ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

岡田克也・民主党代表、労働者派遣法の再改正に言及 「将来的にもう一度改正したい」

2015年09月11日 18時58分41秒 | 岡田克也、旅の途中

 民主党代表の岡田克也さんは、平成27年2015年9月11日(金)の定例記者会見で、労働者派遣法を再改正する考えに言及しました。

 民主党政権時の2012年改正法は、(1)製造業日雇いスポット派遣の即時禁止と(2)違法派遣の正規雇用へのみなし労働契約の2015年10月1日の発動ーーが盛り込まれました。

 これが、2015年改正法で(1)みなし労働契約プログラムの削除(2)期間制限の撤廃ーーがされました。

 岡田さんは「派遣法を運用していく中で、国会の長い審議のなかで様々な答弁や附帯決議があり、それが反映されていくか、我が党として努力したい」として、国政調査をしていく考えを明示しました。

 そのうえで、「将来的にもう一回改正したい」 としました。

 具体的には、2015年改正法のうち、「正社員ゼロ法」と呼ばれる、社内で部署をかえれば、2年を超えて何年でも雇用し続ける、「常用代替」の部分を削除することになるとみられます。すでに違法派遣のみなし労働契約を危惧した雇い止めが発生しているとされています。今後は、正社員ゼロ部分、常用代替の調査を続け、次回の改正で削除していくように党内での検討を続けるものとみられます。

 その骨組みは、参議院厚生労働委員会が民主党のみならず、自民党と公明党も賛成して採択した附帯決議になるとみられます。

 以下、附帯決議を全文コピーアンドペーストします。

[参議院ウェブサイトから引用はじめ]

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する
法律案に対する附帯決議
平成二十七年九月八日
参議院厚生労働委員会
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、労働者派遣法の原則について
1派遣就業は臨時的・一時的なものであるべきとの基本原則については本法施行後も変わらないことに
十分留意し、かつ、派遣労働が企業にとって単純な労働コストの削減や雇用責任の回避のために利用さ
れてはならないことを再確認し、労働者派遣法の規定の運用に当たること。また、労働者派遣法の根本
原則である常用代替の防止は、派遣労働者が現に派遣先で就労している常用雇用労働者を代替すること
を防止するだけでなく、派遣先の常用雇用労働者の雇用の機会が不当に狭められることを防止すること
を含むものであり、このことに十分留意し、労働者派遣法の規定の運用に当たること。特に、派遣先が
派遣労働者を受け入れたことによりその雇用する労働者を解雇することは常用代替そのものであり、派
遣労働の利用の在り方として適当でない旨を周知すること。
2直接雇用が労働政策上の原則であることに鑑み、正社員として働くことを希望している派遣労働者に
正社員化の機会が与えられるよう、派遣元事業主と派遣先のそれぞれに派遣労働者の正社員化に向けた
取組を講じさせることや、国として派遣労働者の正社員化を促進する取組を支援する具体的措置を実施
することなどを含め最大限努力すること。その際、派遣労働者からの転換を目指すべき正社員とは、労
働契約の期間の定めがなく、所定労働時間がフルタイムであり、直接雇用の労働者であることが原則で
あること、加えて、長期的な雇用に基づく処遇体系の下にある労働者であることが求められることに留
意すること。また、短時間労働者、有期雇用労働者等の非正規雇用労働者についても、労働者の意向に
沿って、正社員化の機会が与えられるよう最大限努力すること。
二、労働者派遣事業について
1特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業との区分を撤廃し、全ての労働者派遣事業を許可制とする
に当たっては、派遣業界全体の健全化、派遣労働者の実効性ある保護につながるような許可基準に見直
すこと。派遣労働者の基本的権利や労働者としての尊厳、更には正当な労働の対価の支払や雇用の安定
を無視して利益確保に走るような派遣元事業主が業界から排除されるよう許可制を適切かつ確実に運用
すること。また、全面許可制への移行に伴い増大する許可・更新手続、相談・申告対応、指導監督等を
適切に実施する体制の確保が必要であることから、都道府県労働局の需給調整業務に係る組織体制の拡
充、需給調整指導官の必要な人員増及びその専門スキルの向上を図るための研修の実施等に努めるこ
と。
2労働者派遣事業の許可に当たっては、事業運営の実績等がない中で書面による審査にならざるを得な
いこと等に鑑み、最初の許可更新の際に、当該更新を受けようとする派遣元事業主が許可基準を満たし
ていることを労働政策審議会に報告することとし、その効果を検証した上で、初回の許可の有効期間で
ある三年を短縮することについても検討すること。
3現在、届出のみで特定労働者派遣事業を営んでいる小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置を検討
するに当たっては、労働政策審議会における議論を踏まえ、優良な小規模派遣元事業主が不当に排除さ
れることがないよう配慮しつつも、許可基準が派遣元事業主の雇用責任を担保するために果たしている
役割に十分留意するとともに、当該配慮措置の期間が必要以上とならないよう留意すること。また、派
遣元事業主として派遣労働者保護の責任等を適正に履行することができる優良な小規模派遣元事業主が
新制度に移行できるよう、事業主からの技術的かつ財政的な面での相談に応じるなどの必要な支援を行
うこと。その上で、本法施行後に事業の許可を受けずに廃業する派遣元事業主に雇用されている派遣労
働者については、その生活及び雇用の安定を図るための方策を講ずるよう努めること。
4派遣労働者の保護等を適正に実施する派遣元事業主を優遇し、優良な派遣元事業主を育成するため、
認定制度の活用促進策について具体的な検討を行い、早急に実施すること。あわせて、法令違反を繰り
返す派遣元事業主に対しては、厳正なる指導監督の強化、許可の取消しを含めた処分の徹底を行うとと
もに、企業名の公表についても検討すること。
5マージン率については、派遣労働者保護の観点から社会通念上適切な範囲があると考えられることに
鑑み、その規制の在り方について検討すること。また、マージン率の関係者への情報提供に当たって
は、平成二十四年改正法の立法趣旨を踏まえ、常時インターネットにより広く関係者とりわけ派遣労働
者に必要な情報が提供される方法で情報提供を行うことを原則とする旨を派遣元指針に規定すること。
6無許可で労働者派遣事業を行う事業主に対しては、許可の取消し等の措置を採ることができないこと
に鑑み、行政による刑事告発を行うことも視野に、指導監督に万全を期すこと。また、企業名の公表等
について検討すること。
三、期間制限について
1新たに期間制限が掛かることとなる二十六業務に現に従事する派遣労働者について、本法の施行を理
由とした労働契約の更新拒絶の動きがあることに鑑み、労働契約法第十八条及び第十九条の趣旨の派遣
元事業主への周知、不当な更新拒絶を行わないための関係団体への要請、無期雇用派遣労働者への転換
支援、当該派遣労働者への相談支援及び就業継続支援体制の整備等、当該派遣労働者の雇用の安定化の
ための措置を早急に講ずること。さらに、施行日前に締結された労働者派遣契約に基づき行われる労働
者派遣については、派遣労働者の保護に欠けることのないよう、本法施行前の第四十条の四の規定等に
基づく指導・助言を徹底するとともに、それに従わない派遣先に対しては勧告や公表も含め、厳しく対
処すること。
2無期雇用派遣労働者を派遣契約の終了のみを理由として解雇してはならない旨を派遣元指針及び許可
基準に規定し、事業の許可及びその更新の審査段階等において必要な指導等を行うことができるように
すること。さらに、その旨を許可の条件とし、これに違反した派遣元事業主の許可の取消しを行うこと
ができるようにすること。また、有期雇用派遣労働者についても、派遣契約終了時に労働契約が存続し
ている派遣労働者については、派遣契約の終了のみを理由として解雇してはならない旨を派遣元指針に
明記すること。
3クーリング期間経過後、派遣労働者の意向に反し、再び同一の組織単位の業務に派遣することは派遣
労働者のキャリアアップの観点から望ましくない旨を派遣元指針に規定すること。また、派遣労働の利
用は臨時的・一時的なものが原則であることから、その利用は三年以内が原則であることを明らかにす
ること。特に、派遣先が派遣可能期間の延長の是非を判断するに当たっては、必ず過半数労働組合等か
らの意見聴取を実施し、この原則を尊重すべきであることを周知徹底すること。また、派遣先による対
応方針の説明等は労使自治の考え方に基づく実質的な話合いができる仕組みの構築が目的であることを
併せて周知すること。なお、過半数労働組合等からの意見聴取手続の適正かつ効果的な運用が常用代替
防止のために重要な役割を果たすことに鑑み、過半数労働組合等が的確な意見を述べられるよう、事業
所全体で受け入れた派遣労働者数の推移のほか、過半数労働組合等からの求めに応じ、部署ごとの派遣
労働者数及び派遣受入れ期間等の情報が派遣先から提供されることが望ましい旨を派遣先指針に規定
し、周知徹底を図ること。さらに、国として過半数労働組合のある事業所の割合、意見聴取において過
半数労働組合等から反対意見が出された割合及びその内容等の実態を把握するための調査及び分析を行
うこと。なお、最初の派遣労働者の受入れに当たっては、過半数労働組合等にその受入れの考え方につ
いて説明することが望ましいことを周知すること。
4改正後の第四十条の二第四項の規定に基づき、過半数代表者から意見聴取を行うときには、過半数代
表者が管理監督者である場合、投票、挙手等の民主的な方法によらず使用者の指名等の非民主的・恣意
的方法により選出されたものである場合等については、意見聴取手続が適正でないと判断されることに
鑑み、過半数代表者の適正かつ民主的な選出について、厳正な確認、必要な指導等を行うこと。また、
労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正
当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないことを省令で定め、その違反に対し
ては厳正に対処すること。その状況によっては、不利益取扱いに関する規制の在り方について検討する
こと。さらに、意見を聴取した過半数代表者が民主的な方法により選出されたものではない場合につい
ては、事実上意見聴取が行われていないものと同視して、労働契約申込みみなし制度の対象とするこ
と。なお、派遣先が意見聴取の過程及び結果並びに対応方針等の説明の内容について故意に記録せず又
は記録を破棄した場合、意見聴取に当たり合理的な意見表明が可能となるような資料が派遣先から提供
されない場合等については、法の趣旨に照らして不適当であることから、厳正に対処すること。
5意見聴取手続において過半数労働組合等から反対意見が述べられた場合、派遣先は十分その意見を尊
重するよう努めるべきであり、当該意見への対応方針を説明するに際しては、当該意見を勘案して労働
者派遣の役務の提供の受入れについて再検討を加えること等により、過半数労働組合等の意見を十分に
尊重するよう努めるべき旨を派遣先指針に規定すること。さらに、二回目以降の延長に係る意見聴取に
おいて、再度反対意見が述べられた場合については、当該意見を十分に尊重し、受入れ人数の削減等の
対応方針を採ることを検討し、その結論をより一層丁寧に説明しなければならない旨を派遣先指針に明
記すること。
6派遣可能期間の延長手続を回避することを目的として、クーリング期間を置いて再度派遣労働の受入
れを再開するような、実質的に派遣労働の受入れを継続する行為は、過半数労働組合等からの意見を聴
取しなければ三年を超えて派遣労働を受け入れてはならないとした立法趣旨に反する旨を派遣先指針に
規定すること。
四、雇用安定措置について
1雇用安定措置として講ずる内容について記載した労働契約のひな形を作成し周知すること。また、雇
用安定措置のうちいずれの措置を講ずるかについては派遣労働者の意向を尊重することが重要である
旨、特に派遣労働者が派遣先への直接雇用を望んでいる場合には直接雇用につながる措置を採ることが
望ましい旨、及びキャリア・コンサルティングや労働契約の更新の際の面談等の機会を通じてあらかじ
め派遣労働者の意向を確認し、早期に雇用安定措置の履行に着手すべきである旨を派遣元指針に規定す
ること。また、派遣元事業主が行う派遣先に対する直接雇用の申込みの依頼は書面の交付等により行う
ことが望ましいことを周知すること。さらに、改正後の第三十条第二項の雇用安定措置の対象となる派
遣労働者については、派遣元事業主によって当該義務が適切に履行されるか、当該派遣労働者が希望し
なくなるまでその効力が失われないことを周知徹底するとともに、義務を履行せずに労働契約が終了し
た場合であっても、同条第一項第四号の規定により、労働契約を継続して有給で雇用の安定を図るため
に必要な措置を講ずること等を通じて、その義務を履行しなければならないことについて、確実に周知
徹底すること。
2派遣元事業主と通算して一年以上の労働契約を結んでいた派遣労働者については、派遣契約の期間に
かかわらず、雇用安定措置の対象となることを派遣元事業主及び派遣労働者に周知徹底し、雇用安定措
置の適正かつ効果的な運用を担保すること。さらに、雇用安定措置については、派遣労働者の年齢や業
務等によってその雇用の継続が困難な場合も含め、派遣元事業主の履行を確保するよう厳正な指導等を
行うこと。
3雇用安定措置の実効性ある実施が派遣労働者の保護の観点から最も重要であることに鑑み、派遣元事
業主が個々の派遣労働者に対して実施した雇用安定措置については、その内容を派遣元管理台帳に記載
することで、派遣労働者に対するキャリア・コンサルティングや雇用安定措置に係る派遣労働者の意向
の確認等にも積極的に活用するよう、派遣元事業主に対して指導すること。なお、派遣先に対して行っ
た直接雇用の依頼については、派遣先からの受入れの可否についても併せて派遣元管理台帳に記載させ
ること。
4雇用安定措置の真に実効性ある実施により労働契約法第十八条の無期転換申込権を得ることのできる
派遣労働者を拡大することが、派遣労働の中では比較的安定的な無期雇用派遣労働者への転換を望む派
遣労働者の希望をかなえることにつながることから、改めて同法第十八条の立法趣旨を派遣元事業主に
周知徹底するとともに、その適用を意図的・恣意的に逃れる行為は同法第十八条の観点から脱法行為で
ある旨を派遣元指針に規定すること。また、派遣元事業主が繰り返し派遣期間三年直前で派遣就業を終
了させ、又は意図的に三年見込みに達しないように派遣契約を調整することにより雇用安定措置の義務
逃れをすることは、雇用安定措置の立法趣旨に反する旨を派遣元指針に規定すること。さらに、そのよ
うな雇用安定措置の義務逃れをする派遣元事業主について繰り返し指導を行っても改善しない場合、事
業許可の更新を認めない旨を許可基準に盛り込み、派遣元事業主の事業許可の更新を認めないこと。
5雇用安定措置のうち、派遣先への直接雇用の依頼については、直接雇用の依頼を受けた件数に対して
派遣先が直接雇用した人数が著しく少ない場合については、派遣先に対してその理由を聴取し直接雇用
化の推進に向けた助言・指導を行うものとすること。また、新たな派遣先の提供については、業務の内
容や福利厚生等に係る就業の条件について、特に賃金、就業場所、通勤時間等に関して合理的と認めら
れる目安を定め周知すること。
五、派遣労働者の待遇について
1均衡を考慮した待遇を確保するため、派遣元事業主が派遣労働者の賞与や退職金等を含む賃金を決定
するに当たって考慮し、勘案すべき内容について明確化するとともに、その周知を図ること。また、派
遣元事業主は、派遣先との派遣料金の交渉が派遣労働者の待遇改善にとって極めて重要であることを踏
まえ、交渉に当たるべきである旨を派遣元指針に規定し、その周知徹底を図ること。さらに、派遣先
も、派遣料金を設定する際に就業の実態や労働市場の状況等を勘案し、派遣される労働者の賃金水準が
派遣先の同種の業務に従事する労働者の賃金水準と均衡が図られたものになるよう努める旨を派遣先指
針に規定すること。派遣労働者が待遇に関する事項等の説明を求めたことを理由として不利益な取扱い
をしないようにしなければならない旨を派遣元指針に規定し、派遣元事業主に対し厳正な指導監督等を
行うこと。また、不利益な取扱いを受けた派遣労働者への救済措置の在り方について検討を行うこと。
2均等・均衡待遇の在り方について検討するための調査研究その他の措置の結果を踏まえ、速やかに労
働政策審議会において、派遣労働者と派遣先に雇用される労働者との均等・均衡待遇の実現のため、法
改正を含めた必要な措置の在り方について議論を開始すること。その際、パートタイム労働法や労働契
約法の関係規定も参酌して行うこと。
3派遣元事業主に雇用される通常の労働者と有期雇用派遣労働者との間における、通勤手当の支給に関
する労働条件の相違は労働契約法第二十条に基づき、働き方の実態その他の事情を考慮して不合理と認
められるものであってはならない旨を派遣元指針に規定すること。
4派遣労働者が安心して働くことができる環境を整備するため、派遣先が派遣労働者の労働・社会保険
への加入状況を確認できる仕組みを強化するほか、派遣労働者を労働・社会保険に加入させることなく
事業を行う派遣元事業主に対して指導監督等を強化するなど、派遣労働者に対する労働・社会保険適用
の促進を図ること。また、派遣労働者を労働・社会保険に加入させることを許可基準に加えることにつ
いて検討すること。
5派遣労働者の育児休業の取得については、恣意的な判断や、誤解に基づく運用により派遣労働者の権
利が不当に制限されることがないよう、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に
関する法律の内容を周知し、適切な指導等を行うこと。また、派遣労働者の育児休業の取得に向けた取
組等が優良な派遣元事業主等に対する優良認定の仕組みを推進し、派遣労働者の育児休業の取得率が著
しく低い派遣元事業主についての対策を検討すること。さらに、派遣労働者を始め非正規雇用労働者の
育児休業の取得を促進するため、その取得状況や不利益取扱い等に係る実態を早急に把握するととも
に、法制上の措置を含む取得促進のための実効性ある措置を講ずることを検討すること。その際、派遣
労働者の育児休業については、育児休業からの復帰時の派遣先の確保など派遣労働者固有の課題がある
ことを踏まえ、検討を行うこと。
六、キャリアアップ措置について
1段階的かつ体系的な教育訓練等のキャリアアップ支援については、派遣労働者の正社員化や賃金等の
待遇改善という成果につながるものとなるよう、派遣元事業主に対して助言等を行うこと。また、派遣
元事業主が、個々の派遣労働者について適切なキャリアアップ計画を当該派遣労働者との相談に基づい
て策定し、派遣労働者の意向に沿った実効性ある教育訓練等が実施されること、また、キャリアアップ
の成果は賃金表に反映することが望ましいことを周知すること。派遣元事業主に義務付けられる教育訓
練については、その義務の具体的な内容を明確化するなどして周知するとともに、その履行が徹底され
るよう適切な指導等を行うこと。さらに、派遣元事業主に義務付けられる教育訓練の内容について、派
遣元事業主は、派遣労働者に周知するよう努めるべきである旨を周知し、インターネット等により関係
者に対して情報提供することが望ましい旨を派遣元指針に規定すること。
2派遣元事業主に義務付けられる教育訓練の実施状況については、事業報告、派遣元管理台帳等によっ
て確認し、その実施について適切な指導監督等を行うとともに、事業許可の更新の際には重要なチェッ
ク項目としてその適正かつ誠実な実施を確認し、基準を満たさない場合には更新をしないことも含め厳
正に対処すること。
3派遣元事業主に義務付けられる教育訓練の実施に当たっては、必ず有給かつ無償で行わなければなら
ない旨を許可基準に盛り込むこと。また、その費用をマージン率の引上げによる派遣労働者の賃金の削
減で補うことは望ましくないことを周知徹底すること。その義務違反に対しては、許可の取消しや更新
をしないことを含め厳正に対処すること。また、派遣元事業主に義務付けられる教育訓練を受けるため
に掛かる交通費については、派遣先との間の交通費よりも高くなる場合は派遣元事業主において負担す
べきである旨を周知すること。さらに、派遣元事業主に義務付けられる教育訓練以外の教育訓練につい
ては、派遣労働者のキャリアアップのために自主的に実施すること、また、派遣労働者の負担は実費程
度とし受講しやすくすることが望ましい旨を派遣元指針に規定すること。派遣労働者の参加が強制され
る場合、派遣労働者が当該教育訓練に参加した時間は労働時間であり有給とする必要があることを周知
すること。
4派遣労働者のキャリアアップのためには、キャリア・コンサルティングが効果的であることに鑑み、
派遣労働者の意向に沿ったキャリア・コンサルティングが実施されるよう、派遣元事業主に対し指導等
を行うこと。また、短期細切れ派遣が繰り返されるような登録型派遣や日雇派遣等の派遣労働者につい
ても、派遣元事業主に義務付けられる教育訓練の実施及びキャリア・コンサルティングの提供は必須で
あること、その実施は労働契約が締結された状況で行われなければならないこと、そのため必要に応じ
て労働契約の締結・延長等の措置を講ずる必要があることを周知徹底すること。
5派遣先に雇用される労働者の募集に係る事項の周知については、周知した事項の内容を記録し保存す
ることが望ましい旨を周知すること。また、派遣労働者の直接雇用化を推進するため、派遣先が派遣契
約の終了後に派遣労働者を直接雇用する場合の紛争が起こらないよう派遣元事業主に支払う紹介手数料
の取扱い等については、派遣契約の記載事項として省令で定めること。さらに、派遣先が派遣労働者を
正社員として採用するなど直接雇用しようとする際、それを派遣元事業主が禁止したり妨害したりする
ことは労働者派遣法の趣旨に反するものであることを明確化し、そのような派遣元事業主に対しては、
厳正な指導を行うこと。
七、派遣先の責任について
1派遣先の使用者性を認めた中労委命令及び裁判例について周知を図り、派遣先が苦情処理を行うに際
しては、それらに留意する旨を派遣先指針に規定すること。また、派遣先において適切かつ迅速な処理
を図らなければならない苦情の内容として、派遣先におけるセクハラ・パワハラ等について派遣先指針
に例示すること。さらに、派遣先の団体交渉応諾義務の在り方について、法制化も含めた検討を行うこ
ととし、その際、労働時間管理、安全衛生、福利厚生、職場におけるハラスメント、労働契約申込みみ
なし制度の適用等に関する事項に係る団体交渉における派遣先の応諾義務についても検討すること。
2派遣元事業主の責めに帰すべき事由によって派遣労働者の労働義務が履行不能になった場合において
は、民法第五百三十六条第二項の規定による反対給付や労働基準法第二十六条の規定による休業手当が
確実に支払われるべきであることを、当事者を含む関係者に周知徹底すること。また、これらの場合に
おける派遣労働者への賃金等の支払に関する実態の調査を行うこと。
3派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為は、労働者派遣法の趣旨に照らし不適当な
行為であることに鑑み、その禁止の義務化について検討すること。
4労働契約申込みみなし制度の実効性を担保するため、派遣労働者に対してみなし制度の内容の周知を
図るとともに、派遣労働者がみなし制度を利用できる状態にあることを認識できる仕組みを設けるこ
と。また、みなし制度の趣旨が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている派遣先への制裁及び
派遣労働者の保護にあることに鑑み、派遣先は、労働者の意向を踏まえつつ、みなし制度の下で有期の
労働契約が成立した後に当該契約を更新することについては、派遣元事業主と締結されていた労働契約
の状況等を考慮し真摯に検討すべきである旨を周知すること。さらに、離職した労働者を離職後一年以
内に派遣労働者として受け入れてはならないとの禁止規定に違反した場合、事前面接を始めとする派遣
労働者を特定することを目的とする行為を行った場合、グループ企業内派遣の八割規制に違反した場合
等の派遣先の責任を強化するため、みなし制度の対象を拡大することについて検討すること。
八、その他
1今後、労働者派遣法改正について、施行後の状況を踏まえ、その見直しについての検討を行う際に
は、今回の改正により新設された個人単位及び事業所単位の期間制限、雇用安定措置等の改正規定につ
いて、常用代替防止、派遣労働者の保護、雇用の安定等の観点から検討を行うものとすること。
2派遣労働者の安全衛生については、雇用関係のある派遣元事業主と、就業上の指揮命令や労働時間の
管理を行っている派遣先の連携が不十分であることから、派遣労働者の安全衛生上のリスクに対して就
業上の配慮が十分になされていない可能性があるため、派遣労働者の安全衛生について派遣元事業主と
派遣先が密接に連携する旨を派遣元指針及び派遣先指針双方に規定すること。また、安全衛生教育の実
施は事業者の法的義務であるが、その実施率は低く、特に派遣労働者に対する実施率は全労働者より低
くなっていること、及び労働災害発生率の高い派遣労働者にこそ十分な安全衛生教育が実施される必要
があることに鑑み、派遣元事業主及び派遣先による安全衛生教育の実施の徹底を図ること。
3派遣労働者の労働関係法令に関する知識の修得の必要性を踏まえ、派遣元事業主から派遣労働者にそ
の機会が与えられるよう指導等を行うこと。また、派遣先に対して、派遣先責任者講習等の機会を活用
し、労働関係法令の遵守に必要な知識の付与を図ること。
4個々の派遣労働者についての派遣元管理台帳の保管については、派遣労働者のための雇用安定措置、
キャリアアップ措置等の着実かつ適正な実施を確保する観点から適切に行わせること。なお、キャリア
アップ措置については、長期的・継続的に行う必要があるため、派遣元事業主が派遣労働者に関する情
報を中長期的に管理する体制を整備することを求めること。
5無期雇用派遣労働者の募集に当たっては、正社員の募集と誤認させることがないよう指導等を徹底す
ること。
6平成二十四年改正法の見直しの検討に当たっては、派遣労働者の保護や待遇が後退することとならな
いようにすること。また、雇用仲介事業の在り方の検討は、求職者及び労働者の保護や待遇が後退する
こととならないようにすること。また、職業安定法第四十四条に定める労働者供給事業の禁止について
は、行政による刑事告発を行うなど、指導監督に万全を期すこと。
右決議する。


