宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

改正民法が参院本会議で可決・成立で分かった「たんぽぽ」さんもタイヘンだ! 

2011年05月28日 09時11分17秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 おはようございます。雨の土日となりそうです。

 ところで、このブログの更新ペースに関して、何か疑問を持たれたり、あるいは筆者の体調などを気づかってくださっている方がいらっしゃる方もおられるかもしれませんが、基本的に「書きたいときに、書きたいことを書く」というルールしかありません。有料ブログ「今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行」は、月3回以上必ず更新することになっています。月840円(税込み)をいただいておりますから当然です。

 さて、ちょっと書きたいことが山積みになってきて、やはり終盤国会なんだな、と痛感します。ちょっとこの土日は頻度が増えますが、とにかくお伝えしたい順に、お伝えしたいと思います。

 菅直人総理が、G8後の記者会見でも、今国会の成立を強調した「自然エネルギーの全量固定価格買い取り法案(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案)第177国会閣法51号」ですが、来週6月1日(水)の午前9時半からの衆院経産委員会でも審議入りしない予定であることが分かりました。6月1日は2時間半の一般質疑をやる予定。その後、北朝鮮制裁に関する国会承認案件(177国会承認案件4号議案)が、海江田万里・経産相から提案理由説明があり、散会するようです。この日は、QT(党首討論)が午後3時からあるはずですから、「自然エネルギーの全量固定価格買い取り法案」の審議入りは、6月2日(木)以降にずれ込みそうです。そうすると、もう2週間しか、衆参での審議時間がなくなってきますから、国会空転なども考えると、かなり窮屈です。ぜひ、田中慶秋・衆議院経済産業委員長、後藤斎・筆頭理事らには、「代表命令」ですから、早めの審議入りをお願いしたいと考えます。なお、この法案、けっこう経産官僚たちが東京電力・電事連と対抗した「官僚たちの夏」みたいな話で、NHKスペシャルでも取り上げられたことがあるようです。しっかり、確実に成立させたいところです。

 順番としては、戻って、5月23日週の国会は大きな波乱はありませんでした。ただし、5月23日(月)の午前9時から、自民党の谷垣禎一総裁が衆・第1委員室で質問に立って、その心意気やよし。ところが、「報道によると~」として総理にぶつけた質問内容が事実関係に誤りがありました。極めて残念です。また、谷垣総裁はかなり迷走しているようです。というのは、内閣不信任案を出すと言うことで、通常国会会期末までには出すでしょうが、誰が敵か味方か分からない状態です。例えばマスコミは味方なんでしょうね、報道をあそこまで信用するんですから。自民党も味方でしょう。では小沢一郎さんは「敵か?味方か?」どっちなの? 菅総理は敵でしょう。民主党も敵でしょう。では、なぜ小沢さんは味方になるのか? 東京電力は敵か?味方か? 経産省は敵か?味方か? 参議院自民党はホントウに味方なのか? まったく分からない。谷垣さん、もっとしっかりしてください。民主党に何かあったらどうするんですか、影の首相なんでしょ?

 で、次は5月27日(金)の参院本会議で、民法など改正法が全会一致で可決・成立しました。また、日韓図書協定がようやく成立しました。2010年(日韓併合条約100周年)には間に合わなかったのは残念だし、画竜点睛を書きますが、大韓民国も、今は議会制デモクラシーの国ですから、国会でのプロセスに時間がかかったということに関しては、十分に理解してくれるに決まっています。

 で、改正民法に戻りますが、昨年末に、当ブログへの温かいご理解をいただくなど、友好ブログの「たんぽぽ」さんの「たんぽぽのなみだ」。「選択制夫婦別姓の導入」と「婚外子差別の廃止」を長年主張してこられていますが、残念ながら、今通常国会での改正民法は「児童虐待の防止・権利擁護のために、親権の停止制度をつくり、児童相談所長が親権を行うことができる」といった法律です。たんぽぽさんの「選択的夫婦別姓の導入」と「婚外子差別の廃止」については、おそらく来年の通常国会の民法改正案に入るかどうか。まずは法務省内の審議会にボールが行っている現状です。

