宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

3次補正は9・5兆円増額、年間103兆円へ 歳入はほとんどが復興債 関連法案は「郵政成立」明記へ

2011年10月07日 23時09分00秒 | 第179臨時国会(2011年10月)議員立法

[写真]財務省に初登庁した安住淳・財務大臣(財務省ホームページから)

 政府は2011年(平成23年)10月7日(金)の夕方、臨時閣議で、第3次補正予算(案)の基本方針と関連法案である「復興財源確保法案」を決定しました。このうち、3次補正は衆院で過半数を占める与党の可決で成立しますが、復興財源確保法案の成立には与党の外、少なくとも公明党の賛成が参議院で必要となるため、与野党協議のうえ、予算書を印刷し、第179臨時国会に提出します。

 すでに第3次補正予算案の「基本方針」と、復興債と集中復興期間の収入については、次の財務省ホームページに掲載されています。ぜひごらんください。財務省のこういった情報公開姿勢は高く評価します。

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2011/index.htm

 ただ、今回の書きぶりは、わざと分かりにくくしている面があるのと、3党協議に基づきといった、国会または政党が判断すべきことに言及しすぎている嫌いがあるのが残念なところです。

【3次補正は9・5兆円規模、年金財源2・5兆円を半年ぶりに元に返す。3党合意の子ども手当減額補正も、財源はほとんどが復興債】

 歳出の追加は、12兆円規模となりますが、実際の増額補正は9・5兆円となります。これは、毎年必要な年金の基礎年金部分の国庫負担2・5兆円に関して、公明党などの許しを得て、第1次補正で復旧に回したため、この転用分を復興債でまかない、半年ぶりに年金特別会計に返します。これは復興基本法で決まっていました。これは増額分から除きますから、ですから、平成23年度予算の一般会計の総額は、2次補正後の94兆7154億円から103兆3000億円程度になります。

 歳出では東日本大震災関連に9兆円を計上します。台風12号(奈良・和歌山など)関連には3000億円、菅直人首相の薬害肝炎訴訟の和解にともない新設する「特定B型肝炎ウィルス感染者給付金など支援基金」には、まずは500億円を出して基金を作ります。

 一般会計とは別に、日本公庫(日本政策金融公庫)に1・3兆円の財政投融資を追加しますので、震災・円高対策の融資枠を拡大するのだと思います。

 総務省は4月から地方交付税を(普通交付税分も含めて)被災自治体に前倒しで交付してきましたが、そろそろ1年間の全国自治体への配分計算から、交付に慎重になっていたとされています。そこで、一般会計で地方交付税を1・6兆円増額補正します。

 歳入です。復興債を11・4兆円発行する予定で、税外収入は500億円程度。また、これとは直接関係のない話ですが、8月9日の3党合意にもとづき、2000億円を歳出から減額しますので結果として「0・2兆円の財源」が生まれることになります。

 【3次補正予算関連法案(復興財源確保法案)は、郵政改革法成立を明記、前原さんの「言うだけ番長」は功を奏す】

 3次補正予算関連法案として、「復興財源確保法案」が提出されることになりました。ただ、現時点ではかなりあいまいな部分があります。

 まず大枠として、10年間の「集中復興期間」で、9・2兆円の復興増税と7兆円の税外収入を確保することになりました。当初は増税額は11・2兆円とされていましたが、税外収入の上積みで、9・2兆円に抑えることになりました。これは「言うだけ番長」とやゆされる民主党政調会長の前原誠司さんの意見が、財務副大臣や官房長官の意見をくつがえした気配がうかがえます。

 そして法案には、郵政改革法案と関連法案(176閣法1号~3号)を早期に成立させて、その後の日本郵政株式会社の経営を安定させた上で、日本郵政株を売却することが明記されることになりました。これは私はかなり驚きです。言うまでもなく、国民新党代表の亀井静香さんらの政治センスの高さの勝利です。日本郵政はゆうちょ銀行・かんぽ生命の手持ちの安定した資産だけで時価200兆円以上あると思われますので、その裏打ちによる「日本郵政株」の3分の1を売却すれば、かなりの額を期待できます。やはり亀井さんはすごいと認めざるを得ないでしょう。

 次期国会での郵政改革法案の審議は、反対姿勢を崩さない自民党との攻防が激しさを増しそうです。

 復興債はもともとは公明党のアイディアですが、井上義久幹事長が「復興特例勘定のようなもの」に別枠にして、会計を管理するとしていました。例えば、“国債整理基金特別会計復興債勘定”といったようになるのかなと思いますが、きょうの発表では、まだ置き場所が分かりません。この辺の透明性の確保は、デモクラシーの根本原理ですので、しっかりと制度設計をしてほしいと考えます。なお、復興債の償還について、民主党は10年としていますが、公明党からも「10年は短すぎないか」、自民党からは「建設国債と同じ60年というアイディアもある」との意見が出ています。予算関連法案は、これは衆参ねじれ国会ですから、3党協議が必要となってきます。できる限り、提出前に合意したいところですが、国会で修正のうえ、速やかな成立をめざすため、日本共産党、社民党、たちあがれ日本、新党改革などの力を借りる場面がでてきそうです。

