ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

公認心理師法案が衆議院で可決、参議院へ 全会一致、来週にも成立の見通し【追記有】

2015年09月03日 13時25分08秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

(このエントリー記事の初投稿日時は2015年9月2日正午過ぎ)

【追記 2015年9月24日日 午後3時】

公認心理士法の成立については、次のエントリーに書いてあります。
公認心理師法が成立

【追記おわり】


[画像]公認心理師法案可決の瞬間、衆議院文部科学委員会=真ん中で座っている男性は記録部員(速記者)、奥で座っている男性は大臣。それ以外の全文部科学委員が起立しており、全会一致、2015年9月2日(水)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット

 公認心理師法案は、平成27年2015年9月2日(水)の午後12時過ぎ、の衆議院文部科学委員会(福井照委員長)で、自民党の山下貴司さんから趣旨説明されました。

 これは、「ただちに起草すべし」との委員らの動議が出たためです。

 形式上、福井委員長が全員の考えを聞いたうえで法律案の文章をつくったかたちになります。

 この委員会には、自公民維の5党に加えて、社民党も委員を出しています。

 趣旨説明の後、質疑と討論を求めた会派がなく、ただちに採決されました。

 公認心理師法案は、全会一致で「委員長提出法案として、衆議院本会議に提出する」ことが決まりました。

 提出に加わらなかった共産党も採決では賛成したようです。

 あす平成27年2015年9月3日(木)のたぶん午後1時から開かれる衆・本会議で、福井委員長が趣旨弁明。ただちに採決。おそらく全会一致で可決して、同日中に参議院に送られるはこび。

 参議院文教科学委員会は、内閣提出法案の審査をすべてフィニッシュしており、今月27日(日)までの第189回通常国会での可決、成立は確実となりました。

 月末頃に、天皇陛下が公布し、官報に全文掲載。それから2年以内に施行。施行日を定める政令は閣議決定されることになります。

 委員会では「文部科学省と厚生労働省はよく連携し、他省も協力すること」などとした附帯決議がつきました。附帯決議は法律ではありませんが、役所はできる限り配慮します。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 

(http://miyazakinobuyuki.net/)

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今後の政治日程を更新しました 安保国会終盤へ

2015年09月03日 05時43分46秒 | その他

 「宮崎信行の今後の政治日程」を更新しました。

 今月、延長国会会期末を迎えます。

 当初会期の会期末に大きく購読者数が増えました。こころより感謝します。今月も引き続きのご購読や、新規のご購読をお願いいたします。

 この秋から、来年夏の参院選まで流れるように政局が動くとみられますので、ぜひ骨格をしっかりとお示している、ブログをご活用ください。

 以上です。

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笠浩史さん「五輪招致の際の無償エンブレムで良いという学生の声きけ」、安保は自・維が審議の場で決裂

2015年09月02日 18時06分19秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]東京五輪の誘致エンブレムをあしらったバッジを示して、公式エンブレム白紙撤回後の対応について主張する、民主党の笠浩文さん、2015年9月2日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成27年2015年9月2日(水)衆議院文部科学委員会】

 既に別エントリーで報じたように、「公認心理師法案」(189衆法36号)が自公民維社の5党の動議で起草されました。質疑、討論は省略され、全会一致で可決し、委員長が本会議に提出することになりました。今国会での成立は確実。

 これに先立ち、一般質疑がありました。

●東京五輪、新国立競技場に続いて、公式エンブレムも白紙撤回の事態に、民主党・笠浩文元文部科学大臣「無償ですむ、誘致活動のエンブレムでよい」

 この前日夕方に、武藤敏郎・東京オリパラ組織委員長事務総長が記者会見し、新国立競技場のデザインと見積もりに続いて、公式エンブレムも白紙撤回することを発表しました。デザイナーのS氏のパクリが、グーグル画像検索を駆使してインターネット上の掲示板で検証されたため、S氏が自ら辞退しました。

 これについて、民主党で、元文部科学副大臣の笠浩文(りゅう・ひろふみ)さんが質問。

 笠さんは「新国立競技場とエンブレムの相次ぐ白紙撤回は海外でも厳しい報道がされている」としました。遠藤五輪相は「三社三様の責任がある」とし、S氏、選考委員会、組織委員会にそれぞれ責任があるとしました。組織委の副事務総長は「法的な賠償責任はある。だが、まずはスポンサーへの説明を優先したい」と語りました。

 エンブレムのやり直しについて、笠さんは「今はグーグル画像検索がある、という時代です」とし、身に着けたバッジを示しながら、「招致のときのマークを使う手もある」としました。

 招致活動のエンブレムとは、次のポスターのエンブレムです。


[写真]東京オリパラ招致成功時のポスター、2012年9月、東京・永田町、筆者(宮崎信行)撮影。

 笠さんは、「ちょうど昨日の夕方、学生と話していたら、招致活動を同じエンブレムでいいのではないかという声が多かった。ネット上でも同様ですから、一度ネット検索したら分かります。お金もかからない」としました、五輪相らは「招致活動のエンブレムは無償で配布したものであり、スポンサーとの関係がある」とし、有償のエンブレムにしたいとの意向がでました。