[引用おわり]

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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改正PFI法や青少年雇用促進法など成立 大詰めのきょうの国会

2015年09月11日 18時49分40秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年9月11日(金)法律公布】

 天皇陛下は、内閣官房・内閣府スリム化のための改正国家行政組織法を、平成27年9月11日法律66号として公布なさいました。

 平成24年2012年の藤村修内閣官房長官と岡田克也行政改革担当大臣の旗振りによる閣議決定にもとづく精査を法律化しました。「廃止」はありませんでしたが、内閣府の自殺対策事業を厚労省に、食品安全を消費者庁に、食育を農林水産省に、情報公開および個人情報保護の不服審査の第三者会議の事務を総務省に移すなどの内容。平成28年4月1日(金)施行。189閣法54号として審査され、共反対、自公民維賛成で成立しました。

 ドローン規制のための改正航空法が平成27年9月11日法律67号として公布されました。

 日没後や住宅密集地のドローン(小型飛行機)の飛行を禁止し、許可制にする法律。監督官庁は国土交通省航空局。189閣法75号として、延長国会になってから提出されました。全会一致。このほか、議員立法の「皇居、国会、官邸、原発上空の禁止法案」は参議院での審議が停滞していますが、会期内に成立する可能性もあります。3か月以内に施行。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 別エントリーにも書きましたが、「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案」(189衆法おそらく40号)が渡辺博道委員長から起草され、全会一致で可決しました。

【同日 衆議院環境委員会】

 「瀬戸内海の環境保全に関する特別措置法改正案」(189参法22号)が、提出者で元岡山県知事の石井正弘・自民党参議院議員から趣旨説明しました。内容は「富栄養化や漂流ごみへの対応を高める」とし、公布日から施行し、5年以内の見直し規定をプログラムしました。

 質疑は共産党が行い、民主党の水岡俊一参議院議員(兵庫県選出)も答弁しました。採決は共も含めた全会一致で可決しました。本会議上程は来週以降。

【同日 参議院本会議】

 5つの条約が両院承認されました。

  採決は3件に分けて行われました。

 「日本カザフスタン投資協定」(189条約8号)、「日本ウクライナ投資協定」(189条約9号)、「日本カタール租税協定」(189条約11号)は、投票総数231、賛成220、反対11で両院承認されました。

 「日本ウルグアイ投資協定」(189条約10号)は、投票総数232、賛成222、反対10で両院承認されました。

 「日本ルクセンブルク社会保障協定」(189条約12号)は、投票総数232、賛成232、反対0の全会一致で両院承認されました。

【同日 参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 「自衛隊法改正など安全保障2法案」(189閣法72号、73号)と維新の党7法案(189参法16~20号、23・24号)が議題に。

 これに先立つ、野党党首会談が求めていた、地方公聴会を、来週16日(水)に神奈川県で開くことを全会一致で議決しました。

 安倍首相入り集中審議が午後からあり、民主党の福山哲郎さんに対して、自衛官の安全確保に関して首相が8月の答弁について、長時間にわたり補足の説明をしました。これに対して、福山さんは、米軍の物品役務の後方支援において、自衛官の安全確保が法案上担保されていないと指摘しました。

【同日 参議院議院運営委員会】

 午前9時40分からの第1ラウンドで、本会議の手はずなどを審議したと思われます。午後1時15分から再開し、第2ラウンドとして、安保2法案の地方公聴会の16日(水)開催を院として正式決定しました。

【同日 衆議院議院運営委員会】

 本会議の手順などを審議したと思われます。

【同日 衆議院議院運営委員会図書館小委員会】

 国立国会図書館に関して決定をしたと思われます。

【同日 衆議院本会議】

 既に別エントリーに仕立てた通り、「労働者派遣法改悪法」(189閣法43号)が成立してしまいました。

 参からの回付案が議題になったところ、討論になりました。私は回付案が採決前に討論になったのは初めて見ました。

 民主党の山井和則さんは「施行日以外の参での修正はまったく不十分だ」とし、「この法律は若者の敵であり、女性の敵である」としました。維新の党の升田世喜男さんは「同一労働同一賃金が実現しても期間制限の問題が残る」と語り、「党を代表しての反対討論を終わります」と締めくくりました。日本共産党の高橋千鶴子さんも反対しました。

 この後、採決で賛成多数で参回付案に同意し、成立しました。

 「勤労青少年福祉法を改正した青少年の雇用を促進する法律」(189閣法50号=参先議)は、全会一致で可決し、成立しました。

 緊急上程された「戦没者の遺骨収集の推進法案」(189衆法おそらく40号)も全会一致で可決し、参議院に送られました。

このエントリー記事の本文は以上です。
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労働者派遣法改悪法が成立

2015年09月11日 12時25分33秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 労働者派遣法改悪法(189閣法43号)は衆議院に回付され、平成27年2015年9月11日(金)の本会議で了承され、成立しました。今月30日(水)施行。

 回付案には珍しく討論となり、民主党、維新の党、共産党がおのおの登壇し、反対討論しました。

 1985年、男女雇用機会均等法に続いて成立した労働者派遣法の中核をなす、通訳、タイピストなど専門26業務が撤廃されます。どのような仕事も派遣社員にすることができます。

 2012年改正では労働災害死亡者が多かった「製造業日雇いスポット派遣」を禁止しました。そして、「違法派遣があった場合の見なし労働契約(見なし雇用とも言う)」のプログラム(手順)が2015年10月1日に発動されることになっていましたが、自民党政権での再改正により阻止されてしまいました。

 さらに問題なのは、一つの会社で、例えば経理部と総務部を行き来することで、大企業に20歳で就職した人が正社員と同じ仕事をしながら57歳まで派遣社員で働き雇い止めされる、という「生涯派遣で一生搾取、雇用の調整弁」になる可能性もあります。現代の奴隷です。

 有料職業紹介業、一般派遣業に続き、これまで「届け出制」だった特定派遣業も「許可制」になります。1年以上の派遣は「特定派遣」という大づかみな認識になります。ピンハネ率が高いと揶揄される派遣業ですが、実際には利益率は低い業種で、輸出メーカーに比べれば、10分の1程度の利益率しか見込めない業界です。

 これまで、駅前に「家政婦紹介所」「マネキン紹介所」との看板を出していた、地方の個人営業の派遣会社が、特定派遣の許可をとれず、身売りする可能性が高まっています。あくまでも法理上はパソナ一社だけが許可されることもありえるとはいえ、もちろん、そのような運用はないですが、今後、地方の家族経営の派遣会社が身売りし、派遣会社の集約が高まり、派遣先への発言力が高まるとともに、派遣登録者が今のように何社も登録することは現実的にできないことになるかもしれません。

 筆者・宮崎信行は、2年以上前の、平成25年2013年8月6日からその危険性を訴えてきました。

 [当ブログ内から抜粋引用はじめ]
自民党政府、労働者派遣法改正法案を第186通常国会に提出へ 「40条の2」再改正

2013年08月06日 14時11分05秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

 自民党政府が、2014年1月召集の第186回(?)通常国会に、労働者派遣法(改正法案を提出する考えであることがわかりました。


 [当ブログ内から抜粋引用おわり]

 そして、労働政策審議会(労政審)の中間とりまとめを受けて、2013年8月21日付で、

キャリア女性1985年夏の敗戦 タイピスト、翻訳、通訳など労働者派遣法「専門26業種」廃止へ

を書きました。

 第186回通常国会では、一般質疑の段階から、派遣法について書きました。

内閣法制局部長が異例の暴露、「派遣は一時的な働き方だ」との答申「厚労省が法案から省く」 参・厚労委

 さらに、法案提出時の2014年3月23日付で、

◎自民党政府、労働者派遣法改正案を提出、生涯派遣で一生搾取の「リンカーン前米国」化の奴隷法案を許すな


 とし、「奴隷法案」とのレッテルを張りました。 

 ところが、罰則の経過措置を念のため書き込んだ附則で「懲役1年以下」が「懲役1年以上」と誤記された謎のミスが見つかり、廃案になりました。

「労働者派遣法改正案」が第186通常国会で廃案 民主党、「生涯ハケンで一生搾取」の奴隷化阻止

 自民党は、施行日を半年ずらした同じ条文を、秋の臨時国会にも出しました。

政府、労働者派遣法改正法案を再提出 今国会での成立不可避か 1文字直して施行日「来年4月」はそのまま


 秋の臨時国会では、審議入りしました。

リンカーン民主党だ 労働者派遣法改悪法案実質審議入りに民主党4人衆が猛攻、派遣会社「淘汰」も議題に



 ところが衆議院が解散され、廃案になりました。

 衆院選では、民主党がTVCMで「夢は正社員になること」。これに対して当初はサプライズがあったようですが、その通りだとの反応があり、労働市場をめぐる世代間の認識の違いなどが明らかになりました。



[画像]週刊金曜日2014年12月12日号、5ページ。

 しかし、第46回衆院選の民主党56議席、自民党294議席から、第47回衆院選で民主党72議席、自民党290議席となり、自民党政権が続いたため、最初の通常国会である第189回国会の会期末まで2週前に成立してしまいました。それでも「2014年10月1日施行」を3回の修正で「2015年9月30日施行」まで追い込むことができたのは、民主党のみならず、日本共産党、参議院社民党による死闘の成果です。

 正直、私個人もこの2年1カ月間に、労働者派遣法改悪阻止に関する記事を何十本書いたのか、把握できません。無念です。しかし、解散総選挙をはさんだうえでの成立ですから、正直、どうしようもない。

 私自身、会社員生活8年半のうち、半数以上の期間、左隣のデスクは派遣社員の女性でした。たしかに中には「30代後半で本業は声優、副業が新聞社、夜はスーパーでバイト」という人や、「CMソングを連想する言葉を聞くと突然踊って歌いだす」という人もいました。しかし、高校生のころバレーボール部の活動に熱心だったために就職活動に恵まれなかった有能で人柄の良い方もいらっしゃいました。その方は、職場内の異動でブランクをあけながら5年つとめました。株式会社日本経済新聞社は「マスコミかつ丸の内(大手町)」なので、派遣登録者にとっては耳あたりの良い職場だったようです。

 今後の展開としては、派遣を使い続ける「常用代替(じょうようだいたい)」の禁止、職種による賃金差別を禁じる「同一価値労働同一報酬(同一労働同一賃金)の原則」「均等均衡待遇」をめざす法改正マニフェストを民主党が打ち出すことになりそうです。

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戦没者遺骨収集推進法案、初めて「国の責務」「10年間集中」衆・厚労委【再追記有】

2015年09月11日 11時26分17秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【再追記 2016年3月24日午後9時】

 戦没者遺骨収集推進法は、平成28年2016年3月24日の衆議院本会議で全会一致で可決し、成立しました。4月1日に施行されます。【再追記終わり】

【追記 2015年9月26日午後9時】

 戦没者遺骨収集推進法案は、参議院厚生労働委員会で継続調査となりました。法案には「平成27年10月1日施行」とありましたが、第190回国会以降に持ち越しとなりました。遅くとも、平成28年2016年6月ごろまでには成立するのではないか、と願っています。

【追記おわり】

 硫黄島、沖縄、本邦以外の抑留地での戦没者の遺骨収集を国の責務とする、「戦没者遺骨収集推進法案」(189衆法おそらく40号)が、平成27年2015年9月11日(金)の衆議院厚生労働委員会で、起草され、全会一致で可決しました。

 27日までの会期内に、衆参両院で可決、成立。10月1日に施行されるはこび。

 法案では、昭和27年1952年から始めた政府により遺骨収集で、127万柱が収集されたとしながらも、まだ多くのご遺骨が収拾されていない、と指摘。そのうえで、硫黄島など小笠原、沖縄、そして本邦以外の抑留地でのご遺骨収集を、「国の責務であることを明らかにし」、「総合的かつ計画的に実施するための基本方針の策定を義務付け」、「向こう10年間を集中収集期間と定める」としました。

 ◇

 硫黄島(東京都小笠原村)が昭和43年1968年6月26日に日本に戻ってから、遺骨収集を義務化する法律の制定はこれが初めて。

 衆議院厚生労働委員は、合計45名中28名が今週7日(月)に直接硫黄島を訪れ現地視察をしていました。

 これまでの現地調査では、現在の空港滑走路の地下を調べるべきだ、との意見が多く、国家プロジェクトとしての取り組みが期待されます。

 硫黄島の戦死者は2万人を超えますが、現在までの収集は1万柱未満。しかし、平成22年2010年に菅直人首相(民主党 代表=衆議院東京17区選出、元厚生大臣)が特命チームをつくり、アメリカ公文書館に派遣したところ、「敵の墓地」と書かれた米軍の硫黄島地図を発見。これにより、遺骨収集のペースが速まっていました。

 菅さんは平成22年2010年12月14日(火)に硫黄島を訪れ、自ら遺骨収集にあたりました。

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[画像]硫黄島を訪れた菅直人首相(民主党代表)、平成22年2010年12月14日(火)、政府インターネットTVからスクリーンショット。

[画像]硫黄島を訪れた菅直人首相(民主党代表)、平成22年2010年12月14日(火)、政府インターネットTVからスクリーンショット。

 太平洋戦争中、軍は硫黄島を「絶対国防圏」の死守のための要衝と位置付けました。米軍に陥落すると、主力爆撃機が無給油で日本列島を空爆して帰還できるとしました。

 16歳の海軍少年兵は「思えば遠し 故郷の空 ああ わが父母 いかにおはす」という歌詞の『故郷の空』という歌を口ずさんでいたそうです。(引用元『散るぞ悲しき』梯久美子著、新潮社から、新藤たか子さんのインタビューより)。

 米軍に特攻する「万歳攻撃」を現地司令官は禁じていたとされますが、やがて全滅の時が近づき、「国のため重きつとめを果たし得て 矢弾(やだま)尽き果て散るぞ悲しき」と打電しました。絶対国防圏が陥落したからか、それとも設定に見込み違いがあったのか、「散るぞ悲しき」との打電は皮肉にも、10万人が死亡した東京大空襲よりも1週間後の1945年3月16日でした。

 きょうの審議のなかで、共産党の赤嶺政賢さん(衆沖縄1区選出)は、「遺骨収集をすると、戦争の実態が分かる」として、期待を込めました。

 もちろん、遅きに失したのは言うまでもありません。

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参議院で刑事訴訟法改正案が審議入りも継続審査の見通し 7常任委員会開かれる きょうの国会

2015年09月10日 15時33分14秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年9月10日(木) 参議院法務委員会】

 司法試験の出題委員の法科大学院教授の漏えい事件が発生。東京地検特捜部は「土地勘」があるようで、捜査しているようです。さっそく、これに関する一般質疑がありました。

 この後、今国会の重要案件である「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号=衆議院修正)の趣旨説明がされました。「通信傍受拡大」「可視化新設」「司法取引新設」の3本立て。ただ、会期末まで2週間しかありませんので、参で継続審査になることは確実。ちなみに「3年以内に施行」と条文には書いてあります。

【同日 参・内閣委員会】

 PFI法改正案(189閣法55号)が、共生反対、自公民維賛成で可決しました。「コンセッション方式への退職公務員派遣が、新しい天下りと思われないようにするべきだ」との附帯決議がつきました。 

【同日 参・外交防衛委員会】

 条約5件が承認されました。

 「日本とカザフスタン、ウクライナ、ウルグアイとの投資協定」(189条約8~10号)、「日本とカタールとの租税協定」(189条約11号)、「日本とルクセンブルクの社会保障協定」(189条約12号)。8号~11号は共反対・自公民維賛成、12号は全会一致で承認されました。

 これに先立つ質疑で、無所属で沖縄県選出の糸数慶子さんが「沖縄振興予算は沖縄県だけの仕組みで各省と調整して内閣府が財務省に概算要求している。しかし、マスコミが沖縄振興のための特別な予算だと勘違いしており、翁長知事も東京で、わざわざ資料を配って記者に説明しなければならなくなっている」と指摘しました。この、沖縄地域自主戦略交付金は、民主党マニフェストの「地方一括交付金の内閣府沖縄総合事務局の先行実施」です。当ブログ内エントリー(

【用語解説】「沖縄振興一括交付金」は“普天間”とまったく無関係

)参照。 

 そもそも、普天間移設のためなら、県庁に年3000億円ではなく、名護市役所と宜野湾市役所に、年1500億円ずつ投じるはずです。両市とも温水プールが10個出来るでしょう (この2文は冗談)。

【同日 参議院財政金融委員会】

 一般質疑がありました。

 次世代の党の中山恭子党首が景気対策の補正予算に言及。自民党議員からも賛同の野次が飛びました。麻生太郎財務相は「事前に打ち合わせしていたわけでないでしょうね」と自民党議員を牽制しながら、「概算要求が終わったばかりだ。デフレ不況からの脱却が問題であって、プライマリーバランスと経済成長の両立がイチバン難しいかじ取りであって今後も検討したい」と語り、補正予算を編成しない考えを明示しました。

【同日 参議院農林水産委員会】

 「6独法を2独法に統合する、農林水産省設置法改正案」(189閣法32号)が審議され、共反対、自公民維賛成多数で可決しました。来月1日(木)施行。

【同日 参議院環境委員会】

 議員立法の「琵琶湖の保全および再生に関する法律案」(189衆法35号)が趣旨説明されました。どういうわけか、これで散会しました。会期末の出口を踏まえた運営だろうと思われます。

【同日 参議院情報監視審査会】

 非公開で開催。

【同日 参・厚生労働委員会】

 現在、3つの閣法が衆から送付された状態になっています。

 まず一般質疑がありました。

 それから、「医療法改正案」(189閣法68号)が趣旨説明され、質疑は後日として、散会しました。

 この法案よりも、社会福祉法人のバランスシートや役員選任などの透明化を求めた法案が先に衆院で可決していますが、後回しになって、残り会期2週間。この辺も参議院自民党らしいのかな、という気がしなくもないですが、確証はないので、それ以上は何もいいません。

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安保法案でさしかえ委員も悔いを残さないように議論 大詰めにさしかかる きょうの国会

2015年09月09日 18時31分21秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年9月9日(水)法律公布】

 改正マイナンバー法および改正個人情報保護法(平成27年9月9日法律65号)が公布されました。2年以内の政令で定める日に施行。

【同日 参議院本会議】

 「公認心理師法」(189衆法38号)が投票総数236、賛成236、反対0の全会一致で可決しました。

 「労働者派遣法改悪法案」(189閣法43号)が投票総数236、賛成143、反対93で、修正可決し、衆議院に回付されました。

 「同一労働同一賃金推進法」(189衆法22号)は、投票総数236、賛成160、反対75の賛成多数で可決し、成立しました。

【同日 参・議院運営委員会】

 民主党と維新の党が共同提出した「領域警備法案」の平和安全特別委への付託が多数決で決まりました。

 このほか、本会議の手はずなどを確認しました。

【同日 参・わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 「2015年日米防衛協力ガイドラインの国内実施の安保2法案」(189閣法72号、189閣法73号)と、維新の党の対案合計7法案(189参法16~20号、23・24号)が議題になりました。

 民主党の藤末健三さんがこの委員会では初登場。「まず私の立場を申し上げます」と切り出し、自身の憲法、安全保障観を説明。戦後最大の法案とされる安保法案の審査で悔いを残さないようにしている姿を垣間見ました。

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労働者派遣法改悪法案が参議院で修正可決、衆へ回付、成立へ

2015年09月09日 10時51分02秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]参議院本会議、2015年9月9日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)が平成27年2015年9月9日(水)の参議院本会議で採決され、修正可決しました。

 投票総数236、賛成143、反対93の賛成多数で「修正議決」。衆議院に回付され、次の衆・本会議で成立します。9月30日施行。

 討論では民主党の石橋通宏さんが「2012年改正は自民党と公明党も賛成し、法律の運用が始まったばかりだ」とし派遣元会社の都合で、将来不安が高まるとしました。 

 修正が入ったので、衆に回付され、次の衆・本会議で回付案の同意をはかり、認められ、成立するはこび。

 維新の党対案の「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)は民共の反対、自公維の賛成多数で可決し、成立しました。

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公認心理師法が成立

2015年09月09日 10時05分12秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]公認心理師法の採決の結果を表示する参議院本会議場、2015年9月9日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 参議院は平成27年2015年9月9日(水)、本会議を開き、「公認心理師法」(189衆法38号)について、水落敏栄文教科学委員長から審査報告を聞きました。

 この後、採決。

 押しボタン式投票で、

 投票総数236、賛成236、反対0

 の全会一致でで可決し、午前10時3分ごろ、成立しました。

 来週、公布され、2年以内に、政令で施行日を定めることになります。

 公布日は、来週火曜日か金曜日になると思われます。

 法律番号は平成27年法律68号が付番される可能性が高いですが、ご確認いただきたいと思います。

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これで3人目、元内閣法制局長官「7月1日の閣議決定は無効であり安保法案は認められない」 きょうの国会

2015年09月08日 17時26分06秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年9月8日(火)参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 引き続き、「2015日米防衛ガイドライン国内実施2法案」(189閣法72~73号)と「維新の党対案」(189参法16~20号)が議題になりました。

 参考人質疑。

 元内閣法制局長官の大森政輔さんが登場しました。

 大森さんは日本国憲法第9条について「個別的自衛権と集団的自衛権は本質的な差異がある」とし、「両者は別次元であり、憲法9条により集団的自衛権は認められない」としました。

 きょねん、2014年7月1日の閣議決定(国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について)については、

 「本件閣議決定は、内閣が閣議決定できる範囲を超えており、無効である。これにもとづく自衛隊法(などの)改正は認められない」と断言しました。

 衆議院の参考人質疑での、阪田雅裕さん、宮崎礼壱さんについで、元長官の「違憲」発言はこれで合計3人目。

 大森さんは与党協議会(高村座長、北側座長代理)のとりまとめ文書に言及し、「おそれ(虞)という言葉を使っているが、法的に不確実性があることでば、主観的判断によって大きな差異が生じる」として、その時の為政者の判断に左右される法的安定性のない言葉だとしました。

 大森さんは「砂川判決が集団的自衛権を認めているとする論は、法律の基本的理論からして、まったく暴論です。ここでいうボウロンは、傍論ではなく暴論です」と批判しました。

