宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【訃報】【経済】さようなら稲葉清右衛門さん逝く、数値制御NC旋盤を世界に先駆け量産化、ファナック事実上創業者

2020年10月07日 03時41分35秒 | 経済
[写真]「ファナック」のブースで、おととし2018年11月、東京・江東の「ビッグサイト」の「JIMTOF日本工作機械見本市」で。

 「ノイマン型コンピューター」をとりつけ数値で制御して金属加工する「NC工作機械」を世界に先駆け量産するイノベーション(技術革新)をはたした「ファナック」の創業者、

 稲葉清右衛門さんが95歳で老衰で亡くなっていたことを、

 昨夜から、けさ(7日付)の日経新聞1面などが報じました。

 2020年10月2日(金)、95歳で老衰で亡くなったそうです。すでに近親者のみで通夜・告別式を済ませ、後日お別れの会を開く予定。報道では、喪主は不明。

 心から哀悼の意を表しますとともに、私からはご冥福をお祈りいたします。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/ibaraki/region/ibaraki-20201006213349
)。

 稲葉博士が何をされたかというと、IBMのフォン・ノイマン博士が開発したノイマン型コンピュータ。これはきょう2020年現在では単に「パソコン」と呼ばれている、あれです。これを旋盤にとりつければ同じ物を大量に均質に作り続けることができるーーこの発想は、米欧独日の多くのイノベーターは気づいていたはずです。稲葉さんは上司であった富士通常務から奨励され参加した「自動制御研究会」で、マサチューセッツ工科大学が1952年にこれに成功したことを、1956年になって、知ります。自身が1959年に世界で初めて成功しました。この初号機は「牧野フライス製作所」に納品されました。分社化した富士通ファナックの経営者となり、稲葉家がオーナーに。世界シェア断トツを61年間独走し続けた人生。以上。

 となりますが、傑物だけにもう一つ世界に抜きんでた発明をしました。こちらの方が現在ではNCをも凌駕しました。ロボット。ロボットがロボットを作る「FA」(ファクトリー・オートメーション)を経営者として採用するとともに、商品化しました。「ロボ・ドリル」なら金属板を固定したままで、左右から手が出てきてすごい勢いでスマホ本体の形に抜いていきます。

 私の父が1966年に後発として創業し、私が現在代表取締役をつとめる宮崎機械株式会社は同業者に先駆けて、ファナックの「販売店」ライセンスを獲得。「販売店」は「代理店」とは違い、債権回収リスクをすべて負う会社であり、小売価格と卸売価格の差額を儲けとして独占し、バブル期に同業者を圧倒する成功をおさめました。





 父は稲葉さんに会ったことがあります。販売店を集めた工場見学バスツアーの際、稲葉さんが最初と最後にあいさつをされたそうです。秘めた傑物のイメージとは違い、小柄な方で、とてもていねいにおじぎをしてくださったそうです。見学コースの最初は社員の方から「この工場はこの照明一つが付いていますが、これはみなさんが見学に来たからで、ふだんはこの照明も消えて、昼間なのに真っ暗で、ロボットが製品を作っているのです」とのサプライズがあったそうです。

 私にとっては2018年10月に享年84で亡くなった父の3回忌がおととい5日(月)でしたが、稲葉さんは先週金曜日2日に95歳で亡くなっていたことが、けさ分かりました。

 「プロジェクトX」などのテレビ番組にはまったく出演しなかった稲葉さんは、その商品と自社工場、社員寮などを黄色く染め上げることで有名でした。その理由は父と私は凡才なのでいまだに判然としません。

 以上です。

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