宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岡田幹事長、終盤国会の見通しを語る

2011年05月09日 21時57分52秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 岡田幹事長は、2011年5月9日(月)の民主党本部ホールでの定例記者会見で、終盤国会(6月22日まで)の見通しを語りました。

 「補正予算も成立して、大型連休も終わって、(第177回通常)国会は新しいステージに入っていくので、しっかりと国会の内部の対応をしていかなければならないと思います」と冒頭に自ら述べました。これは、「何事も始めが肝腎」ということで、政局が荒れやすい連休明けの終盤国会の初日に、①責任与党・衆参第1会派の代表者としての国民へのメッセージ、②党内非主流派(小沢グループ)への国会外での活動へのけん制③公明党をはじめとする野党に対する国会運営での十分な配慮を約束④自民党の一部ベテランにある小沢グループとの連携模索へのけん制ーーという4点の意味がある、と私は考えます。

 岡田克也さんは続けて、「まず震災の復旧・復興については、政府も大きな方向性を示されるが、党の中でも議論を進め、ビジョンを政府と与党が共有しながら、第2次補正(予算案)の土台をしっかりつくらなければならない」とし、提言機関である民主党政調会などをしっかりと活用しながら、党と内閣の一元化を進めていく方針を強調しました。

 「国会で言いますと、先般の3党合意にある子ども手当などの歳出の見直し、6月末まで延ばした税制(国税と地方税のつなぎ)が切れるので、まだ衆院にあります税制改正法案(国税改正法案と地方税改正法案の2つ)の取り扱い、同じように特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)こういったことをしっかりとメドをつけなければいけません」としました。ちなみに、この合計3法案は、本来ならば、3月31日までに成立させていなければならない当初予算関連法であり、衆参ねじれのもと、現時点で成立していないのは、菅さんでも岡田さんでもなく、全国会議員の恥です。自分の仕事をしないで「菅降ろし」などとんでもないことです。

 続いて、「党内的には、統一地方選の総括マニフェストの検証税と社会保障の一体改革の(党内における)議論などやるべきことはあります。これから5月、6月と優先順位をつけてしっかり議論していきたいと思います」と述べました。

 また、質疑応答の中で、内閣法改正案を週内に閣議決定し、3大臣などの政務三役を増員する法案を国会に提出することを確認しました。成立の見通しについては、とくに言及しませんでした。

 国民総監視で、こんどこそ、「熟議の国会」を定着させましょう。

 ◇

 あす2011年5月10日(火)午後5時50分から、菅直人首相が記者会見を開くことになりました。これについては、内閣記者会などが以前から求めてきていたものが実現する意味合いが強いというように聞いていますが、菅さんが冒頭にどのような発言をするかは現時点では、分からないようです。


「子供を一目見たい遺族の切なる思い。国民を代表してお願い申し上げます」【追記あり】

2011年05月08日 22時21分54秒 | 岡田克也、旅の途中

[画像]民主党の岡田克也幹事長、2011年5月8日、東京電力・福島第一原子力発電所から10キロ圏内「NHKニュース」から。

 岡田幹事長は2011年5月8日(日)、東京電力・福島第一原子力発電所から半径10キロ圏内の浪江町に入り、行方不明者の捜索にあたる自衛隊・警察・消防を激励しました。

 防護服姿の岡田幹事長はハンドマイクを持ち、「子供を一目見たいという遺族の皆さんの切なる思い。国民を代表してお願い申し上げます」と閣外から、自衛官らに要望しました。

  
[画像]民主党の岡田克也幹事長、2011年5月8日、福島県の浪江町・南相馬市周辺、左2枚は「TBSニュースi」から。

 また、南相馬市の養豚場では残された家畜について、化学工場では操業の再開について、それぞれ経営者から要望を聞きました。

【追記 2011年6月8日 午後5時半】

民主党ホームページ内に、震災ボランティア室製作の視察のようすをまとめた動画がアップロードされました。同行した高邑勉さん、玉木雄一郎さんの両1期生民主党衆院議員のインタビューも出ています。ぜひご覧下さい。

 【追記おわり】 


【追記あり】菅直人総理、内閣総務官と面会のなぜ?

