【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

可視化法案が可決 民維主導の修正で拡大へ、司法取引初導入、通信傍受拡大も

2015年08月05日 17時42分01秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年8月5日(水)法律公布】

 第24回参議院議員通常選挙で、選挙区で4県を2合区し、10増10減する、改正公職選挙法が公布されました。議案番号は189参法11号。法律番号は平成27年8月5日法律60号。悪法もまた法なり。決まってしまった以上、これに従わねばなりません。

【同日 衆議院法務委員会】

 いわゆる「可視化」とされる、検察・警察の取り調べの録画・録音を裁判の証拠にできる制度の新設を盛り込んだ、「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)が修正可決しました。

 委員会ではまず、自公民維による修正案を提出。趣旨説明した山尾志桜里さんは「参考人質疑を含めた長時間の審議により修正案に合意した」とし、可視化について「附則として3年を経過したときに、状況を勘案し、制度の在り方を検討し、必要があれば、所要の措置を講じる」としました。

 政府案と修正案が審査されました。そのなかで、山尾さんは「率直に言って、民維両党が作成した修正原案とはかい離がある」としながらも、「司法取引の是非を含めて3年後に見直したい」と語りました。共産党の清水忠史さんは「ここで妥協すべきではなかった」と語りました。

 3%とはいえ、可視化を新設する法案は、共反対、自公民維の賛成多数で修正可決しました。

 法案は5月26日(火)に委員会で審議入り。それから70時間にわたるロングラン審議となりました。テーマごとに参考人質疑をし、法案審査をする「サンドウィッチ方式」がとられました。この間に、安保法案が審議入りし、労働者派遣法改正案が強行採決されるなど、関心が他の委員会に集中しましたが、山尾志桜里さんと井出庸生さんのアラフォーコンビによる「民維共闘」で、民主政治の光明をみせる審査となりました。

 別エントリーに書いた通り、偶然にも、英国庶民院のバーコー(John Bercow)議長が激励に訪れる場面もありました。 


[画像]70時間ものロングラン審議を取り仕切った、奥野信亮・衆議院法務委員長、2015年8月5日、衆インターネット審議中継からスクリーンショット。


[画像]自公民維4党の共同修正案を趣旨説明する民主党の山尾志桜里さん、同、同。


[画像]「とても大事な法案を審議していると聞いている」と、衆法務委を訪れた、英国庶民院のバーコー議長、同、同。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 「医療法改正案」(189閣法68号)が採決され、民維共反対、自公賛成多数で可決しました。附帯決議はなし。 

 続いて、「確定拠出年金法改正案」(189閣法70号)が趣旨説明されました。ともに、4月3日(金)に提出された法案です。

【同日 衆議院文部科学委員会】

 一般質疑、とくに2020年東京オリパラの新国立競技場の巨額見積もり問題。日本スポーツ振興センターの河野理事長、下村文科相、遠藤五輪相が答弁しました。

【同日 参議院我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 「2015年日米防衛協力為の指針いわゆるガイドラインの国内実施の安全保障2法案」(189閣法72号、189閣法73号)。

 民主党の白真勲さんが、中谷防衛相から、核兵器(核弾頭つきミサイル)の輸送もできるとの答弁を引き出しました。これについては、既に別エントリーで速報として報じました。 

 これに先立つ、与党・自民党の審議では、元産経新聞政治部長の北村経夫さん(比例)がのっけから、この日の東京新聞朝刊を批判し、大臣に答弁を求めました。

 この後、元日経新聞政治部編集委員の三宅伸吾さん(香川)は、「地元では、漠然とした戦争への懸念がある。軍国主義の再来はないことを説明しないと法案は成立しない。それと、憲法の難しい議論を分かりやすく説明しないと、法案は成立しない」「なぜ、先の大戦を当時の新聞は煽ったのか。NOと言える政治家たちが失脚し、竹槍でB29に立ち向かおうとした政治家が国民の喝采を浴びた」と語りました。衆参通じて、自民党議員による懸念表明は初めてと思われます。

 蝉の声とともに、ようやく世論が動いてきた気配。あすは広島原爆忌。来週はお盆です。

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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バーコー(Bercow)庶民院議長が衆議院法務委員会を傍聴し「日本は民主主義のリーダーだ」

2015年08月05日 14時46分54秒 | 英国の事例

 [画像]英国庶民院を取り仕切る、バーコー庶民院議長、2015年7月21日、英国議会インターネット審議中継からスクリーンショット。 

 英国庶民院のジョン・バーコー(Mr.John Bercow)議長が2015年8月5日(水)、衆議院法務委員会を傍聴し、激励しました。

 この日は、日本では初めて「可視化」を導入する、刑事訴訟法改正案と、それに対する自公民維修正案が審議中。奥野信亮委員長が、山尾志桜里筆頭理事や、上川陽子法相、山谷えり子国家公安委員長らにいったん審議をやめるよう促し、バーコー議長を紹介しました。

 バーコー議長は英語で、「きょうは民主主義にとって大事な法案を審議する委員会があると聞いています。日本はこの地域における民主主義のリーダーだ」と励ましました。


 [画像]英国庶民院を取り仕切る、バーコー庶民院議長、2015年7月21日、英国議会インターネット審議中継からスクリーンショット。 


[画像] 衆議院法務委員会を傍聴し、激励するバーコー庶民院議長、2015年8月5日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 バーコー議長は、2009年に46歳で議長に選出。その後、2010年の総選挙で、保守党・自由民主党連立政権になり、2015年の総選挙で、保守党単独政権になりましたが、一貫して、議長をつとめ、3期目に入った52歳。

 なお、庶民院選挙について、「議長の選挙区に候補者を立てない」のは二大政党のみの慣例であり、バーコー議員は、英国独立党党首(欧州議会議員)らの挑戦を小選挙区で受けています。

 衆議院は、5月の総選挙に際して、ロンドン駐在職員に、バーコー議長の3選について情報を収集するよう、指示をだしていました。

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「核兵器も輸送できる」と中谷防衛相答弁、広島70年原爆忌前日、白真勲さん廃案求める

2015年08月05日 11時30分42秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]民主党の白真勲さん、2015年8月5日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 安全保障2法案(189閣法72号、189閣法73号)で、核兵器(核弾頭つきミサイル)を輸送することが可能になることが明らかになりました。

 原爆投下70周年の前日である、平成27年2015年8月5日(水)の参院我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会で、

 民主党の白真勲さんの答弁に対して、中谷元防衛相が答弁しました。

 中谷防衛相は「日米ACSA(物品や役務の相互流通条約)で、ミサイルは除外されている」「日本には非核3原則がある」としながらも、

 「法文上は核兵器を輸送できる」としました。

 中谷大臣は、核兵器(核弾頭つきミサイル)は、「(武器ではなく)弾薬だ」とし、2015年ガイドラインにもとづく「補給」の対象になることを示唆しました。

 白さんは「広島1区選出の岸田文雄外相は驚いた顔をしているが、知っていたか」と問うと、岸田外相は「今承知した」と答弁し、初めて知ったことを明言しました。

 白さんは「あすは広島への原爆投下70年。このような法案は廃案にすべきだ」と迫りました。

 横畠裕介内閣法制局長官は「これまでも答弁しているが、憲法上核兵器は保有できる」と話しました。

 中谷大臣は「政策判断としてあり得ない」とし、法文上は禁じられていないが、政策判断として核兵器は輸送しないとの答弁を繰り返しました。

 このエントリー本文は以上です。