 3党協議担当者は、正確な理解が必要ですが、民主党執行部はちょっと分かっていない気がします。最近では国会対策の主導権を財務省官房文書課ににぎられているともされています。政府外議員も含めて、直近の民意である衆参ねじれと3党合意、そして、そもそも予算書を読むという地道な作業が底上げにつながります。

 なお、念のため、「消費税の増税」は、税と社会保障の一体改革ですので、まったく関係のない話です。かりに混同していれば、国民、マスコミは反省すべきですが、もっとも反省すべきなのは、民主党です。こちらの法案は第180回(?)通常国会の後半国会で審議されることになる運びです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホッとしました 小沢一郎さんが週末退院へ 救急車で搬送も、「2~3日で退院できるのでは」と秘書が明かす

2011年10月07日 02時06分57秒 | その他

[写真]小沢一郎さんが入院した病院の正面玄関、2011年10月7日午前1時半、筆者撮影。

 小沢一郎さんが2011年10月6日(木)、「陸山会事件」の初公判の夜、東京・世田谷の自宅から東京・文京区千駄木の「日本医科大学付属病院」(日医)に運ばれましたが、6日深夜(7日未明)の午前1時45分頃、小沢氏のN私設秘書が取材に応じ、「7日記者会見を開く」とし、「退院のめどは2~3日(だろう)」との見通しを語りました。N秘書は半ズボンにセーターの普段着姿。小沢さんが「料理がうまい」「運転がうまい」とお気に入りのN秘書は昨夏の参院選では2人区の長野選挙区に小沢さんの名代として派遣されました。とりもとりあえず、普段着のまま病院まで付き添ったようです。すでに終電が終わった後でしたが、帰路に着きました。報道陣は技術スタッフを入れて、50人から60人ほどで、同病院の警備員のほかは、警察の警備や、政治家の往来は見かけず、とくだんの緊張感はありませんでした。


[写真]報道陣に説明するN秘書、2011年10月7日午前1時45分、筆者撮影。

 小沢さんは狭心症で42日間、この病院に入院して以降、検査もかねて、連休などに読書などのために入院することがあります。現在の自宅からは遠いですが、初当選時に住んでいた自宅から至近距離で、出身中学校(転入)、高校からも比較的近くです。向いには、ゴールデンウィークの大型連休に「つつじ祭」で有名な神社と、その森があることから、個室からの見晴らしはいいようです。私もたまに長距離の散歩をする際には、よく訪れている場所です。全国的には「丸山ワクチンの接種ができる大学病院」というと、通りがいい方もいらっしゃるでしょう。なお、狭心症の治療にあたった主治医は、すでに親の跡をついで開業しており、退職しています。

 
[写真]小沢一郎さんが入院した病院の救急受付、2011年10月7日午前1時40分、筆者撮影。

 小沢一郎さんは1991年に42日間入院したことで、その年の秋の自民党総裁選で、竹下派(経世会)内の「海部総裁(河本派)続投」、「竹下再登板」、「小沢擁立」の3枚のカードから外れてしまい、海部続投、竹下再登板のカードもなくなったことで、竹下派と河本派は、他派閥の候補を応援して、団結力をアピールする方針に転換。このときに、退院後の小沢・経世会事務総長が総裁に名乗りをあげていた3人を選ぶ役回りを得ましたが、小沢さんの体調に考慮して、宮澤喜一元蔵相(宮沢派=宏池会)、渡辺美智雄元蔵相(中曽根・渡辺派=政科研)、三塚博元通産相(三塚派=清和会)の3候補が事務所を訪れたことから、「面接」と揶揄され、現在にいたるまで、小沢氏の「剛腕(あるいは傲慢)」イメージを定着することになりました。このため、小沢氏は総裁選出馬経験がありません。  

 来週以降の、公判への影響はまだ分かりません。

 とはいえ、まずはホッとしました。


 ◇

 なお、この記事のように、他の媒体のように、事象を煽る(あおる)ことで、関心を高めることなく、なるべく、素直な心で、当ブログを書き続けていきたいと考えています。

 今回も自転車で行こうかと思ったのですが、かなり激しい雨だったので、やむを得ずタクシーを使い、行きが1700円、帰りが1430円で、往復で合計3130円かかりました。

 ぜひ、確かな取材、情報源に近づけるために、「国会傍聴取材支援基金」にご協力いただきたく存じます。

 詳細は、次のリンク先(http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/e8879dfc5196cbd00d79ece544842407)でお読みいただけます。

 「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い

 どうぞよろしくお願いいたします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする