんが政府外30議員を引き連れ、小沢一郎幹事長(当時)室に「討ち入り」するという事件が起きており、この出来事で、国民支持率が低かった小沢幹事長の党内支持率も低下しはじめ、その次の第174国会会期末に辞任に追い込まれ、失脚しました。このように、会期延長にはつねに政権運営における不安定要素がつきまとうため、7首脳は、国民のために、静謐さのなか、補正を組むことを好んでいると思われます。ただし、マスコミが7月、8月の「夏枯れ」に苦しむことになることから、最終盤国会でのゴタゴタを、喜んで報道する傾向がありますから、ぜひ、ご注意いただきたいと思います。
できれば9月30日(金)につなぎが切れる「子ども・児童手当法」についても、第177国会のあいだに、民主党と公明党の間で成案を見たいところですが、これは税制再改正(幼年扶養控除の復活)が必要となる可能性もあり、第178回臨時国会へ「子ども・児童手当」の議論が先送りされる可能性が高くなってきたと思われます。
2次復興補正には、「復興構想会議の第1次勧告」や「税と社会保障の一体改革」を盛り込む方針。また、3次補正があるかどうかですが、いずれにしろ、平成24年度当初予算にも復興歳出は盛り込まれるわけですから、3次補正があるかどうかはあまり重要ではない、と私は考えます。
なお、老婆心ながら、国会閉会中にもかかわらず、平成23年度第2次復興補正予算(案)の編成のプロセスで、夏に会合や議連で上京した政府外議員は、アニキに半殺しにされることを覚悟すべきです。また、すでに公明党が賛同している内閣法改正案が今国会で成立した場合は、閉会後すぐに、3人の閣僚が増員される見通しです。
asahi.com(朝日新聞社):2次補正予算「20兆円近い規模」 安住国対委員長 - 政治
民主党の安住淳国会対策委員長は6日、東日本大震災の復興に充てる第2次補正予算について「規模は20兆円に限りなく近くなる」との考えを示した。宮城県石巻市で記者団に語った。
安住氏は、首相の諮問機関である復興構想会議が6月に中間報告をまとめることを踏まえ、「中間報告や地元自治体がつくる復興ビジョンも聞いて、7月中に2次補正を編成したい」と表明。漁港や鉄道の復旧に加え、水没した土地の買収、政府内で総額4兆円と試算される福島第一原発事故に伴う損害賠償などが柱になるとみられる。
安住氏は第3次補正予算の必要性に言及しており、これらの一部は3次補正に回る可能性もある。
仙谷副長官、国会の会期延長に否定的 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
仙谷由人官房副長官は5日、野党などが東日本大震災への対応を理由に6月22日までの通常国会会期の延長を求めていることについて、「できることを的確にしっかりやっていくこと(が重要)だ。会期を巡る駆け引きみたいな話が出てくるのは望ましくない」と述べ、延長に否定的な考えを示した。
長野県北部地震の被災地を視察後、新潟県十日町市で記者団の質問に答えた。
政府・与党は今国会は延長せず、震災復興関連の2011年度第2次補正予算案は夏以降の臨時国会で成立を図る案を検討している。仙谷氏は新潟県内のほか、長野県栄村の被災現場なども訪問した。
[写真]岡田克也さん、宮崎信行撮影
岡田克也外相が、自民党政権が結んでいたアメリカとの「密約」の調査とディスクロージャーを命令し、実現するプロセスにおいて、アメリカが「あいまいにしておけ」「調査に懸念している」と圧力をかけていた可能性があることが分かりました。そして、あろうことか、日本外務省の局長までもが「これは普天間よりやっかいな問題だ」とアメリカに同調していたとする米外交公電が存在する可能性があることが、2011年5月7日(土)付朝日新聞1面の報道で明らかになりました。朝日はことしの大型連休の目玉企画として、ウィキリークスからの資料提供と、ニューヨーク・タイムズの取材協力を受けた記事を連日載せています。
