民主党代表の岡田克也さんは、平成27年2015年9月11日(金)の定例記者会見で、労働者派遣法を再改正する考えに言及しました。
民主党政権時の2012年改正法は、(1)製造業日雇いスポット派遣の即時禁止と(2)違法派遣の正規雇用へのみなし労働契約の2015年10月1日の発動ーーが盛り込まれました。
これが、2015年改正法で(1)みなし労働契約プログラムの削除(2)期間制限の撤廃ーーがされました。
岡田さんは「派遣法を運用していく中で、国会の長い審議のなかで様々な答弁や附帯決議があり、それが反映されていくか、我が党として努力したい」として、国政調査をしていく考えを明示しました。
そのうえで、「将来的にもう一回改正したい」 としました。
具体的には、2015年改正法のうち、「正社員ゼロ法」と呼ばれる、社内で部署をかえれば、2年を超えて何年でも雇用し続ける、「常用代替」の部分を削除することになるとみられます。すでに違法派遣のみなし労働契約を危惧した雇い止めが発生しているとされています。今後は、正社員ゼロ部分、常用代替の調査を続け、次回の改正で削除していくように党内での検討を続けるものとみられます。
その骨組みは、参議院厚生労働委員会が民主党のみならず、自民党と公明党も賛成して採択した附帯決議になるとみられます。
以下、附帯決議を全文コピーアンドペーストします。
[参議院ウェブサイトから引用はじめ]
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する
法律案に対する附帯決議
平成二十七年九月八日
参議院厚生労働委員会
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、労働者派遣法の原則について
1派遣就業は臨時的・一時的なものであるべきとの基本原則については本法施行後も変わらないことに
十分留意し、かつ、派遣労働が企業にとって単純な労働コストの削減や雇用責任の回避のために利用さ
れてはならないことを再確認し、労働者派遣法の規定の運用に当たること。また、労働者派遣法の根本
原則である常用代替の防止は、派遣労働者が現に派遣先で就労している常用雇用労働者を代替すること
を防止するだけでなく、派遣先の常用雇用労働者の雇用の機会が不当に狭められることを防止すること
を含むものであり、このことに十分留意し、労働者派遣法の規定の運用に当たること。特に、派遣先が
派遣労働者を受け入れたことによりその雇用する労働者を解雇することは常用代替そのものであり、派
遣労働の利用の在り方として適当でない旨を周知すること。
2直接雇用が労働政策上の原則であることに鑑み、正社員として働くことを希望している派遣労働者に
正社員化の機会が与えられるよう、派遣元事業主と派遣先のそれぞれに派遣労働者の正社員化に向けた
取組を講じさせることや、国として派遣労働者の正社員化を促進する取組を支援する具体的措置を実施
することなどを含め最大限努力すること。その際、派遣労働者からの転換を目指すべき正社員とは、労
働契約の期間の定めがなく、所定労働時間がフルタイムであり、直接雇用の労働者であることが原則で
あること、加えて、長期的な雇用に基づく処遇体系の下にある労働者であることが求められることに留
意すること。また、短時間労働者、有期雇用労働者等の非正規雇用労働者についても、労働者の意向に
沿って、正社員化の機会が与えられるよう最大限努力すること。
二、労働者派遣事業について
1特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業との区分を撤廃し、全ての労働者派遣事業を許可制とする
に当たっては、派遣業界全体の健全化、派遣労働者の実効性ある保護につながるような許可基準に見直
すこと。派遣労働者の基本的権利や労働者としての尊厳、更には正当な労働の対価の支払や雇用の安定
を無視して利益確保に走るような派遣元事業主が業界から排除されるよう許可制を適切かつ確実に運用
すること。また、全面許可制への移行に伴い増大する許可・更新手続、相談・申告対応、指導監督等を
適切に実施する体制の確保が必要であることから、都道府県労働局の需給調整業務に係る組織体制の拡
充、需給調整指導官の必要な人員増及びその専門スキルの向上を図るための研修の実施等に努めるこ
と。
2労働者派遣事業の許可に当たっては、事業運営の実績等がない中で書面による審査にならざるを得な
いこと等に鑑み、最初の許可更新の際に、当該更新を受けようとする派遣元事業主が許可基準を満たし
ていることを労働政策審議会に報告することとし、その効果を検証した上で、初回の許可の有効期間で
ある三年を短縮することについても検討すること。
3現在、届出のみで特定労働者派遣事業を営んでいる小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置を検討
するに当たっては、労働政策審議会における議論を踏まえ、優良な小規模派遣元事業主が不当に排除さ
れることがないよう配慮しつつも、許可基準が派遣元事業主の雇用責任を担保するために果たしている
役割に十分留意するとともに、当該配慮措置の期間が必要以上とならないよう留意すること。また、派
遣元事業主として派遣労働者保護の責任等を適正に履行することができる優良な小規模派遣元事業主が
新制度に移行できるよう、事業主からの技術的かつ財政的な面での相談に応じるなどの必要な支援を行
うこと。その上で、本法施行後に事業の許可を受けずに廃業する派遣元事業主に雇用されている派遣労
働者については、その生活及び雇用の安定を図るための方策を講ずるよう努めること。
4派遣労働者の保護等を適正に実施する派遣元事業主を優遇し、優良な派遣元事業主を育成するため、
認定制度の活用促進策について具体的な検討を行い、早急に実施すること。あわせて、法令違反を繰り
返す派遣元事業主に対しては、厳正なる指導監督の強化、許可の取消しを含めた処分の徹底を行うとと
もに、企業名の公表についても検討すること。
5マージン率については、派遣労働者保護の観点から社会通念上適切な範囲があると考えられることに
鑑み、その規制の在り方について検討すること。また、マージン率の関係者への情報提供に当たって
は、平成二十四年改正法の立法趣旨を踏まえ、常時インターネットにより広く関係者とりわけ派遣労働
者に必要な情報が提供される方法で情報提供を行うことを原則とする旨を派遣元指針に規定すること。
6無許可で労働者派遣事業を行う事業主に対しては、許可の取消し等の措置を採ることができないこと
に鑑み、行政による刑事告発を行うことも視野に、指導監督に万全を期すこと。また、企業名の公表等
について検討すること。
三、期間制限について
1新たに期間制限が掛かることとなる二十六業務に現に従事する派遣労働者について、本法の施行を理
由とした労働契約の更新拒絶の動きがあることに鑑み、労働契約法第十八条及び第十九条の趣旨の派遣
元事業主への周知、不当な更新拒絶を行わないための関係団体への要請、無期雇用派遣労働者への転換
支援、当該派遣労働者への相談支援及び就業継続支援体制の整備等、当該派遣労働者の雇用の安定化の
ための措置を早急に講ずること。さらに、施行日前に締結された労働者派遣契約に基づき行われる労働
者派遣については、派遣労働者の保護に欠けることのないよう、本法施行前の第四十条の四の規定等に
基づく指導・助言を徹底するとともに、それに従わない派遣先に対しては勧告や公表も含め、厳しく対
処すること。
2無期雇用派遣労働者を派遣契約の終了のみを理由として解雇してはならない旨を派遣元指針及び許可
基準に規定し、事業の許可及びその更新の審査段階等において必要な指導等を行うことができるように
すること。さらに、その旨を許可の条件とし、これに違反した派遣元事業主の許可の取消しを行うこと
ができるようにすること。また、有期雇用派遣労働者についても、派遣契約終了時に労働契約が存続し
ている派遣労働者については、派遣契約の終了のみを理由として解雇してはならない旨を派遣元指針に
明記すること。
3クーリング期間経過後、派遣労働者の意向に反し、再び同一の組織単位の業務に派遣することは派遣
労働者のキャリアアップの観点から望ましくない旨を派遣元指針に規定すること。また、派遣労働の利
用は臨時的・一時的なものが原則であることから、その利用は三年以内が原則であることを明らかにす
ること。特に、派遣先が派遣可能期間の延長の是非を判断するに当たっては、必ず過半数労働組合等か
らの意見聴取を実施し、この原則を尊重すべきであることを周知徹底すること。また、派遣先による対
応方針の説明等は労使自治の考え方に基づく実質的な話合いができる仕組みの構築が目的であることを
併せて周知すること。なお、過半数労働組合等からの意見聴取手続の適正かつ効果的な運用が常用代替
防止のために重要な役割を果たすことに鑑み、過半数労働組合等が的確な意見を述べられるよう、事業
所全体で受け入れた派遣労働者数の推移のほか、過半数労働組合等からの求めに応じ、部署ごとの派遣
労働者数及び派遣受入れ期間等の情報が派遣先から提供されることが望ましい旨を派遣先指針に規定
し、周知徹底を図ること。さらに、国として過半数労働組合のある事業所の割合、意見聴取において過
半数労働組合等から反対意見が出された割合及びその内容等の実態を把握するための調査及び分析を行
うこと。なお、最初の派遣労働者の受入れに当たっては、過半数労働組合等にその受入れの考え方につ
いて説明することが望ましいことを周知すること。
4改正後の第四十条の二第四項の規定に基づき、過半数代表者から意見聴取を行うときには、過半数代
表者が管理監督者である場合、投票、挙手等の民主的な方法によらず使用者の指名等の非民主的・恣意
的方法により選出されたものである場合等については、意見聴取手続が適正でないと判断されることに
鑑み、過半数代表者の適正かつ民主的な選出について、厳正な確認、必要な指導等を行うこと。また、
労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正
当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないことを省令で定め、その違反に対し
ては厳正に対処すること。その状況によっては、不利益取扱いに関する規制の在り方について検討する
こと。さらに、意見を聴取した過半数代表者が民主的な方法により選出されたものではない場合につい
ては、事実上意見聴取が行われていないものと同視して、労働契約申込みみなし制度の対象とするこ
と。なお、派遣先が意見聴取の過程及び結果並びに対応方針等の説明の内容について故意に記録せず又
は記録を破棄した場合、意見聴取に当たり合理的な意見表明が可能となるような資料が派遣先から提供
されない場合等については、法の趣旨に照らして不適当であることから、厳正に対処すること。
5意見聴取手続において過半数労働組合等から反対意見が述べられた場合、派遣先は十分その意見を尊
重するよう努めるべきであり、当該意見への対応方針を説明するに際しては、当該意見を勘案して労働
者派遣の役務の提供の受入れについて再検討を加えること等により、過半数労働組合等の意見を十分に
尊重するよう努めるべき旨を派遣先指針に規定すること。さらに、二回目以降の延長に係る意見聴取に
おいて、再度反対意見が述べられた場合については、当該意見を十分に尊重し、受入れ人数の削減等の
対応方針を採ることを検討し、その結論をより一層丁寧に説明しなければならない旨を派遣先指針に明
記すること。
6派遣可能期間の延長手続を回避することを目的として、クーリング期間を置いて再度派遣労働の受入
れを再開するような、実質的に派遣労働の受入れを継続する行為は、過半数労働組合等からの意見を聴
取しなければ三年を超えて派遣労働を受け入れてはならないとした立法趣旨に反する旨を派遣先指針に
規定すること。
四、雇用安定措置について
1雇用安定措置として講ずる内容について記載した労働契約のひな形を作成し周知すること。また、雇
用安定措置のうちいずれの措置を講ずるかについては派遣労働者の意向を尊重することが重要である
旨、特に派遣労働者が派遣先への直接雇用を望んでいる場合には直接雇用につながる措置を採ることが
望ましい旨、及びキャリア・コンサルティングや労働契約の更新の際の面談等の機会を通じてあらかじ
め派遣労働者の意向を確認し、早期に雇用安定措置の履行に着手すべきである旨を派遣元指針に規定す
ること。また、派遣元事業主が行う派遣先に対する直接雇用の申込みの依頼は書面の交付等により行う
ことが望ましいことを周知すること。さらに、改正後の第三十条第二項の雇用安定措置の対象となる派
遣労働者については、派遣元事業主によって当該義務が適切に履行されるか、当該派遣労働者が希望し
なくなるまでその効力が失われないことを周知徹底するとともに、義務を履行せずに労働契約が終了し
た場合であっても、同条第一項第四号の規定により、労働契約を継続して有給で雇用の安定を図るため
に必要な措置を講ずること等を通じて、その義務を履行しなければならないことについて、確実に周知
徹底すること。
2派遣元事業主と通算して一年以上の労働契約を結んでいた派遣労働者については、派遣契約の期間に
かかわらず、雇用安定措置の対象となることを派遣元事業主及び派遣労働者に周知徹底し、雇用安定措
置の適正かつ効果的な運用を担保すること。さらに、雇用安定措置については、派遣労働者の年齢や業
務等によってその雇用の継続が困難な場合も含め、派遣元事業主の履行を確保するよう厳正な指導等を
行うこと。
3雇用安定措置の実効性ある実施が派遣労働者の保護の観点から最も重要であることに鑑み、派遣元事
業主が個々の派遣労働者に対して実施した雇用安定措置については、その内容を派遣元管理台帳に記載
することで、派遣労働者に対するキャリア・コンサルティングや雇用安定措置に係る派遣労働者の意向
の確認等にも積極的に活用するよう、派遣元事業主に対して指導すること。なお、派遣先に対して行っ
た直接雇用の依頼については、派遣先からの受入れの可否についても併せて派遣元管理台帳に記載させ
ること。
4雇用安定措置の真に実効性ある実施により労働契約法第十八条の無期転換申込権を得ることのできる
派遣労働者を拡大することが、派遣労働の中では比較的安定的な無期雇用派遣労働者への転換を望む派
遣労働者の希望をかなえることにつながることから、改めて同法第十八条の立法趣旨を派遣元事業主に
周知徹底するとともに、その適用を意図的・恣意的に逃れる行為は同法第十八条の観点から脱法行為で
ある旨を派遣元指針に規定すること。また、派遣元事業主が繰り返し派遣期間三年直前で派遣就業を終
了させ、又は意図的に三年見込みに達しないように派遣契約を調整することにより雇用安定措置の義務
逃れをすることは、雇用安定措置の立法趣旨に反する旨を派遣元指針に規定すること。さらに、そのよ
うな雇用安定措置の義務逃れをする派遣元事業主について繰り返し指導を行っても改善しない場合、事
業許可の更新を認めない旨を許可基準に盛り込み、派遣元事業主の事業許可の更新を認めないこと。
5雇用安定措置のうち、派遣先への直接雇用の依頼については、直接雇用の依頼を受けた件数に対して
派遣先が直接雇用した人数が著しく少ない場合については、派遣先に対してその理由を聴取し直接雇用
化の推進に向けた助言・指導を行うものとすること。また、新たな派遣先の提供については、業務の内
容や福利厚生等に係る就業の条件について、特に賃金、就業場所、通勤時間等に関して合理的と認めら
れる目安を定め周知すること。
五、派遣労働者の待遇について
1均衡を考慮した待遇を確保するため、派遣元事業主が派遣労働者の賞与や退職金等を含む賃金を決定
するに当たって考慮し、勘案すべき内容について明確化するとともに、その周知を図ること。また、派
遣元事業主は、派遣先との派遣料金の交渉が派遣労働者の待遇改善にとって極めて重要であることを踏
まえ、交渉に当たるべきである旨を派遣元指針に規定し、その周知徹底を図ること。さらに、派遣先
も、派遣料金を設定する際に就業の実態や労働市場の状況等を勘案し、派遣される労働者の賃金水準が
派遣先の同種の業務に従事する労働者の賃金水準と均衡が図られたものになるよう努める旨を派遣先指
針に規定すること。派遣労働者が待遇に関する事項等の説明を求めたことを理由として不利益な取扱い
をしないようにしなければならない旨を派遣元指針に規定し、派遣元事業主に対し厳正な指導監督等を
行うこと。また、不利益な取扱いを受けた派遣労働者への救済措置の在り方について検討を行うこと。
2均等・均衡待遇の在り方について検討するための調査研究その他の措置の結果を踏まえ、速やかに労
働政策審議会において、派遣労働者と派遣先に雇用される労働者との均等・均衡待遇の実現のため、法
改正を含めた必要な措置の在り方について議論を開始すること。その際、パートタイム労働法や労働契
約法の関係規定も参酌して行うこと。
3派遣元事業主に雇用される通常の労働者と有期雇用派遣労働者との間における、通勤手当の支給に関
する労働条件の相違は労働契約法第二十条に基づき、働き方の実態その他の事情を考慮して不合理と認
められるものであってはならない旨を派遣元指針に規定すること。
4派遣労働者が安心して働くことができる環境を整備するため、派遣先が派遣労働者の労働・社会保険
への加入状況を確認できる仕組みを強化するほか、派遣労働者を労働・社会保険に加入させることなく
事業を行う派遣元事業主に対して指導監督等を強化するなど、派遣労働者に対する労働・社会保険適用
の促進を図ること。また、派遣労働者を労働・社会保険に加入させることを許可基準に加えることにつ
いて検討すること。
5派遣労働者の育児休業の取得については、恣意的な判断や、誤解に基づく運用により派遣労働者の権
利が不当に制限されることがないよう、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に
関する法律の内容を周知し、適切な指導等を行うこと。また、派遣労働者の育児休業の取得に向けた取
組等が優良な派遣元事業主等に対する優良認定の仕組みを推進し、派遣労働者の育児休業の取得率が著
