ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

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摩訶不思議な3次補正

2011年10月27日 09時46分24秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

(このエントリーの初投稿日時は2011年10月27日午前9時半)

 あす(2011年10月28日金曜日)、野田佳彦内閣は国会に平成23年度第3次補正予算書を提出します。

 最短で11月10日(木)ですが、たぶん11月11日(金)成立ということで、遅いのですが、ちょっとキッチリ審議してもらいたい点を見つけましたので、指摘します。

 まず2次補正から入っている、「原子力賠償支援機構」への交付国債について。交付国債とは国から原賠機構への渡しきりの国債で、機構が必要に応じて現金化できます。これが限度額2兆円だったのですが、3次補正のフレームの(注3)のなかで、限度額5兆円に引きあげると小さく書いてあります。

 2つめ。2次補正では一部野党から「歳入歳出総額の増額が2兆円なのに、予備費(「東日本大震災復旧・復興予備費」)0・8兆円(8000億円)は大きすぎる」として、金額や、あるいは被災地のニーズを把握する能力が低いのではないかと指摘がありました。これが、3次補正では2343億円(0・2兆円)減額補正されてしまいました。これは台風12号(和歌山・奈良など広範囲、”堰止め湖””土砂ダム”など)の災害対策費に3000億円(0・3兆円)に回したのか、あるいは、使い勝手のよい「東日本大震災復興交付金」が1・5兆円新設し、全国への地方交付税交付金も1・6兆円増額補正するので、そちらに行くという考えかも知れません。たた、予備費を使う場合は閣議決定をし、後年度になりますが、調書を国会に提出(おもに決算委員会に付託)しますので、財政民主主義が働きます。仮に交付金で、大臣命令(というか、府省による箇所付け)で執行・交付された場合は、国会への報告はありません。財政民主主義の面から、ちょっと疑義があります。

 それと自衛隊施設および防衛装備品(他国でいう武器のこと)などの復旧などに1470億円行きます。これが報道によると、C130輸送機を購入するなどの装備に充てられるようですが、陸海空の統合運用だとか、あるいは、転籍させることによって対応することも可能なような情報があります。防衛省は特別会計をもたずに、これだけの装備をしてきて立派ですが、ぜひ正面から当初予算に概算要求するのを基本として欲しいと考えます。

 最後に、すでに今週の一般質疑でも出ていますが、復興基本法に基づく、復興債は、償還の道筋の明確化が必要です。これもまた財政民主主義の観点から、「復興債特例勘定」あるいは「復興債特別会計」をつくってほしいと考えますが、財務大臣の答弁によると、平成24年度当初予算からでないと技術的に難しいようです。

 まだ、予算書そのものはあすにならないと、ネットに出ませんが、わが国の予算審議はあまりにも時間が短いので、提出前に指摘しました。

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コメント
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