2011年05月07日 23時59分59秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(このエントリーの初投稿日時は2011年5月8日午前1時半)

【追記 2011年5月12日(木) 午後5時半】

 このエントリーは、予想以上にけっこう反響を呼んでしまいました。ブログというのは、まったく読まれないとさみしいし、逆に反響がありすぎると手に負えない気持ちにもなります。まあ、あくまでも自分が書きたいなと思ったことを書いていくという基本方針で、受け止めていただきたく思います。いずれにしろ、第46回衆院選まで、特段の事情がないかぎりは、ブログは続けていこうと思います。

 5月10日午後5時50分からの首相記者会見は「原子力災害収束まで、首相としての歳費を返上する」というものでした。

 さて、5月10日の首相動静では、菅首相は、皇居で、両陛下に「内奏」(国政に関する報告)をしています。内奏はたいてい、30分ぐらいのことが多いのですが、今回の内奏は1時間半~2時間と長いものでした。あくまでも推測ですが、両陛下に、災害の現状報告と、政府・国会としての動き、とくに第1次補正予算について説明し、ご質問に答えたのだと考えます。もちろん、内奏を見たことはありませんが、国会審議と違って、他の閣僚や官僚の手助けをもらうわけにはいかないのでしょう。さらに、被害現況にしろ、予算にしろ「数字の多い内奏」になりますし、ご質問をいただいたさいに、どこに資料があるかも、さっと自分で見つけないといけないでしょう。とにもかくにも、菅さんとは言え、かなりプレッシャーを感じる公務となります。なので、休日の夜、公邸でリラックスしながら、内閣総務官を入れて、資料の確認などをしていたのだと思います。

 あくまでも推測ですが、ほぼそういうことになると考えます。すわ総辞職か、解散か、とお騒がせしましたが、あくまでも私の考えは「危機管理として、まずは最悪の事態を想定する」。ということで、「まあ、何もなくて良かった」ということでご容赦いただきたく存じます<(_ _)>

【追記おわり】

 ゴールデンウィークももうすぐ終わりですが、2011年5月7日(土)の菅直人総理の首相動静に興味深い人物が登場しています。

 午後6時26分から内閣官房の枝野、福山、瀧野正副官房長官に加えて、細野首相補佐官、そして原勝則内閣総務官が総理と会っています。この後、午後7時28分に「細野氏が出た」となっています。そして、午後7時42分に「滝野、原両氏が出た」となっています。その後、午後7時46分に「枝野、福山両氏が出た」となっています。

 こうなると、午後7時28分から午後7時42分までの14分間、首相公邸では、菅直人首相、枝野、福山正副官房長官と、瀧野欣弥官房副長官(事務、前総務事務次官、昭和46年自治省入省)に加えて、原勝則・内閣総務官(昭和54年厚生省入省)だけだったことになります。

 ちなみに、新聞の過去記事によると、菅首相が内閣総務官と会ったのは、民主党新代表に選ばれた直後、宿泊先のホテルで、2011年6月7日の午前9時55分から午前10時50分、それと翌8日の午前8時50分から昼頃まで宿泊先で会っています。このときは前任者の千代幹也・内閣総務官(当時、昭和51年運輸省入省)でした。そして、この日の午後6時から皇居で認証式を受けて、内閣総理大臣に就任しています。

 そして、その後の首相動静では、千代幹也→原勝則・内閣総務官が総理に会ったという報道はありません。もちろん会っているのに、分からなかったり、あるいは、首相動静は官僚は基本的に局長級以上の場合があるので、名前が出ていないのかもしれません。

 菅さんが総理に正式就任後に、内閣総務官と会ったという首相動静はこれが初めてのようです。

 内閣総務官は、天皇の国事行為の際に、首相官邸と皇居を行き来する仕事です。とくに最大の見せ場は、衆議院解散の詔書を天皇陛下からいただき、国会議事堂に行き、衆議院議長サロンで、内閣官房長官に手渡す、という一般職国家公務員としてとてもすごい晴れ舞台があります。内閣総務官(橋本行革前は、首席内閣参事官)の経験者には、羽毛田信吾・宮内庁長官、江利川毅・人事院総裁ら、厚労省など旧内務省系官僚のトップになるコースに乗った中堅幹部が起用される傾向があります。原さんは一つ経歴が異例で、彼は東大卒ではなく、私立大学である早稲田大学政治経済学部の卒業生です。

 下の画像は、前任者の千代内閣総務官が、2009年7月21日、解散の詔書をふくさに入れて、お盆に載せ、河村建夫・内閣官房長官を待っているところの、NHKニュースの映像からキャプチャさせていただいたものです。

 
[画像]千代幹也・内閣総務官(当時)。「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」と書かれた詔書を携えている=2009年7月21日、衆議院内の議長サロン=NHK映像から。