 そのうえで、「集団的自衛権の行使が国策として必要なのならば、憲法改正手続きに乗せるべきだ」としました。

 大森さんは民主党の広田一さんの質疑で、現在の内閣法制局について、

 「私が長く在職した職場であり、旧友がいるので言いにくいのだが、数日前の朝日新聞で元最高裁判所長官(山口繁さん)まで厳しい意見を言っていて、私だけでないのだと感じた。本来ならば顔を上げて、(元内閣法制局長官として)最高裁長官の姿を見られない内心を持っている。我々先輩としてどうしたらいいのか考えるが、最後はその任にある者(横畠裕介・現内閣法制局長官)が責任をもって、脱却するしかないのだと思う。(ここにいる国会議員も)陰ながら応援してやってください」と語りました。

 参考人質疑の後、維新の党対案の「PKO協力法改正案」(189参法23号)と「船舶検査法改正案」(189参法24号)が小野次郎さんから趣旨説明されました。

これで維新対案は合計7法案(参法16~20号、23・24号)となりました。

 中央公聴会を15日(火)午後1時から開くことを多数決で決め、散会しました。

【同日 厚生労働委員会】

別エントリーに書きましたが、「労働者派遣法改悪法案」(189閣法43号)が修正可決しました。

 この日は2時間コースで各会派が一巡。野党議員は「きょうの朝の理事会で与党から採決に関する提案そのものがなかった」と語りました。

 ところが、最後の福島みずほさんの質問が終了したとたんに、自民党の羽生田俊理事がなんらかの動議を提出。野党が抗議し、委員長が休憩を宣言しました。このときの顛末については、もう一つ別のエントリーに書いてあります。

 そして、午後3時28分に再開。動議は採決されていないと思いますが、丸川珠代委員長はここで「質疑の終局」を宣言。ただちに自公の修正案として「9月30日施行」へ修正しました。

 採決の結果、民維共社の反対、自公の賛成多数で修正可決しました。

【同日 参議院文教科学委員会】

 まず一般質疑がありました。民主党からは斎藤嘉隆さん、神本美恵子副代表が質疑に立ち、「会期末の日教組」の勢いが出てきたようです。

 この後、別エントリーにも書きましたが、「公認心理師法案」(189衆法38号)が福井照・衆議院文部科学委員長から趣旨説明。共産党の田村智子さんが質疑した後、採決され、共も含む全会一致で可決しました。

【同日 参議院外交防衛委員会】

 岸田外相が条約5件、「189条約8~12号」を趣旨説明し、散会しました。

 条約5件は、日本とカザフスタン、ウクライナ、ウルグアイ各国との投資協定、カタールとの租税協定、ルクセンブルクとの社会保障協定の合計5条約です。

【同日 参議院内閣委員会】

 「PFI法改正案」(189閣法55号)が担当大臣の甘利明さんから趣旨説明され、きょうは散会しました。

【同日 参議院農林水産委員会】

 まず一般質疑。この後、「6独法を2独法に統合する、農林水産省設置法など改正案」(189閣法32号)が趣旨説明され、散会しました。

【同日 参議院国土交通委員会】

 一般質疑だけなされました。

このエントリー記事の本文は以上です。
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野党力尽きる 労働者派遣法改悪法案「9月30日施行」に修正し可決 週内に成立へ 参議院厚生労働委員会

2015年09月08日 16時34分31秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

(午後12時過ぎに投稿した「【速報】労働者派遣法改悪法案、自民党強行採決を意図か、羽生田俊議員が動議提出も、途中阻止、休憩に」を改題して、情報を加えて再投稿します)

 労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)が、2度の廃案、参に回ってから81日間の激闘の末、野党が力尽き、可決しました。9月30日施行へ。

 ◇

 当初2時間コースで質疑。

 福島みずほさんの質疑時間終了とともに、自民党の羽生田俊(はにゅうだ・たかし)さんが何らかの動議を提出しようとしたところ、野党理事らが事前の理事会合意がない行為だとして、阻止し、休憩に入りました。

 羽生田議員は質疑の打ち切り動議を出そうとしたものとみられます。


[画像]議題にない、何らかの動議を、突如提出し始めた羽生田俊・自民党議員を阻止する、民主党の石橋通宏さん(左)、牧山弘恵さん(右)ら、2015年9月8日(火)午後12時7分ごろ、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。 

 ただし、政府原案は「9月1日施行」となっており、すでにその期間を過ぎていることから、与党による修正が必須となっており、修正案に関する動議だったのかもしれません。

 理事会には、民主党の津田弥太郎理事、維新の党の川田龍平理事、共産党の小池晃理事(党本部政策責任者)、社民党の福島みずほ理事らが、与党・自民党の福岡高麿理事、公明党の長沢広明理事(参国対委員長兼務)が、丸川珠代委員長(自民党)をまじえて協議することになります。

 質疑での、川田さん、福島さんらの発言によると、自民党は同日朝の理事会では、採決に関する提案そのものをしていないとのことです。 

 仮に自民党が強行採決を図ろうとした場合、その途中で阻止され、休憩し、理事会に入るパターンは異例。

【追記 2015年9月8日午後4時】

 午後3時28分に再開しました。

 動議は採決されなかったと思いますが、丸川珠代委員長が自ら「質疑は終局しました」と宣言しました。

 自民党の大沼みずほさんが自公の修正案を提出。

 施行日を「9月1日」から「9月30日」に修正。さらに、違法派遣による見なし雇用(労働契約見なし規定)の対象者になっているかどうかを本人に開示するとともに、派遣先は過半数労働組合に説明し、派遣元事業者は派遣先事業者に対して説明するといった、運用上の念押しにすぎない内容です。

 この後、討論。

 民主党は白真勲さんが反対し、「厚生労働省は業者の意見を受け入れて法改正することで魂を捨てた」としました。

 維新の党の川田さんは「理事会で提案がなかった」と採決に抗議し、反対しました。同党対案である「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)については「衆院での修正は不十分だが、均等の文字が入ったことは評価できる」と賛成しました。

 共産党の小池さんは採決そのものに反対し、「この法案は常用代替(派遣社員を事実上正社員の仕事をさせ続けられる、いわゆる正社員ゼロ)であり、修正案も1時間前に示されたもので、理不尽で、これほど企業側にべったりした法案は見たことがない。どこをとっても矛盾欠陥ばかりだ」と主張しました。

 社民党の福島みずほさんも「修正案は1時間前に提示されたものだし、先週与党理事から説明があったものより後退している」「この法案は将来必ず禍根を生む」としました。

 午後3時55分、採決。修正案、政府原案とも、民・維・共・社・行田邦子委員・薬師寺みちよ委員の反対、自公の賛成多数で修正可決しました。

 おそらくあす9日の本会議で可決し、衆に回付され、10日ないし11日の本会議で成立するはこび。9月30日(水)施行。

 津田弥太郎さんは附帯決議案で、朗読に25分間ほどかけるすさまじい項目数の附帯決議をつけ、最後まで気を吐きました。附帯決議は50項目だったそうです。

 この後、「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)は、民共社反対、自公維賛成多数で可決しました。

 牧山弘恵さんが附帯決議案を朗読しました。牧山さんも7分くらいかけました。

 ◇

 専門26業務派遣労働者が、派遣先で、「お茶くみ」などの違法な扱いを受けていた場合は、10月1日にみなし雇用(みなし労働契約)され、正社員に転換することを義務付けていた、2012年改正を無力化するのがねらい。2012年改正は当時野党の自公も賛成していました。

 短期的には10・1みなし雇用プログラムの無力化ですが、中期的には正社員ゼロ法案と言えます。

 派遣労働者をかえれば、会社内の特定の職を2年でどんどんかえることがなり、正社員を派遣労働者におきかえる、常用代替が可能になります。

 3度目の提出となったこの法案は5月12日(火)に衆議院本会議で審議入り。6月19日(金)に衆委員会で可決し、緊急上程され、本会議で可決。参では7月8日(水)に審議が始まりましたが、「漏れた年金」集中審議を続けるなど、民主党、維新の党、共産党、社民党などの必至の抵抗で、「9月1日施行」を過ぎるところまで、健闘しました。

 しかし、数の力のもと、野党は力尽きました。

 筆者も2年1か月前のエントリー記事からいっかんして反対し続けてきましたので無念です。

このエントリー記事の本文は以上です。

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涙する派遣社員を自民党議員が「早く追い出せ!」「騒ぐな!」 労働者派遣法改悪法案の傍聴席【再追記有】

2015年09月08日 14時35分52秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]2015年9月8日の参議院厚生労働委員会、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 さきほどの労働者派遣法改悪法案の強行採決「未遂」の際、傍聴席で涙する派遣労働者を見た複数の自民党議員が「早く追い出せ!」「騒ぐな!」と発言していたことが分かりました。

 民主党の牧山弘恵さん=上の画像の右側=がSNSで証言しました。

 参議院議長が定める「参議院傍聴規則」では、拍手をしたり、野次を飛ばしたり、食べ物を食べたり、プラカードを掲げたりする行為は禁じられていますが、傍聴席で涙することは禁じられていません。 

【追記 同年同月9日午後9時半】

 涙した派遣社員の傍聴者の方が、民主党議員に寄せた証言が明らかになりました。

 Wさんは「周囲の多くの傍聴者が私を守ってくれました。そして衛視さんも私を追い出そうとはしませんでした」としました。

 Wさんは「自民党議員が私を追い出せと言ったのは知らなかった」としました。

【追記おわり】

 午後4時前に法案は可決しました。週内に成立し、9月30日施行。

 きょう一日の参議院厚生労働委員会の審議は別のエントリーにまとめました=この下に全文掲載します。

[当ブログ内エントリーから全文引用はじめ]

野党力尽きる 労働者派遣法改悪法案「9月30日施行」に修正し可決 週内に成立へ 参議院厚生労働委員会

2015年09月08日 16時34分31秒 | 第189回通常国会2015年1月

(午後12時過ぎに投稿した「【速報】労働者派遣法改悪法案、自民党強行採決を意図か、羽生田俊議員が動議提出も、途中阻止、休憩に」を改題して、情報を加えて再投稿します)

 労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)が、2度の廃案、参に回ってから81日間の激闘の末、野党が力尽き、可決しました。9月30日施行へ。

 ◇

 当初2時間コースで質疑。

 福島みずほさんの質疑時間終了とともに、自民党の羽生田俊(はにゅうだ・たかし)さんが何らかの動議を提出しようとしたところ、野党理事らが事前の理事会合意がない行為だとして、阻止し、休憩に入りました。

 羽生田議員は質疑の打ち切り動議を出そうとしたものとみられます。


[画像]議題にない、何らかの動議を、突如提出し始めた羽生田俊・自民党議員を阻止する、民主党の石橋通宏さん(左)、牧山弘恵さん(右)ら、2015年9月8日(火)午後12時7分ごろ、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。 

 ただし、政府原案は「9月1日施行」となっており、すでにその期間を過ぎていることから、与党による修正が必須となっており、修正案に関する動議だったのかもしれません。

 理事会には、民主党の津田弥太郎理事、維新の党の川田龍平理事、共産党の小池晃理事(党本部政策責任者)、社民党の福島みずほ理事らが、与党・自民党の福岡高麿理事、公明党の長沢広明理事(参国対委員長兼務)が、丸川珠代委員長(自民党)をまじえて協議することになります。

 質疑での、川田さん、福島さんらの発言によると、自民党は同日朝の理事会では、採決に関する提案そのものをしていないとのことです。 

 仮に自民党が強行採決を図ろうとした場合、その途中で阻止され、休憩し、理事会に入るパターンは異例。

【追記 2015年9月8日午後4時】

 午後3時28分に再開しました。

 動議は採決されなかったと思いますが、丸川珠代委員長が自ら「質疑は終局しました」と宣言しました。

 自民党の大沼みずほ(大沼瑞穂)さんが自公の修正案を提出。

 施行日を「9月1日」から「9月30日」に修正。さらに、違法派遣による見なし雇用(労働契約見なし規定)の対象者になっているかどうかを本人に開示するとともに、派遣先は過半数労働組合に説明し、派遣元事業者は派遣先事業者に対して説明するといった、運用上の念押しにすぎない内容です。

 この後、討論。

 民主党は白真勲さんが反対し、「厚生労働省は業者の意見を受け入れて法改正することで魂を捨てた」としました。

 維新の党の川田さんは「理事会で提案がなかった」と採決に抗議し、反対しました。同党対案である「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)については「衆院での修正は不十分だが、均等の文字が入ったことは評価できる」と賛成しました。

 共産党の小池さんは採決そのものに反対し、「この法案は常用代替(派遣社員を事実上正社員の仕事をさせ続けられる、いわゆる正社員ゼロ)であり、修正案も1時間前に示されたもので、理不尽で、これほど企業側にべったりした法案は見たことがない。どこをとっても矛盾欠陥ばかりだ」と主張しました。

 社民党の福島みずほさんも「修正案は1時間前に提示されたものだし、先週与党理事から説明があったものより後退している」「この法案は将来必ず禍根を生む」としました。

 午後3時55分、採決。修正案、政府原案とも、民・維・共・社・行田邦子委員・薬師寺みちよ委員の反対、自公の賛成多数で修正可決しました。

 おそらくあす9日の本会議で可決し、衆に回付され、10日ないし11日の本会議で成立するはこび。9月30日(水)施行。

 民主党の津田弥太郎さんは附帯決議案で、朗読に25分間ほどかけるすさまじい項目数の附帯決議をつけ、最後まで気を吐きました。附帯決議は50項目だったそうです。

 この後、「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)は、民共社反対、自公維賛成多数で可決しました。

 牧山弘恵(牧山ひろえ)さんが附帯決議案を朗読しました。牧山さんも7分くらいかけました。

 ◇

 専門26業務派遣労働者が、派遣先で、「お茶くみ」などの違法な扱いを受けていた場合は、10月1日にみなし雇用(みなし労働契約)され、正社員に転換することを義務付けていた、2012年改正を無力化するのがねらい。2012年改正は当時野党の自公も賛成していました。

 短期的には10・1みなし雇用プログラムの無力化ですが、中期的には正社員ゼロ法案と言えます。

 派遣労働者をかえれば、会社内の特定の職を2年でどんどんかえることがなり、正社員を派遣労働者におきかえる、常用代替が可能になります。

 3度目の提出となったこの法案は5月12日(火)に衆議院本会議で審議入り。6月19日(金)に衆委員会で可決し、緊急上程され、本会議で可決。参では7月8日(水)に審議が始まりましたが、「漏れた年金」集中審議を続けるなど、民主党、維新の党、共産党、社民党などの必至の抵抗で、「9月1日施行」を過ぎるところまで、健闘しました。

 しかし、数の力のもと、野党は力尽きました。

 筆者も2年1か月前のエントリー記事からいっかんして反対し続けてきましたので無念です。

【再追記 2017年4月17日】

 以下の記事を書きました。

[法律の執行状況]改悪労働者派遣法施行1年半で平均月給2200円減る、製造業ですら1400円減、主犯は「パソナ」ではなく「経団連」だったか?

