日本国憲法第59条第4項にもとづき、衆議院が労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)を再議決できる時期に入りました。「改憲」ならぬ「壊憲」政党である、衆議院自民党と衆議院公明党に、憲法の権利を振りかざさせてはなりません。
我々有権者が60日ルールを絶対に使わせないようにしましょう。
【平成27年2015年8月18日(火)参議院厚生労働委員会】
お盆明けは、民主党が白真勲さん、共産党が小池晃さん。安保特別委で乗りに乗っている2人が切り込み隊長になりました。
きょうは政府原案ではなく、「同一労働同一賃金法案」(189衆法22号)。
衆でのプロセス。もともと、衆民主党が衆維新の党と共同提出していました。ところが、会期末前週に、まず、政界引退を発表した、維新の党の橋下徹元代表(非議員)が安倍首相に加えて、菅義偉・官房長官が食事。その後、大阪選出の国対幹部らが菅・官房長官と会食。すると、民維共同提出のいわゆる「対案」である、「同一労働同一賃金法案」が突然、自公維3党によって修正されてしまい、衆議院を通過しました。食い逃げ被害に民主党はあいました。
これについて筆者は、岡田克也民主党代表の定例記者会見で「ひょっとして内閣官房の報償費からお金でももらったのではないかと国民や維新の党の支持者が疑うのは当然ではないかと思う」とし、維新大阪系国対が官房機密費を貰ったのではないか、と指摘しました。これに対して、岡田さんは「まず、想像で物を言うつもりはありませんので、コメントはいたしません」 としならがも、「官房長官がいろいろ手を尽くす、野党と会うというのは官邸としては一つのやり方かと。別にその中身がどうかということではなくて、会うということについて申し上げればそういう面はありますが、それに対して会う野党は、これも私の常識を超えます」と答えました。ただ、民維連携で延長国会に向かう時期なので、「そこは野党の中にもいろいろな考え方があるのかもしれませんので、批判的に受け取らないようにしておいていただきたいと思います」とご指導をいただきました。
毎年6月、当初会期末には、このようなことはよく起きます。
永田町の不条理ではなく、そういうものだと思えばなんともありません。
不条理を腹に飲み込んだのが、維新の党の井坂信彦・衆議院議員(兵庫1区)。この人は、官房機密費は絶対に貰っていません。「絶対にない」という証明はどうするかといえば、状況証拠を踏まえながら、私が絶対に貰っていないと判断しているのですから、そうなのです。
参議院ではかなり厳しい集中砲火を浴びました。渡辺美知太郎参議院議員は、「若手議員のエースである井坂先生のあげ足をとるわけではないが、6月10日の衆での議論と一致していない」と問われました。
井坂さんは「私は原案の作成者なので、原案を良かれと思って作成しました。しかし、その(自公維3党による)修正案が衆を通過して、こうやって参で議論していることに意義がある」と唇をかみしめました。これについて、民主党の牧山弘恵さんが「骨抜き法案であり遺憾の意を表明する」と語りました。
言葉の定義。法案に盛り込まれた「正規雇用労働者」と一般社会的な用語「正社員」 との違いを問われた、厚労省政府参考人は「同じような意味だという先生のご指摘はその通り」とあいまいな答弁を白さんに対してしました。
なによりも、「均等待遇」と「均衡待遇」の違い。これについて、厚労省政府参考人の答弁を受けて、牧山さんは「均等はイコールであり、均衡はバランスだ」とし、「均衡待遇は日本だけであり、世界的な概念ではない」としました。寺田典城さんも「県知事時代に地労委(現・県労委)の仕事もしたが、均衡にすると、安い方にバランスをとることになる」と重ねました。行田邦子さんは「労働契約法20条とパートタイム労働法8条の趣旨をふまえて、横ぐしをさす法案にすべきだったのではないか」とすると、井坂さんは「私も横ぐしの法案が必要だという委員と同じ思いで、この法案の原案をつくった」と終始苦しい答弁が続きました。
理念法としての井坂さんの思いを込めた議員立法が、同じ党の同じ期数の1~4名ほどの国対幹部によって、食い逃げされてしまい、それから2か月経って参での答弁で立ち往生する。まさに永田町の不条理です。
衆法の審査を終えて、きょうは散会しました。
【同日 参議院農林水産委員会】
「農協法改正案」(189閣法71号)。こちらも当初会期末直後に、「法律の趣旨を徹底し、議論する」という箸にも棒にも掛からぬ修正が、維新の党の2期生によってなされ、自公維で衆を通過し、参に送られてきました。
きょうは参考人質疑をし、地方公聴会の報告がありました。
民主党は郡司彰会長自ら質疑しました。衆での岡田さん同様に、参でも郡司さんが自ら質疑することが多い第189回国会となっています。
維新の党の儀間光男さんは、「農協法改正案と言うよりも、農協廃止法案だという参考人の意見があってびっくりした。ただそうではないと信じている。むしろ、地方創生につながるものだろう」。あたかも与党・自民党のような発言。維新は、衆も参も空中分解しているように見えます。
◇
今後も、刑訴法でも、維新の2期生の衆院議員が修正の答弁を、参でする運びです。
野党が対案を提出し、原案を修正することが正しい、という風潮があります。しかし、これではプロセスを追いきれない。プロセスを追いきれないということは議会制デモクラシーの危機です。475人の衆議院議員のうち、自分の言葉で「派遣法」「農協法」の衆でのプロセスを有権者にとっさに説明できるのは1割未満。この路線はもうやめた方がよい。
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