 政局が動きやすい、ゴールデンウィーク明けを前に、菅直人首相が内閣総務官と会った理由は次のいくつかになります。

 一、近く内閣総辞職する。
 一、近く衆議院を解散する。
 一、仮に内閣不信任決議が衆議院で可決した場合の69条解散について説明を受けた。

 そして、もう一つとして、内閣総辞職や衆議院解散をちらつかせることで、党内を引き締め、野党をけん制する。そのいずれかです。

 とくに、仮に今、衆議院を解散した場合、同じく天皇の国事行為として第46回総選挙を公示した場合、比例東北ブロック全体が選挙事務(選挙人台帳の作製など)ができない可能性があります。この場合、当然、岩手県第4区でも選挙ができず、小沢一郎氏が立候補できない可能性があります。憲法判例では、憲法7条の「衆議院を解散すること」について、東京高裁は昭和29年9月22日に「憲法は、いかなる場合に解散をなし得るかについては何らの規定も設けておらず、政治的裁量にゆだねている」、最高裁は昭和35年6月8日に「国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は」「裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治的責任を負う政府、国会などの政治部門の判断に任され、最終的には国民の政治判断にゆだねられている」との判決・決定を出しています。興味のある人は、「統治行為論」、「苫米地訴訟」などのキーワードでグーグル検索してください。

 すなわち、東北ブロックが選挙事務ができない状態での解散は、合憲だと考えられます。

 私としては、菅直人一流の高等政治テクニックだと信じたいところです。それと、この後に、菅さんの親友である五十嵐敬喜・教授が3時間22分間、午後11時過ぎまで公邸で話しているのも気になるところです。それから、正副官房長官のうち、仙谷由人さんだけがいないのも、菅さんから仙谷さんへのけん制球なのかもしれません。まあ、これ以上、せんさくするのはやめておきましょう。

 まあ、エントリーにしようかどうか迷いましたが、あす以降、なんかあったら、「あっ書いてあったな」と思ってもらえるための、私なりの「危機管理」として、エントリーをアップしました。危機管理は最悪の出来事を想定して逆算するものです。

 私は菅内閣続投を支持します。前に進もう。

 あすはゴールデンウィーク最後の日曜日ですから、リラックスしましょう。

首相動静(5月7日) (時事通信) - Yahoo!ニュース


民主党7首脳、延長なく6月22日にも閉会の方針

2011年05月07日 18時14分40秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 第177常会(第177回通常国会)が延長せず、6月中に閉会する公算が高まってきました。

 民主党7首脳のひとり、「頼れるアニキ」安住淳・国対委員長は6日、通常国会の会期延長について「現時点では考えていない」と述べ、「国会は6月で終わるが、政府の復興構想会議などの話を聞き、腰を落ち着けて(第2次補正予算の)編成作業に入りたい」「地元の意見を聞いて7月に踏み込んでしまうのは仕方ない。その方が本格的な2次補正を練られるのではないか」と強調しました。日経新聞などが報じました。また同じく7首脳のひとり、内閣官房副長官と民主党代表代行を兼ねる仙谷由人さん(仙ちゃん)は、5日、「できることを的確にしっかりやっていくこと(が重要)だ。会期を巡る駆け引きみたいな話が出てくるのは望ましくない」と述べました。

 今国会の会期は2011年6月22日(水)まで。財金委の6月30日(木)につなぎ法が切れる「国税などの改正法案」、「平成23年度の赤字国債発行の臨時特例法案」、それと総務委で6月30日(木)につなぎ法が切れる「地方税などの改正法案」の3法案が会期中に絶対的に成立させなければいけない法案です。この法案が滞れば、小幅延長もあるかもしれませんが、基本的には6月22日(水)で閉会ということになりそうです。

 延長無しで閉会すれば、通常国会としては政権交代以来2年連続ということになります。これには、衆議院インターネット審議中継、参議院インターネット審議中継、ニコニコ動画による国会中継の充実と視聴者の増加により、野党が欠席戦術をとれなくなったことが大きく貢献しています。デモクラシーの前進です。連休明けの5月9日(月)から小沢グループが倒閣をしかけてくる可能性があります。ぜひ国民総監視で小沢グループを干上がらせましょう。今は「訓政期」。権力とは何か?を私たち国民が習得するのが2011年の政治劇場だと、私はとらえています。

 民主党政権(衆院で民主党・無所属クラブが第1会派)となった2009年8月以降では、会期の延長は、小沢一郎・山岡賢次執行部の人間としてのコミュニケーションの未熟さによる技術的なミスが連発したことにより、第173臨時国会が「4日間」小幅延長された1回だけとなります。

