【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

お盆明け安保審議が再スタート、「アーミテージ」など米の下請けを隠せない答弁相次ぐ

2015年08月19日 17時49分20秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【画像】安倍晋三首相(右、自民党総裁)と、リチャード・アーミテージ氏(中央)、ジョセフ・ナイ氏(左)の親密ぶりをパネルを使って分かりやすく説明する、山本太郎さん(質疑者席)、2015年8月19日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成27年2015年8月19日(水)参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】


 「2015日米防衛協力ガイドラインの国内実施の安保2法案」(189閣法72号、189閣法73号)のお盆明け審議がスタートしました。

 まず、私が一番興味を持っていたことで、中谷元さんが答弁しましたので、そこを抜き出します。

●中谷さん、有事でも平時でもなく、米艦防護ができるのが、「切れ目のない事態だ」と長時間審議で本音を漏らすーー大野元裕ネクスト防衛相に。

 民主党の大野元裕さんの質疑で、中谷元さんが連日の答弁のなかで、本音を漏らしたようです。

 大野さんは、自民党の高村副総裁が、尖閣諸島における海自、海保、警察の情報共有を盛り込んだ「グレーゾーン事態に対応する領域警備法案」(189衆法27号=現時点でも衆議院特別委で審議中の扱い)について、「防衛省と警察庁の100年戦争に火をつけることになる」と語ったとされる問題を取り上げ、「切れ目のない安保法制というなら、グレーゾーン事態を盛り込むべきだ」としました。

 中谷さんはここで、「アセット防護をすることになっているので、切れ目のない、シームレスな安保法制だと思う」と語りました。アセット防護は米艦防護ともいいます。平時からの米艦防護については、イラク戦争時のアメリカ国務副長官で、ジャパンハンドラーである、リチャード・アーミテージ氏が、「米艦が火だるまになっても日本自衛隊は何もしないのか。ショウ・ザ・フラッグ(旗を見せろ)」という趣旨の発言を、自民党小泉内閣にしたとも、していない、ともされます。

 アーミテージが求める米艦防護を、有事でも平時でもない「切れ目のない事態」と中谷さんが考えていることが、長時間の問答のうちに、本音として出たと私はみます。いったい、彼らにとっての「国益」とはどこの国の国益なのか。恥を知れ。

 民主党の枝野幸男幹事長は同日の定例記者会見で「対案を出すのかどうかよく聞かれるが、自民党に早く対案を出していただきたい」と語り、自民党政府が領域警備法案を出せと迫りました。

●アーミテージ・ナイ・リポートと安保法制は完全コピーだーー山本太郎さん、田中耕太郎長官とロックフェラー財団の関係を指摘。

 リチャード・アーミテージ氏と、元国防副長官補代理のハーバード大学教授、ジョセフ・ナイ氏については、山本太郎さんも次のように取り上げました。

 「今回の安保法制は第3次アーミテージ・ナイ・リポートそのままではないか」

 岸田外相「ご指摘の新ガイドラインと安保法制はご指摘の報告書を念頭につくったものではない」

 中谷防衛相「防衛省・自衛隊としては、幅広く情報を集めて分析しており、あくまでも国民の平和安全のためにつくっており、ナイリポートを念頭につくったものではないが、結果として重なっている部分もある」

 山本さんは「民間のシンクタンクであり、偶然の一致だ、というが、頻繁に来日し、総理も会談している」と切り返し、ナイ・リポートと安保法制について「完コピ(完全コピーだ)だ」、「いつ植民地をやめるんだ?今でしょ!」「アメリカのアメリカによるアメリカのための戦争法案だ」と印象に残るフレーズを連発しました。

 山本さんは、初代最高裁判所長官で国際法学者の田中耕太郎氏が、砂川事件判決の前にアメリカにほとんどの情報を流していたとし、「田中長官はロックフェラー財団の招待を受けたことがある」とし、ガソリンスタンドの「エッソ(esso)」やシカゴ大学を経営する、ユダヤ系石油メジャー、ロックフェラー財団から援助を受けていた可能性を指摘しました。

 ●小池文書は、統幕作成と認める――防衛相。

 不正常なままお盆入りすることになった、小池文書について、 中谷大臣が冒頭発言。

 中谷さんは「小池議員が示した、ガイドラインと平和安全法制と題する文書は、統合幕僚監部が内部部局と連絡して、5月14日の法案の閣議決定にともない、5月15日に私から法案の内容について、いっそう分析研究し、隊員に周知するよう指示したことを受けて作成したもので、資料の内容はガイドラインとあわせて法案の内容を説明したものです」とし、自らの指示にともない、「分析と研究」をしたものだとしました。

 質疑に立った小池晃さんは「今初めて私が示した文書が統幕の作成した本物だと認めた」と指摘し、「私も今はじめて聞いたので、質問するが、何かのプレゼンテーション用の文書ではないか」と問いました。中谷さんは「5月26日のテレビ会議で使う資料として作成しました。私はその前日の25日に毎週月曜日定例の大臣・事務次官・統合幕僚長の打ち合わせのときに、統幕長から翌日説明すると聞いていた。その際、文書は見ていない」としました。小池さんは「5月26日は衆議院本会議で審議入りした日だ」 としました。

 この後、防衛省運用企画局長が答弁し、5月26日には、各幕の、総監、司令官ら制服組のトップが集まっていたとしました。なお、揚げ足取りなのですが、このときに運用企画局長が「佐世保」のことを「させほ」と読んでいました。緊張していたのでしょうし、政府参考人ですから、揚げ足取りはこれ以上しませんが、とはいえ、運用企画局長なので、こういったところで内局と幕僚の軋轢が生じているような気もしました(この2文は冗談)。

 閑話休題。

 小池さんは「39ページに主要検討事項と書いてある」としましたが、中谷さんは「分析と研究のための主要検討事項だ」と答弁。小池さんは「午後の質疑でふたたび質問します」とし、お盆前に中断した少数会派の質疑になりました。

 民主党の藤田幸久さんは、首相の「ホルムズ海峡」答弁に対して、領域であるイランの駐日大使が6月8日に外務省局長に抗議し、局長級協議になっていたのに、7月10日に首相が「イランが機雷を敷設した段階において」「イランが停戦に向かっているときに」と答弁しており、外相、首相に連絡がついていなかった可能性を指摘しました。

 社民党の福島みずほさんが、南スーダンPKOのかけつけ警護について、副大統領が国に準じる組織(国準)になる可能性を問うと、中谷防衛相は「マーシャル副大統領が率いる反政府勢力が国に準じる組織になることは考えられない」とし、「その根拠は自衛隊などが南スーダンで収集した情報だ」としました。

【同日 参議院厚生労働委員会】

 「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)の参考人質疑がありました。

 弁護士の中野麻美参考人は、均等待遇と均衡待遇の違いについて、「均衡は、柔らかな均等、とも言われる。あるいはバランスをとる、とも言われる。格差の不合理性をカバーするもので、それもありかなと思う」とし、均等待遇という言葉にこだわらず、均衡待遇という言葉が条文に入ることは認められるのではないか、との趣旨の考えを示しました。「均等」と「均衡」をめぐって議論になっている、同委員会で、今後の与野党の修正協議に反映されるかもしれません。