【再追記おわり】

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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[当ブログ内エントリーから全文引用おわり] 

このエントリーの本文記事は以上です。 

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公認心理師法案、参議院文教科学委員会でも可決、あす9日成立へ

2015年09月08日 12時07分56秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]公認心理師法案を挙手による採決で全会一致で可決した、参議院文教科学委員会、2015年9月8日午後12時2分ごろ、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 参議院文教科学委員会(水落敏栄委員長)は平成27年2015年9月8日(火)、午後12時2分ごろ、

 「公認心理師法案」(189衆法38号)を全会一致で可決しました。

 あす平成27年2015年9月9日(水)午前10時から開かれる見通しの、参議院本会議(山崎正昭議長)で採決され、可決し、成立する見通し。

 来週の9月15日(火)、18日(金)ごろに、天皇陛下が公布し、官報に全文が告示される見通し。

 それから2年以内の政令で定める日に施行するため、平成29年2017年春ごろに施行するとみられます。

  きょうの審議では、まず、午前11時50分ごろ、衆議院の福井照・文部科学委員長が参議院に来て趣旨説明しました。

  質疑は希望制で、日本共産党の田村智子文教科学委員が、山下貴司衆議院議員らに「相談者がスクールカウンセラーに精神科受診の有無を言いたくない場合があるが、公認心理師ではどうなる」と問うと、山下さんは「法案の42条のことだが、公認心理師が要支援者に対して主治医の有無を聞くことまで求める法案ではない」と答弁しました。

 田村さんの「スクールカウンセラーの労働時間と社会保険加入状況について地域によってかなりの格差がある」との問いに対しては、文部科学省で義務教育を担当する初等中等局長が答弁しました。田村さんが「スクールカウンセラーに学校に行かなくてもいいと言える権限はあるか」と問うと、下村博文文部科学大臣は「この時期は自殺も多い時期なので、無理をしなくてもいいんだよと言えるようにしたい」と答弁しました。
 
  質疑は共産党のみで、同党も含めて、全会一致でした。斎藤嘉隆さんの朗読による、附帯決議が採択されました。

 [法案全文を衆議院ウェブサイトから全文引用はじめ]

   公認心理師法案
目次
 第一章 総則(第一条―第三条)
 第二章 試験(第四条―第二十七条)
 第三章 登録(第二十八条―第三十九条)
 第四章 義務等(第四十条―第四十五条)
 第五章 罰則(第四十六条―第五十条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
 一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
 二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
 三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
 四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
 (欠格事由)
第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。
 一 成年被後見人又は被保佐人
 二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
 三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
 四 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
   第二章 試験
 (資格)
第四条 公認心理師試験(以下「試験」という。)に合格した者は、公認心理師となる資格を有する。
 (試験)
第五条 試験は、公認心理師として必要な知識及び技能について行う。
 (試験の実施)
第六条 試験は、毎年一回以上、文部科学大臣及び厚生労働大臣が行う。
 (受験資格)
第七条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者
 二 学校教育法に基づく大学において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの
 三 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者
 (試験の無効等)
第八条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があった場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。
 (受験手数料)
第九条 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。
2 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。
 (指定試験機関の指定)
第十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
2 指定試験機関の指定は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。
3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、前項の申請が次の要件を満たしていると認めるときでなければ、指定試験機関の指定をしてはならない。
 一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が、試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
 二 前号の試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
4 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、第二項の申請が次のいずれかに該当するときは、指定試験機関の指定をしてはならない。
 一 申請者が、一般社団法人又は一般財団法人以外の者であること。
 二 申請者がその行う試験事務以外の業務により試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。
 三 申請者が、第二十二条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
 四 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
  イ この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
  ロ 次条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
 (指定試験機関の役員の選任及び解任)
第十一条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第十三条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。
 (事業計画の認可等)
第十二条 指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定試験機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、文部科学大臣及び厚生労働大臣に提出しなければならない。
 (試験事務規程)
第十三条 指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下この章において「試験事務規程」という。)を定め、文部科学大臣及び厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 試験事務規程で定めるべき事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
 (公認心理師試験委員)
第十四条 指定試験機関は、試験事務を行う場合において、公認心理師として必要な知識及び技能を有するかどうかの判定に関する事務については、公認心理師試験委員(以下この章において「試験委員」という。)に行わせなければならない。
2 指定試験機関は、試験委員を選任しようとするときは、文部科学省令・厚生労働省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。
3 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、文部科学大臣及び厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。試験委員に変更があったときも、同様とする。
4 第十一条第二項の規定は、試験委員の解任について準用する。
 (規定の適用等)
第十五条 指定試験機関が試験事務を行う場合における第八条第一項及び第九条第一項の規定の適用については、第八条第一項中「文部科学大臣及び厚生労働大臣」とあり、及び第九条第一項中「国」とあるのは、「指定試験機関」とする。
2 前項の規定により読み替えて適用する第九条第一項の規定により指定試験機関に納められた受験手数料は、指定試験機関の収入とする。
 (秘密保持義務等)
第十六条 指定試験機関の役員若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあった者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
 (帳簿の備付け等)
第十七条 指定試験機関は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、試験事務に関する事項で文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
 (監督命令)
第十八条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
 (報告)
第十九条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、指定試験機関に対し、報告をさせることができる。
 (立入検査)
第二十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定試験機関の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
 (試験事務の休廃止)
第二十一条 指定試験機関は、文部科学大臣及び厚生労働大臣の許可を受けなければ、試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
 (指定の取消し等)
第二十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が第十条第四項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
 一 第十条第三項各号の要件を満たさなくなったと認められるとき。
 二 第十一条第二項(第十四条第四項において準用する場合を含む。)、第十三条第三項又は第十八条の規定による命令に違反したとき。
 三 第十二条、第十四条第一項から第三項まで又は前条の規定に違反したとき。
 四 第十三条第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行ったとき。
 五 次条第一項の条件に違反したとき。
 (指定等の条件)
第二十三条 第十条第一項、第十一条第一項、第十二条第一項、第十三条第一項又は第二十一条の規定による指定、認可又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定、認可又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定、認可又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。
 (指定試験機関がした処分等に係る審査請求)
第二十四条 指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、文部科学大臣及び厚生労働大臣に対し、審査請求をすることができる。この場合において、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項及び第二項、第四十七条並びに第四十九条第三項の規定の適用については、指定試験機関の上級行政庁とみなす。
 (文部科学大臣及び厚生労働大臣による試験事務の実施等)
第二十五条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、指定試験機関が第二十一条の規定による許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、第二十二条第二項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
 (公示)
第二十六条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
 一 第十条第一項の規定による指定をしたとき。
 二 第二十一条の規定による許可をしたとき。
 三 第二十二条の規定により指定を取り消し、又は試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。
 四 前条第二項の規定により試験事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき又は自ら行っていた試験事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
 (試験の細目等)
第二十七条 この章に規定するもののほか、試験、指定試験機関その他この章の規定の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
   第三章 登録
 (登録)
第二十八条 公認心理師となる資格を有する者が公認心理師となるには、公認心理師登録簿に、氏名、生年月日その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。
 (公認心理師登録簿)
第二十九条 公認心理師登録簿は、文部科学省及び厚生労働省に、それぞれ備える。
 (公認心理師登録証)
第三十条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録をしたときは、申請者に第二十八条に規定する事項を記載した公認心理師登録証(以下この章において「登録証」という。)を交付する。
 (登録事項の変更の届出等)
第三十一条 公認心理師は、登録を受けた事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を文部科学大臣及び厚生労働大臣に届け出なければならない。
2 公認心理師は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。
 (登録の取消し等)
第三十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。
 一 第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合
 二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合
2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。
 (登録の消除)
第三十三条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録がその効力を失ったときは、その登録を消除しなければならない。
 (情報の提供)
第三十四条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録に関し、相互に必要な情報の提供を行うものとする。
 (変更登録等の手数料)
第三十五条 登録証の記載事項の変更を受けようとする者及び登録証の再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。
 (指定登録機関の指定等)
第三十六条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定登録機関」という。)に、公認心理師の登録の実施に関する事務(以下「登録事務」という。)を行わせることができる。
2 指定登録機関の指定は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、登録事務を行おうとする者の申請により行う。
第三十七条 指定登録機関が登録事務を行う場合における第二十九条、第三十条、第三十一条第一項、第三十三条及び第三十五条の規定の適用については、第二十九条中「文部科学省及び厚生労働省に、それぞれ」とあるのは「指定登録機関に」と、第三十条、第三十一条第一項及び第三十三条中「文部科学大臣及び厚生労働大臣」とあり、並びに第三十五条中「国」とあるのは「指定登録機関」とする。
2 指定登録機関が登録を行う場合において、公認心理師の登録を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を指定登録機関に納付しなければならない。
3 第一項の規定により読み替えて適用する第三十五条及び前項の規定により指定登録機関に納められた手数料は、指定登録機関の収入とする。
 (準用)
第三十八条 第十条第三項及び第四項、第十一条から第十三条まで並びに第十六条から第二十六条までの規定は、指定登録機関について準用する。この場合において、これらの規定中「試験事務」とあるのは「登録事務」と、「試験事務規程」とあるのは「登録事務規程」と、第十条第三項中「前項の申請」とあり、及び同条第四項中「第二項の申請」とあるのは「第三十六条第二項の申請」と、第十六条第一項中「職員(試験委員を含む。次項において同じ。)」とあるのは「職員」と、第二十二条第二項第二号中「第十一条第二項(第十四条第四項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第十一条第二項」と、同項第三号中「、第十四条第一項から第三項まで又は前条」とあるのは「又は前条」と、第二十三条第一項及び第二十六条第一号中「第十条第一項」とあるのは「第三十六条第一項」と読み替えるものとする。
 (文部科学省令・厚生労働省令への委任)
第三十九条 この章に規定するもののほか、公認心理師の登録、指定登録機関その他この章の規定の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
   第四章 義務等
 (信用失墜行為の禁止)
第四十条 公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
 (秘密保持義務)
第四十一条 公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。
 (連携等)
第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。
2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。
 (資質向上の責務)
第四十三条 公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第二条各号に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。
 (名称の使用制限)
第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。
2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。
 (経過措置等)
第四十五条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
2 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。
   第五章 罰則
第四十六条 第四十一条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第四十七条 第十六条第一項(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第四十八条 第二十二条第二項(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定による試験事務又は登録事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定試験機関又は指定登録機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 一 第三十二条第二項の規定により公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、公認心理師の名称を使用し、又はその名称中に心理師という文字を用いたもの
 二 第四十四条第一項又は第二項の規定に違反した者
第五十条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定試験機関又は指定登録機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
 一 第十七条(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
 二 第十九条(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
 三 第二十条第一項(第三十八条において準用する場合を含む。)の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
 四 第二十一条(第三十八条において準用する場合を含む。)の許可を受けないで試験事務又は登録事務の全部を廃止したとき。
   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十条から第十四条まで、第十六条、第十八条から第二十三条まで及び第二十五条から第二十七条までの規定並びに第四十七条、第四十八条及び第五十条(第一号を除く。)の規定(指定試験機関に係る部分に限る。)並びに附則第八条から第十一条までの規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 (受験資格の特例)
第二条 次の各号のいずれかに該当する者は、第七条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
 一 この法律の施行の日(以下この項及び附則第六条において「施行日」という。)前に学校教育法に基づく大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めたもの
 二 施行日前に学校教育法に基づく大学院に入学した者であって、施行日以後に心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて当該大学院の課程を修了したもの
 三 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、施行日以後に同法に基づく大学院において第七条第一号の文部科学省令・厚生労働省令で定める科目を修めてその課程を修了したもの
 四 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において同号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの
2 この法律の施行の際現に第二条第一号から第三号までに掲げる行為を業として行っている者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、次の各号のいずれにも該当するに至ったものは、この法律の施行後五年間は、第七条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
 一 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した者
 二 文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、第二条第一号から第三号までに掲げる行為を五年以上業として行った者
3 前項に規定する者に対する試験は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その科目の一部を免除することができる。
 (受験資格に関する配慮)
第三条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験の受験資格に関する第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令を定め、及び同条第三号の認定を行うに当たっては、同条第二号又は第三号に掲げる者が同条第一号に掲げる者と同等以上に臨床心理学を含む心理学その他の科目に関する専門的な知識及び技能を有することとなるよう、同条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間を相当の期間とすることその他の必要な配慮をしなければならない。
 (名称の使用制限に関する経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に公認心理師という名称を使用している者又はその名称中に心理師の文字を用いている者については、第四十四条第一項又は第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
 (検討)
第五条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 (試験の実施に関する特例)
第六条 第六条の規定にかかわらず、施行日の属する年においては、試験を行わないことができる。
 (登録免許税法の一部改正)
第七条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
  別表第一第三十二号の次に次のように加える。
   八の二 公認心理師法(平成二十七年法律第   号)第二十 登録件数 一件につき一万五千 
     八条(登録)の公認心理師の登録                  円
 (文部科学省設置法の一部改正)
第八条 文部科学省設置法(平成十一年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
  第四条第十二号の次に次の一号を加える。
  十二の二 公認心理師に関する事務のうち所掌に係るものに関すること。
 (厚生労働省設置法の一部改正)
第九条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
  第四条第一項第八十九号の次に次の一号を加える。
  八十九の二 公認心理師に関する事務のうち所掌に係るものに関すること。
  第十八条第一項中「第八十七号から」の下に「第八十九号まで、第九十号から」を加える。
 (アルコール健康障害対策基本法の一部改正)
第十条 アルコール健康障害対策基本法(平成二十五年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
  附則第七条のうち厚生労働省設置法第四条第一項第八十九号の次に一号を加える改正規定中「第四条第一項第八十九号」を「第四条第一項第八十九号の二」に改め、第八十九号の二を第八十九号の三とする。
  附則第七条中厚生労働省設置法第十八条第一項の改正規定を削る。
 (内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律の一部改正)
第十一条 内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第   号)の一部を次のように改正する。
  第十一条のうち厚生労働省設置法第四条第一項第八十九号の次に一号を加える改正規定中「同項第八十九号」を「同項第八十九号の二」に改め、第八十九号の二を第八十九号の三とする。
  第十一条のうち厚生労働省設置法第十八条第一項の改正規定中「「第八十七号から」の下に「第八十九号まで、第九十号から」を加え、」を削る。
  附則第二十八条のうちアルコール健康障害対策基本法附則第七条のうち厚生労働省設置法第四条第一項第八十九号の次に一号を加える改正規定の改正規定及び同法第十八条第一項の改正規定を削る改正規定中「第四条第一項第八十九号」を「第四条第一項第八十九号の二」に、「第四条第一項第八十九号の二」を「第四条第一項第八十九号の三」に、「八十九の二」を「八十九の三」に、「八十九の三」を「八十九の四」に、「改め、同法第十八条第一項の改正規定を削る」を「改める」に改める。
  附則第二十九条中「第四条第一項第八十九号」を「第四条第一項第八十九号の二」に、「同項第八十九号」を「同項第八十九号の二」に、「同項第八十九号の二」を「同項第八十九号の三」に、「八十九の二」を「八十九の三」に、「八十九の三」を「八十九の四」に改め、「、第十一条のうち厚生労働省設置法第十八条第一項の改正規定(同項中「第八十七号から」の下に「第八十九号まで、第九十号から」を加える部分に限る。)」を削る。

     理 由
 近時の国民が抱える心の健康の問題等をめぐる状況に鑑み、心理に関する支援を要する者等の心理に関する相談、援助等の業務に従事する者の資質の向上及びその業務の適正を図るため、公認心理師の資格を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

[全文引用おわり] 

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参・憲法審は「二院制」をテーマに、参・民主党の理想と、参・自民党の腐敗が顕著に きょうの国会

2015年09月07日 15時07分43秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年9月7日(月)参議院憲法審査会】

 今国会は月曜日も忙しかった印象で決算審査もフィニッシュし、残り平日は2日間となりました。

 参・憲法審は、2月25日(水)、3月4日(水)、5月27日(水)に開かれ、4回目、初の月曜開催となりました。

 この委員会(審査会)は今国会で謎を呼ぶ運営となっており、集団的自衛権の「賛成派」の百地章さんと「反対派」の水島朝穂さんを呼んだ参考人質疑が「憲法とは何かについて」。

 参は院の構成が変わっていないのに、「憲法とは何か」を議題にしたことで、安倍晋三内閣の解釈改憲と憲法改正に向けて、二大政党間で緊張が高まっているのではないかとみられてきました。

 きょうの審査会の冒頭、柳本卓治会長(自民党)は「幹事(理事)が協議した結果、この審査会のテーマは「二院制」をテーマにすることにしました」としました。

 集団的自衛権をめぐる、第2章「戦争の放棄」と第3章「基本的人権」が話題になる中、おもに第4章「国会」をテーマにすることになったわけです。逃げたと言う人もいるでしょうが、私はそれでいいと思います。

 各会派の意思表示。

 参議院自民党は愛知治郎さんが代表して、「参議院自民党政策審議会に参議院のあり方検討チームを設けた」とし、「両院とも公選である以上は、衆参の優劣ではなく、機能の違いが重要だ」とし、参は衆に劣っていないので、参が必要だという、日本最大の既得権益者団体である参自(114人)の独自の解釈を開陳しました。