 しかも、このたった1回切りの、「与党・民主党」としての延長国会初日には、当時、「鳩山官邸」と「小沢党」で対立していた鳩山グループ幹部の川内博史さんが政府外30議員を引き連れ、小沢一郎幹事長(当時)室に「討ち入り」するという事件が起きており、この出来事で、国民支持率が低かった小沢幹事長の党内支持率も低下しはじめ、その次の第174国会会期末に辞任に追い込まれ、失脚しました。このように、会期延長にはつねに政権運営における不安定要素がつきまとうため、7首脳は、国民のために、静謐さのなか、補正を組むことを好んでいると思われます。ただし、マスコミが7月、8月の「夏枯れ」に苦しむことになることから、最終盤国会でのゴタゴタを、喜んで報道する傾向がありますから、ぜひ、ご注意いただきたいと思います。

 できれば9月30日(金)につなぎが切れる「子ども・児童手当法」についても、第177国会のあいだに、民主党と公明党の間で成案を見たいところですが、これは税制再改正(幼年扶養控除の復活)が必要となる可能性もあり、第178回臨時国会へ「子ども・児童手当」の議論が先送りされる可能性が高くなってきたと思われます。

 2次復興補正には、「復興構想会議の第1次勧告」や「税と社会保障の一体改革」を盛り込む方針。また、3次補正があるかどうかですが、いずれにしろ、平成24年度当初予算にも復興歳出は盛り込まれるわけですから、3次補正があるかどうかはあまり重要ではない、と私は考えます。

 なお、老婆心ながら、国会閉会中にもかかわらず、平成23年度第2次復興補正予算(案)の編成のプロセスで、夏に会合や議連で上京した政府外議員は、アニキに半殺しにされることを覚悟すべきです。また、すでに公明党が賛同している内閣法改正案が今国会で成立した場合は、閉会後すぐに、3人の閣僚が増員される見通しです。 

asahi.com(朝日新聞社):2次補正予算「20兆円近い規模」 安住国対委員長 - 政治

 民主党の安住淳国会対策委員長は6日、東日本大震災の復興に充てる第2次補正予算について「規模は20兆円に限りなく近くなる」との考えを示した。宮城県石巻市で記者団に語った。

 安住氏は、首相の諮問機関である復興構想会議が6月に中間報告をまとめることを踏まえ、「中間報告や地元自治体がつくる復興ビジョンも聞いて、7月中に2次補正を編成したい」と表明。漁港や鉄道の復旧に加え、水没した土地の買収、政府内で総額4兆円と試算される福島第一原発事故に伴う損害賠償などが柱になるとみられる。

 安住氏は第3次補正予算の必要性に言及しており、これらの一部は3次補正に回る可能性もある。

仙谷副長官、国会の会期延長に否定的 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 仙谷由人官房副長官は5日、野党などが東日本大震災への対応を理由に6月22日までの通常国会会期の延長を求めていることについて、「できることを的確にしっかりやっていくこと(が重要)だ。会期を巡る駆け引きみたいな話が出てくるのは望ましくない」と述べ、延長に否定的な考えを示した。

 長野県北部地震の被災地を視察後、新潟県十日町市で記者団の質問に答えた。

 政府・与党は今国会は延長せず、震災復興関連の2011年度第2次補正予算案は夏以降の臨時国会で成立を図る案を検討している。仙谷氏は新潟県内のほか、長野県栄村の被災現場なども訪問した。


岡田外相が米圧力をはねのける 「密約」ディスクロージャー ウィキリークス外交公電で明らかに

2011年05月07日 13時02分15秒 | 岡田克也、旅の途中

[写真]岡田克也さん、宮崎信行撮影

 岡田克也外相が、自民党政権が結んでいたアメリカとの「密約」の調査とディスクロージャーを命令し、実現するプロセスにおいて、アメリカが「あいまいにしておけ」「調査に懸念している」と圧力をかけていた可能性があることが分かりました。そして、あろうことか、日本外務省の局長までもが「これは普天間よりやっかいな問題だ」とアメリカに同調していたとする米外交公電が存在する可能性があることが、2011年5月7日(土)付朝日新聞1面の報道で明らかになりました。朝日はことしの大型連休の目玉企画として、ウィキリークスからの資料提供と、ニューヨーク・タイムズの取材協力を受けた記事を連日載せています。


[写真]2011年5月7日(土)付朝日新聞1面

 岡田外相は2009年9月16日に皇居で認証式を終え、官邸で記者会見した後、外務省に初登庁。時刻は9月17日になっていましたが、国家行政組織法第12条などに基づく大臣命令で「密約調査」を命じました。省内での調査を終え、有識者による読み込みを終えて、2010年3月9日、密約に関する調査報告書を国民にディスクロージャーしました。