【同日 衆議院情報監視審査会】

 インターネット中継はありませんでした。

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地方財政健全化法改正案、2016年通常国会提出の方向性 3セクへの短期貸付金追加か【追記有】

2015年08月19日 06時15分23秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

【追記 2016年8月22日】

 この内容は、平成28年度当初予算関連の改正地方交付税法に盛り込まれ、ことし2016年3月31日に成立しました。下の内容の改正条項は、平成29年2017年4月1日施行で、総務省令などが整備されます。

【追記終わり】


 総務省が、平成28年2016年の通常国会(第190ないし191回国会)に、地方財政健全化法(平成19年6月22日法律94号)の改正法案を出したい意向を持っていることが分かりました。

 2015年8月19日付日経新聞が報じました。

 記事によると、自治体から第三セクターへの短期貸付金(1年未満)で、年度末に返済させて翌日に再び貸し付ける事例が、総務省の調べで37件あったようです。これは呆れ果てた話で、バランスシート(貸借対照表)上、長期貸付金(1年以上)にすべきものを、短期貸付金に。さらに言えば、「年度末ゼロ」にもできる話で、粉飾といっていいでしょう。

 これを網羅するために、3セクへの短期貸付金を含める考えがあるようです。ただし、これは牽制で、行政指導で改善する思惑があるようにも思えます。

 同法は、(1)実質赤字比率、(2)連結実質赤字比率、(3)実質公債費比率、(4)将来負担比率、そして、(5)早期健全化基準を定めています。これらを、自治体は決算後に計算し、議会と総務省に報告しなければならないとしています。

 自治体は、(1)から(4)までの数値のいずれかが、早期健全化基準を上回った場合は、財政再建団体として、財政再建計画を定めなければなりません。

 自治体の財政指標にはまず、財政力指数があり、これは、基準財政収入額を基準財政需要額で割った数値で、「1・0」を超えると財政力、とくに歳入力があることになります。

 次に、経常収支比率があり、一般財源(歳出が限定されていない歳入)のうち、人件費、公債費、扶助費(生活保護費含む)の三大義務的経費の占める割合を言います。100%を超える自治体もあります。この三大義務的経費は4月1日の時点で予算化されていないと自治体財政の存続にかかわるため、予算審議が滞っても、全会一致で暫定予算として成立させる格好となります。

 そして、地方財政健全化法が定める、実質公債費比率。これは公債の残高のみならず、一般会計・特別会計から繰り出す利払いなども含んだ金額を基準財政需要額で割った比率。

 これらに加えて3セクも含んだうえで、その日に全職員が退職したと仮定した退職金などを加えたのが、将来負担比率です。

 総務省のウェブサイトで見ることができます。 

 平成25年度2013年度決算ベースでみると次のようになります。なお、数字は適宜丸めます。

 財政健全化団体である、夕張市は750%で突出していますが、過去に比べると減ってきており、財政力指数がわずか0・2で、経常収支比率が120%なので、国の補助がなければ再生は絶対に不可能です。

 千葉市の将来負担比率は250%で、自治体順、政令市順、県内順のいずれよりも突出して高いです。ただ、これも推移をみると減ってきており、財政力指数は0・95あり、経常収支比率も95%に健全化されいます。これらの指標の推移をみると、歳出の削減で健全化しつつあるようですが、この間に行政サービスが減ったのかもしれません。一方、同県内で活気がある、浦安市、市川市、松戸市、柏市などは軒並み極めて健全な指標です。ただ、今後、経常収支比率が高まって、先行きの重しになるかもしれません。

 東京都内でも港区、武蔵野市、立川市など活気があるところは指標が良い傾向が見て取れます。今後、経常収支比率が高まる可能性もあります。

 神奈川県内では、横浜市の指標が意外と良くありません。人口減がいわれる横須賀市は、財政力指数が弱いのですが、将来負担比率は低い。つまり緩やかな停滞が続きながらも自治体としての持続可能性は高いといえるのかもしれません。相模原市、厚木市は極めて良好な数字であり、街の活気を裏付けます。

 地方部は財政力指数はおしなべて低い。今世紀初頭には、青森県内のごく一部ながらも複数の町村には危機的な数字も見られましたが、今は改善傾向にあります。この辺は人口が少ないから改革しやすいと言えるでしょう。さきほどの380万自治体の横浜市とは対照的といえるかもしれません。

 その中で、長野県内自治体は財政力指数は低いのですが、将来負担比率も低く、これまでも節約型の地方財政を維持してきたことがうかがえます。ただ、世帯収入が高い川上村は意外と財政力指数が「0・25」しかなく、現在の行政サービスが過剰であるのかもしれず、将来的なリスクがあるように思えます。同じ北陸信越では、今話題の石川県金沢市は地方にしては財政力指数が高いのですが、それ以外の指標はIターンするには微妙な数字です。

 大阪府内では、政令市の大阪市と堺市を比べると興味深い。大阪市と堺市では、大阪市が軒並み不健全な数字となっています。ところが、財政力指数は大阪市が堺市よりもかなり強い。今後のやりようによっては大阪市は健全の余地、堺市は悪化の余地があるということになります。一方、高石市、泉佐野市などの財政は極めて不健全です。高石市が消防一部事務組合を堺市と組んでいるのは、この影響なのかもしれません。泉佐野市は自主的な再建はかなり難しいという見方もあるのかもしれません。

 気を付けたいただきたいのは兵庫県。高級住宅街と思われがちな自治体。芦屋市、西宮市、宝塚市の指標が悪いのがはっきり出ています。過去の推移を見てもらうと、経常収支比率が100%を超えていた時期も長く、「公務員天国」だった時期があり、今は「過去の栄光の遺産」の改善傾向にあり、今後の街の活気の伸び方が限定的になるかもしれません。同様の傾向は奈良県内にもみられます。

 今話題の薩摩川内市は、健全な傾向にあります。

 沖縄県内自治体は、歴史的経緯もあり、将来負担比率は健全です。

 このように指標が悪い自治体は、仮に健全化に成功したとしても、その間に住民が受ける行政サービスは低下するかもしれず、住宅を購入する予定がある人は、こういった数字を見ることは必須だと、私には思えます。公務員天国を批判するのは良しとしても、見返りに行政サービスが低下することも勘案する必要があります。その一方、今の活気にひかれて、港区、武蔵野市、浦安市などに住むにしても、現在の経常収支比率が低いということは、周辺から住民が流れ込み、将来的に悪化する可能性が高いともいえ、何世代も住み続ける前提の住宅購入ならば多少は考慮すべき。高齢者が賃貸住宅に住むにはいいと言えるのかも。

 このように、従来の財政力指数、経常収支比率に加えて、新しく、自治体や3セクの公債費、利払い費、退職金負担などを網羅したのが地方財政健全化法になります。

 総務省はこのエントリー記事を初投稿した時点で開かれている第189回通常国会に提出した7本がすべて6月の当初会期内に成立・公布されているほか、一部かかわった内閣府の第5次地方分権一括化法や議員立法の改正公職選挙法も施行されています。その他の公職選挙法改正案は一部審議入りしていないものもあります。