 民主党・新緑風会は、金子洋一さんが「我が党の基本姿勢は2005年憲法提言(=このエントリー記事最後に全文引用転載)から不変だ」とし、「首相主導の政権運営をはかり、今日の複雑な財政・行政・社会システムに対応して、参は法案審査だけでなく、国政調査や、決算・行政監視機能を高めるべきだ」と語りました。

 この後の、自由討議では、牧山弘恵さんが「平成元年1989年以降、参では野党が多数派のねじれ現象がたびたび生じている」と指摘し、「平成25年2013年の通常選挙でねじれがなくなったが、次にねじれが発生したら参有害論が再び出てくる」としました。

 このように、参民は、二院制と、両院協議会に関する主張をしました。

 次世代の党の江口克彦さんも「ねじれ国会で決められない政治にならないよう対応する必要がある」と語りました。

 一方、参自は、自らの利権を保とうとする詭弁を繰り広げました。

 丸山和也さんは、「海外で The Member of the House of Councillors  という名刺を見せると、なんだこれは、と言われてしまう。英訳を、The senetar に格上げしてほしい」とし、「衆の優越という言葉は憲法に書いていない。私たちは衆の優越という言葉を使わないようにした方がいい。貴族院復活とまでは言わないが」と述べ、自分の地位に拘泥する見苦しい発言をしました。24時間マラソンの理想はどこへ・・・

 赤池誠章さんは「教科書を調べてきた」とし、「国会についての記述はあるが、参に関する記述は少ない」とし、「教科書で参について教えるよう学習指導要領を改正すべきだ」としました。1期生の阿達雅志さん、豊田俊郎さん、石田昌宏さんらも、志のない、自分の地位を守るための発言に終始しました。参・自に就職したという意識しかないのでしょうか。あるいは、先輩たちがそうとう悪いのか。一人の日本国民として、参・自の1期生には本当に残念です。

 これに先立つ、愛知さんの発言によると、参・自の政審は、皇族による本会議傍聴をぬけぬけと検討していることも明らかになりました。

 維新の党も、「維新は一院制を主張してきたが、チェックアンドバランスの観点から、道州制移行後に道州の代表者を参に送るという考え方もある」としました。

 一方、「二院制」のテーマに反発したと思われる発言もありました。

 日本共産党の仁比聡平さんは「二院制の参に求められていることは戦争法案の廃案だ」、社民党の福島みずほさんは「参・憲法審は憲法の適合性を判断するところであり、今求められているのは戦争法案だ」としました。 

 参自がこのような態度では、選挙制度も、議会改革も進むわけがありません。政権交代ある二大政党政治が進化する過程で、与党の政府外議員が何も言えなくなるのは、英国二大政党政治の歴史からみると、当然です。ただ、日本には、参があります。

 政権交代ある二大政党政治のもとでの、参のあり方については、21世紀の日本政治の長い課題になります。

【同日 衆議院】

 本会議、委員会、審査会はありませんでした。

きょうの国会は以上です。

[以下、民主党の2005年の憲法提言を民主党ウェブサイトから、全文引用します。] 