 朝日によると、在東京のアメリカ大使館は2009年11月27日付でワシントンD.C.の国務省に公電を打ちました。公電はこの日、大使館で、ズムワルト首席公使は、外務省の梅本和義・北米局長と会い、密約問題について協議。ズムワルト公使は、「艦艇の核搭載をあいまいにしておくことは抑止戦略の重要な要素だ。ルース大使は調査の行方を懸念している。これは単なる国内問題ではなく、より広い地球規模の文脈でアメリカ戦略に影響が出る可能性がある」と述べ、岡田外相に露骨な圧力をかけました。これを聞いた、梅本局長は「やっかいな問題であり、たぶん普天間より難しい。現政権は密約調査がもたらす結果を理解していない」「核兵器についてさらに明解な説明を求める(国民の)声にどう答えるのか、日米で非公式に協議を続けることが必要だ」と述べ、あろうことか、外務省局長でありながら大臣を批判し、北米局長としてアメリカの意見を擁護するという小役人ぶりを発揮しました。小村寿太郎が泣いてるぞ。そもそも「密約調査」は行組法第12条などに基づく命令なので、これに背いた役人は懲戒処分の対象になります。私は藪中三十二・外務事務次官らは、岡田外相によく協力したと考えます。

 朝日によると、カート・キャンベル国務次官補が発表1ヶ月前の2010年2月4日にも、梅本局長と協議した際に密約の話題になったとしています。岡田さんはハーバード大学研究員時代から独自のアメリカ人脈を持っており、岡田さんとカート・キャンベルさんは互いに野党時代からの知己ですので、キャンベルさんは「核をめぐる歴史」は日米で対処すべき問題だ、としてディスクロージャーのその先にある日米同盟の深化について言及。「米国の航空機と艦船が核兵器の搭載を肯定も否定もせずに立ち寄ることができること」を求めました。現実問題として、ブッシュ父政権以降、軍用の船舶・航空機に核兵器が搭載されていることは運用面からして、ないとみられます。が、キャンベルさんは、100年先を見て、今後のイノベーションや、運用の変更などを見すえて、「あいまい」の必要性をアメリカの国益を代表する立場として言ったのだと考えます。

 政権交代のその先に、もっと大事な「政治を国民の手に取り戻す」。自民党による50年政権でのボタンの掛け違いを解こうとした岡田さんのディスクロージャーを、他策なかりしを信ぜむと考えた国士たちが岡田さんの背中を押して、アメリカの圧力をはねのけたと言えそうです。

 岡田さんは2011年5月5日、沖縄県の那覇空港で記者会見した際、ウィキリークスについて、「違法な手段によって明らかになったことなので、いちいちコメントする気持ちはない」と述べています。


核密約公開、民主政権に再三「憂慮」 米外交公電で判明(朝日新聞) - goo ニュース

 民主党政権が昨年3月に公開に踏み切った1960年安保改定時の日米の「核密約」を巡って、公開は米国の世界戦略に影響を与えかねないとして、米側から強い懸念が繰り返し伝えられていたことが分かった。内部告発サイト「ウィキリークス」が入手した日本関係の外交公電を朝日新聞が分析し、判明した。

 核を積んだ米艦船の日本寄港を認めた密約は、冷戦終結後の91年に米軍が水上艦の核搭載をやめたことによって意味を失ったとされていたが、公電からは、将来の政策変更があり得ることを視野に、「暗黙の合意」の継続にこだわる米側の思惑が明確にうかがえる。持ち込みを禁じた日本の非核三原則との関係が問われることも必至だ。


防衛大臣の北澤俊美さん、「オペレーション・トモダチ」の米空母ロナルド・レーガン訪問の動画が公開

2011年05月06日 17時01分13秒 | その他

[写真]北澤俊美さん、宮崎信行撮影

 「3・11」以降の自衛官、即応自衛官、即応予備自衛官、内局のみなさん。そして、そのご家族、恋人、すべてのみなさまに心からの感謝と、ねぎらい、そして、一人の日本国民としての誇りを表明します。なかでもとりわけ、今もご遺体の捜索にあたる、主に陸上自衛隊のみなさまのご労苦には、感謝の言葉もみつからないほどです。