 仮に「地方財政健全化法の改正法案」が提出された場合は、平成28年度年次地方税法改正案、総額を上書きする地方交付税法改正案、NHK予算の承認を求める件の処理が終わった、平成28年2016年3月下旬以降に衆議院総務委員会で審議入りするだろうと予測されます。

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派遣法60日ルール可能になるも参議院が衆を徹底攻勢 当初会期末修正、維新議員「私も原案が良かった」

2015年08月18日 16時44分11秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 日本国憲法第59条第4項にもとづき、衆議院が労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)を再議決できる時期に入りました。「改憲」ならぬ「壊憲」政党である、衆議院自民党と衆議院公明党に、憲法の権利を振りかざさせてはなりません。

 我々有権者が60日ルールを絶対に使わせないようにしましょう。

【平成27年2015年8月18日(火)参議院厚生労働委員会】

 お盆明けは、民主党が白真勲さん、共産党が小池晃さん。安保特別委で乗りに乗っている2人が切り込み隊長になりました。

 きょうは政府原案ではなく、「同一労働同一賃金法案」(189衆法22号)

 衆でのプロセス。もともと、衆民主党が衆維新の党と共同提出していました。ところが、会期末前週に、まず、政界引退を発表した、維新の党の橋下徹元代表(非議員)が安倍首相に加えて、菅義偉・官房長官が食事。その後、大阪選出の国対幹部らが菅・官房長官と会食。すると、民維共同提出のいわゆる「対案」である、「同一労働同一賃金法案」が突然、自公維3党によって修正されてしまい、衆議院を通過しました。食い逃げ被害に民主党はあいました。

 これについて筆者は、岡田克也民主党代表の定例記者会見で「ひょっとして内閣官房の報償費からお金でももらったのではないかと国民や維新の党の支持者が疑うのは当然ではないかと思う」とし、維新大阪系国対が官房機密費を貰ったのではないか、と指摘しました。これに対して、岡田さんは「まず、想像で物を言うつもりはありませんので、コメントはいたしません」 としならがも、「官房長官がいろいろ手を尽くす、野党と会うというのは官邸としては一つのやり方かと。別にその中身がどうかということではなくて、会うということについて申し上げればそういう面はありますが、それに対して会う野党は、これも私の常識を超えます」と答えました。ただ、民維連携で延長国会に向かう時期なので、「そこは野党の中にもいろいろな考え方があるのかもしれませんので、批判的に受け取らないようにしておいていただきたいと思います」とご指導をいただきました。

 毎年6月、当初会期末には、このようなことはよく起きます。

 永田町の不条理ではなく、そういうものだと思えばなんともありません。

 不条理を腹に飲み込んだのが、維新の党の井坂信彦・衆議院議員(兵庫1区)。この人は、官房機密費は絶対に貰っていません。「絶対にない」という証明はどうするかといえば、状況証拠を踏まえながら、私が絶対に貰っていないと判断しているのですから、そうなのです。

 参議院ではかなり厳しい集中砲火を浴びました。渡辺美知太郎参議院議員は、「若手議員のエースである井坂先生のあげ足をとるわけではないが、6月10日の衆での議論と一致していない」と問われました。

 井坂さんは「私は原案の作成者なので、原案を良かれと思って作成しました。しかし、その(自公維3党による)修正案が衆を通過して、こうやって参で議論していることに意義がある」と唇をかみしめました。これについて、民主党の牧山弘恵さんが「骨抜き法案であり遺憾の意を表明する」と語りました。

 言葉の定義。法案に盛り込まれた「正規雇用労働者」と一般社会的な用語「正社員」 との違いを問われた、厚労省政府参考人は「同じような意味だという先生のご指摘はその通り」とあいまいな答弁を白さんに対してしました。

 なによりも、「均等待遇」と「均衡待遇」の違い。これについて、厚労省政府参考人の答弁を受けて、牧山さんは「均等はイコールであり、均衡はバランスだ」とし、「均衡待遇は日本だけであり、世界的な概念ではない」としました。寺田典城さんも「県知事時代に地労委(現・県労委)の仕事もしたが、均衡にすると、安い方にバランスをとることになる」と重ねました。行田邦子さんは「労働契約法20条とパートタイム労働法8条の趣旨をふまえて、横ぐしをさす法案にすべきだったのではないか」とすると、井坂さんは「私も横ぐしの法案が必要だという委員と同じ思いで、この法案の原案をつくった」と終始苦しい答弁が続きました。

 理念法としての井坂さんの思いを込めた議員立法が、同じ党の同じ期数の1~4名ほどの国対幹部によって、食い逃げされてしまい、それから2か月経って参での答弁で立ち往生する。まさに永田町の不条理です。

 衆法の審査を終えて、きょうは散会しました。

【同日 参議院農林水産委員会】

 「農協法改正案」(189閣法71号)。こちらも当初会期末直後に、「法律の趣旨を徹底し、議論する」という箸にも棒にも掛からぬ修正が、維新の党の2期生によってなされ、自公維で衆を通過し、参に送られてきました。

 きょうは参考人質疑をし、地方公聴会の報告がありました。

 民主党は郡司彰会長自ら質疑しました。衆での岡田さん同様に、参でも郡司さんが自ら質疑することが多い第189回国会となっています。

 維新の党の儀間光男さんは、「農協法改正案と言うよりも、農協廃止法案だという参考人の意見があってびっくりした。ただそうではないと信じている。むしろ、地方創生につながるものだろう」。あたかも与党・自民党のような発言。維新は、衆も参も空中分解しているように見えます。

 ◇

 今後も、刑訴法でも、維新の2期生の衆院議員が修正の答弁を、参でする運びです。

 野党が対案を提出し、原案を修正することが正しい、という風潮があります。しかし、これではプロセスを追いきれない。プロセスを追いきれないということは議会制デモクラシーの危機です。475人の衆議院議員のうち、自分の言葉で「派遣法」「農協法」の衆でのプロセスを有権者にとっさに説明できるのは1割未満。この路線はもうやめた方がよい。

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小沢一郎氏、「民主党は馬鹿ばかり」「公明党を連立から外せ」「国会答弁ない副総理にしろ」森喜朗氏に

2015年08月18日 07時17分50秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 「民主党は馬鹿ばかり」「公明党は連立から外せ」「俺を国会に呼ばれない無任所副総理にしろ」ーー


 第21回参院選「逆転の夏」の直後の、平成19年2007年11月に、第2次与党期自民党の福田康夫首相が、第1次野党期民主党の小沢一郎代表に連立を呼びかけた「大連立騒動」で、森喜朗元首相(元自民党総裁)の意外な証言が飛び出しました。

 2015年8月18日付読売新聞12面の「時代の証言者 森喜朗 第26回」の中で飛び出しました。

 大連立騒ぎについて、当ブログは「福田首相が民主代表に連立を要請した」と書いてきましたが、実態は違ったようです。

 森さんによると、小沢さんから渡辺さんに対して「参院選で勝ったので大連立をやりたい」と話があり、渡辺さんが森さんに連絡。森さんが福田首相に話すと、首相から「自分は直接できないので、森さんが小沢さんと話してほしい」として、パレスホテルで会談したそうです。

