昨日の中途半端な投稿を補いたい。映画「みんなの学校」として紹介された大阪市立大空小学校は、ある意味において公立の小学校としては理想の小学校のように映る。しかし、それはまた特別な小学校ではないか、という思いも私の中からは拭いきれなかった…。
このようにリード文で書き出すと、一部の方からは総スカンをくいそうだが、臆せず私の思いを語ってみたい。
大空小学校のことを如述に表現する一文に出会った。その一文とは、
この学校の性格をそのまま形づくっている女性校長の人柄だ。母のごとき人心掌握術、船長のごとき経験則。
外見も若く素敵な木村泰子校長は、教師歴40年以上というから目を疑うが、厚い人望と漲る自信と優しさはそれをたやすく裏付ける。担任たちの誰よりも生徒一人ひとりと話し、全校生徒からもっとも信頼されているのだ。
※ 新設の大空小学校を9年間にわたって引っ張り続けた初代校長の木村泰子氏です。
この一文からも想像できると思うが、大空小学校は初代校長である木村泰子校長の確固とした教育理念と、それを実現しようとする強力なリーダシップによって実現した学校であるということがドキュメンタリー映画の中からも伝わってくる。
その大空小学校を「特別な小学校ではないか」と私が疑問を呈したのは、公立小学校において一人の校長が9年も続けて同一校の校長を務めることなどは普通にはあり得ないことである。
このことは木村泰子校長の熱意、実践、etc.が大阪市教育委員会をも動かし、例外を認めたということだろう。
大空小学校は全校児童が220人、そのうち特別な支援を必要とする子が30人以上在籍するという。「自分がされていやなことは人にしない」というたった一つの校則と、「すべての子どもの学習権を保障する」という教育理念のもと、特別支援を必要とする子もない子もすべての子どもが、ともに同じ教室で学んでいる。
そんな教室では、当然のようにさまざまな問題が生起する。しかし、そうした問題が生起する度に木村校長が先頭に立って、問題に向き合い、担任をはじめ教職員を叱咤激励し、問題を起こした子と教室の子どもたちを向き合わせ、解決に導いていく。
こうした取り組みにより、不登校児はゼロ。他の小学校で、厄介者扱いされた子どもも、この学校の学びのなかで、自分の居場所を見つけ、いきいきと成長してゆく。また、まわりの子どもたちも、そのような子どもたちとのかかわりを通して、大きな成長を遂げている。
※ 校長自ら全校児童の体操を指導をしている様子です。
映画を観ているかぎり、まさに「理想の学校」、「奇跡の学校」である。
しかし、当の木村校長や大空小の教職員に言わせると、「そんなきれいごとではすまされない」、「日々真剣に向き合った結果である」というような答えが返ってきそうだ。
確かに木村泰子校長の強力なリーダーシップによって実現できた側面は強いが、その中で教職員が変わり、地域が変わり、何より子どもが変わっていく姿を画面に認めたとき、私の涙腺が緩むのを禁じえなかった。
それは「このような学校を創ってみたかった…」という思いと共に…。
※ 大空小学校の全景です。
明日は、その木村泰子大空小学校初代校長から伺った講演をレポしつつ、私の思いも語ってみたい。