 このほど放送された朝日ニュースターの「別刊朝日新聞」に、防衛大臣の北澤俊美さんが出演。司会は朝日新聞の加藤洋一・編集委員で、私が日経の首相官邸取材ブースの末席に記者用パソコンを置いていたときに、壁を隔てて隣り合う朝日新聞官邸取材ブースの奥に控えてキャップとして指示を出していたのが、加藤記者。おそれおおくてお話ししたことはありませんが、その後、ワシントン特派員となり、ワシントン支局長として「オバマ大統領誕生」を見届け、今は帰国されています。

 で、この中で、2011年4月4日、東北太平洋沖で震災救援にあたっていた米空母「ロナルド・レーガン」を北澤防衛大臣が訪れたときの動画が放送されました。この動画、加藤キャスターは「だれが撮って、なぜ朝日ニュースターにビデオがあって、放送できるのか」はいっさい語らず、放送されました。ということは加藤記者のコネクションで、入手した動画だということになるのだと思います。で、朝日ニュースターで放送されたものとはいえ、「高度にニュース性の高い素材」に関しては、著作権法の例外規定があるので、キャプチャーをブログで紹介させていただきたいと思います。


[画像]自衛隊機で空母「ロナルド・レーガン」に着艦した防衛大臣。ヘリで後ろ向きで、洋上の空母(護衛艦)に着艦するのは、俊美さんとしても初めてで、あの剛胆な大臣も緊張したそうです。


[画像]洋上の強い風に髪もなびかれながらも、さっそうと。


[画像]日本国防衛大臣に敬礼する米軍人。制服が違うと言うことから、おそらく4軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊)の代表者だと思います。こういった統合運用は、「3・11」以降、日本自衛隊でもしっかりとなされている、と私は信じています。

 
 
[画像]ここは指揮所でしょうか。大臣、ルース駐日大使閣下、内局トップ、統合幕僚監部、大臣事務秘書官らと説明を聞きました。



[画像]米空母「ロナルド・レーガン」で「トモダチ作戦(オペレーション・トモダチ)」にあたる、すばらしい同盟国の兵士にねぎらいと感謝の握手。


[画像]食事会の後のサプライズ。俊美さんは「まだ何かあるの?」という表情ですが、米軍人の方2人がなにか横断幕を開こうとしています。


[画像]開かれる横断幕に興味を示す俊美大臣。

[画像]そこには、「オペレーション・トモダチ」の文字と国旗、そして、4軍の名前と、日本への応援メッセージの寄せ書きが。大臣もビックリ。

 大臣は兵士に肩を叩いて、喜びを表現。このしぐさは俊美さんのお得意で、国会での閣僚席でも、いろいろな大臣にこうやって肩を持って話しかける姿は恒例です。

 ちなみに、北澤俊美さんはまったく英語が話せないんですね。漢文は得意ですが。政権交代直後の「チーム北澤」の政務三役、榛葉賀津也・副大臣、長島昭久、楠田大蔵両政務官は、それぞれ、米四年制大学→イスラエル大学院、米大学院→ワシントンのシンクタンク職員、昭和50年生まれの東大法学部卒ということで、3人ともペラペラ。県議出身の俊美さんは国際会議の経験はまったくなく、初めは「なんとも切ない」ということだったようですが、ヒラリー・クリントン国務長官・ゲーツ国防長官らとの「2+2」など、大臣在任1年8ヶ月で社交術もバッチリということでしょう。

 実は私は、大学生のころ、「就活」で、自衛隊の説明会に行ったことがあります。広報ビデオ上映のあとは、内容はとにかく「防衛大学卒でなく、一般大学卒でも幹部候補生になって、防大出とまったく区別なく仕事ができます」という強調がおもでした。そして、説明会の後、「それではこのあと、陸自、海自、空自の3つの分科会になりますので、みなさんの志望の会場に行ってください」。ところが、私は、興味本位で説明会に参加していて、まったくそのことを考えてなく、「イチバン大きいから陸自にするか」ということで、陸自の分科会に参加しましたが、必死に質問を繰り返す女子学生をみながら、僕は試験に応募すべきでないな、と思い、そのままにしてました。そしたら、採用担当の幕僚からたびたびお電話をいただき、応募締め切り当日の朝にも電話があり、「志願者のなかに、わざと締め切り日ギリギリまで待って願書を郵送しようという方もいらっしゃるので、宮崎さんはそういう考え方なのかな、と思って電話しました」とのことで、「ホントウにそんな人いるか?」と思いつつ、丁重にお断りしました。何でまた、運動音痴の僕に、たびたび電話をくださったのかなあ、よっぽど志願者が少ないのかな~と思っていましたが、その後、新聞記者になり、そのときのことを振り返ると、説明会のときに参加者シートに書いた「早稲田大学政治経済学部政治学科卒業見込み」という学歴に興味をもっておられたのかなと思います。新聞記者はとにかく早稲田政経が多いので、広報担当の幹候にしちゃおう、という考え方だったのではないか、と。そうやって自衛隊の広報活動にお役に立てれば、国益に資する国民になれたかもしれませんが、まあ、そのポジションにいたるまでの訓練で音を上げていたことは間違いありません。時は移ろい、自衛隊への国民の認知と信頼は大きく高まりましたから、私なんかいなくても、自衛隊への理解は、これからもどんどん高まっていくでしょう。