 ここで、小沢さんは「民主党は馬鹿ばかりなので、このまま政権をとっても危うい。大連立を経験した方がいい。参院選で大勝した今なら俺の言うことを聞く」とし、公明党を連立から外し、閣僚ポストの配分を具体的に提案し、小沢さん本人は「国会の呼ばれない無任所副総理」にするよう要求したそうです。森さんは公明党を連立から外すのはその場で拒み、首相に、それ以外の提案を取り次いだ、とのことです。

 当ブログでは、これを、福田首相が党首会談で小沢代表に大連立を要請した、とし、その後、党本部にかえった小沢代表は猛反対にあい、断念。その後、党代表辞任を突然表明し、「私を抹殺しようとした報道に抗議する声明」を発表。新生党結党メンバーの、羽田孜さん、渡部恒三さん、石井一さんらの説得を受けて、党代表続投を表明したという流れのようです。

 森さんは「おわびの一言もなく、小沢さんらしい話でした」。

 小沢さんは1997年12月に新進党を解党。その後、2003年10月に個人で民主党に入党。2010年5月に民主党代表となり、2011年7月に逆転の夏。その11月に「民主党は馬鹿ばかり」として、大連立し、自分が無任所副総理になろうとしていたことになります。なお、これに先立つ同年10月20日(水)に政党助成金が振り込まれ、いったんゼロになっていた民主党の資金が回復したので、それからわずか11日後に党首会談に臨んだことになります。

 民主党は馬鹿ばかりだったら、新進党には閣僚経験者がたくさん居たのですから、新進党を解党しなければ、政権交代ある二大政党政治が近づいたはずです。森さんの話が一方的ですが、小沢氏は説明能力のない屑ですから、事務所を通じて確認しても無駄です。

 小沢さんは同年11月7日の記者会見で、「2ヶ月ほど前にさる人から呼び出された。断れる人ではないので、出向いたところ、『総理が民主党との連立構想を持っている』と提案を受けたと話しており、森さんの説明とは食い違っています。

 私からも、新進党解党魔を、民主党代表(ネクスト総理)にしてしまった不明を恥じ入り、おわびします。

 ちなみに、この11月1日は、礒崎陽輔さんが質問デビューした日であり、自民党では、その人がすでに総理補佐官3年目に入っていることになります。

 以下、当時のエントリー記事を再掲します。

[以下当ブログ内から引用はじめ]

首相、民主に連立要請 渡辺・読売会長の“指示”か?

2007年11月02日 21時54分16秒 | 下町の太陽からの業務連絡です

(写真は日本テレビ)

 気になる2回目の党首会談。中断を挟んで、出てきた内容はなんと連立交渉! 「自民・民主・公明の3党大連立内閣」でした。
 小沢一郎民主党代表は提案に賛否を示さず、持ち帰りました。午後9時半現在、党本部で役員会を開き、対応を協議しています。

 「国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行」では9月25日付のエントリーで、福田康夫政権は、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄(ナベツネ)会長の影響力で成立したと報じました。

 渡辺さんは福田内閣発足以来、主筆を務める読売新聞の社説で「大連立」を繰り返し呼びかけてきました。渡辺さんの長年の懸案である憲法改正のためには、国会議員の3分の2(482人)以上の賛同が必要。
 大連立によって、その数を確保することを福田首相に“指示”した可能性が高いと言えるでしょう。国会議員の数は現在、自民党系は約390人、公明党系52人、民主党系230人近く。足すと670人になります。

 不死身のようなナベツネさんも81歳ですから、憲法改正の道筋に早くめどをつけたいのではないでしょうか。

 ○民主党の対応

 さて、現在「ボール」は民主党に投げられました。すべては民主党の判断です。まだ明らかになっていませんが、自民党が連立を誘った以上、「総理は民主党から」という提案があったに決まっています。
 こうなると、執行部内では代表の小沢一郎さんだけでなく、代表代行の菅直人さんの考えも重要になります。
 党内デモクラシー(democracy)を国民に見せるため、時間制限のない両院議員総会での議論が不可欠です。

民主党、連立の誘いを拒否 役員会1時間で結論

2007年11月02日 23時56分54秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 民主党は2日、福田康夫首相(自民党総裁)からの「連立政権」の呼びかけに対して役員会を開き、1時間ほどの協議の結果、拒否することを決めた。役員会終了後、小沢代表は福田首相に電話をかけ、「できません」と伝えました。

 第45回衆院総選挙でガチンコ対決。
 自民党vs民主党の二大政党から、国民が政権を選択することになりました。
小沢民主代表が辞意 大連立構想めぐる党内混乱にけじめ

2007年11月04日 20時25分20秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

まずは第一報をお伝えします。

小沢民主代表が辞意表明 大連立協議巡り「けじめ」(朝日新聞) - goo ニュース
(写真も朝日)
2007年11月4日(日)20:25 

 民主党の小沢代表は4日、福田首相との党首会談をめぐる政治的混乱にけじめをつけるとして、鳩山由紀夫幹事長に代表の辞職願を提出した。小沢氏はその後、緊急会見を開き、2日の党首会談後の役員会で連立政権に向けた政策協議入りを全員一致で拒否されたことは「不信任を受けたに等しい」と説明した。小沢氏の突然の辞意表明で、同党の混迷は必至だ。小沢氏は会見で離党は否定したが、小沢氏が安保政策での一致などを理由に与党との連携を目指すのではないかとの見方もあり、政局は政界再編含みの展開になりそうだ。

 小沢代表は会見で、連立政権協議を受け入れてもいいと判断した理由について、首相が(1)「自衛隊の海外派遣は国連決議で認められた活動に限る」とする小沢氏の持論を受け入れた(2)連立政権が成立すれば補給支援特措法案の成立にはこだわらない――と確約したことをあげ、「我が国の無原則な安保政策を根本から転換するもので、それだけでも政策協議を開始するに値する」との考えを示した。

 小沢氏はまた、政策協議入りのメリットとして、年金改革や子育て支援、農業再生など、参院選で公約した政策の実現が可能になると指摘。さらに、民主党の現状を「様々な面で力量が不足しており、政権担当能力に対する疑問が提起され続け、次期総選挙での勝利は厳しい情勢だ」と分析したうえで、「あえて政権の一翼を担い、政権運営の実績を示すことが、民主党政権を実現する近道だ」と強調した。

 小沢氏は辞任を決断したのは3日だと説明。「多くの議員、党員を指導する代表として、また党首会談で誠実に対応して下さった福田総理に対し、けじめをつける必要があると判断した」と語った。

 今後の政治活動については「ゆっくり考える」とし、民主党を離党する可能性については「離党などということは今言っていない」と否定した。

(以上、朝日の記事を全文引用しました) 