 広辞苑によると、エンブレムとは「象徴、表象、標章、紋章」のことです。

【同日 参議院わが国および国際社会の平和および安全に関する特別委員会】

 「2015年日米防衛協力のためのガイドラインの国内実施2法案」(189閣法72号、189閣法73号)に加えて、維新の党対案(189参法16号から20号まで)の合計7法案が審査れました。

●分裂確実の維新の党との政府自民党の修正協議、質疑のかたちで打ち止めの見通しーー自民党側筆頭理事。

 質疑はまず、自民党側筆頭理事の佐藤正久さんが「きょうは維新の党の対案を中心に質問します」と切り出しました。

 これに先立つ今週日曜日、維新創設者の橋下徹さんが、大阪地域政党として分離独立する考えを示しましたが、おととい月曜日に、松野頼久代表が民主党の岡田克也代表と党首会談をひらき、今月末に「協議機関」をつくることになりました。このため、同党の国会議員は分裂することになりました。

 佐藤さんは「私は政党間での修正協議にも参加しています」とも付け加えました。そのうえで、佐藤さんは「NSC法の改正案は維新対案に入っておらず、別に定めるとある。しかし、法律は公布から6か月以内に施行するのに、それまでに成立する保証がない」「極めて不明確だ」などと厳しく批判しました。答弁者の維新議員とは事前の打ち合わせがなかったようで、答弁がたびたび立ち往生しました。

 民主党は中谷防衛相、岸田外相らに対して政府2案を質疑しました。

 公明党の理事で元外務副大臣の荒木清寛さんは、維新に質問しましたが、法案の問題点を指摘しました。「政党間協議を実りあるものにしたい」という表現で締めくくりました。

 これにより、自民党は維新に対して、修正協議の打ち切りを宣言したものと考えられます。やはり、もっとも緊迫する通常国会の最終盤に分裂するような政党は、与党であれ、野党であれ、求心力を失います。このため、政府原案のまま採決されてしまうという危機的な局面を迎えつつあります。私も参加した「8・30国会10万人全国100万人大行動、包囲デモ」では、中央ステージで、坂本龍一さんから「法案成立後も行動すべきだ」という趣旨のスピーチがあったと、後でテレビでみました。その言葉の重みを感じます。

 参考人質疑を来週8日(火)の午後1時から行うことを全会一致で議決して散会しました。

【同日 衆議院内閣委員会】

 「PFI法改正案」(189閣法55号)が共反対、自公民維賛成で可決しました。

 この法案は、国営仙台空港を「コンセッション方式」で運営するにあたり退職公務員を派遣するなどの内容です。質疑に先立ち、仙台空港への委員派遣視察もありました。

 共は反対討論で「公務員は全体の奉仕者とする憲法15条をゆがめる」としました。

 1970年代くらいから、日経新聞では1面トップで「民活」「PFI」「PPP」といった文字が踊り続けてきました。アベノミクス第3の矢成長戦略ですが、既得権益者に報いるには、規制を変えないのではなく、規制を小刻みに変えて、仮に抗議があれば「公布された法律に書き込まれていた」とはねのければいいのであって、情報の囲い込みが既得権益者の利益になると感じることが多いです。「コンセッション方式」とはいったいぜんたい何なのでしょうか。

【同日 衆議院農林水産委員会】

 「独立行政法人改革の農林水産省設置法改正案」(189閣法32号)が共反対、自公民維賛成で可決しました。

 6法人を2法人に統合する内容です。施行日は来月1日(木)に迫っています。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 一般質疑のあと、「勤労青少年福祉法あらため青少年の雇用の促進などに関する法律案」(189閣法50号=参先議)が審議入りしました。来月1日(木)に施行日が迫っています。質疑はあさって4日(金)の午前9時から。

【同日 衆議院財務金融委員会】

 「国際開発金融機関」に関する参考人質疑がありました。何かと思ったら、AIIBといって、「アジアインフラ投資銀行」についてでした。今世紀になってから証券会社が「Invest Bank」を自称することが増えていますが、アジア・インフラ・インベスト・バンクを中国共産党が呼びかけ、イギリス、ドイツなどが出資して設立する計画があります。これについて、専門家から話を聞いて、質疑しました。

【同日 公布】

 おととし、平成25年2013年11月22日(金)に両院承認されていた「日本コロンビア投資協定条約」が、平成27年9月2日条約5号として公布されました。同日付官報が報じました。なお、外務省の日本・コロンビア2か国間外交のサイトによると、コロンビアは8月12日(水)に国内手続きが完了したと日本外務省に伝えてきており、条約は9月11日(金)に発効するようです。条約では、内国待遇や最恵国待遇のあり方などが盛り込まれています。

 「矯正医官の兼業およびフレックスタイム特例法」が平成27年9月2日法律62号として公布。3か月以内に施行。 

 このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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民主党、「来年4月1日施行」への修正を逆提案 労働者派遣法改悪法案、傍聴者が詰めかける

2015年09月01日 17時52分16秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]参議院厚生労働委員会、2015年9月1日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成27年2015年9月1日(火)参議院厚生労働委員会】

