【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

◎安保法案、不正常なままお盆入り、小池晃さんが「ガイドラインと安保法制」文書、防衛相対応できず

2015年08月11日 19時34分57秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]小池晃さん、2015年8月11日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 安保法案と労働者派遣法改悪案が参議院の委員会で、お盆の11日も法案審査されました。与党の要請に対して、野党は拒否してもいいような日程ですが、世論の目もあり、徹底審議路線が続いています。

【平成27年2015年8月11日(火) 参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 2015年日米防衛協力のための指針(日米防衛ガイドライン)の国内実施のための安保2法案(189閣法72号、189閣法73号)が審査されました。

 日本共産党の小池晃さんは、「独自に入手した内部文書だ」として、統幕(防衛省・統合幕僚監部)が5月末に作成した「ガイドラインと平和安全法制」と題した文書を、配布資料として配り、議題にしました。

 小池さんは、日米ガイドラインについて、「現行法でできるもの」「内部文書作成でできるもの」「改正法案でできるようになる見通しのもの」と3つの分類がされており、具体的な部隊編成についても書いてあると指摘し、このようなものが先に出回っていたら審議できないとしました。

 きょうは、このあと、6人が質疑するバッター表でしたが、理事の協議の後、委員長が散会を宣言。不正常なままお盆入りするという異例の事態になりました。

 おそらく日本共産党の機関紙、しんぶん赤旗で報じられると思います。小池さんの入手の功績は多大です。ただ、統幕にガイドラインと平和安保法制に関する工程表があるのは自然な流れに感じます。統幕は、陸、海、空が初めて一緒に勤務する寄り合い所帯ですから、防大同級生でない限り、こういう文書が流れることはあまり問題でないように思います。要は、この文書に対して、1億人の有権者がどう反応するかが国会審議のすべてです。

 今週月曜日、おととい放送されたTBS「時事放談」で半藤一利さんが「あまり報道されていないが、ガイドラインの動きをなぜ若い人が気付かなかったのか」という趣旨の指摘をしました。半藤さんは現在85歳。「若い人」がどの年齢層を言っているのか分かりません。私は以前半藤さんにご挨拶した際に、自分の経歴を述べたら、「それはいいけど、あなたは何を書いている人なの?」 と聞かれたことが忘れられません。何を専門にしているかをまず言え、と。そのような意味では私自身、専門として、警鐘を鳴らしてきました。

 例えば、昨年10月には、結果的に、その半年後となったガイドライン改訂について、「

◎海江田内閣での日米ガイドラインやり直し「マニフェストに入れるのは難しい」集団的自衛権【追記有】

」 という記事を書いています。つまり、ガイドラインが改訂されてしまうと、法律化を押しとどめたり、政権交代しても、ガイドラインをやり直すのは難しい、と当時の海江田万里ネクスト首相(民主党代表)が語ったという記事です。ちなみに、この記者会見で私は3回にわたりガイドラインについて聞き、前列の朝日新聞の記者に意図的にのびをされましたが、ものともせず。海江田さんが誠実に答えてくれたことに、感謝します。

【同日 参議院厚生労働委員会】

 「労働者派遣法改悪法案」(189閣法43号)が審議されました。

 民主党の津田弥太郎筆頭理事は「中央省庁再編にともない、平成13年2001年に当委員会ができてから、お盆休みの審議は初めて。これからも徹底審議を求めたい」として、採決しないよう、丸川珠代委員長に促しました。

 これに先立ち、名古屋での地方公聴会(8月6日)の報告があり、日本を代表する技術系派遣会社の名前を挙げ、リーマンショックでの愛知県周辺での雇い止めの影響や、派遣労働者の声を報告しました。

 質疑では、津田さんが「坂口力先生は大変な人格者です。厚労大臣としての派遣法改正後に、ゆるめすぎてしまった、と反省し、平成24年2012年の民主党政権時(津田政務官当時)の派遣法改正の民自公3党合意に尽力してくれました」として、公明党の山本香苗副大臣や、長沢広明理事らに働きかけました。

 津田さんは「専門26業務で働く人へのアクションをすぐにとってほしい」とし、法案採決を待たずに今すぐ「10・1問題」に対応するよう促すと、塩崎厚労相は「この法案が現在審議中にもかかわらず、一部の業者がこの法案をよく理解しないで、労働契約の更新を継続しないようにしているとの情報もあり、関係団体に厚労省が通知するかどうか、検討したい」と答弁。津田さんは「検討時期はうんと短くしてください」と応じました。

 法案審査後に、参考人質疑の開催が決まり、日時や人選は委員長に一任され、お盆休みとなりました。

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