小沢代表「私を政治的に抹殺を意図した中傷報道に抗議」声明発表

2007年11月04日 22時39分39秒 | 下町の太陽からの業務連絡です

写真は民主党本部が入るビルの駐車場で幹部を待ちかまえる報道陣(4日、午後6時半)=宮崎信行撮影

 きょうは赤坂での演奏会に行ってきたんです。午後4時開演。
 時間があったので、隣のホテルの喫茶ラウンジでくつろいでいたら、ケータイに「民主代表、午後4時から記者会見、代表辞任の意向か」と。
 まあ、驚きましたが、意外と冷静でした。
 日経新聞記者時代ならあわてて飛び出したかもしれませんが、楽しみにしていた演奏会の方が大事です。自宅に電話して、記者会見を聞くよう指示。
 情報源の携帯電話と携帯ラジオも、音楽堂に入った午後3時半には電源オフ。
 大好きなブルックナーの交響曲5番を聴きながら、冷静沈着に「なぜなのか」を考えました。
 ちなみにこの曲には標題はないのですが、つけるとすれば、「逡巡」だと思うのです。作曲家がベートーヴェンみたいなすごい曲を書きたいのに、その能力がない。やる気はある。必死に逡巡しながら書いた。それが伝わってくる。
 僕も逡巡しながら、小沢決断に思いを馳せたのです。

 小沢さんという人は大局的な戦略にたけていますが、あっさりしたところもあります。話し下手で、大のマスコミ嫌いです。

 そんな小沢さんの記者会見はきょうも15分ほどでした。
 そして、2つの声明を発表しました。

 そのうちの一つが「中傷報道に厳重に抗議する」。
 名義は「衆議院議員 小沢一郎」

 僕はこの小沢一郎の叫びを皆さんにお伝えしたい。そのまま伝えたい。でもコピー&ペーストはしない。これから手で打ちますから、読んでください。

      ◇

 福田総理との党首会談に関する新聞、テレビの報道は明らかに、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって厳重に抗議いたします。
 特に11月3、4両日の報道は全く事実に反するものが目立ちます。
 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、果ては今回の連立構想について「小沢首謀説」なるものまでが、社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されています。いずれも、全く事実無根です。
 もちろん、党首会談及び会談に至るまでの経緯と内容について、私自身も、私の秘書等も、どの報道機関からも取材を受けたことはなく、取材の申し入れさえ全くありません。
 それにもかかわらず、事実無根の報道が氾濫していることは、朝日新聞、日経新聞等をのぞき、ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一葉を担っているとしか考えられません。
 それにより、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な誹謗中傷報道であり、強い憤りを感じます。
 このようなマスメディアの在り方は明らかに、報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思います。報道機関が政府・与党の宣伝機関と化した時の恐ろしさは、亡国の戦争へと突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかです。
 また、自己の権利維持等のために、報道機関に対し、私や民主党に対する誹謗中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥じるところがないか、自分自身によくよく問うてみるべきです。
 各種報道機関が一日も早く、冷静で公正な報道に戻られるよう切望いたします。

以上

      ◇

 赤坂から、首相官邸の横を通り、衆院第一議員会館の脇道を通り、国会議事堂前を歩きました。この街は日曜夜は恐ろしく人がいないですね。そう、恐ろしく。議員会館は5部屋くらい明かりがついていました。

 国会議事堂と議員会館の間の夜道で、小沢代表の秘書役で知られる元議員がさっぱりした表情で歩いていました。体力自慢の元議員ですが、午前5時には名古屋にあらわれるという日帰り出張だったそうですから(クルマで行ったのか?)、さすがにお疲れ気味でした。私は面識があるのですが、向こうも気付かなかったようですし、いろいろな配慮から声をかけませんでした。とはいえ、代表を党本部から送り出し、さっぱりした雰囲気。赤坂に繰り出すという感じでもありませんでした。

 さらに50メートル歩きました。参院議員会館の前に、女性参院議員がいました。こちらも冷静な表情。彼女を「小沢の愛人か?」と報道した紙媒体もありますし、彼女の選挙に関して、小沢議員の政策秘書が公選法違反で検挙されるかのような記事を載せた全国紙もあります。

 一部で「小沢周辺議員が自民と連立(連携)」との報道が出ています。
 だったらこの人たちがこの時間帯にこうしているわけないですよね。会合を開くか、賛同者を増やすための電話がけで忙しいはずですよ。ちゃんと取材しているのかよ?憶測で書いてんじゃねえの!

 参院議員会館を抜け、信号を渡り、民主党本部が入るビルに向かいました。坂道には民放テレヴィジョン各局の中継車が鎮座ましましていました。上野駅みたいにいろいろなおくにことばが聞こえてきました。

 党本部があるオフィスビル1階の駐車場には50人ほどの記者がたむろしていました。出てくる党幹部に「ぶら下がり」をするためでしょう。
 民主党本部にこんなに記者が並ぶようになったんですね。雑談したり、喫煙したり、他人のケータイをのぞき込んだりしながら時を過ごしていました。面識のある記者はいませんでした。政治部って入れ替わりが激しいんですよ、徒労だから。

 ここにいても何も情報がなさそうなので、7時のニュースに間に合うよう帰宅しました。
 それにしれも永田町を歩いても、何も見えてきませんね。
 そりゃそうですよ。なぜなら、この闘いの答えは全国にいる有権者一人一人が決めるのですから。

民主党、「小沢代表」継続を決定、連立なしが条件

2007年11月05日 21時18分10秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 民主党は午後1時から隼町にある党本部で役員会を開き、小沢一郎代表を慰留することで一致しました。ただし、連立協議は認めず、自民党との政策協議はテロ対策など安全保障分野に限りという条件付きです。


 これに先立つ午前11時から、菅直人代表代行が小沢さんに代表にとどまるよう依頼。小沢さんは東京・深沢の自宅を出て、午前10時から都内のホテルで待機していました。ということは、何らかの対応を待っていたのかも知れません。

 午後1時からの臨時役員会は小沢さんが欠席して始まりました。

 役員会の後の副代表会議には、岡田克也副代表、前原誠司副代表らが記者団の問いかけに無言で出席しました。

 鳩山幹事長は夕方、小沢さんに直接会いました。
 小沢さんは「昨日、辞職願を出したばかりだ。心の整理に時間がかかる」と回答を保留しました。

 民主党議員は予定を繰り上げ上京し、議員会館などで議員同士が情報交換しました。
 新聞などで「小沢グループ」と表現されることも多い、小沢さんに近い若手でつくる「一新会」は昨日、幹事が都内で集まり、「一新会は派閥ではないので、誤解を招かぬよう、組織として統一的に動かない」と申し合わせ、会員に連絡しました。

 民主党内には、辞任を明言した以上、翻意はないとの見方の一方、続投の可能性を指摘する声もあります。

 ただ、民主党代表は5期連続で途中辞任しています。両院議員総会での代表選出が続き、「党員・サポーター」と「党籍のある地方議員」の声が代表選びに反映されない状態が長く続いています。

 私は、ここで多少時間をとってでも、代表選出集会(臨時党大会)を選んで、後継代表(ネクスト総理)を選んだ方が得策だと思います。
 この選挙に小沢さんが出馬するという手もあります。小沢さんが当選すれば「リセット」して、より強いリーダーシップで小沢民主党が総選挙に勝利して、二大政党による政権交代という「日本の夜明け」を迎えることができます。