 「労働者派遣法改革法案」(189閣法43号)について、共産党の小池晃さんの質疑からやり直しとなりました。このパターンは平安特でも最近ありました。

 午後からの新しい順の質疑で、民主党の津田弥太郎さんは「自民党の福岡高麿筆頭理事から9月30施行に修文したいという話があった。しかし国民への周知を考えると、来年4月1日とすべきだ」との提案がありました。

 これは現行の2012年改正法(民主党政権)の「10月1日プログラム」を発動させ、みなし労働契約(みなし雇用)を違反がある派遣先企業に強制化させるのを目的とした日程感です。これに対して、自民党は9月30日までの施行にこだわると思われ、最終盤攻防が激化しています。

 多くの傍聴者が詰めかけたようです。

 
[画像]上段に多くの傍聴者が詰めかけた、参議院厚生労働委員会、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 頼もしい限り。

 きょうは維新対案(自公修正)の「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)も議題となりました。

【同日 衆議院環境委員会】

 一般質疑の後、環境委員長が本会議に提出するスタイルの法律案が起草されました。

 「琵琶湖の保全および再生に関する法律案」(189衆法おそらく35号)で、自公民維生の5党に動議により起草されました。

 自民党の槙原秀樹さんが趣旨説明。民主党の田島一成さんが共産党の10分間の質疑に対して答弁しました。

 法律案は全会一致により、環境委員長が本会議に提出し、可決し、参議院に送られるはこびとなりました。

【同日 参議院内閣委員会】

 「内閣官房と内閣府のスリム化のための国家行政組織法改正案」(189閣法54号)が趣旨説明されました。7月7日(火)に衆議院で可決していましたが、「マイナンバー」「女性の活躍」があり、審議入りが遅れていました。

【同日 参議院国土交通委員会】

 延長国会になってから提出された「ドローン規制のための航空法改正案」(189閣法75号)が趣旨説明されました。

このエントリー記事の本文は以上です。
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9月1日施行阻止で、労働者派遣法改悪法案、参議院での成立は無くなる、10・1に向けて攻防続く

2015年09月01日 05時21分35秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 平成27年2015年9月1日(火)になりました。

 今国会に提出され、参議院で審議中の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部 を改正する法律案」(189閣法43号)の「附則第一条 この法律は、平成二十七年九月一日から施行する。」 の期間を越えました。

 現時点で未成立なので、法案上の「9月1日施行」を阻止することに成功しました。

 ただ、現行労働者派遣法(2012年民主党政権下で成立・施行)の「派遣先企業で、専門26業務の派遣労働者に他の仕事を頼むような違反があった場合は、正規雇用に転換する、みなし雇用規定」のプログラムが発動するのは来月10月1日(木)。よって、自民党政権は改正法案を9月30日までに施行すれば目的を達することができます。いずれにせよ、法案の修正が必要になり、仮に自民党が参議院で強行採決しても、衆議院に回付され、衆議院本会議での採決が必要なことは確実になりました。回付のプロセスは正直、1日程度で済んでしまうのですが、今月27日(日)に迫った会期末までギリギリの攻防が続くことになります。

 きょうの日経新聞の、実業界の個別企業の動向を報じる3ページの最後に「パソナが9月1日からAI(人工知能)を活用したIT業務効率化サービスを始める」という記事があり、ドキッとしましたが、これはどうやら個別企業のAIによるIT業務効率化を実現するための技術者を派遣する、という新事業のようでした。ただ、「9月1日」「10月1日」をみすえた動きが派遣業界にあるような気がします。

 同新聞のほかのページには、非正規雇用者1183人(そのうち、専門26業務の派遣社員146人を含む)へのアンケート調査が載っていました。これによると、法案に「反対」が20%、「どちらかといえば反対」が47%、「どちらかといえば賛成」が28%、賛成が4%となっています。反対の理由は「派遣社員の地位が下がる」「人が変われば会社は同じ業務を派遣社員に任せ続けることができるようになるから(常用代替)」、「26業務の人が契約更新されない可能性があるから(雇い止め)」となっています。賛成の理由は「派遣元会社に無期限で雇用される可能性が高まったから」「原則1年の派遣期間が3年に延びるから(一般派遣から特定派遣へ)「課が変われば3年以上同じ会社に勤めることができるから」となっています。

 これまで専門26業務の派遣社員で「10・1」を見すえて、企業に正社員雇用され、「給料が下がった」「転勤がある」という人もいるようです。世の中で数千人いるのか、数人いるのか分かりませんが、そういう人は必ずいます。

 今国会廃案は難しいと言わざるを得ませんが、「みなし雇用」か「雇い止め」の動きで軟着陸して、再改正は可能です。異論はありますが、私は均等待遇が実現すれば派遣労働の諸問題は根本的に解決するのではないか、と考えています。複雑さによって、労働者が分断され、民主政治の危機を迎えています。

 きょう午前10時からも参議院厚生労働委員会があります。シンプルであることが間接選挙制の眼目であるとの考えを、私としてもより強調していこうと考えています。最後まであきらめずに頑張りましょう

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