日本にとって隣国である両国とは、最も親しく付き合っていかなくてはいけないはずなのに、何かとぎくしゃくした関係がこれまで続いてきた。それは逆に隣国であるがための宿命なのか?両国に駐在体験のある二人の新聞記者から話を聞いた。
10月21日(木)午後札幌グランドホテルにおいて「道新海外駐在記者による国際問題講演会」が開催され、聴講してきた。
初めに「激動する中国-巨大国家の強さと危うさ」と題して前中国・北京駐在の高山昌行氏が講演した。
高山氏は2007年から今年2月まで3年間北京に駐在し、ダイナミックに変貌を遂げつつある中国の現状の目の当たりにしてきた。その姿は日本人から見るとエネルギッシュに満ちた姿にも見えるし、矛盾に満ちた姿にも見える、と述べた。
※ 講演する前中国・北京駐在の高山昌行氏
今回の尖閣諸島の問題を始め、反日デモの高まりなどは、矛盾した中国国内の事情から国民の目を外にそらせるための明らかな政治的意図が感じられるとした。
また、反日デモが五中総会(第17期中央委員会第5回総会)開催期間中に行われたのは現指導部に対して圧力をかけるといった目的があったのではないかと指摘した。
さまざまな矛盾や危うさに満ちた中国であるが、隣国同士としての相互依存体制は深まっている。こうした現況の中で反日や反中国を叫ぶのは愚かな対応ではないか。
五中総会において次期指導部が「習近平」体制になることが決まり、今後日中関係に混乱も予想されるので慎重な付き合い方が必要だ。しかし、中国の民主化のためにも日中交流を深めていくことは必要であるとした。
総じて高山氏の話は新聞報道の域を出ないものであり、取材者でなければ知りえない真実を聞きたいという私の期待に応えてくれるものでなかったことは残念だった。
続いて「これからの韓国と日本」と題して前韓国・ソウル駐在の井田哲一氏が講演した。
井田氏は2007年から今年7月まで3年間ソウルに駐在したが、その前に彼は韓国に留学し韓国の大学を卒業したキャリアを有している記者だった。
そうしたキャリアが彼をして韓国という国を好意的に見るのか、彼の対韓国観は楽観的・友好的であった。
※ 講演する前韓国・ソウル駐在の井田哲一氏
20年前に韓国に留学していた頃と比べると、現在の韓国は大人になったことを感ずると彼は言います。韓国人が自らに自信を持ち、日本を見る目が多様化してきている。
日本における韓流ブームは韓国文化に対する自尊心を芽生えさせ、愛国世代といわれる30~40代の人たちの意識にも変化を及ぼしている。
対日意識の変化を最も体現しているのが若い世代の韓国人で、彼らの間では「ニッポンフィール」なるキーワードが存在するという。それは韓流ブームに対する日流ブーム的なことを指す言葉だそうだ。
韓国の若者に日本の文化は相当程度歓迎されているようである。
今後隣国韓国との交流を深めていくときに留意すべきは、日本の若者が両国の歴史に理解を深める必要があるのではないか。日本の若者はあまりに歴史に無知な若者が多い。
日韓の間には竹島問題など難しい問題もあるが、歴史を直視しながらも冷静にお互いの立場に配慮しつつ共同管理などの道を探っていくべきではないか、と井田氏は主張した。
日韓…、その文化交流の実態を見てみると、互いに無いものを求め合っているように思える。日韓両国は鏡のような関係であり、互いの姿を眺めながら我が身を振り返ることが大切ではないか、と井田氏は話を締め括った。
さて、私のレポートとしては長くなってしまったが、最後に藪睨み的に二人の話を振り返ってみたい。
高山氏の話は前述もしたが、私には通り一遍的な話の内容に映った。対して井田氏の話は自らの体験、あるいは個人的ネットワークも駆使して感じた韓国観を語っていただいた。
私にとってどちらが興味深かったかは語るべくもない…。
10月21日(木)午後札幌グランドホテルにおいて「道新海外駐在記者による国際問題講演会」が開催され、聴講してきた。
初めに「激動する中国-巨大国家の強さと危うさ」と題して前中国・北京駐在の高山昌行氏が講演した。
高山氏は2007年から今年2月まで3年間北京に駐在し、ダイナミックに変貌を遂げつつある中国の現状の目の当たりにしてきた。その姿は日本人から見るとエネルギッシュに満ちた姿にも見えるし、矛盾に満ちた姿にも見える、と述べた。
※ 講演する前中国・北京駐在の高山昌行氏
今回の尖閣諸島の問題を始め、反日デモの高まりなどは、矛盾した中国国内の事情から国民の目を外にそらせるための明らかな政治的意図が感じられるとした。
また、反日デモが五中総会(第17期中央委員会第5回総会)開催期間中に行われたのは現指導部に対して圧力をかけるといった目的があったのではないかと指摘した。
さまざまな矛盾や危うさに満ちた中国であるが、隣国同士としての相互依存体制は深まっている。こうした現況の中で反日や反中国を叫ぶのは愚かな対応ではないか。
五中総会において次期指導部が「習近平」体制になることが決まり、今後日中関係に混乱も予想されるので慎重な付き合い方が必要だ。しかし、中国の民主化のためにも日中交流を深めていくことは必要であるとした。
総じて高山氏の話は新聞報道の域を出ないものであり、取材者でなければ知りえない真実を聞きたいという私の期待に応えてくれるものでなかったことは残念だった。
続いて「これからの韓国と日本」と題して前韓国・ソウル駐在の井田哲一氏が講演した。
井田氏は2007年から今年7月まで3年間ソウルに駐在したが、その前に彼は韓国に留学し韓国の大学を卒業したキャリアを有している記者だった。
そうしたキャリアが彼をして韓国という国を好意的に見るのか、彼の対韓国観は楽観的・友好的であった。
※ 講演する前韓国・ソウル駐在の井田哲一氏
20年前に韓国に留学していた頃と比べると、現在の韓国は大人になったことを感ずると彼は言います。韓国人が自らに自信を持ち、日本を見る目が多様化してきている。
日本における韓流ブームは韓国文化に対する自尊心を芽生えさせ、愛国世代といわれる30~40代の人たちの意識にも変化を及ぼしている。
対日意識の変化を最も体現しているのが若い世代の韓国人で、彼らの間では「ニッポンフィール」なるキーワードが存在するという。それは韓流ブームに対する日流ブーム的なことを指す言葉だそうだ。
韓国の若者に日本の文化は相当程度歓迎されているようである。
今後隣国韓国との交流を深めていくときに留意すべきは、日本の若者が両国の歴史に理解を深める必要があるのではないか。日本の若者はあまりに歴史に無知な若者が多い。
日韓の間には竹島問題など難しい問題もあるが、歴史を直視しながらも冷静にお互いの立場に配慮しつつ共同管理などの道を探っていくべきではないか、と井田氏は主張した。
日韓…、その文化交流の実態を見てみると、互いに無いものを求め合っているように思える。日韓両国は鏡のような関係であり、互いの姿を眺めながら我が身を振り返ることが大切ではないか、と井田氏は話を締め括った。
さて、私のレポートとしては長くなってしまったが、最後に藪睨み的に二人の話を振り返ってみたい。
高山氏の話は前述もしたが、私には通り一遍的な話の内容に映った。対して井田氏の話は自らの体験、あるいは個人的ネットワークも駆使して感じた韓国観を語っていただいた。
私にとってどちらが興味深かったかは語るべくもない…。