 辞任表明後のネット上の世論は、二大政党の一翼として民主党に期待する声が多く聞かれます。民主党への支持はこれまで30~50歳代の、特に男性に多い傾向がありました。が、今回はそれ以上の年代や女性にも「民主党に期待(心配)する」声が多く聞かれました。

 雨降って地固まるを実践できるか、民主党の真価が試されています。

【速報】「2ヶ月前に」渡邉恒雄から「大連立構想」小沢さん明かす

2007年11月07日 17時35分45秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 民主党の小沢一郎代表は11月7日午後5時10分頃、大連立構想に関して「2ヶ月ほど前にさる人から呼び出された。断れる人ではないので、出向いたところ、『総理が民主党との連立構想を持っている』と提案を受けた」と語った。読売新聞のえんにゅう記者の質問に答えた。
 小沢さんは「さるひと」について「調べれば分かること」と答えた。
 この後産経新聞記者が「さるひとは渡邉恒雄(渡辺恒雄)読売新聞グループ本社会長兼主筆か?」とたずねたが、小沢さんは「実名は差し控えたい」としたが、否定はしなかった



[引用おわり]

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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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自民党政府、学校給食費の児童手当からの強制徴収を可能とする法案を、2016年通常国会に提出か 

2015年08月18日 06時42分11秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 学校給食費を児童手当から強制的に天引きできる、児童手当法などの改正法案を、平成28年2016年の通常国会(おそらく第190回ないし第191回国会)に提出したい意向を、政府と与党・自民党が持っていることが分かりました。

 2015年8月18日付日経新聞3面が報じました。

 この報道を見て、筆者は初めて児童手当法(昭和46年5月27日法律73号)を読んでみました。

 その第22条の2で、「受給資格者が」「当該児童手当の支払いを受ける前に」「全部または一部を」「市町村」に寄付することができるとあります。そして、第22条の3は「市町村長は、受給資格者が、児童手当の支払いを受ける前に」「学校教育法に規定する学校給食費」について、「当該市町村に支払うべきものを支払いに充てる旨を申し出た場合には」「当該受給資格者に児童手当の支払いをする際に当該申出にかかる費用を徴収することができる」とあります。

 このように現行児童手当法では、受給権者が市町村に申し出て「給食費の天引き」を申請することができるようです。

 日経報道では「強制的に天引きする仕組み」とありますので、この辺の条項をいじくったうえで、第31条の罰則に追加するということになりそうです。

 児童手当法の所管官庁は厚生労働省、学校給食法の所管官庁は文部科学省。ただ、実施主体は基礎自治体(市町村)なので、法律案の執筆はさほど難しくないように思われます。

 日経記事によると、児童手当は月1人あたり1万5000円(以下)で、給食費は月5000円(以下)。このため、子どもの貧困に直面する、とくに、17人に1人の子どもが属する「ひとり親世帯」では、月1万円程度の児童手当にとどまり、 同世帯の平均年収が200万円前後ですので、可処分所得が年6万円減るピンチになります。

 日経記事では、給食費未納者は子供の100人に1人程度。ちなみに、筆者は昭和50年代、1980年代の東京下町の公立小学校に通いましたが、1学年92人中未納者は1人いました。これは、教室では誰も話さないけど、親たちは全員知っていました。なぜなら、保護者面談で先生が話すから。教職員にとっては大変な負担のようですが、当時すでに山の手に経済水準で逆転されていた下町でも100人に1人程度だったわけで、時が移ろい、バブル経済はかなたに行っても、100人に1人。ですから、景気による経済格差ではなく、どのような時代にも必ず子供の貧困は存在するということです。教職員の苦労は多としますが、子どもに罪はありません。

 100人に1人を扶助できないとしたら、自民党の国家観において、国家、政府、税金、自治体はなんのために存在するのでしょうか?

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おめでとうございます 北澤俊美さんが母校・長野県立屋代高校の初代名誉会員に 元日大総長とともに

2015年08月16日 05時38分20秒 | 素晴らしき新生党保存会

[写真]北澤俊美さん、平成20年2008年、長野市内、筆者(宮崎信行)撮影。

 おめでとうございます。

 政権交代ある二大政党政治を、参議院から支え、実現した、北澤俊美(北沢俊美)参議院議員が、母校である、長野県立屋代(やしろ)高校同窓会の名誉会員となったことが分かりました。

 同校同窓会機関誌「鳩」が報じました。

 元学校法人日本大学総長(平成8年1996年から平成17年2005年まで)であり、陛下に執刀した天野医師を育てた医学博士、瀬在幸安さんも選ばれました。

 会則第8条は「通常会員の中で、わが国を代表して国際的にも活躍する者および本会の発展に著しい功績があった者を名誉会員として推挙することができる」として、2名が初めて名誉会員となりました。

 北澤さんの名誉会員推挙理由は「わが国の国防と平和に貢献され、東日本大震災の救助活動では、自衛隊史上最大の10万人動員を指示し、未曽有の災害の指揮をとった」としました。当選4回在職23年で、現在は民主党副代表として羽田孜先生の弟弟子で新生党では先輩にあたる、衆議院議員・岡田克也代表(ネクスト総理)を全身全霊をもって支えています。

 瀬在元日大総長は1回生、北澤さんは8回生。北澤さんの在校中の学校名は「屋代東高校」で、その後、単独のまま名称のみ「屋代高校」に改称しました。 

 なお、私の父(健在)は、5回生です。

 「風よ静かにかの岸へ」

 風よ静かに彼の岸へ
 こひしき人を吹き送れ
 海を越え行く旅人の
 群にぞ君はまじりたる

 八重の汐路をかき分けて
 行くは僅に舟一葉
 底白波の上ならば
 君安かれと祈るかな

 海とはいへどもひねもすは
 皐月の野辺と眺め見よ
 波とはいへど夜もすがら
 緑の草と思ひ寝よ

 もし海怒り狂ひなば
 われ是岸に仆れ伏し
 いといと深き歎息に
 其嵐をぞなだむべき

 楽しき初憶ふ毎
 哀しき終堪へがたし
 ふたゝびみたびめぐり逢ふ
 天つ恵みはありやなしや

 あゝ緑葉の嘆をぞ
 今は海にも思ひ知る
 破れて胸は紅き血の
 流るゝがごと滴るがごと

ーー 藤村(島崎藤村)「落梅集」より。

 このエントリー記事の本文は以上です。


羽田孜先生「安倍総理から日本を守ろう」岡田克也代表「どちらの道を選択するか」

2015年08月15日 08時53分21秒 | 素晴らしき新生党保存会

[写真]羽田孜さん(右)と岡田克也さん(左)=岡田かつや後援会発行の討議資料「岡田かつやの歩み」からスキャニング。

 平成27年2015年8月15日(土)、終戦から70年を迎えました。地球の裏側で武器を輸送し、弾薬を補給する、公明党と自民党による戦争立法「集団的自衛権」をめぐるギリギリの攻防が続いています。