民主党「憲法提言」
2005 年 10 月 31 日
民主党憲法調査会
民主党「憲法提言」
目次
1. 未来志向の憲法を構想する 1
2. 国民主権が活きる新たな統治機構の創出のために 4
3. 「人間の尊厳」の尊重と「共同の責務」の確立をめざして 7
4. 多様性に満ちた分権社会の実現に向けて 12
5. より確かな安全保障の枠組みを形成するために 14
1
1.未来志向の憲法を構想する
1.憲法論議の土台を明確にし、未来志向の新しい憲法を構想する
多くの国民は、日本国憲法が戦後の平和国家日本の確立と持続に極めて大きな役割
を果たすとともに、人権意識や民主主義をこの国に深く根づかせる土台となってきた
ことを認識している。これを踏まえ、私たちは、日本国憲法の根本規範に基づいて築
き上げてきたものに誇りを持ち、それを堅持しつつ、さらにそれらを強化・発展させ
るために求められるのは何かという出発点に立って議論を進めている。
昨今、憲法論議が徐々に盛り上がってきている状況を、私たちは歓迎している。そ
の中でいま、求められていることは、21世紀の新しい時代を迎えて、未来志向の憲
法構想を、勇気をもって打ち立てるということである。それは、現在の日本国憲法が
掲げる基本理念を踏まえて、それらをいかに深化・発展させるかということであり、
新たな時代にふさわしい「新しい国のかたち」を国民と共有することに他ならない。
2.新しい憲法の構成
そもそも憲法とは、主権者である国民が、国家機構等に公権力を委ねるとともに、
その限界を設け、これをみずからの監視下に置き、コントロールするための基本ルー
ルのことである。同時に、これからの憲法を考えるに際しては、憲法のこうした固有
の役割に加えて、憲法それ自体が国民統合の価値を体現するものであるとともに、国
際社会と共存し、平和国家としてのメッセージを率先して発信するものでなくてはな
らない。未来志向の憲法は、国家権力の恣意的行使や一方的な暴力を抑制すること、
あるいは国家権力からの自由を確保することにとどまらず、これに加えて、国民の意
思を表明し、世界に対して国のあり方を示す一種の「宣言」としての意味合いを強く
持つものである。そしてその構成は、日本国民の「精神」あるいは「意志」を謳った
部分と、人間の自立を支え、社会の安全を確保する国(中央政府及び地方政府)の活
動を律する「枠組み」あるいは「ルール」を謳った部分の二つから構成される。
3.新しい憲法がめざす五つの基本目標
私たちは、こうした二つの性質を合わせ持つ新しい憲法は、以下の五つの基本目標
を達成するものでなければならないと考えている。これはまた、民主党が五年間の憲
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法論議を通じて獲得し、共有した価値でもある。
① 自立と共生を基礎とする国民が、みずから参画し責任を負う新たな国民主権社会
を構築すること。
② 世界人権宣言及び国際人権規約をはじめとする普遍的な人権保障を確立し、併せ
て、環境権、知る権利、生命倫理などの「新しい権利」を確立すること。
③ 日本からの世界に対するメッセージとしての「環境国家」への道を示すとともに、
国際社会と協働する「平和創造国家」日本を再構築すること。
④ 活気に満ち主体性を持った国の統治機構の確立と、民の自立力と共同の力に基礎
を置いた「分権国家」を創出すること。
⑤ 日本の伝統と文化の尊重とその可能性を追求し、併せて個人、家族、コミュニテ
ィ、地方自治体、国家、国際社会の適切な関係の樹立、すなわち重層的な共同体
的価値意識の形成を促進すること。
4.憲法の「空洞化」を阻止し、「法の支配」を取り戻す
私たちは曖昧さのつきまとう憲法解釈が、国際社会の要請や時代の変化に鋭く反応
する気概をこの国の人々から喪失させているのではないかという懸念を抱いている。
その上、日本ではいま、既成事実をさらに積み重ねて憲法の「形骸化」を目論む動きが
ある。
とりわけ、今日われわれが目撃しているわが国の憲法の姿は、その時々の政権の恣
意的解釈によって、憲法の運用が左右されているという現実である。同一の内閣にお
いてすら、憲法解釈が平然と変更されて、いまや憲法の「空洞化」が叫ばれるほどにな
っている。いま最も必要なことは、この傾向に歯止めをかけて、憲法を鍛え直し、「法
の支配」を取り戻すことである。
5.憲法を国民の手に取り戻すために
私たちは、当面する課題として、憲法改正手続法制・国民投票法制の整備にとりかか
らなくてはならない。しかも、国民に開かれた形で、これらの議論を進めていかなけ
ればならない。
未来志向の憲法を打ち立てるに際しては、国民の強い意志がそこに反映されなくて
はならない。しかし、日本ではこれまで、憲法制定や改正において、日本国民の意思
がそのまま反映される国民投票を一度も経験したことがない。私たちは、憲法を国民
の手に取り戻すために、国民による直接的な意思の表明と選択が何よりも大事である
ことを強く受け止めている。
3
6.大いなる憲法論議のための「提言」をもって行動する
ここにとりまとめた「憲法提言」は、その大いなる国民的議論に資するための1つの素
材を提供するものである。
憲法についてそれぞれの想いで意見を発露することは必要だが、それだけでは現実の憲
法を変えることはできない。
多様な憲法論議を踏まえて何らかの改革を行おうとするならば、衆参各院において国会
議員の3分2以上の合意を達成し、かつ国民多数の賛同を得るのでなければならない。政
党や国会議員は、みずからの意見表明にとどまることなく、国会としてのコンセンサスと
国民多数の賛同をどう取りつけていくのかに向けて真摯に努力していくことが求められて
いる。
そもそも、憲法の姿を決定する権限を最終的に有しているのは、政党でも議会でもなく、
国民である。今後はさらに、憲法を制定する当事者である国民の議論を大いに喚起してい
くことが重要である。民主党はその先頭に立って、国民との憲法対話を精力的に推し進め
ていく決意である。
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2.国民主権が活きる新たな統治機構の創出のために
官主導の統治制度と決別して、民主導の新しい統治制度へ移行する。政府の統治機
構については、「国民主権の徹底」と「権力分立の明確化」を基本とし、(1)首相主導
の政府運営の確立、(2)国民の付託を受けた国会の行政監視機能を拡充強化、(3)違憲
審査機能の充実、を柱に検討しとりまとめた。とりわけ、行政監視院の設置や国政調
査権の拡充など議会による行政監視機能の整備を通じて、「議会の復権」もしくは「国
会の活性化」を可能とするための改革提案を行う。
1.首相(内閣総理大臣)主導の政府運営の実現
現行憲法では、第 65 条で「行政権は内閣に属する」となっており、かつ第 66 条第
3 項で内閣はその行使について「連帯して責任を負う」こととなっている。そのため、
全会一致の閣議決定に権限行使が委ねられており、第 66 条第 1 項にいう「首長」とし
ての内閣総理大臣のリーダーシップが強く制限されてきた。
首相(内閣総理大臣)主導の政府運営の確立のため、統一的な政策を決定し、様々な行
政機関を指揮監督してその総合調整をはかる「執政権(executive power)」を内閣総理
大臣に持たせ、執政権を有する首相(内閣総理大臣)が内閣を構成し、「行政権
(administrative power)を統括することとする。
① 憲法第5章(「内閣」)における主体を「内閣総理大臣」とするとともに、第 65 条
における「行政権」を「執政権」に切り替え、首長としての内閣総理大臣の地位
と行政を指揮監督する首相(内閣総理大臣)の権限を明確にする。
② 政治主導・内閣主導の政治を実現するため、内閣法や国家行政組織法など憲法附
属法の見直しを行い、政治任用を柔軟なものにし、首相の行政組織権を明確なも
のにする。
③ 現行の政官癒着の構造を断ち切り、個々の議員と官僚の接触を禁止するなどの「政
官関係のあり方」についてさらに検討し、その規定を明確にする。
2.議会の機能強化と政府・行政監視機能の充実
政府に対する国民のコントロール権限が十分に発揮されるよう、議会の「政府・行
政監視機能」を大幅に拡充する必要がある。このため、議会を単なる法案審議の場と
するのではなく、今日の複雑な行財政システムや対外関係を律することが可能な専門
的情報管理とチェック権能を果たすための仕組みに拡充していく。
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さらに、現行の国政調査権をより活用できる仕組みを確立するとともに、二院制に
ついても、決算・行政監視の充実など専門的・総合的な機能を兼ね備えた参議院制度
の確立を目指すなどの見直しが必要である。ただし、この二院制の見直しに際しては、
分権改革との関連や二大政党システムの確立と併せて検討されるべきである。
① 行政府の活動に関する評価機能をも併せ持った「行政監視院」を設置するなど、専
門的な行政監視機構を整備する。政府から独立した第三者機関とするのか、議会の
下に設置するのかについては、さらに検討を要する。
② 憲法上の規定があいまいなまま現在の行政府が所管しているいわゆる独立行政委
員会については、その準司法的機関としての性格を踏まえ、内閣とは別の位置づけ
を明確にする。その上で、それらに対する議会による同意と監視の機能を整備する。
③ 国政調査権を少数でも行使可能なものにし、議会によるチェック機能を強化する。
④ 二院制を維持しつつ、その役割を明確にし、議会の活性化につなげる。例えば、予
算は衆議院、決算と行政監視は参議院といった役割分担を明確にするとともに、各
院の選挙制度についても再検討する。
⑤ 政党については、議会制民主主義を支える重要な役割を鑑み、憲法上に位置づける
ことを踏まえながら、必要な法整備をはかる。
⑥ 選挙制度については、政治家や政党の利害関係に左右されないよう、その基本的枠
組みについて憲法上に規定を設ける。
3.違憲審査機能の強化及び憲法秩序維持機能の拡充
最高裁判所による違憲判断の事例が極めて少ないことから、わが国の司法の態度は
自己抑制的であり、消極的すぎるとの批判を受けてきた。
司法消極主義の下で繰り返されてきた政府・内閣法制局の憲法解釈を許さず、憲法
に対する国民の信頼を取り戻し、憲法秩序をより確かな形で維持するため、違憲立法
審査を専門に行う憲法裁判所の設置を検討する。
国家非常事態における首相(内閣総理大臣)の解散権の制限など、憲法秩序の下で政
府の行動が制約されるよう、国家緊急権を憲法上明示しておくことも、重ねて議論を
要する。
① 新たに憲法裁判所を設置するなど違憲審査機能の拡充をはかる。
② 行政訴訟法制の大胆な見直しを進めると同時に、憲法に幅広い国民の訴訟権を明示
する。
③ 国家緊急権を憲法上に明示し、非常事態においても、国民主権や基本的人権の尊重
などが侵されることなく、その憲法秩序が確保されるよう、その仕組みを明確にし
ておく。
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4.公会計、財政に関する諸規定の整備・導入
現行憲法では、公会計や財政処理に関する規定が明確ではなく、その責任もあいま
いなまま放置されている。しかし、憲法の基本原理たる国民主権の本来の姿は、税の
徴収と使用に対する国民監視がその根底にあり、この点を明確にすることは憲法の基
本原理にもかかわる重要なことである。官僚や時々の政府の恣意的な財政支出や会計
システムの利用を許さず、税に対する国民監視を強化する意味でも、先の「行政監視
院」の設置と合わせて、公会計や財政責任に関する規定を明確にしておくことが重要
である。また、中央銀行の位置づけについては、引き続き検討する。
① 責任の所在があいまいな現行の国の財政処理の権限については、国会の議決に基づ
いて、内閣総理大臣が行使することを明確にする。
② 内閣総理大臣に、国の財政状況、現在及び将来の国民に与える影響の予測について、
国会への報告を義務付ける。また、予算については、複数年度にわたる財政計画を
国会に報告し、承認を得る。
③ 会計検査院(または新たに設置された行政監視院等)の報告を受けた国会は内閣に
対して勧告を行い、内閣はこの勧告に応じて必要な措置を講ずることを明記する。
5.国民投票制度の検討
現在、憲法改正に係る国民投票制度の在り方について、検討作業が進められている
が、この制度自体は、直接民主主義に関わるものであり、より広汎な検討が必要とさ
れるものである。こうした観点から、例えば、「主権の委譲」を伴う国際機構への参加
や、重大な外交関係の変更などに関して、また特定地域の住民に特別の強い影響を及
ぼす法制度の改革などに関して、国民投票制度の整備を行うことが必要である。
① 議会政治を補完するものとして、国民の意見を直接問う国民投票制度の拡充を検
討する。
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3.「人間の尊厳」の尊重と「共同の責務」の確立をめざして
1.まず、「人間の尊厳」を尊重する
人間は自然の一部であり、命があり、自由な主体性を持っているが故に尊厳がある。
「人間の尊厳」を尊重するとは、自然を守り、命あるものを守り、他者の自由な主体
性をも守ることである。
これを基礎として、現行憲法に明記されている人権保障を踏まえて、さらに新しい
時代にふさわしいものへと進化させていく必要がある。
日本国憲法の根本規範の1つである基本的人権の尊重を、抽象的な権利の主張とし
てではなく、日本社会に暮らす一人ひとりの人間としての「尊厳」を具体的な権利の
主張として受け止める必要がある。
とりわけ、「人間の尊厳」を破壊する暴力については、国家と個人の関係はともより、
個人と個人の私的な関係においても、これを厳格に禁止すべきである。
また、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについ
て平等である」との世界人権宣言第 1 条のこの規定の根底には、「人間の尊厳」(国連
憲章前文)の尊重を人権保障のための第1原理として据える確乎たる思想がある。それ
は今日、国際人権保障体制との協力の下で達成されうるものであることを再確認する。
この普遍的な考えの上に立ち、特に、以下の人権に係る規定を置く。
(1)生命倫理および生命に対する権利を明確にする。
人権保障の根本原理として「人間の尊厳は侵すことができない」という考えのもと、
「生命に対する権利」を明確にする。
① 身体と精神に対する、本人の意思に反したさまざまな侵害を排除する権利である人
体の統合の不可侵、人体とその一部の利用は、無償の提供によってのみ許されると
いう人体要素の無償原則、人体とその一部に関する情報の収集、保存、利用に対す
る個人のプライバシー保護を憲法上明確にする。
② 生殖医療及び遺伝子技術の濫用からの保護を明確にする。
③ 自らの生命や生活に関して、本人自身が決定できる自己決定権については、憲法上保
障する権利の内容を検討し明確にすべきである。
(2)あらゆる暴力からの保護を明確にする。
現代社会における暴力は、配偶者間・親子間・子どもの折檻などのドメスティック・
バイオレンスや、異性間におけるセクシャル・ハラスメント等あるいは国際的な人身
売買など、その関係、形態は多様である。あらゆる「人間の尊厳」を破壊する個人的・
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社会的暴力を厳格に禁止する旨を明確にする。
(3)犯罪被害者の人権を擁護する。
「人間の尊厳」の尊重の観点を踏まえ、何らかの表現で憲法に犯罪被害者の権利を
明確にする。一方で、国家からの人身の自由を大前提とし、死刑制度廃止の是非につ
いても検討をすべきである。
(4)子どもの権利と子どもの発達を保障する。
子どもを独立した人格の担い手として認め、「人間の尊厳」の尊重の観点から、その
権利を明記する。また、「人間の尊厳」の尊重の基盤としての「教育への権利」を明確
にし、良好な家庭的環境で成長するための施策も含め「国及び地方公共団体並びに保
護者、地域等の教育に関する責務ないし責任」を明確にする。
(5)外国人の人権を保障する。
「人間の尊厳」の尊重はすべての人びとに保障されるとの観点に立ち、外国人の人
権及び庇護権と難民の権利を憲法上明確にする。また、公的社会への参画の権利等に
ついて検討する。
(6)信教の自由を確保し、政教分離の原則を厳格に維持する。
信教の自由を「人間の尊厳」の保障に係るものとして位置づけ、かつ宗教団体と政
党との関係、公の機関と宗教的活動との関係などに関して政教分離の厳格な規定を設
ける。
(7)あらゆる差別をなくす規定を検討する。
「差別」は「人間の尊厳」を侵害するものである故に、「差別」はしてはならない。
日本では、法律のレベルにおいても「差別」に対する厳格な規定をするものがあまり
なく、このため人権保障が形骸化しているケースも少なくない。実質的な人権保障が
できるよう、憲法上の規定のあり方を検討すべきである。
(8)人権保障のための第三者機関を設置する。
人権侵害の状況に対する不断の監視と、人権の実現のためのサポートシステムとし
て独立性の高い国内人権保障機関の設置を憲法上明確にする。
2.「共同の責務」を果たす社会へ向かう
権利だけで社会は維持できないが、だからと言って、「義務」を強調することで社会
の統合力が高まるわけでもない。「納税の義務」「法に従う義務」などが法的拘束力の
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有する「義務」として、一般に挙げられる。しかし、環境保全の場合のような社会的
広がりを持つ社会共通の切実な課題については、国、地方公共団体、企業その他の中
間団体、および家族・コミュニティや個人の協力がなければ達成し得ないものである。
われわれは、これらの課題に挑戦するものとして、国民の義務という概念に代えて、
「共同の責務」という考えを提示したいと考える。いま、地域(国)や世代の対立を超え
て、人権あるいは環境についてこれを良好に維持する「責務」を「共同」で果たし、
互いに権利を思いやりながら暮らしていける社会の実現を目指すものである。
それはまた、<国家と個人の対立>や<社会と個人の対立>を前提に個人の権利を
位置づける考えに立つのではなく、国家と社会と個人の協力の総和が「人間の尊厳」
を保障することを改めて確認する。
(1)環境優先の思想を宣言する。
より環境を重視するとの観点に立ち、憲法において「地球環境」保全及び「環境優
先」の思想について言及することが望ましい。
(2)人権・環境の維持向上のための「共同の責務」を果たすことから始める。
自然環境の維持・向上は、個人の権利としては馴染みがたく、かつ個人や行政の義
務だけでも果たし得ない。国・企業その他の中間団体並びに家族やコミュニティ及び
国民の「責務」を同時に明確にする。
(3)現在生きる人の利害だけでなく、将来の人々に対する責務も果たす。
世代間の負担の公平を確保し、優れた自然や環境を将来世代へ引き継ぐことの責務
を明らかにして、目先の利害に囚われることなく、「未来への責任」を果たしていくこ
とを明確にする。
(4)公共のための財産権の制約を明確にする。
財産権の見直しを行い、土地資源や自然エネルギー資源、公共的な価値を認めて利
用と処分についての制限を設ける。例えば、都市景観については、適正な制限の下に
調和した土地利用がなされる必要がある。これによって、良好な共同資源の維持の責
務を果たすことができるようにする。なお、憲法において、適正手続の明確化と判例
において曖昧に用いられてきた「正当な補償の下に」という文言の明確化を行い、制
約基準を明確にする。
(5)曖昧な「公共の福祉」を再定義する。
日本社会では、国際人権規約委員会が指摘している通り、「公共の福祉」概念が曖昧
であり、それが人権制約にかかる恣意的解釈を許している。現行憲法に関して言えば、
そもそも、自由権から財産権まで、質の異なる基本権について「公共の福祉」という
同一の用語でもって何らかの制限を課そうとするところに無理があると思われる。個
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人の自由で自律的な人生選択にかかわる基底的な基本権とその他の基本権とを区分し、
その区分に基づいて「公共の福祉」について再定義する必要がある。
すなわち、人権の制約原理としての「公共の福祉」概念については、人権相互の調
整原理と、社会的価値の実現もしくは確保のための「公共の福祉」とを明確に区分し
て再検討する。内面的自由の確保を核とする自由権に対する制約は、これを人権相互
の調整の必要の範囲内でのことに限定し、より厳格な審査基準を設けて公権力による
恣意性を一切排除する必要がある。これに対して、例えば、経済活動に関する権利の
ような社会的権利については、公共目的による「合理的な」制約を認めることも原理
的に可能とすべきである。また特に、財産権に関連し、その財産の性質によっては「公
共の福祉」に服すべき場合がより強く想定されるものについて、その制約原理や基準
を憲法上明確にすることが必要である。
3.情報社会と価値意識の変化に対応する「新しい人権」を確立する
日本国憲法は人権に関する優れた規定を設けている。しかし、急激な社会変化や価
値観の変容に伴い、憲法制定時には予想していなかった権利や利益を保障することの
必要が指摘されるに至っている。21 世紀の新たな時代に求められる「新しい権利」の
構築と憲法上の位置づけについて整理すべきである。とりわけ、高度情報社会にとも
なう社会変動に対応するため、「人間の尊厳」の維持にとって不可欠な権利の確立が求
められており、権利に関する創造的な思考に基づき、新たな提言を行う。
(1)国民の「知る権利」を位置づける。
国民の「知る権利」を憲法上の権利とし、行政機関や公共性を有する団体に対する情
報アクセス権を明確にする。
(2)情報社会に対応するプライバシー権を確立する。
従来「プライバシーの権利」として扱われてきた権利問題も、伝統的なプライバシ
ーの観点からでは捉えきれない新たな問題を提起している。とりわけ、自己情報保護
の観点からの再整理を行い、その権利性を明確にする必要がある。
(3)情報社会におけるリテラシー(読み解く能力)を確保し、対話の権利を保障する。
人は誰でも、コミュニケーションの主体として尊重かつ保障され、他者との交信・
協働が支援される権利を有するという意味の「対話する権利」なるものを組み立てる。
具体的に、現行の行政手続法との関連を踏まえて、行政に対する回答請求権を確立し
て、対話する権利を保障することなどを検討する。同時に、情報リテラシー問題の発
生や生涯学習社会の到来に対応し、人間の潜在能力の開発を支援することを国の責務
とする、「学習権」の概念を確立し、それを明確にする。
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(4)勤労の権利を再定義し、国や社会の責務を明確にする。
価値観、ライフスタイルの多様化を受けて、「労働の権利」及び「職業選択の自由」
の再定義を行う。とりわけ、個々人の職業選択の自由を具現化するための自由な労働
市場の確保、職業訓練機会の保障などに関する国及び企業等の責務を明確にする。
また、報酬を得て行う労働ばかりでなく、無償労働(アンペイドワーク、ボランティ
ア活動)への参加の保障を憲法上、明確にすべきである。
(5)知的財産権を憲法上明確にする。
高度情報化社会により情報の流通が多元化・複雑化している現在、新たな検討課題
として、「知的財産権」を整備する必要がある。知的財産権には、著作上・芸術上の財
産権のほか、広く特許権や商標権などを含む考えもある。こうした知的財産権も含め
て憲法上、明確にしていくべきである。
4.国際人権保障の確立
今日、人権の実現と保障は「国際社会の共通の利益」と認識されており、日本にお
ける人権保障もまた、憲法とともに国際人権規範によって支えられている。国連憲章
は「人権と基本的自由を尊重するよう助長すること」を国際連合の目的として掲げて
いる。また、この目的の実現のために加盟国が国連と協力して共同及び個別の行動を
とることを求めている。そして、そのもとに国連人権委員会を設置して、世界人権宣
言を起草し、国際人権規約を作成した。日本における人権保障もこうした国際規範の
発展とともに展開されている。未批准のまま放置することなく、国際条約に対応する
国内措置を迅速に執ることを通じて、国際基準に見合った人権保障体制を確立する必
要がある。
(1)「国際人権規範」の尊重を明確に謳う。
憲法の中の司法に関する項に、「国際人権法」等の尊重を明確にする。
(2)国際人権規範に対応する国内措置を義務づける。
憲法の最高法規及び条約に関する項に、国際条約の尊重・遵守義務に加えて、それ
に対応する「適切な国内措置」を講ずる義務を明確にする。
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4.多様性に満ちた分権社会の実現に向けて
1.分権社会の創造に向けた基本的考え
現行憲法は、政治的民主化の一環として地方自治について4か条の原則的規定を定
めた。しかし、その後も戦前と同様の機関委任事務制度が長く続いたことをはじめと
して、自治体の組織・運営・財政の全般にわたって国の法律によるがんじがらめの統
制が行われてきた。また、大半の地方自治体関係者もこれに甘んじてきたこと、中央
政府が自らの事務や権限を一貫して肥大させ続けてきたことなどが、真の意味での地
方自治の定着や自治の文化の形成を妨げてきた。これよって、中央集権と画一主義の
弊害が強まり、いまや「分権改革」を求める声が国民世論ともなっている。
中央集権的な行政の形と政策展開は見直すべきである。地域自らの創意工夫が活か
せる仕組みをつくり出し、中央政府を地域の多様な自治体活動をサポートするものに
していくべきである。また、地方に色々な補助金を配分することに多くの人材を投入
することは改めるべきである。中央政府は、自治体の箸の上げ下げまで指示するよう
な管理はやめて、中央政府でしかなしえない仕事に人材も財源も傾斜配分していくべ
きである。
1985 年に制定され、現在ではヨーロッパの 30 か国もの国が批准しているヨーロッ
パ自治憲章には、「公的部門が負うべき責務は、原則として、最も市民に身近な公共団
体が優先的にこれを執行するものとする」という補完性の原理・近接の原理を謳って
いる。コミュニティでできないことを基礎自治体で、基礎自治体でできないことを広
域自治体で、広域自治体でできないことを国で、という補完性の原理を憲法原則とし
て採用し、中央政府(国)と地方政府(自治体)の関係を構想する。
2.「補完性の原理」に基づく分権型国家へと転換する
連邦制はとらず単一国家を前提とする。国と地方の役割分担を明確にし、中央政府
は外交・安全保障、全国的な治安の維持、社会保障制度など国が本来果たすべき役割
を重点的に担う一方、住民に身近な行政は優先的に基礎自治体に配分する。「補完性の
原理」の考え方に基づき、国と基礎自治体、広域自治体の権限配分を憲法上明確にする
とともに、基礎自治体ではなしえない業務や権限は、都道府県ないし道州に相当する
広域自治体が担当する。国あるいは広域自治体による自治権侵害の司法的救済は、最
終的には憲法裁判所が「補完性の原理」を裁判規範として審査するものとする。
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3.自治体の立法権限を強化する
これまで、特にまちづくりや環境保全などの分野で、国の法令に対する自治体の「上
乗せ・横出し条例」が認められるかどうかなど、条例制定権の限界がしばしば争われ
てきたところであるが、自治体の組織および運営に関する事項や、自治体が主体とな
って実施する事務については、当該自治体に専属的あるいは優先的な立法権限を憲法
上保障する。中央政府は、自治体の専属的立法分野については立法権を持たず、自治
体の優先的立法分野については大綱的な基準を定める立法のみ許される。
4.住民自治に根ざす多様な自治体のあり方を認める
自治体の組織・運営のあり方は自治体自身が決めるという地方自治の本旨に基づき、
基礎自治体、広域自治体において、首長と議会が直接選挙で選ばれるという二元代表
制度の採否を自治体が選択できる余地を憲法上認める。これまでの二元代表制だけで
なく、議院内閣制あるいは「執行委員会制」「支配人制」など多様な組織形態の採用、
住民投票制度の積極的活用なども可能となる。
5.財政自治権・課税自主権・新たな財政調整制度を確立する
地方自治体が自らの事務・事業を適切に遂行できるよう、その課税自主権・財政自
治権を憲法上保障し、必要な財源を自らの責任と判断で確保できるようにする。課税
自主権は、各自治体が自らにふさわしいと考える税目・税率の決定権を含む。自治体
の財政的自立を支えるものとして、現在の地方交付税制度に代えて、新たな水平的財
政調整制度を創設する。
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5.より確かな安全保障の枠組みを形成するために
1.民主党の基本的考え
①憲法の根本規範としての平和主義を基調とする
そもそも日本国憲法は、国連憲章とそれに基づく集団安全保障体制を前提としてい
る。そのうえで、日本は、憲法 9 条を介して、一国による武力の行使を原則禁止した
国連憲章の精神に照らし、徹底した平和主義を宣明している。
日本国は、国連の集団安全保障が十分に機能することを願い、その実現のために常
に努力することを希求した。そして日本国憲法は、その精神において、「自衛権」の名
のもとに武力を無制約に行使した歴史的反省に立ち、その自衛権の行使についても原
理的に禁止するに等しい厳格な規定を設けている。
このため、自衛権の行使はもとより、国連が主導する集団安全保障活動への関与の
あり方について、不断に強い議論に晒されてきた。しかし、どのような議論を経たに
せよ、わが国の憲法が拠って立つ根本規範の重要な柱の一つである「平和主義」につ
いては、深く国民生活に根付いており、平和国家日本の形を国民及び海外に表明する
ものとして今後も引き継ぐべきである。「平和を享受する日本」から「平和を創り出す
新しい日本」へ、すなわち「平和創造国家」へと大きく転換していくことが重要であ
る。
②憲法の「空洞化」を許さず、より確かな平和主義の確立に向けて前進する
国際平和の確立と日本の平和主義の実現のために、いま、もっとも危険なことは歯
止めのない解釈改憲による憲法の「空洞化」であり、国際社会との積極的な協調のた
めの努力をあいまいにし続ける思想態度である。民主党は、その二つの弊害を繰り替
えしてきたこれまでの内閣法制局を中心とする、辻褄合わせの憲法解釈にとらわれる
ことなく、わが国のより確かな平和主義の道を確立し、国際社会にも広く貢献して、
世界やアジア諸国から信頼される国づくりをめざす。
多角的かつ自由闊達な憲法論議を通じて、①「自衛権」に関する曖昧かつご都合主
義的な憲法解釈を認めず、国際法の枠組みに対応したより厳格な「制約された自衛権」
を明確にし、②国際貢献のための枠組みをより確かなものとし、時の政府の恣意的な
解釈による憲法運用に歯止めをかけて、わが国における憲法の定着に取り組んでいく。
併せて、今日の国際社会が求めている「人間の安全保障」についても、わが国の積極
的な役割を明確にしていく。
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2.わが国の安全保障に係る憲法上の四原則・二条件
以上の認識の下、いわゆる憲法九条問題について次の「四原則・二条件」を提示す
る。
(1)わが国の安全保障活動に関する四原則
①戦後日本が培ってきた平和主義の考えに徹する
日本国憲法の「平和主義」は、「主権在民(国民主権)」、「基本的人権の尊重」と並ぶ、
憲法の根本規範である。今後の憲法論議に際しても、この基本精神を土台とし、わが
国のことのみならず、国際社会の平和を脅かすものに対して、国連主導の国際活動と
協調してこれに対処していく姿勢を貫く。
②国連憲章上の「制約された自衛権」について明確にする
先の戦争が「自衛権」の名の下で遂行されたという反省の上に立って、日本国憲法
に「制約された自衛権」を明確にする。すなわち、国連憲章第 51 条に記された「自衛
権」は、国連の集団安全保障活動が作動するまでの間の、緊急避難的な活動に限定さ
れているものである。これは、戦後わが国が培った「専守防衛」の考えに重なるもの
である。これにより、政府の恣意的解釈による自衛権の行使を抑制し、国際法及び憲
法の下の厳格な運用を確立していく。
③国連の集団安全保障活動を明確に位置づける
憲法に何らかの形で、国連が主導する集団安全保障活動への参加を位置づけ、曖昧で恣
意的な解釈を排除し、明確な規定を設ける。これにより、国際連合における正統な意志決
定に基づく安全保障活動とその他の活動を明確に区分し、後者に対しては日本国民の意志
としてこれに参加しないことを明確にする。こうした姿勢に基づき、現状において国連集
団安全保障活動の一環として展開されている国連多国籍軍の活動や国連平和維持活動
(PKO)への参加を可能にする。それらは、その活動の範囲内においては集団安全保障活動
としての武力の行使をも含むものであるが、その関与の程度については日本国が自主的に
選択する。
④「民主的統制」 (シビリアン・コントロール)の考えを明確にする
集団安全保障活動への参加や自衛権の行使にかかる指揮権の明確化をはかる。同時
に、「民主的統制」に関する規定を設けて、緊急時における指揮権の発動手続や国会に
よる承認手続きなど、軍事的組織に関するシビリアン・コントロール機能を確保する。
その従来の考え方は文民統制であったが、今日においては、国民の代表機関である「国
会のチェック機能」を確実にすることが基本でなければならない。
16
(2)わが国において安全保障に係る原則を生かすための二つの条件
①武力の行使については最大限抑制的であること
新たに明記される「自衛権」についても、戦後日本が培ってきた「専守防衛」の考
えに徹し、必要最小限の武力の行使にとどめることが基本でなければいけない。また、
国連主導の集団安全保障活動への参加においても、武力の行使については強い抑制的
姿勢の下に置かれるべきである。そのガイドラインについては、憲法附属法たる安全
保障基本法等に明示される。
②憲法附属法として「安全保障基本法(仮称)」を定めること
広く「人間の安全保障」を含めてわが国の安全保障に関する基本姿勢を明らかにす
るとともに、民主的統制(シビリアン・コントロール)にかかる詳細規定や国連待機部隊
等の具体的な組織整備にかかる規定および緊急事態に係る行動原則など、安全保障に
関する基本的規範を取り込んだ「基本法」を制定する必要がある。この基本法は憲法
附属法としての性格を有するものとして位置づけられる。