しく低い派遣元事業主についての対策を検討すること。さらに、派遣労働者を始め非正規雇用労働者の
育児休業の取得を促進するため、その取得状況や不利益取扱い等に係る実態を早急に把握するととも
に、法制上の措置を含む取得促進のための実効性ある措置を講ずることを検討すること。その際、派遣
労働者の育児休業については、育児休業からの復帰時の派遣先の確保など派遣労働者固有の課題がある
ことを踏まえ、検討を行うこと。
六、キャリアアップ措置について
1段階的かつ体系的な教育訓練等のキャリアアップ支援については、派遣労働者の正社員化や賃金等の
待遇改善という成果につながるものとなるよう、派遣元事業主に対して助言等を行うこと。また、派遣
元事業主が、個々の派遣労働者について適切なキャリアアップ計画を当該派遣労働者との相談に基づい
て策定し、派遣労働者の意向に沿った実効性ある教育訓練等が実施されること、また、キャリアアップ
の成果は賃金表に反映することが望ましいことを周知すること。派遣元事業主に義務付けられる教育訓
練については、その義務の具体的な内容を明確化するなどして周知するとともに、その履行が徹底され
るよう適切な指導等を行うこと。さらに、派遣元事業主に義務付けられる教育訓練の内容について、派
遣元事業主は、派遣労働者に周知するよう努めるべきである旨を周知し、インターネット等により関係
者に対して情報提供することが望ましい旨を派遣元指針に規定すること。
2派遣元事業主に義務付けられる教育訓練の実施状況については、事業報告、派遣元管理台帳等によっ
て確認し、その実施について適切な指導監督等を行うとともに、事業許可の更新の際には重要なチェッ
ク項目としてその適正かつ誠実な実施を確認し、基準を満たさない場合には更新をしないことも含め厳
正に対処すること。
3派遣元事業主に義務付けられる教育訓練の実施に当たっては、必ず有給かつ無償で行わなければなら
ない旨を許可基準に盛り込むこと。また、その費用をマージン率の引上げによる派遣労働者の賃金の削
減で補うことは望ましくないことを周知徹底すること。その義務違反に対しては、許可の取消しや更新
をしないことを含め厳正に対処すること。また、派遣元事業主に義務付けられる教育訓練を受けるため
に掛かる交通費については、派遣先との間の交通費よりも高くなる場合は派遣元事業主において負担す
べきである旨を周知すること。さらに、派遣元事業主に義務付けられる教育訓練以外の教育訓練につい
ては、派遣労働者のキャリアアップのために自主的に実施すること、また、派遣労働者の負担は実費程
度とし受講しやすくすることが望ましい旨を派遣元指針に規定すること。派遣労働者の参加が強制され
る場合、派遣労働者が当該教育訓練に参加した時間は労働時間であり有給とする必要があることを周知
すること。
4派遣労働者のキャリアアップのためには、キャリア・コンサルティングが効果的であることに鑑み、
派遣労働者の意向に沿ったキャリア・コンサルティングが実施されるよう、派遣元事業主に対し指導等
を行うこと。また、短期細切れ派遣が繰り返されるような登録型派遣や日雇派遣等の派遣労働者につい
ても、派遣元事業主に義務付けられる教育訓練の実施及びキャリア・コンサルティングの提供は必須で
あること、その実施は労働契約が締結された状況で行われなければならないこと、そのため必要に応じ
て労働契約の締結・延長等の措置を講ずる必要があることを周知徹底すること。
5派遣先に雇用される労働者の募集に係る事項の周知については、周知した事項の内容を記録し保存す
ることが望ましい旨を周知すること。また、派遣労働者の直接雇用化を推進するため、派遣先が派遣契
約の終了後に派遣労働者を直接雇用する場合の紛争が起こらないよう派遣元事業主に支払う紹介手数料
の取扱い等については、派遣契約の記載事項として省令で定めること。さらに、派遣先が派遣労働者を
正社員として採用するなど直接雇用しようとする際、それを派遣元事業主が禁止したり妨害したりする
ことは労働者派遣法の趣旨に反するものであることを明確化し、そのような派遣元事業主に対しては、
厳正な指導を行うこと。
七、派遣先の責任について
1派遣先の使用者性を認めた中労委命令及び裁判例について周知を図り、派遣先が苦情処理を行うに際
しては、それらに留意する旨を派遣先指針に規定すること。また、派遣先において適切かつ迅速な処理
を図らなければならない苦情の内容として、派遣先におけるセクハラ・パワハラ等について派遣先指針
に例示すること。さらに、派遣先の団体交渉応諾義務の在り方について、法制化も含めた検討を行うこ