 政権交代ある二大政党政治を日本に導入した歴史的偉人、羽田孜先生(現・民主党顧問)と岡田克也さん(現・ネクスト首相・民主党代表)がこれに先立ち談話を発信しました。

 羽田孜さんは「歴代首相に安倍首相への提言を要請するマスコミOBの会」の求めに応じて、談話を寄せ、この内容は、中国中央電視台(CCTV)の英語版や、上海日報の英語版などでも報じられました。この中で「海外派兵を認める集団的自衛権は絶対に認められない。安倍総理から日本を守ろう」と語りました。

 岡田克也さんは民主党代表として「民主党が目指す日本は、武力行使に抑制的である国です」として、将来的な集団的自衛権には含みを持たせながらも、「ぜひ私たちの危機感と覚悟を共有していただき、どちらの道を選択するのか、国民の皆さんにもお考えいただきたいと思います」としました。

 羽田談話、岡田談話とも、コピペでなく、私の指がキーボードをたたいて、ご紹介いたします。羽田談話は、朝日新聞デジタルから打ち出させていただきました。

 ●羽田孜さんのメッセージ

 「戦争をしない」これこそ、憲法の最高理念。平和憲法の精神が今日の平和と繁栄の基礎を築いた。特に、9条は唯一の被爆国である日本の「世界へ向けての平和宣言」であり、二度と過ちを繰り返さないという国際社会への約束でもある。海外派兵を認める集団的自衛権は、絶対に認められない。安倍総理から日本を守ろう。羽田孜」

 ●岡田克也さんの民主党代表としての談話

 70回目の終戦の日にあたって(談話) 民主党代表 岡田克也

 70回目の終戦の日にあたり、国内外すべての犠牲者に心から哀悼の念を捧げます。

 戦前の植民地支配と侵略、300万余の国民の命を奪った無謀な戦争、その重い教訓と深い反省に基づき、戦前の日本は、憲法の平和主義のもと、平和で豊かな民主主義国家をつくり上げました。同時に、経済協力、人道支援、PKOなど、国際社会の平和と安定にも大きく貢献してきました。戦後70年の日本の歩みは、国際的にも歴史的にも誇るべきものであったと考えます。

 しかし、安倍政権は、その戦後70年の日本の歩みを支えた「国のあり方」を大きく変えようとしています。

 その1つは、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認です。憲法の根幹である平和主義を大きく変容しかねない安全保障関連法案を、国民の大半が政府の説明が不十分と指摘するなかで推し進めていることに強い憤りを感じています。民主党は、国民の皆さんのご心配や怒りの声を背に、政府案を廃案に追い込むために全力を挙げる決意です。

 もう1つは、歴史認識、アジア諸国との和解の問題です。安倍総理の戦後70年談話には、日本が植民地支配、侵略を行ったという明確な認識は記されていません。さらに談話発表の記者会見において安倍総理は、日本の行為が侵略にあたるかは後世の歴史家が判断するものと述べています。これは、歴代内閣が積み重ねてきたアジア諸国との信頼関係を揺るがしかねないものです。まだ談話では、子や孫の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないと記していますが、安倍総理は自身の言動こそが、これまでもアジア諸国に不信と不安をもたらしてきたことをあらためて反省すべきです。

 民主党は、植民地支配と侵略の事実を認め、痛切な反省と心からのおわびを表明した村山談話・小泉談話の歴史認識を評価し、継承しています。和解のために先人たちが重ねてこられた努力を無にすることなく、歴史の事実を直視し、自らの過ちを率直に省みる謙虚な姿勢で、アジアの国々との信頼関係に基づく外交を前に進めていくべきです。

 戦後70年を迎えたいま、日本は大きな岐路に直面しています。安倍自民党政権が目指しているのは、その憲法改正草案に明記しているように、集団的自衛権は制約なく行使し、普通に海外で武力行使できる国です。これに対し、民主党が目指す日本は、先の大戦の教訓と反省、憲法の平和主義の理念に基づき、武力行使に抑制的である国です。これからも日本は、憲法の根幹である平和主義を基軸とした外交・安全保障政策を展開するとともに、アジアの国々との和解を進めることが重要であると考えます。ぜひ私たちの危機感と覚悟を共有していただき、どちらの道を選択するのか、国民の皆さんにもお考えいただきたいと思います。

 以上。

このエントリー記事の本文は以上です。


戦後70年安倍談話発表

2015年08月15日 00時00分00秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

(このエントリー記事の初投稿日時は2015年8月14日午後9時で、それから、15日付に移しました)

 安倍晋三首相(自民党総裁)は、平成27年2015年8月14日(金)夕方、「戦後70年安倍談話」を閣議決定し、記者会見で発表しました。

 これがどのようなニュースバリューを持つのか、韓中米がどのように反応するのか。

 その辺はよく分からないので、ブログの特性、キーワードだけ入れて投稿し、あとはアクセスの反応をみたいと思います。

 なお、「8月15日付」で参照する人が多いと思われますので、このブログでは初めての試みで、初投稿後に、「15日付」へと、フォワードデート、というんでしょうか、日付を1日遅らせることにしようと予定しています。

 では、「安倍談話」を全文コピペして、この記事はおしまいにします。 

[首相官邸ウェブサイトから全文引用はじめ]

平成27年8月14日
内閣総理大臣談話

[閣議決定]

 終戦七十年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、二十世紀という時代を、私たちは、心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないと考えます。

 百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。

 世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地化にブレーキがかかりました。この戦争は、一千万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。人々は「平和」を強く願い、国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。

 当初は、日本も足並みを揃えました。しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。

 満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。

 そして七十年前。日本は、敗戦しました。

 戦後七十年にあたり、国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます。

 先の大戦では、三百万余の同胞の命が失われました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。終戦後、酷寒の、あるいは灼熱の、遠い異郷の地にあって、飢えや病に苦しみ、亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が、無残にも犠牲となりました。

 戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が、数知れず失われました。中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜の民が苦しみ、犠牲となりました。戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません。

 何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。

 これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります。

 二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。

 事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。

 先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました。自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。

 我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。

 こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。

 ただ、私たちがいかなる努力を尽くそうとも、家族を失った方々の悲しみ、戦禍によって塗炭の苦しみを味わった人々の辛い記憶は、これからも、決して癒えることはないでしょう。

 ですから、私たちは、心に留めなければなりません。

 戦後、六百万人を超える引揚者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。

 戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。

 そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。

 寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後七十年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。

 日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。

 私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。

 そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります。

 私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。

 私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。

 私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる国の恣意にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引してまいります。繁栄こそ、平和の礎です。暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。

 私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。

 終戦八十年、九十年、さらには百年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。

平成二十七年八月十四日
内閣総理大臣  安倍 晋三

[全文引用おわり]

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「小池文書」裏付けにも、南スーダンPKOを来年2月29日まで延長する政令、公布 きょうの国会はなし

2015年08月12日 23時17分13秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年8月12日(水)官報】

