宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り法案(177閣法51号)の成立を呼びかけよう! 【追記あり】

2011年05月18日 07時26分33秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 同郷の俳優・児玉清さんがおととい16日、亡くなりました。心からご冥福をお祈りいたします。

 ◇

 日本は間接民主制デモクラシーですから、有権者が選挙で議員を選び、その議員が代理人として法律をつくります。ただ、投票したらすべてが終わりではなく、国会の中での一つ一つの法案にもっと関心を持っていきたい、という方が増えているようです。

 とはいえ、有権者の時間は限りがあります。とくに平日昼間勤務のサラリーマンが、国会の中にまで関心を持つのはかなり難しいのは現実です。それと、日本特有の「日程国会」も、国民の法案そのものへの関与を難しくさせています。

 第177通常国会は、6月22日(水)までの予定で、衆参とも一般法案の審議が順調になってきました。週初めの記者会見で、民主党の岡田幹事長も「今、国会に提出されている法案がありますが、このままいきますとかなりのものが成立すると思います」との見通しを示しています。政権交代後では、初めての安定運航の状態にあります。

 また、岡田幹事長は「ただ、経済産業委員会はまだ法案が1本も通っていないのではないかと思うんですね。いろいろな理由があるわけですが、今、たしか(衆・経産委では)鉱業法の改正案かなにかを議論している最中だと思いますが、しっかりと固定価格買取制度も含めて審議を進めていただきたいと思っております」と名指しで釘をさしました。ネット中継入りの記者会見で、名指しで指摘するのは、実に岡田さんらしく、私は岡田さんのこういうところを大変評価しているのですが、なかなか一般に伝わらないようです。別段、岡田さんの苦言とは関係なく、翌日の17日(火)の参議院・経済産業委員会(柳澤光美委員長)では「産業活力再生法の改正案」(第177国会内閣提出25号議案)が全会一致で可決しました。次の参・本会議で成立すると思います。

 例えば、「たんぽぽ」さんや「しっくい」さんの場合。いきなり名前を出して驚いておられるかと思いますが・・・<(_ _)>

 例えば、当ブログの友好ブログ「たんぽぽのなみだ~運営日誌」のブログ主で、筆者への理解の篤い「たんぽぽ」さんは、夫婦別姓の民法改正を主張されています。で、昨年の通常国会で、その法案が出ていたんですが、法務省内の法制審議会で議論し直すことになりました。今国会にも、「民法などの一部を改正する法律案」(177閣31号)が出ていますが、この中には夫婦別姓は入っていません。ですから、「たんぽぽ」さんとしては、来年以降の国会に向けて、法務省の窓口や、審議会の委員に働きかけたらいい、ということになります。

 一方、前半国会では、衆院財務金融委員会で「国税などの改正法案」が出ていました。これは、衆参ねじれの影響で、「国税つなぎ法」が6月30日まで執行されています。ただ「つなぎ」は、既存の免税・軽減措置であって、新しい税制改正は入っていません。新しい税制改正法案はこれから内閣が今通常国会に出し直すと思います。その中には「相続税の基礎控除額を5000万円→3000万円に引き下げ、税率を50%→55%に引き上げる」という税制改正(増税)が入ってくることは間違いありません。今後、内閣が国会に出し直す「国税などの改正法案」は、今国会で絶対的に採決され、可決、成立するものと思われます。また、この法案は、1本、つまりパッケージ(ひとくくり)です。ですから、審議も採決も1回ということになります。もちろん、議員提出の修正案で、相続税だけ抜き出して削除することはあり得ます。ただ、見通しとして、成立は確実です。だから、例えば、当ブログの常連読者で、いつも温かいコメント・メールをくださる「しっくい」さんなんかは、成立を見越して、準備しておく必要があるかもしれません。例えば、同族経営の会社を持っている人で、3月決算の人は、きょうにも申告書を持っていく、という人がいるでしょう。でも、ちょっと待って! 気をつけたいのは、ここ数年の不景気で、法人に「未払い役員報酬」や「未払い賃料」を計上していている場合、これらは社長個人の「債権」であって、財産となります。あんまり積んでいると、「その日」が来たときに、財産とみなされ、相続税の課税対象になる可能性があります。業種によりますが、これからの日本で「ことしは売り上げ倍増!」ということはまずないでしょう。将来的に回収見込みのない、未払い役員報酬や未払い賃料は、この決算で消しておくということも一つの方法です。中小零細企業よ、大企業に負けるな!