[全文引用おわり] 

このエントリー記事の本文は以上です。
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手錠したまま出産を上川陽子法相が止めさせる、「受刑者の親と子だから貴重な時間」と山尾志桜里さん

2015年09月04日 17時35分55秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年9月4日(金)衆議院法務委員会】

 受刑者が出産するとき、病院の分娩室で手錠をかけたまま出産していたのが、上川陽子法相の指示で見直されたことが分かりました。

 一般質疑。

 上川法相は「手錠をして出産分娩するというのは、女性としては考えられないことが行われてきた」としました。

 民主党の山尾志桜里さんは「受刑者の出産について、病院で過ごす、学び、休む時間は大事だと思う。とくに受刑者とその子は、病院で過ごし2~3日間はとても大事な時間だ」としました。

 報道によると、昨年、妊娠8カ月で覚せい剤取締法違反の実刑で収監された受刑者。刑務官から「手錠をしたままだ」と説明を受けたそうです。これを聞いた内縁の夫が「手錠をしないままにしてほしい」と訴えていたところ、結果的に切迫早産で手錠をしないで出産することになったとのこと。

 これを受けて、上川法相が出産分娩時の手錠をしないよう指示し、法務省矯正局が各矯正施設(いわゆる刑務所)に通達しました。
 こんなこと、考えたこともなかったです。

 この後、きのう本会議で審議入りした「外国人技能実習生の保護に関する法律案」(189閣法30号)が趣旨説明されました。もともと、与党国対・内閣は「日切れ」指定していましたが、9月の審議入りになりました。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 「勤労青少年福祉法を改めた、青少年の雇用の促進に関する法律案」 (189閣法50号、参先議)。

 長妻昭さんの質疑で、最低賃金労働者が450万人いることが分かりました。就業者の1割弱が最賃労働者だったんですね。長妻さんは「最賃労働者の生活実態を把握してからの毎年の最賃改定が必要なのではないか」と語りました。最賃法は岸信介内閣で成立していることから、安倍首相の思い入れは強く、各県別で十数円台のアップが続いています。これも考えたこともなかったですが、現在1割弱が最賃労働者。これは、戦後の浅草のハローワークでは午前9時に開き、午前9時1分にしまる、日雇い労働、いわゆるニコヨン(百円玉2つの十円玉4つ=当時の東京都の最賃240円)がありました。豊かな国アメリカでも最賃労働者は多い傾向にあり、経済というより社会構造、国となりも関係します。

 民主党2009マニフェストの「最賃1000円」は全く世論にならなかったような印象がありますが、やはり、名目ベースで、最賃は全国どこでも、1時間850円以上はないといけないように、肌感覚で持ちます。

 西村智奈美さんは「ブラックバイト、ブラック企業を取り締まるために、私が厚労副大臣時代に、文科省に学習指導要領に労働関係の法令を学ぶ機会をつくってくれないかとかけあった」とし、検討状況をただしました。これに対して、自民党の丹羽秀樹文部科学副大臣は「中教審(中央教育審議会)で検討している」としました。

 なお、この答弁中「雇用について学ぶ機会」と語っていました。雇用とは民法の言葉ですが、経営者目線。福田康夫内閣の2008年労働契約法成立以降は、「労働契約」という言い方をすることにしており、自民党政権の経営者目線が垣間見られました。

 討論無しで採決され、全会一致で可決。散会しました。 

【同日 参議院議院運営委員会】

 本会議の手はずなどを審議したと思われます。ネット中継はありません。

【同日 参議院本会議】

 「ドローン規制の改正航空法(189閣法75号)」が投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決し、成立しました。公布から3か月以内に施行。

 「内閣官房と内閣府のスリム化の改正国家行政組織法」(189閣法54号)は、投票総数232、賛成217、反対15の共反対、自公民維賛成で可決し成立しました。平成28年206年4月1日(金)施行。平成24年2012年11月2日(金)に野田内閣が藤村官房長官と岡田行革相が主導して閣議決定した「内閣官房および内閣府の本来の機能を向上させるための事務分担の見直しの基本方針」にもとづく検討結果を落とし込んだ法律です。

【同日 法律公布】

 「改正農協法・農業委員会法」が平成27年9月4日法律63号として公布されました。来年4月1日(金)施行。国会では議案番号189閣法71号として、民共反対・自公維賛成多数で衆修正のうえ可決し成立していました。

 「女性の職業生活における活躍の推進法」が平成27年9月4日法律64号として公布され、ただちに施行しました。事業主行動計画は来年4月1日(金)施行。189閣法8号でした。

 なお、いつもは法律と条約の公布しか書いていませんが、きょうのエントリー記事では、政令の公布もご紹介します。

 改正公職選挙法(平成27年6月19日法律43号)により、「公職選挙法施行令を改正する政令」を天皇陛下が平成27年9月4日政令317号として公布なさいました。参院選の合区(合同選挙区)の選挙管理委員の第三セクター役員との兼業について、基準を示したようです。 

【同日 参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 午後1時から、政府提出の「2015年日米防衛協力のガイドラインと国内実施の安保2法案」(189閣法72号、189閣法73号)と維新対案5法案(189参法16号から20号まで)の合計7本が議題になりました。中谷防衛相、岸田外相のほか、維新の党の小野次郎さん、柴田巧(しばた・こう)さんも答弁しました。

 社民党の吉田忠智さんは「きょうのここまでの審議を聞いた印象だ」として「民主党の小西洋之さんの度重なる憲法解釈の質問について、政府は同じ答弁を繰り返して、まったく答えていない」と語りました。統合幕僚長の証人喚問を要求。

 これとは別に、昨日の朝日新聞で、山口繁・元最高裁判所長官が閣議決定や法案を憲法違反だと断じました。元最高裁裁判官で、職業裁判官出身者の違憲明言はこれが初めて。ぜひ、山口繁さんに参考人としての話を聞いてみたいですね。

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労働者派遣法改悪案で「総理、見苦しいよ!」津田弥太郎さん、首相入り質疑 参・厚労委など

2015年09月03日 17時28分05秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年9月3日(木) 参議院厚生労働委員会】

 「労働者派遣法改悪法案」(189閣法43号)の総理入り質疑がありました。きょう採決しない条件での開催だったようです。

 安倍晋三首相の後ろには、たくさんの傍聴者がひしめきました。

 自民党の羽生田俊さんは「すべて許可制にすべきだ」とし、今次改正法案で特定派遣業を届け出制から許可制にすることを正当化しました。自民党の質疑は5分で終わりました。

 民主党の津田弥太郎さんは、自民党政府が派遣労働者のためになるとの詭弁を繰り返していることについて、「派遣労働者がこの法改正をのぞんでいるのか」と問うと、安倍首相は「公労使(三者構成)の労政審で決めたものだ」と答えると、津田さんは「総理、見苦しいよ!大勢の中でどう見られているのか。総理自身が当事者の意見を一人も聞いていない」と語りました。


[画像]安倍晋三首相・自民党総裁(左側の1列目の中央に着席)に質問する民主党の津田弥太郎さん(右、起立)、2015年9月3日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 派遣社員の勘定費目を「物件費」としている企業が一部あるとの指摘について、安倍首相は「人材派遣費にするよう、厚生労働大臣が経済団体に指導する」と明言しました。

 津田さんは「私はわが国が派遣社員をつくる国になっていなってほしくない。必要最低限にしてほしい。正社員で雇用しろ」と語りました。

 午後3時からは、「漏れた年金」の一般質疑があり、たびたび審議がストップしました。

【平成27年2015年9月3日(木)衆議院本会議】

●改正マイナンバー法が成立ーー回付案が衆本で。

 「改正マイナンバーおよび改正個人情報保護法」(189閣法34号)が参議院で修正されたので、回付されました。「漏れた年金」を受けて、日本年金機構をマイナンバーから当分外す修正です。全会一致で回付案に賛成し、成立しました。施行は2年以内。

 今国会での衆先議、参修正、衆回付による、法律の成立は、これで3本目。異例の多さとなっています。会期内にもう数本あるかも?

 本会議ではこの後、

 「確定拠出年金法改正案」(189閣法70号)は共産党の反対、自民党、公明党、民主党、維新の党の賛成多数で可決し、参に送られました。

 「日本カザフスタン投資協定条約」(189条約8号)
 「日本ウクライナ投資協定条約」(189条約9号)
 「日本ウルグアイ投資協定条約」(189条約10号)
 「日本カタール租税協定条約」の(189条約11号)

 の承認を求める件は、共反対、自公民維の賛成多数で承認し、参に送られました。

 「日本ルクセンブルク社会保障協定条約」(189条約12号)

 は、全会一致で承認され、参に送られました。

 「琵琶湖の保全および再生に関する法律案」(189衆法35号)が採決され、全会一致で可決し、参に送られました。

 「PFI法改正案」(189閣法55号)は共反対、自公民維の賛成多数で可決し、参に送られました。担当大臣は甘利大臣。

 「6独法を2独法に統合する、農水省設置法改正案」(189閣法32号)は共反対、自公民維賛成多数で参に送られました。案文の施行日は来月1日に迫っていますが、会期内に成立する見通し。

 そして、別エントリーにすで書きましたが、「公認心理師法案」(189衆法38号)は全会一致で可決し、参に送られました。

 この後、趣旨説明と代表質問。

 「外国人技能実習生の適正な実施と保護に関する法律案」(189閣法30号)

 この法案は政府から3月6日(金)に提出されており、半年たってから審議入りするという、大延長国会(295日間)にふさわしい展開となりました。

 民主党の鈴木貴子さん、維新の党の重徳和彦さん、共産党の畑野君枝さんが質疑し、上川法相、塩崎厚労相、岸田外相らが答弁しました。

【同日 衆議院原子力問題調査特別委員会】

 東京電力の広瀬代表取締役を呼んで、一般質疑がありました。

 菅直人さんが質問。

 広瀬代表取締役は、平成23年2011年3月11日(月)の午後2時46分の東北太平洋沖地震(東日本大震災)のあと、東京電力福島第一原子力発電所は「3時間半後にメルトダウン、炉心溶融していた」と答弁しました。事態の官邸への連絡の不備について、菅さん(当時首相)に問われると、「東電が事実を知ったのは5月だった」とし、計算に時間がかかったという能天気ぶりを発揮しました。

【同日 衆議院議院運営委員会】

 本会議の手はずを確認しました。

【同日 参議院内閣委員会】

 「内閣官房・内閣府のスリム化のための国家行政組織法改正案」(189閣法54号)が審査されました。

 民主党第1次与党期の平成24年2012年11月2日の閣議決定にもとづく、内閣官房・内閣府の整理プログラム。

 当時、岡田克也前副総理(内閣府の行政改革担当大臣兼務)の下で、担当副大臣として総選挙での大臣不在を守った、藤本祐司さんが質疑。

 「岡田大臣から稲田朋美大臣への引き継ぎ事項だったが稲田大臣は法案を閣議決定しなかった」と問うと、有村、赤澤正副大臣は「稲田大臣は問題意識を持っていたことは、当時の発言で分かる」という趣旨の答弁をしました。

 討論では、共産党の山下芳生書記局長(参議院議員団長)が反対討論。賛否はいいのですが、「NSC(国家安全保障局)やTPP本部など官邸主導で戦争立法や自由貿易がすすんでいる」と指摘。この法案は内閣官房のスリム化を主眼にしているので違和感がありました。

 それはさておき、共反対、自公民維の賛成で可決。次の本会議で成立する見通し。来年度スタートの28年4月1日(金)施行。

 大島九州男委員長が取り仕切りました。

【同日 参議院国土交通委員会】

 「ドローンを規制する航空法改正案」(189閣法75号)が全会一致で可決しました。次の本会議で成立。3か月以内に施行。

 広田一委員長が取り仕切りました。

【同日 参議院経済産業委員会】

 一般質疑がありました。

 吉川沙織委員長が取り仕切りました。

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