 政権交代という、不安定期に、シビリアン・コントロールを重視する俊美さんが大臣になり、この「3・11」でも身も心も頑丈そのものに仕事を続けていることはうれしいし、尊敬します。そして、改めて、吉田茂をはじめ、日米の信頼醸成に務めてきた先人の判断の確かさに思いを馳せます。太平洋(パシフィック・オーシャン=平和の海)を隔てた隣国との、デモクラシーと同盟という友情の「りんごの木」はしっかりと次世代に受け継がれていきます。

 それを実現した英雄は自衛官のみなさんと在日アメリカ軍のみなさん全員であることは言うまでもありません。


第1次補正予算が成立 岡田幹事長「予算は組んだら終わりではない」「いかに被災者のために使っていくか」

2011年05月02日 17時15分55秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 【2011年5月2日(月) 参院予算委員会】
 【2011年5月2日(月) 参院本会議】

 平成23年度第1次補正予算(復旧補正)が全会一致で可決、成立しました。

 ホッとしました。

 参院予算委員会での討論で、自民党は、「3党合意はすでに民主党内に異論があるようだが、完全履行を求める。与党・民主党の決定権限が分からず、老婆心ながら心配している」としながらも賛成しました。公明党は、「歳出面では公明党の要望が取り入れられている」と評価したうえで、「歳入面ではまったく賛成できない」として、年金財源の安定化に向けた検討を求めました。この後、参院の各委員会で関連法案がすべて全会一致で可決。午後3時過ぎの参院本会議で可決、成立しました。

 ところで、おそらく国会議員や記者の多くが勘違いしているでしょうが、「財源確保法」は、①財投特会から一般会計への繰り入れ、②外為特会から一般会計への繰り入れ、③旧鉄建公団の溜まり金2・5兆円の国庫への納入(ただし国庫のどこに入れるかは変更)の3つで、この3つはすでに成立済みで、実施・執行中の平成23年本予算(当初予算)に入っています。ですから、この法律は「当初予算・歳入関連法」と言うべきでしょうね。「補正予算関連法」という言い方は間違いだと思います。小舅のようですが。ハッキリ言って、この段落を読んで、極めておこがましいですが、筆者のことを「すごいな」と思った読者も多いでしょう。で、くどいけど、こういうことが分からないのに、赤坂で飲んでる議員に「次はない」と申しあげたい。この辺は、岡田・安住・玄葉・中川・古本の粘り勝ちということになります。まだ平成23年度赤字国債発行法案が残っていますが、なんとかなりそうな気配です。

 2次補正の編成について、菅直人首相が「復興構想会議の1次提言を盛り込む」、野田佳彦財務大臣が「税と社会保障の一体改革の成案を盛り込む」と答弁しました。どちらも6月末ということで、2次補正の編成作業は7月になることから、提出は次の第178臨時国会になる可能性が高くなっています。

 岡田幹事長は定例記者会見で「予算は組んだら終わりではなく、いかに被災者のために使っていくかだ」と述べ、歳出面での予算の実施(執行)状況をしっかりとみていく必要があるとしました。編成作業が7月以降になることから、民主党内非主流派や、野党などの一部議員による、「菅降ろし」「大連立」「復興実施本部」といった復興利権ねらいの動きは大きく見直しを迫られることになりました。

 第177通常国会の召集日時点では、民主党の岡田克也幹事長らの難問は「1、予算関連法の参院での可決」「2、小沢問題」でしたが、走りながら考えるうえで、今通常国会中に必ず処理しなければならない宿題は、国税改正法、地方税改正法、赤字国債の発行特例法の3つだけになったと言えると思います。後は、子ども・児童手当の10月以降の法改正もできれば通常国会でメドをつけたいところです。とはいえ、3党合意もあり、野党の審議拒否も当面ない可能性が高くなり、「走りながら考える」中で見場が良くなり、前が開けてきたと考えます。