ととし、その際、労働時間管理、安全衛生、福利厚生、職場におけるハラスメント、労働契約申込みみ
なし制度の適用等に関する事項に係る団体交渉における派遣先の応諾義務についても検討すること。
2派遣元事業主の責めに帰すべき事由によって派遣労働者の労働義務が履行不能になった場合において
は、民法第五百三十六条第二項の規定による反対給付や労働基準法第二十六条の規定による休業手当が
確実に支払われるべきであることを、当事者を含む関係者に周知徹底すること。また、これらの場合に
おける派遣労働者への賃金等の支払に関する実態の調査を行うこと。
3派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為は、労働者派遣法の趣旨に照らし不適当な
行為であることに鑑み、その禁止の義務化について検討すること。
4労働契約申込みみなし制度の実効性を担保するため、派遣労働者に対してみなし制度の内容の周知を
図るとともに、派遣労働者がみなし制度を利用できる状態にあることを認識できる仕組みを設けるこ
と。また、みなし制度の趣旨が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている派遣先への制裁及び
派遣労働者の保護にあることに鑑み、派遣先は、労働者の意向を踏まえつつ、みなし制度の下で有期の
労働契約が成立した後に当該契約を更新することについては、派遣元事業主と締結されていた労働契約
の状況等を考慮し真摯に検討すべきである旨を周知すること。さらに、離職した労働者を離職後一年以
内に派遣労働者として受け入れてはならないとの禁止規定に違反した場合、事前面接を始めとする派遣
労働者を特定することを目的とする行為を行った場合、グループ企業内派遣の八割規制に違反した場合
等の派遣先の責任を強化するため、みなし制度の対象を拡大することについて検討すること。
八、その他
1今後、労働者派遣法改正について、施行後の状況を踏まえ、その見直しについての検討を行う際に
は、今回の改正により新設された個人単位及び事業所単位の期間制限、雇用安定措置等の改正規定につ
いて、常用代替防止、派遣労働者の保護、雇用の安定等の観点から検討を行うものとすること。
2派遣労働者の安全衛生については、雇用関係のある派遣元事業主と、就業上の指揮命令や労働時間の
管理を行っている派遣先の連携が不十分であることから、派遣労働者の安全衛生上のリスクに対して就
業上の配慮が十分になされていない可能性があるため、派遣労働者の安全衛生について派遣元事業主と
派遣先が密接に連携する旨を派遣元指針及び派遣先指針双方に規定すること。また、安全衛生教育の実
施は事業者の法的義務であるが、その実施率は低く、特に派遣労働者に対する実施率は全労働者より低
くなっていること、及び労働災害発生率の高い派遣労働者にこそ十分な安全衛生教育が実施される必要
があることに鑑み、派遣元事業主及び派遣先による安全衛生教育の実施の徹底を図ること。
3派遣労働者の労働関係法令に関する知識の修得の必要性を踏まえ、派遣元事業主から派遣労働者にそ
の機会が与えられるよう指導等を行うこと。また、派遣先に対して、派遣先責任者講習等の機会を活用
し、労働関係法令の遵守に必要な知識の付与を図ること。
4個々の派遣労働者についての派遣元管理台帳の保管については、派遣労働者のための雇用安定措置、
キャリアアップ措置等の着実かつ適正な実施を確保する観点から適切に行わせること。なお、キャリア
アップ措置については、長期的・継続的に行う必要があるため、派遣元事業主が派遣労働者に関する情
報を中長期的に管理する体制を整備することを求めること。
5無期雇用派遣労働者の募集に当たっては、正社員の募集と誤認させることがないよう指導等を徹底す
ること。
6平成二十四年改正法の見直しの検討に当たっては、派遣労働者の保護や待遇が後退することとならな
いようにすること。また、雇用仲介事業の在り方の検討は、求職者及び労働者の保護や待遇が後退する
こととならないようにすること。また、職業安定法第四十四条に定める労働者供給事業の禁止について
は、行政による刑事告発を行うなど、指導監督に万全を期すこと。
右決議する。
[引用おわり]
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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki
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