 さて、そういった中で、残り1ヶ月となった第177通常国会で、「法案にもかかわりたい」のは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(177閣51号議案)です。これは、内閣から国会に、4月5日に提出され、同日付で、衆・議院運営委員会(川端達夫委員長)が、衆・経済産業委員会に付託(法案の審議をお願いすること)しています。ただ、まだ、審議されていないようです。

 経済産業省のプレスリリースによると、この法案は「エネルギー安定供給の確保、地球温暖化問題への対応、環境関連産業の育成等の観点から重要な再生可能エネルギーの利用拡大を図るため、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を導入するためのものです」ということです。

経産省のホームページから、この法案の概要をみると次の通りです。

[経産省の
http://www.meti.go.jp/press/20110311003/20110311003-2.pdfファイルからコピーして引用はじめ、色づけは筆者]

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案の概要
平成23年3月
経済産業省
○エネルギー安定供給の確保、地球温暖化問題への対応、経済成長の柱である環境関連産業の育成のためには再生可能エネルギーの利用拡大が急務であり、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を導入する。
(1)電気事業者に対する再生可能エネルギー電気の買取りの義務付け
太陽光風力水力地熱バイオマスを用いて発電された電気について、電気事業者に対し、経済産業大臣が定める一定の期間・価格により買い取る(調達する)よう義務を課すことで、発電事業者が再生可能エネルギー発電設備へ投資を行う際の回収リスクを低減し、新規投資を促す。
(2)買取費用の負担方法
○買取りに要した費用に充てるため各電気事業者がそれぞれの需要家に対して使用電力量に比例した賦課金(サーチャージ)の支払を請求することを認めるとともに、地域間でサーチャージの負担に不均衡が生じないよう必要な措置を講ずる。
(3)その他
○電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)は廃止する(ただし、所要の経過措置を講ずる)。
○少なくとも3年ごとに、再生可能エネルギーの導入量及びサーチャージ負担の与える影響等を勘案した見直しを行うとともに、2020年度を目途に廃止を含めた見直しを行う。
公布の日から起算して1年以内に施行する。

[引用おわり]

 というわけで、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス発電について、電気事業者が固定価格で買い取ることを義務付けた法案です。まあ、個人ということでは、太陽光パネルを設置した家ということになるでしょう。私自身は当面、その予定はありませんが、いずれ、そういうときが来れば、太陽光パネルの設置ということも考えてみたいものです。

 で、やはり、この「固定価格買い取り制度」ですが、東京電力から「買い取るキャッシュを見通せない」という声が出てきそうです。それに、そもそも、「エネルギー基本計画」の見直しを、菅総理が発表しています。とはいえ、再生可能エネルギーの固定価格での買い取りが法制化されれば、この景気でも、年間では、80万戸の新規住宅着工があるわけですから、太陽光パネル、このところは、「太陽電池」という商品名も浸透していますが、この太陽光パネルを設置しよう、という機運が盛り上がってくるでしょう。また、地熱、バイオマスなどの「IPP(独立電気事業者)」すなわち「電気の卸屋さん」の創業が増えてくるでしょう。そうすると、数年後に政治課題となるであろう「浜岡原発の再稼働」などの問題が、日本全体として肩の荷が軽くなった状態で、議論できるようになります。私は経産はあまり詳しくないのですが、おおまかにこの「電気事業者の再生可能エネルギーの固定価格買い取り法案(177閣51号議案)」は、こういうことだと思います。

 ひょっとすると、東京電力や電気事業連合会(電事連)が、もう国会を回って、今国会では成立を見送るよう、ご説明に回っているかもしれません。ぜひ、私たち、組織化されていない有権者として、この固定価格買い取り法案の今国会での成立を図って、私たちの心の重荷をとろうではありませんか? いかがですか。

 衆議院先議ですから、まずは衆・経産委員に働きかけないといけません。とくに議事日程は、理事の仕事です。衆議院の委員会名簿は、このアドレス(http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_iinlist.htm)で、経産委員会をクリックして下さい。参・経産委員は次のアドレス(http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/konkokkai/current/list/l0071.htm)です。参院の方は直接、経産委員会に飛べます。

 首都圏の人なら、日中に国会に電話して代表から各議員室につないでもらって、コンパクトに要望すればいいでしょう。国会から遠い地域の人は、ファックスや、メール、手紙などの方法があります。国会の代表電話は、衆議院が03・3581・5111、議院は03・3581・111です。

 5月17日の衆・総務委では、とある民主党議員の質問に対して、日本郵政の専務が次のような答弁をする一幕がありました。「先生には先日、陸前高田郵便局へのご視察ありがとうございました」と切り出し、答弁の締めくくりに「つきましては、郵政改革法案の成立をよろしくお願いします」。このように、日本郵政は、自分たちに有利な法律をつくるために、国会を回って、ごあいさつ、ご説明、情報収集などをしている社員がいます。日本航空もしかり、東京電力もしかりです。こういった状況の中で、特定の組織に属さない国民が法案に関与できる道を探っていきたいと考えます。政権交代のその先にある、もっと大事な「政治を国民の手に取り戻す」動き。一歩前に進めていきましょう。残り1ヶ月の今国会は久しぶりに“法律工場”の「書き入れ時」です!

【追記 2011年5月18日(水) 午後7時】

 菅直人首相は、5月18日(水)午後6時ごろの記者会見で、固定価格買い取り法案について、内閣として成立を求める考えを述べて、国会に働きかけました。【追記おわり】

tags 岡田克也 菅直人

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