 民主党政府外議員がこしらえた議員立法案が、実際の審議の日程に乗る余裕も、今月から出てきそうな気配となってきました。

 tags 岡田・安住・玄葉・中川・古本= 岡田克也・民主党幹事長、安住淳・民主党国対委員長、玄葉光一郎・民主党政調会長、中川正春・衆院予算委筆頭理事、古本伸一郎・衆院財務金融委員会筆頭理事


「私の妻は東京電力社員」と桜内文城議員が告白

2011年05月02日 09時51分16秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]みんなの党の桜内文城さん、参院予算委員会総括質疑、2011年5月2日、参議院インターネット審議中継から

【参院予算委員会 2011年5月2日(月)】

 平成23年度第1次補正予算(案)は、しめくくり総括質疑を迎えました。

 このなかで、みんなの党の参院議員、桜内文城(さくらうち・ふみき、2010年全国比例初当選)は「私事(わたくしごと)ではありますが・・・」とことわったうえで、「私は結婚以来共働きで、私の妻は東京電力に勤めております」として、「末端の社員でありますが、妻には『ボーナスはもらうな』と言っています」と述べ、参考人の東京電力の代表取締役の清水正孝社長に、ボーナス全額カットを求めました。

 「3・11」以降、家族や親族が東京電力社員であることを公の場で明らかにした国会議員は、桜内さんが初めてだとみられます。


参院予算委で日曜審議 首相・財務相、「2次復興補正、7月以降」の見通し

2011年05月01日 10時53分31秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年5月1日(日)参院予算委員会 今年度第1次補正予算に関する基本的質疑】

 新しい月、新しい週が始まりました。戦後はたびたびあった日曜審議ですが、最近では久しぶりで、NHKも9時から午後5時過ぎまで放送しています。

 この中で、自民党の藤井基之さんの質問の中で、アレ?と思うことがありました。

 財務大臣の野田佳彦さんは、6月末にでる「税と社会保障の一体改革」の成案が出た後に、2次補正(復興補正)を編成することを明言しました。この後、菅直人首相も、復興構想会議の第1次提言のあと、2次補正を編成するとしました。1次提言も6月末ですから、編成は7月からということになります。まずは、この1次補正(おそらく明日提出)が、4兆円の政府支出がありますから、補正の執行での影響をしっかりとみる必要が出てきました。

 私は3月11日のエントリーから後藤新平にふれていますが、高校生のころに、東北を一人旅した経験がありますが、東北は、自然の治癒力で再生していくのが基本だと考えます。がれきをどこに埋めるかという大問題があり、これは、水没した津波被害地に埋めるという手がありますが、その上には、宮脇昭先生がすすめている鎮守の森をつくっていく。このくらいが人工的な部分の上限だと思います。

 昨日の復興構想会議では、「阪神」の貝原俊民・元兵庫県知事が被災県が「東北復興機構」を提唱したそうです。私は反対です。これをやるなら宮城、福島、岩手の3県議会の議決で「広域連合」をつくる方がいいでしょう。一方、石原信雄・元官房副長官(事務)は、「復興庁には反対だ」としました。改めて、自治官僚OBの2人でも、優劣があり、後藤田正晴さんの人物眼というのは現在でも健在だという感じがしました。

 なお、補正編成が7月となると、当初会期中の第177通常国会は、まずは平成23年度の赤字国債発行法案、そして、6月30日につなぎが切れる、国税などの改正法案、地方税などの改正法案がゼッタイに仕上げなければならない法案になります。審議のスピードが上がってきましたので、感覚的には、6月22日までに久しぶりに多くの法律を作り上げることができそうな気配が出てきました。いったん閉会して、復興補正の編成に集中し、臨時国会を前倒しして8月ごろ召集し、冒頭に第2次補正予算(案)の提出というスケジュールも出てきそうです。また、9月30日までのつなぎとなっている「子ども・児童手当」の本格的な議論が通常国会でも臨時国会でも必要になってきます。

 第2次補正をあげると、久しぶりに、「臨時特例法案」「つなぎ法案」「特別措置法案」でない、本格的な国づくり、国直しに向けた議論が、ことしの秋ぐらい、クールビズからウォームビズになりかけたころから、来年9月の代表選に向けて、じっくり、きっちりとやっていけそうな気配が出てきました。11月の大阪府知事選・大阪市長選ダブル選挙結果は、どのような格好であれ、地方分権の動きを加速するでしょう。

 ようやくどっしりした熟議の国会が見えてきました。私たちの生活も、豊かでなくても、落ちついたものになっていくのではないでしょうか。