【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

ドローンの日没後、住宅密集地の飛行を禁じる航空法改正案が全会一致で可決

2015年08月26日 17時54分41秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]ドローン規制法案で質疑する、本村賢太郎さん、2015年8月26日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成27年2015年8月25日(水)衆議院国土交通委員会】

 「ドローン、無人航空機を規制する航空法改正案」(189閣法75号)が自公民維共の全会一致で可決しました。あすの本会議で可決し参議院へ。会期内成立は確実で、公布から3か月以内に施行へ。

 法案審査では、国交省航空局長が「とりあえず交通整理のために緊急に整備した法案です」とし、官邸ドローン事件を受けての提出だとしました。大延長国会(6月25日から9月27日まで)で、政府が提出した唯一の法案です。ただ、法案審査では、規制よりも今後の産業振興への質疑が相次ぎました。

 面白かったのは、秘書経験もある民主党の本村賢太郎さん(神奈川14区比例、2期)の質問。

 「きょうは、国交省、農水省、警察庁に来ていただいております。それぞれ、無人飛行機(ドローン)はどのように活用していて、どのような課題があり、どのように展開していくのか答弁してほしい」としました。

●ドローンをめぐって、はやくも省益争いーー

 何度も答弁席に立っているのに、航空局長は「まずは、国交省からお答えさせていただきます」と張り切り、「測量、定期点検に活用しており、今後は離島への物資の補給など多用途で活用したい」としました。この後、農水省官房は、「水稲の農薬散布として昨年5万ヘクタールで使っており、今後は農作物の生育調査にも使いたい。省でガイドラインを定め、独立行政法人農林水産航空協会に検討会を設けており、農水省としても同協会に協力してきたい」と答弁しました。警察庁は「長野県警が御嶽山の捜索や、交通事故現場の鑑識に使っている。災害現場の情報収集や、行方不明者の捜索に使っていきたい」と答弁しました。国交省と農水省は目を合わすことがなかったようです。

 法案審査と国政調査の2本立てとなっている、日本の国会の常任委員会のメリットを本村さんが活用したわけですが、官僚も国益を見すえて仕事をしてほしい。

 法案は、家屋密集地や、日没後のドローン飛行を規制しており、罰金刑になる場合もあります。これとは別に、皇居・官邸・国会・原発上空のドローン禁止法案も議員立法で出ており、衆議院を通過し、参議院で審議待ちとなっています。

【同日 衆議院法務委員会】

 「矯正医官の兼職とフレックスタイムの特例法案」(189閣法60号、参先議)が全会一致で可決しました。あす成立、来週公布、3か月以内に施行のはこび。

 質疑では、上川陽子法相が「受刑者のみなさん」という表現をし、「矯正医官の中には、子どものどこで働いているか言えない、という人もいるようだ」と矯正施設に対する配慮をにじませ、好感が持てました。

【同日 衆議院農林水産委員会】

 まず、一般質疑。

 そして、「独立行政法人改革のための農林水産省設置法改正案」(189閣法32号)が趣旨説明され、散会しました。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 確定拠出の法案は審議せず、「漏れた年金」の第三者委員会報告書に対する一般質疑がありました。

【同日 参議院厚生労働委員会】

 「労働者派遣法改悪法案」(189閣法43号)の参考人質疑。

 2012年改正にかかわった、福島みずほ理事は、「法案の9月1日施行はもう無理だから廃案にすべし」としながらも、「前回改正に関わった者として、10月1日のみなし雇用措置を一度発動させたい」と語りました。仮に「9月30日施行」に修正されるとそれはかないません。ただ、みなし雇用措置から逆算した労働市場の変化はすでに出ているとされています。今後、施行日を10月1日以降にずらすという与野党の攻防がなされるかもしれません。いずれにせよ、9月1日施行は阻止できる可能性が高まりつつあります。

【同日 参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 「2015年日米防衛協力ガイドラインの国内実施の安保2法案」(189閣法72号、189閣法73号)

 自民党の高橋克法さんは「現行周辺事態法でも核兵器は輸送できる」とし、「なぜ民主党政権は周辺事態法を改正して核兵器を輸送できないようにしなかったのか」と問いました。防衛省も「そのような動きがあったとは承知していない」と、民主党政権時に周辺事態法の機運を聞いたことはないとしました。今次改正法案では、周辺事態法改め重要影響事態法とするのであり、周辺事態の概念を削除するものですから、高橋議員の批判はまったくお門違いです。

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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与党・自民党、民法債権編抜本改悪法案の成立断念との報道 継続審議を許さず絶対廃案に追い込もう!

2015年08月26日 07時16分37秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 NHKは平成27年2015年8月26日(水)、今国会に提出された稀代の悪法、「民法債権編抜本改悪法案」(189閣法63号)を9月27日(日)までの成立を断念する方向で、与党・自民党が調整に入ったと伝えました。

 まだまだ油断してはいけません。後会(こうかい)への継続すなわち「閉会中審査」処理など言語道断であり、会期終了と同時に自然に廃案にすべし。来夏には参院選挙も控えています。

 政権交代直後の平成21年2009年10月、千葉法相が法制審に諮問。政権再交代後の平成25年2013年2月にできた中間とりまとめは次のようになっています。

 「連帯保証人に対する履行の請求は、当事者間の別段の合意がある場合を除き、主たる債務者に対してその効力を生じないものとする」

 として、別段の合意がなければ、連帯債務は主債務者以外に効力を及ばないことになっています。

 ところが、今国会の法案は激変。

 「保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の前1か月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じないものとする」

 となっています。

 つまり、連帯保証には公正証書がなければならない。ますます逃れられないことになります。

 民主党・維新の党・社民党・山本太郎と生活の党となかまたちおよび無所属議員は、対案(189参法21号)を提出しました。

  対案は「主たる債務者が事業のために負担する貸金等債務を主たる債務とする保証契約等は、保証人が法人又は主たる債務者である法人の代表者である場合を除き、その効力を生じないものとする」

 とあります。つまり、代表取締役が自分の会社の保証人になる以外は、効力がないとしています。

 民主党は結党以来、同趣旨の法案を毎通常国会に出し続けています。このうち同じ法案に盛り込まれていた「民法900条第4項 婚外子(非嫡出子)相続差別規定」の禁止は法律化しました。マニフェストの「政府系金融機関の個人保証の禁止」と「民間金融機関による、代表取締役以外の個人保証の禁止」の実現をめざすものです。

 与党・自民党は「閉会中審査」の処理をせず、審議未了廃案にすべし。さらには、平成25年2月のとりまとめから、平成27年2015年3月31日(火)の閣議決定までにどのようなプロセスが書き換わったのか。そして、3月31日(火)の法案閣議決定に署名した、第3次安倍内閣の自民党と公明党の閣僚の「罪」は断罪されなければなりません。

 会期はまだ1か月あります。徹底的にプレッシャーをかけねばなりません。

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