 天皇陛下は日本国憲法第7条「国事行為」として、政令を公布され、官報に告示されました。

 前日の閣議(火、金定例)で決定したものとみられ、7本公布。

 そのうち、「南スーダン国際平和協力隊の設置等に関する政令の一部を改正する政令」。

 PKO協力法(平成4年法律第79号)にもとづく、「国際平和協力本部に、南スーダンにおける国際連合平和維持活動のため、次に掲げる業務及び事務を行う組織として、平成27年8月31日までの間、南スーダン国際平和協力隊(以下「協力隊」という。)を置く との政令第1条を、

 「平成28年2月29日までの間」に書き換える、政令。

 半年間の延長です。

 ただ、前日の参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会で、小池晃委員が、「来年2月施行を前提に、南スーダンPKOを改正後のPKO協力法などで駆けつけ警護などができるよう、準備する記述がすでに盛り込まれている」、という趣旨の指摘をしており、今回の「2月29日まで」の延長を定めた政令は、その記述と軌を一にしており、「小池文書」の内容を裏付けた、との見方もできそうです。

【同日 衆議院】

 審議はありませんでした。

【同日 参議院】

 審議はありませんでした。平安特の理事会に先立つ理事懇談会は週明けに開かれる見通し。

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◎安保法案、不正常なままお盆入り、小池晃さんが「ガイドラインと安保法制」文書、防衛相対応できず

2015年08月11日 19時34分57秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]小池晃さん、2015年8月11日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 安保法案と労働者派遣法改悪案が参議院の委員会で、お盆の11日も法案審査されました。与党の要請に対して、野党は拒否してもいいような日程ですが、世論の目もあり、徹底審議路線が続いています。

【平成27年2015年8月11日(火) 参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 2015年日米防衛協力のための指針(日米防衛ガイドライン)の国内実施のための安保2法案(189閣法72号、189閣法73号)が審査されました。

 日本共産党の小池晃さんは、「独自に入手した内部文書だ」として、統幕(防衛省・統合幕僚監部)が5月末に作成した「ガイドラインと平和安全法制」と題した文書を、配布資料として配り、議題にしました。

 小池さんは、日米ガイドラインについて、「現行法でできるもの」「内部文書作成でできるもの」「改正法案でできるようになる見通しのもの」と3つの分類がされており、具体的な部隊編成についても書いてあると指摘し、このようなものが先に出回っていたら審議できないとしました。

 きょうは、このあと、6人が質疑するバッター表でしたが、理事の協議の後、委員長が散会を宣言。不正常なままお盆入りするという異例の事態になりました。

 おそらく日本共産党の機関紙、しんぶん赤旗で報じられると思います。小池さんの入手の功績は多大です。ただ、統幕にガイドラインと平和安保法制に関する工程表があるのは自然な流れに感じます。統幕は、陸、海、空が初めて一緒に勤務する寄り合い所帯ですから、防大同級生でない限り、こういう文書が流れることはあまり問題でないように思います。要は、この文書に対して、1億人の有権者がどう反応するかが国会審議のすべてです。

 今週月曜日、おととい放送されたTBS「時事放談」で半藤一利さんが「あまり報道されていないが、ガイドラインの動きをなぜ若い人が気付かなかったのか」という趣旨の指摘をしました。半藤さんは現在85歳。「若い人」がどの年齢層を言っているのか分かりません。私は以前半藤さんにご挨拶した際に、自分の経歴を述べたら、「それはいいけど、あなたは何を書いている人なの?」 と聞かれたことが忘れられません。何を専門にしているかをまず言え、と。そのような意味では私自身、専門として、警鐘を鳴らしてきました。

 例えば、昨年10月には、結果的に、その半年後となったガイドライン改訂について、「

◎海江田内閣での日米ガイドラインやり直し「マニフェストに入れるのは難しい」集団的自衛権【追記有】

」 という記事を書いています。つまり、ガイドラインが改訂されてしまうと、法律化を押しとどめたり、政権交代しても、ガイドラインをやり直すのは難しい、と当時の海江田万里ネクスト首相(民主党代表)が語ったという記事です。ちなみに、この記者会見で私は3回にわたりガイドラインについて聞き、前列の朝日新聞の記者に意図的にのびをされましたが、ものともせず。海江田さんが誠実に答えてくれたことに、感謝します。

【同日 参議院厚生労働委員会】

 「労働者派遣法改悪法案」(189閣法43号)が審議されました。

 民主党の津田弥太郎筆頭理事は「中央省庁再編にともない、平成13年2001年に当委員会ができてから、お盆休みの審議は初めて。これからも徹底審議を求めたい」として、採決しないよう、丸川珠代委員長に促しました。

 これに先立ち、名古屋での地方公聴会(8月6日)の報告があり、日本を代表する技術系派遣会社の名前を挙げ、リーマンショックでの愛知県周辺での雇い止めの影響や、派遣労働者の声を報告しました。

 質疑では、津田さんが「坂口力先生は大変な人格者です。厚労大臣としての派遣法改正後に、ゆるめすぎてしまった、と反省し、平成24年2012年の民主党政権時(津田政務官当時)の派遣法改正の民自公3党合意に尽力してくれました」として、公明党の山本香苗副大臣や、長沢広明理事らに働きかけました。

 津田さんは「専門26業務で働く人へのアクションをすぐにとってほしい」とし、法案採決を待たずに今すぐ「10・1問題」に対応するよう促すと、塩崎厚労相は「この法案が現在審議中にもかかわらず、一部の業者がこの法案をよく理解しないで、労働契約の更新を継続しないようにしているとの情報もあり、関係団体に厚労省が通知するかどうか、検討したい」と答弁。津田さんは「検討時期はうんと短くしてください」と応じました。

 法案審査後に、参考人質疑の開催が決まり、日時や人選は委員長に一任され、お盆休みとなりました。

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参議院予算委員会で新国立競技場に質問が集中 8月10日のNHK国会中継【追記有】

2015年08月10日 17時20分17秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年8月10日(月)参議院予算委員会】

 先週の金曜日の衆に続き、予算の実施状況に関する国政調査がありました。

 8月10日ながら、NHK国会中継がありました。

 2020年東京オリ・パラの開会式会場が予定されている、新・国立競技場について質問が集中しました。

 民主党の蓮舫代表代行は、見積もりについて質問し、日本スポーツ振興センターの河野一郎理事長らが「2100億円」と見積もっていたときに、「ゼネコンは3000億円ぴったり」と見積もっていたと答弁しました。

 日本にしかない業態とされる、ゼネコンがこのような丸まった数字を税金で得て、それを自民党政権に政治献金することをずっとしてきたのでしょう。

 蓮舫さんの質疑では、広島平和記念式典で、非核3原則に安倍晋三首相(自民党総裁)が触れなかったのは、自ら原稿から落としていたことが明らかになりました。

【同日 衆議院】

 本会議、委員会ともありませんでした。

 衆参とも今週はお盆休みになります。

【追記 8月10日午後9時半】

 あすもお盆休みではなく、午前10時から参・厚労委、午後1時から参・平安特があります。

 労働法制、安保法制ともピークを迎えます。

 がんばりましょう。

【追記終わり】

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