[写真]民主党を代表して来週火曜日(5日)の本会議で政府の補正予算(案)をただす予定の岸本周平・衆議院議員。
さきほどのエントリーに続き、政府がきのう(2013年1月31日)提出した平成24年度第1次補正予算(案)。
とにかく気づいたころに衆議院で採決されちゃいますから、書きたいことは早めにどんどん出さないといけません。「自民党の辞書に国民の文字なし」、「自民党を見たら泥棒と思え」。1兆円単位の話ですから、真剣です!
週明け4日月曜日の麻生太郎財務大臣(副総理)の衆参両院での財政演説から審議入り。この後、5日6日に衆参本会議で代表質問をしてから衆・予算委員会に入る運びのようです。詳しいことは今後の政治日程にも書きました。民主党からは2回連続小選挙区で勝った岸本周平さんが代表質問に立つようです。
それにしても、なんで政府は召集日に補正予算案を提出して安倍晋三首相の所信表明と麻生財務相の財政演説をやらなかったのでしょうか。予算書の印刷が間に合わなかったのか。ていねいな国会運営のためなのか。いずれにしろ、野党としては出番が増えるので文句は言えないところです。が、公明党代表の山口那津男さんがきょう1日の参院本会議で「暫定予算が組まれる可能性が極めて高い。公明党の政策であるHIVワクチン、子宮頸がんワクチンが、妊婦検診の無料化が平成25年度から恒久化されるが、これらの恒久措置が4月から確実に自治体で行われることを強く要望します」と総理に釘をさす場面がありました。参院選でおしりが区切られた6月26日の会期末まで時間が少なくなりつつあり、民主党逆転の目は十分にあります。
【補正予算の国庫債務負担行為の補正を見逃すな】
それはさておき、平成24年度第1次補正予算書のなかで、「国庫債務負担行為」も補正されています。
「国庫債務負担行為」とは、今年度予算額を超える金額の契約を入札できる枠のことです。なぜできるかというと、政府が保証しているからです。政府が保証しているなら、民間企業は喜んで入札に参加するでしょう。いわゆる緊急経済対策(補正予算)の報道で出てくる「真水」と「事業規模」の違いはこういったことから生まれます。国庫債務負担行為の増額補正は真水にはカウントされませんが、総事業規模にはカウントされます。しかし、国庫が保証している以上、後年度に絶対にお金(税金)を払わなければならないのは当然のことです。国会によるチェックが必要です。
さて、予算書。
例えば防衛省ならば、「武器の購入」の国庫債務負担行為が731億円分増額補正され、2538億円になっています。3月中でも、その上限までなら入札で発注していいわけです。「航空機の購入」の国庫債務負担行為は、434億円増額補正され、1830億円までしていいことになりました。防衛省は特別会計がないので、一般会計でこのような対応をしています。つまり、国の予算書は「単年度主義で単式簿記現金主義」ですが、このような「複式簿記的な複数年度会計」も取り込まれているのです。
文部科学省は「国際核融合実験炉研究開発費」として、12億円から377億円に大幅に増額し、その保証する期間も当初予算書の「24~25年度」から「24年度以降5年間以内」と延ばしました。必要ならばしっかりと本予算で対応して欲しい。
特別会計でも国庫債務負担行為の増額があります。5年前のガソリン値下げ隊でおなじみ国交省の「道路特会」(社会資本整備特別会計道路整備勘定) では、道路修繕事業の国庫債務負担行為が140億円から293億円に増額して設定されました。「静岡県の国道1号」もあるようですから、新規参入したい方は入札に参加したらどうでしょうか。
一般会計で法務省は法務局建設費の国庫債務負担行為を33億円から68億円へと増額してもらっています。静岡地方法務局藤枝支局などを前倒し発注するようです。私は「国の出先機関である法務局は基礎自治体に移管すべきだ」というアイディアを持っています。このような債務負担行為の設定は後年度の負担になるので反対です。もちろん景気対策になるのは分かります。だったら、補正でも、国庫債務負担行為ではなく歳出を増額補正する方法もあります。
話はさかのぼります。過去にこういうことがありました。自民党が第2与党期の最後に組んだ平成21年度第1次補正予算(麻生内閣)の一般会計の「歳出」では法務省の予算を前月比1・2倍になりました。その中には、少年院に太陽光発電設備をもうける事業がありました。補正予算書によると、「低炭素革命を進めるため」だそうです。法務省は人件費中心で予算規模が小さいので、4月にして2割増しになったことになります。まさか概算要求のころに起きた西松事件(現・陸山会事件)に対するご褒美ではないか、と勘ぐる人もいそうです。少なくとも誤解を招きかねない行為です。この補正に関しては、衆院法務委員だった川内博史・民主党鹿児島1区総支部長の激しい追及がありましたが、予算は修正されませんでした。
話は今に戻ります。法務省は特別会計が廃止されたので、一般会計しかありません。なので防衛省のように、一般会計の国庫債務負担行為で措置してもらったのではないかと勘ぐりたくもなります。スーパー官庁財務省だって現職の課長補佐を東京地検特捜部に逮捕された経験があり、法務省はこわいのです。そういったたぐいの話はこのぐらいにします。
いずれにしろ、「国庫債務負担行為の修正」は、寄せ木細工である「歳入と歳出」の足し引き算には関係いので、野党で誰かやってみてほしいという感じがします。
もちろん、速やかな補正予算の成立・執行が必要であることは、私もまったく同感です。
そして、何よりも私は、こういうことを国会議員も高級官僚も新聞記者も9割以上理解していない。そのことを情報公開したい。その一心です。そして臥薪嘗胆している民主党総支部長にも、4年後の国政復帰後、与党だか野党だか分かりませんが国会議員として予算書を使いこなせるようになっていただきたいのです。
とにもかくにも予算書を中心とした国会審議が続きます。あたかもドン・キホーテが独り言を日記に書き連ねるような状況が続くかもしれませんが、どうか、ご理解いただき、背中を押してくださいませ。
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