 とこで、昨日成立した「民法などの一部を改正する法律」(第177回閣法31号)ですが、びっくらこきました。この法律により、既存の法律の中で、条文の修正が入るのが、次の各法律のようです(筆者調べ)。全部書きます。

民法

家事審判法
児童福祉法
戸籍法

学校教育法
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
船員職業安定法
刑事訴訟法
刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法
尐年法
建設業法
古物営業法
測量法
屋外広告物法
質屋営業法
建築士法
商品先物取引法鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律
港湾運送事業法
家畜伝染病予防法
道路運送法
道路運送車両法
宅地建物取引業法
旅行業法
自動車ターミナル法
商業登記法
不動産の鑑定評価に関する法律
義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律
小型船造船業法
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
警備業法の一部改正
建設労働者の雇用の改善等に関する法律
貸金業法
浄化槽法
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
鉄道事業法
港湾労働法遊漁船業の適正化に関する法律
貨物自動車運送事業法
保険業法
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
高齢者の居住の安定確保に関する法律
自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律
使用済自動車の再資源化等に関する法律
人事訴訟法
破産法
競争の導入による公共サービスの改革に関する法律
探偵業の業務の適正化に関する法律
賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律

以上です。何本になるかは数えていません。

 気になるのは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」や「貸金業法」が、なぜ「児童の親権」に関する民法改正により、改正が必要になるのか。今国会の法案を問題視するのではなく、現行法制の中で、「児童の親権」と「風俗営業法」「貸金業法」がリンクしていたことへの、驚き、失望。

 まあ、実は元々は「民法」だったわけで、あまりにも「民法」が大きくなりすぎたから、分割した法律に、「商法」(現「会社法」)があります。これでも民法というのはスリム化の努力はされているのです。ただ、こういった「名称が分かりにくい」というところが、デモクラシーのプロセスを滞らせることにつながることが残念です。

 やはり、英国議会のように、金曜日に、翌週1週間分の審議日程表を発表する方が、衆参与野党ともいいのではないでしょうか。まあ、今のように、日程把握と法案の内容、国会提出前の政府の審議会などをチェックするのが、各種団体の仕事です。とはいえ、各種団体もだいぶ、予算は厳しいようですから、そろそろ、常勤の専務理事も、自分の国会ロビイスト事務所でも立ち上げて退職して、「政治を国民の手に取り戻す」動きに参加してもらえないですかね。

 「たんぽぽ」さんのブログにも、「民法改正」という表記だと、家族法以外も入ってきて分かりにくいという趣旨のコメントが寄せられていたようです。その辺でも、「たんぽぽ」さんも隔靴掻痒な面があるでしょう。なお、筆者は夫婦別姓には断固、反対ですが、それは別。昨年末に「たんぽぽ」さんに助けてもらったご恩があるし、そういった議論は国会での審議も含めて、国民全体でやりましょう。当ブログとしても、たんぽぽさんをアシストする、そして、それ以上に、日程・プロセスが透明化した法案作成→国会審議のシステムづくりで道を拓いていきたいと存じます。

 ◇

 さらに、雑多な内容が混在します。2011年5月26日(木)午後4時半からの民主党幹事長の岡田克也さんの記者会見で、マスコミをかなり激しく批判する発言がありました。全文はこちらをクリックするとご覧になれます。

[岡田克也さんの「マスコミ批判・要望発言(5月26日)」の抜粋引用はじめ]

 「そういう“たられば”の議論はしないほうがいいと思うんですね。どうしても内閣不信任案の話、メディアにとっては“おいしい”話なのか、非常に好んで取り上げられ、そして本人が言っていないことまで想像して膨らませてお書きになる傾向が非常にあると思います。そういう政局をもてあそぶことを、政治家はもちろんやってはいけませんが、メディアの皆さんも十分気をつけていただきたい。一国の総理をどうするかという話です。先ほど、毎年総理が替わることは国益を損なうと申し上げましたが、もちろん短期間で辞める本人が一番悪いわけですが、しかし、そういう状況をつくり出す一部のメディアもあることは事実だと思います。それは日本の国益、国民の利益を明らかに損なっていると思います」

 「そういうふうにして膨らませることはいかがかと、私は申し上げているわけです。別に鳩山さんは『不信任案に賛成すべきだ』などということは、一言も言っていないわけで、『覚悟を持って政治をやらなければいけない』というのは政治家として当然のことです。先ほども(議員在職)25年のお祝いに鳩山事務所をお訪ねして、この20年、25年の自民党時代からの政治改革をともにやってきたことについて2人で話をいたしました。お互い覚悟を持って、この間やってきたつもりです。鳩山さんもそういう思いで言われたことを、なにか不信任案に、勝手に結びつけて言っている。そういうことは、私はいかがかと思います。自重していただきたいと思います」

 「松木さんのことは私、承知しておりません。聞いたことがありません。もし、どこでどういう発言をしたかをきちんとつかんでおられるなら、教えていただきたいと思います。横粂さんは全くそういうことは言われておりません。私は横粂さんと話をしております。彼は『不信任案が出た段階で総合的に判断する』と言っているだけで、不信任案に賛成することを無条件で言っているわけではありません。これも“膨らませ”の1つの例だと思います」

 「そういったことも含めて、これは検証して、そして正当にプラス・マイナス評価すればいいと思っています。総理がすべて間違ったことをしていたかのような報道は、私はいかがかと思っています」

 「それから朝日新聞の夕刊を見ると、それで自然エネルギーに舵を切るとか書いておられますが、前に申し上げましたが、原子力発電をどうするかという問題と、自然エネルギーを推進するという問題は、二者択一ではありません。自然エネルギーは目いっぱいやるべきだというのは、私の持論です。しかし、それで足らないから、その分について今ある原子力については、ある程度それに頼っていかざるを得ないということで、なにか自然エネルギーを目いっぱいやれば原子力はもうすべて要らないみたいな、そういう印象は国民に与えないほうがいいと。きちんと説明すべきだと思っています」

 「それは人によって違うと思います。ただ私は、ぶら下がりはあまり生産的ではなかったと思います。質問する側も、大体事前に用意された質問を繰り返すということで、答弁に応じて二の矢、三の矢を継ぐという感じはあまりなかったし、あれが国民から見て、どのぐらい有益であったのかは、私は常々疑問に思ってまいりました。もちろん菅総理がどう考えるかは私、承知しませんので、今後どうなるかもわかりませんが、ある程度時間を確保して深い議論ができるような、あるいは国民に伝わるような、そういう会見を工夫すべきだと私は思っています」

 「いろいろな発言を、メディアは必要以上に対立的に、あるいはおもしろおかしく報じる傾向があるのじゃないかと思います。私自身の経験に鑑みても、ですね。しかし、国民はそういうことを別に望んでいないと考えています。『望んでいない』というのは、一部メディアのそういう報道姿勢を望んでいない、ということです」

 「もう少し前向きな希望のある質問はないんですかね」

[岡田克也さんの「マスコミ批判・要望発言(5月26日)」の抜粋引用はじめ]

 岡田さんがここまで大量のマスコミ批判・要望発言をしたことは、私には記憶がありません。

 第177回通常国会は歴史的な国会です。半世紀にわたり日本の娯楽・報道の王様だった「地上波テレビ・アナログ放送」が中継する最後の国会となります(被災3県を除く)。今国会におけるテレビ、新聞報道が、時代の変化についていけていないことに失望します。せめて朝日は「ここに注目しました!」というワッペンの国会傍聴小囲みを復活させて欲しいですね。国会というのは、経済、人間、社会、世界、時代、いろいろなところが見えてきます。テレビ局さんも「終わりよければすべてよし」というシャイクスピアの戯曲名にもなっている格言をしっかりとかみしめていただきたく存じます。

 さあ、来週もしっかりと(ゆっくりとでもいいので)前に進みましょう。私たちはG8国、アジア最初の憲法、産業革命(殖産興業)、民選議会(国会、地方議会)を持った、自称「一等国」なんですから。莫大な遺産を利口に分配、差配しながら、これからもやっていきましょう。

 それにしても、谷垣さんに限らず、川内さんも、松野さんも、「いったい誰(何)と戦っているんでしょうか?」
 “What for?(何のために?)”・・・ベトナム戦争に派遣された米軍兵士もそうつぶやいていたことでしょう。

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