[写真]法務省、今月、宮崎信行撮影。
「裁判員制度の施行状況等に関する検討会」が法務省内に設置され、平成31年2019年1月16日(水)初会合がありました。
これは、2015年安保国会で、衆議院法務委員会(柴山昌彦・与党、山尾志桜里・野党両筆頭理事)で、審議されたもので、政府原案に初めからあった「附則による、3年後見直し規定」が成立しました。この3年後見直し規定にもとづき、検討会が設置されました。最高裁判所事務総局を代弁する格好で東京地方裁判所部総括判事、検察庁からは、東京高等検察庁部長、警察庁からは刑事局課長が委員に名を連ねました。初回会合では、2015年の衆参法務委の附帯決議も配られました。
法相は15日の記者会見で「この検討会は刑事局が裁判員法一部改正法に基づく検討作業を行うに当たって、意見交換を重ねていただき、その作業に必要な協力をお願いするものです。いつまで継続するかや検討結果を取りまとめるかどうかについては,議論の状況にもよりますので、現段階では未定であると申し上げます」と語りました。
但し、NHKの今月の「クローズアップ現代」で、裁判員を拒んだ人のファイルを整理する職員の姿などの取材映像などを公開しており、法務省内に改善を求める機運があるようにみてとれます。
また、恐怖人事・忖度がはびこると指摘されている、最高裁事務総局による対応にも注視が必要かもしれません。
附帯決議は、調査局作成の原案を、国会議員としては、山尾志桜里さん、井出庸生さん、小川敏夫さん、有田芳生さん、真山勇一さんらがかかわったのではないか、と考えます。
以下は、衆参両院の法務委付帯決議をつけて、この記事の本文は終わります。
[2015年の改正裁判員法についての衆参法務委の附帯決議、法務省作成のホームページから全文引用はじめ]
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律(平成27年
法律第37号)に対する附帯決議(衆議院法務委員会)
政府及び最高裁判所は,本法の施行に当たり,次の事項について格段の配慮
をすべきである。
一 長期間の審判を要する事件等は,国民の関心が高く,社会への影響も大き
い事件が多いことから,裁判員制度が創設された目的に鑑み,その除外決定
は極めて例外的な措置であることなど,本法の趣旨の周知徹底に努めること。
二 審判に著しい長期間を要する事件等の対象事件からの除外決定は極めて例
外的な措置であることに鑑み,除外の要否の検討を行う前提として,関係者
の協力の下,公判前整理手続等において必要な審判期間及び公判期日等につ
いての十分な検討を行うとともに,できる限り裁判員等選任手続の実施を図
り,裁判員裁判を実施するために最大限の努力を尽くすことなど,本法の趣
旨に沿った運用がなされるよう周知徹底に努めること。
三 本法の附則に基づく三年経過後の検討の場を設けるに当たっては,国民の
視点からの見直しの議論が行われるよう,裁判員経験者,犯罪被害者等の意
見が反映されることとなるように,十分に配慮すること。
四 裁判員裁判の円滑な実施を図るため,裁判員制度施行後の辞退率の上昇及
び出席率の低下について十分な検討を加え,必要な措置を講じること。
五 事業者による特別な有給休暇制度の導入などの職場環境改善の促進,保育
所・学童保育等を日常的に利用していない者がこれらの施設を利用すること
の確保等,できる限り国民が裁判員として裁判に参加できるような環境の構
築に向けて,更に積極的に取り組むこと。
六 国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に訴訟手続を行う制度の在り
方について,差し当たり刑事訴訟手続における国民参加の制度である裁判員
制度が導入されたことに鑑み,国民の司法に対する理解・支持を更に深め,
司法の国民的基盤をより強固なものとして確立するため,広範な視点に立っ
て検討を行うこと。
七 本法の附則に基づく三年経過後の検討に当たっては,死刑事件についての
裁判員制度の在り方,性犯罪についての対象事件からの除外などの犯罪被害
者等の保護の在り方,否認事件への裁判員参加の在り方,裁判員等の守秘義
務の在り方等,当委員会において議論となった個別の論点については,引き
続き裁判員制度の運用を注視し,十分な検討を行うこと。
八 裁判員制度施行後における殺人罪及び強盗致死傷罪等の起訴率の低下と制
度の影響との因果関係について,本法の附則に基づく検討までに検証を行う
こと。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律(平成27年
法律第37号)に対する附帯決議(参議院法務委員会)
政府及び最高裁判所は,本法の施行に当たり,次の事項について格段の配慮
をすべきである。
一 長期間の審判を要する事件等の裁判員対象事件からの除外手続について
は,司法の国民的基盤の確立を目的とする裁判員制度の趣旨に鑑み,その決
定は極めて例外的な措置であることを踏まえた的確な運用がなされるよう周
知徹底すること。
二 裁判員制度施行後の辞退率の上昇及び出席率の低下について十分な調査を
行うとともに,裁判員裁判に対する国民の参加意欲を高めるため,法教育や
裁判員制度の意義及び内容に関する広報啓発活動を拡充し,裁判員経験者の
体験を広く国民が共有できるよう努めること。
三 裁判員の心理的負担を緩和するための方策の推進及び裁判員等の守秘義務
の範囲の明確化について更に取り組むとともに,裁判員制度の運用を注視し
つつ,守秘義務の在り方全般にわたって引き続き十分な検討を行うこと。
四 地方公共団体,企業等との協力体制を強化して,特別な有給休暇制度の導
入や託児・介護施設の優先的利用等,仕事や家庭を持つ国民が裁判員等とし
て活動しやすい環境の整備について更に積極的に取り組むこと。
五 本法附則に基づく三年経過後の検討の場を設けるに当たっては,国民の視
点からの見直しの議論が行われることの重要性を踏まえ,裁判員経験者,犯
罪被害者,法廷通訳人などの裁判員裁判関係者の意見が反映されるようにす
ること。
六 当該検討に当たっては,国民の司法に対する理解・支持を更に深め,司法
の国民的基盤をより強固なものとして確立する観点から,裁判員制度の対象
の範囲,死刑事件についての裁判員制度の在り方,公判前整理手続の在り方
等について着目し,十分な検討を行うこと。
[2015年の改正裁判員法についての衆参法務委の附帯決議、法務省作成のホームページから全文引用おわり]
このエントリーの本文記事は以上です。
[お知らせはじめ]
宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。
このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV) 参議院インターネット審議中継 国会会議録検索システム(国立国会図書館) 衆議院議案(衆議院事務局) 今国会情報(参議院事務局) 各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク) 政党インターネット資料収集保存事業 「WARP」(国立国会図書館) 予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト) インターネット版官報
[お知らせおわり]
tags
(C)2019年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki 2019