【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第198回通常国会は河野太郎外相の「大使公邸に腕の良い料理人を集める」という不毛な決意の演説からスタート、松岡利勝さん13回忌だが自殺者はでない国会であってほしい

2019年01月28日 18時03分45秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

[写真]河野太郎外相、参議院本会議、きょう、参議院インターネット審議中継から宮崎信行がスクリーンショット。

 第198回通常国会が、きょう、平成31年2019年1月28日(月)召集されました。

 異例のはこびですが、あすは、参議院本会議で決算に関する代表質問があります。

 日本では出る杭は打たれますが、出過ぎた杭は打たれない、そうです。忖度の空気の上の雲の上まで突き抜けて、この150日間も書いていこうと思います。

 【宮崎信行】空気の上の雲を越えて

 4日前の記事で、毎月勤労統計の不適切な調査に関する初の国会審議(閉会中審査)で、今月発足した第三者委員会の話が炎上した、としました。きょう召集日の朝日新聞1面トップは、そのヒアリングに、厚生労働省の定塚由美子官房長(56歳、東大法、昭和59年労働省採用)が同席していた、と報じました。労働省採用の女性官僚はさされやすいのかもしれませんが、想定外で、呆れはてる内容で、逆に関心が薄まりやしないかと心配です。

 陛下、明仁さまにとっても、最後の国会開会式。「菊のタブー」もあるのか報道されていませんが、陛下の父、裕仁さまは、96年前、開会式(開院式)に向かう途中に暗殺未遂にあっています。散弾銃は車を通過して侍従がけがをしながら裕仁さまは、「気づかなかった」とおとぼけ。容疑者は衆議院議員の子ども。警視庁は、容疑者を袋叩きにする群衆の整理の方が大変だったそうです。父は当日議員辞職し、帰郷、断食して餓死。これにより、関東大震災の補正予算案の審議が遅れ、暗い時代へと突入しました。このため、戦後の国会法では、召集詔書に書かれた日に、自動的に国会の会期がカウントされるようになったので、天皇陛下が国会に来る法律上の必要性は全くありませんが、きょうも、陛下は国会へ。

 安倍晋三首相の施政方針演説は、7年連続。さすがに新味はないのですが、きょねんの「明治維新と戊辰戦争」のタブー破りから打って変わって、しっかりと代替わりをしていくことを明言しました。幼児教育と高校の無償化で、アベノミクスは完成するとしました。「今こそ自由貿易の旗を高く掲げなければならない」としました。安倍さんの言い方としては、トーンダウンで、トランプさんに配慮か。法案提出を見送った「会社法」と「携帯電話料金4割値下げ」については、首相の口で言わせることで、路線を敷こうとする省の考えが、短冊から透けて見えたような感想も持ちました。

 安倍さんにとっては、12年前の国会で、「なんとか還元水」で松岡利勝農相(伊吹派)が自殺してしまったことがありました。13回忌ということになるでしょう。きょねんは、近畿財務局職員が自殺し、その遺書を内閣官房副長官が入手し、国税庁長官に読ませるというえげつない事態が起きました。なぜ、96年も前の摂政が今の天皇陛下の父だったのだろうと思いをはせると、大正デモクラシーでは坂の上の雲(日露戦争)からの転落が始まっていたので精神に支障をきたす人が多かったため代替わりし、戦争で多くの人が亡くなったものの、経済発展で寿命が延びた。なので、今の日本では世代交代が遅れて、80歳を過ぎた政策決定者が多く残っているのでしょう。松岡さんの13回忌を迎えるにあたって、自殺者が出ることで、物事が動くようなことはあってほしくないと考えます。

 河野太郎外相の外交演説では、「中東に負の歴史を持たない日本が、中東の平和と安定に一層の役割を果たす」「外務省に良い人材を集める」「腕のよい料理人を、大使公邸に集める」など、さっぱり訳の分からない珍演説を展開しました。もっともらしいことを言って、大局を間違えている政治家であり、日本はこういう人が多いですから、気を付けないといけないです。

 麻生太郎財務相の財政演説についてですが、同じことを思っている人が多いと思いますが、平成31年度予算案の説明の後で、平成30年度第2次補正予算案の演説をするのは順序が逆にように感じます。

 茂木敏充・経財相の経済演説ですが、茂木さんは竹下派の緊急会合で真ん中に座ったようで、意気軒高という感じでした。


【衆議院本会議 平成31年2019年1月28日(月)】

 特別委員会は従来を維持して設置されました。

 樽床伸二さんから議員辞職届が提出され、了承されました。衆議院先例85では、辞職願には理由をつけることにしています。「今般行われる、(衆議院議員)大阪12区(補欠)選挙立候補のため」。過去には「知事選立候補のため」は多数先例がありますが、「衆院選出馬のため」はかなり珍しいようです。

 中尾栄一さんへの弔詞が朗読されました。


 この後、上述の通り、安倍晋三首相の施政方針演説、河野太郎外相の外交演説、麻生太郎財務相の財政演説、茂木敏充経財相の経済演説。議事進行係の星野剛士さんの動議で「30日午後1時から質疑を行う」ことが決まり、散会しました。毎年同じことを書いていますが、きょうの、ことし最初のNHK国会中継で発言した6人は全員自民党員だったことになります。

【参議院本会議 同日】

 院の構成が変わったため、懲罰委員長ポストが自民党から、「維新・希望」の室井邦彦さんに移りました。特別委員会は従来通り決まりました。再開後は、安倍晋三首相の施政方針演説。河野外相の外交演説で、上述の内容をめぐって、森裕子さんらからかなり野次が飛びました。麻生太郎財務相の財政演説、茂木敏充・経財相の経済演説がありました。伊達忠一議長が「質疑は後日にする」とはかり、散会しました。

【衆議院各特別委員会 同日】

  委員長を互選しました。

【参議院各特別委員会 同日】

 委員長を互選しました。徳永エリ・東日本大震災復興特別委員長は、委員派遣を決めました。渡辺猛之・政治倫理の確立及び選挙制度改革に関する特別委員長は、亡くなった鴻池祥肇さんへの黙とうを呼びかけました。

【衆議院議院運営委員会 同日】

 議長応接室、いわゆる「サロン」で開催。

【参議院議院運営委員会 同日】

 開催されました。

【両院・開会式 同日】

 参議院本会議場で行われました。

【政府 閣議 同日】

 第2次補正予算案に関連した、地方交付税法改正案を閣議決定し、国会に提出。

 首相の施政方針演説→こちら

 平成31年度予算書・予算参照書→こちら

 外交演説→こちら

 財政演説→こちら

 経済演説→こちら。 

このエントリーの本文記事は以上です。

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 

このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV) 参議院インターネット審議中継 国会会議録検索システム(国立国会図書館) 衆議院議案(衆議院事務局) 今国会情報(参議院事務局) 各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク) 政党インターネット資料収集保存事業 「WARP」(国立国会図書館) 予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト) インターネット版官報

[お知らせおわり]

tags 

(C)2019年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki 2019