[写真]2011年5月7日(土)付朝日新聞1面
岡田外相は2009年9月16日に皇居で認証式を終え、官邸で記者会見した後、外務省に初登庁。時刻は9月17日になっていましたが、国家行政組織法第12条などに基づく大臣命令で「密約調査」を命じました。省内での調査を終え、有識者による読み込みを終えて、2010年3月9日、密約に関する調査報告書を国民にディスクロージャーしました。
朝日によると、在東京のアメリカ大使館は2009年11月27日付でワシントンD.C.の国務省に公電を打ちました。公電はこの日、大使館で、ズムワルト首席公使は、外務省の梅本和義・北米局長と会い、密約問題について協議。ズムワルト公使は、「艦艇の核搭載をあいまいにしておくことは抑止戦略の重要な要素だ。ルース大使は調査の行方を懸念している。これは単なる国内問題ではなく、より広い地球規模の文脈でアメリカ戦略に影響が出る可能性がある」と述べ、岡田外相に露骨な圧力をかけました。これを聞いた、梅本局長は「やっかいな問題であり、たぶん普天間より難しい。現政権は密約調査がもたらす結果を理解していない」「核兵器についてさらに明解な説明を求める(国民の)声にどう答えるのか、日米で非公式に協議を続けることが必要だ」と述べ、あろうことか、外務省局長でありながら大臣を批判し、北米局長としてアメリカの意見を擁護するという小役人ぶりを発揮しました。小村寿太郎が泣いてるぞ。そもそも「密約調査」は行組法第12条などに基づく命令なので、これに背いた役人は懲戒処分の対象になります。私は藪中三十二・外務事務次官らは、岡田外相によく協力したと考えます。
朝日によると、カート・キャンベル国務次官補が発表1ヶ月前の2010年2月4日にも、梅本局長と協議した際に密約の話題になったとしています。岡田さんはハーバード大学研究員時代から独自のアメリカ人脈を持っており、岡田さんとカート・キャンベルさんは互いに野党時代からの知己ですので、キャンベルさんは「核をめぐる歴史」は日米で対処すべき問題だ、としてディスクロージャーのその先にある日米同盟の深化について言及。「米国の航空機と艦船が核兵器の搭載を肯定も否定もせずに立ち寄ることができること」を求めました。現実問題として、ブッシュ父政権以降、軍用の船舶・航空機に核兵器が搭載されていることは運用面からして、ないとみられます。が、キャンベルさんは、100年先を見て、今後のイノベーションや、運用の変更などを見すえて、「あいまい」の必要性をアメリカの国益を代表する立場として言ったのだと考えます。
政権交代のその先に、もっと大事な「政治を国民の手に取り戻す」。自民党による50年政権でのボタンの掛け違いを解こうとした岡田さんのディスクロージャーを、他策なかりしを信ぜむと考えた国士たちが岡田さんの背中を押して、アメリカの圧力をはねのけたと言えそうです。
岡田さんは2011年5月5日、沖縄県の那覇空港で記者会見した際、ウィキリークスについて、「違法な手段によって明らかになったことなので、いちいちコメントする気持ちはない」と述べています。
核密約公開、民主政権に再三「憂慮」 米外交公電で判明(朝日新聞) - goo ニュース
民主党政権が昨年3月に公開に踏み切った1960年安保改定時の日米の「核密約」を巡って、公開は米国の世界戦略に影響を与えかねないとして、米側から強い懸念が繰り返し伝えられていたことが分かった。内部告発サイト「ウィキリークス」が入手した日本関係の外交公電を朝日新聞が分析し、判明した。
核を積んだ米艦船の日本寄港を認めた密約は、冷戦終結後の91年に米軍が水上艦の核搭載をやめたことによって意味を失ったとされていたが、公電からは、将来の政策変更があり得ることを視野に、「暗黙の合意」の継続にこだわる米側の思惑が明確にうかがえる。持ち込みを禁じた日本の非核三原則との関係が問われることも必至だ。