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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

世界の覇権はどうなるか?

2017-01-21 20:01:00 | 大学公開講座
 20世紀の世界を牽引してきたアメリカの衰退が顕著になってきている今、アメリカがそのまま衰退し、覇権国の交代があるのか、それともアメリカの復活があるのか、興味深い話が伺えると思ったのだが…。 

 1月19日(木)夜、時計台ホールにおいて、札幌大学が主催する「札幌大学時計台フォーラム」が開催され参加した。
 フォーラムは、同大学の三須拓也教授が「世界情勢を読み解く」と題して講演された。

                     
                     ※ 時計台ホールの暗い照明の中で講義する三須拓也教授です。
 
 三須氏は、「覇権」について、イタリアの哲学者アントニオ・グラシムの言葉を借りて次のように定義した。「特定の人、集団が長期にわたって不動の地位、権力を維持する事態」だという。
 それに倣って、地球規模における歴代の覇権国を振り返ってみると、16世紀にはスペイン・ポルトガルが、17世紀はオランダが、18~19世紀はイギリスが、そして20世紀に入ってアメリカ合衆国が覇権国の座に就いていたと整理した。この点については、誰もが納得する整理である。

 現代の覇権国とされるアメリカが1970年代に入ってから衰退する趨勢になってきたということについても異論はない。つまり、それはアメリカのベトナム戦争での敗退であり、湾岸戦争、イラク戦争の戦費の浪費、9.11におけるアメリカ中枢部への攻撃等々、世界に冠たるアメリカの権威は音を立てて崩れ始めている。

               
               ※ 三須教授の近影です。

 こうした中で、アメリカが目論んでいるのは、アメリカに余力があるうちに覇権の「再編」を行おうとしていることだという。
 三須氏によると、アメリカにとって20~21世紀の間に軍需産業が肥大化し、もはや軍需産業抜きにアメリカの経済は語れないほどの存在になっているそうだ、その上、アメリカ国内の軍事基地は各州に置かれていて、国内の軍事費削減は政治的に困難な状況にあるという。
 そうした中で、アメリカが目論んでいるのは、軍需産業の産出する兵器を「同盟国」に買わせることによって、軍需産業を潤わせつつ、アメリカ自身の軍事費削減を目論んでいるということだ。(日本の国防費がこのところ増大している要因だという)

 このような状況の中で登場したのが、アメリカの新大統領トランプである。
 三須氏は今年2017年のニュースのポイントは、アメリカの覇権の衰退がさらに進むのか、あるにはアメリカによる再編成の目論見が世界にどう影響するのか見守りたいとした。
 三須氏によると、トランプによる覇権の「再編」の目論見は、あるいは「自滅的再編」を招くのではないか、と予想した。

               

 わずか1時間の講義で複雑極まりない「世界情勢を読み解く」ことなど到底無理な話である。本講義においても、密かに世界の覇権を握ろうとする意欲を隠さない中国のことなどについては全く触れられなかった。
 なんだかちょっと中途半端な形で終わってしまった感じだが、もう少し三須氏の話を聴きたいと思った。